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告白②
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あの時、ジュディから直接王太子との婚約を知らされた時、グランケはどうした?
どう答えた?
深く傷付き血を流す心を必死で覆い隠し、おめでとうと祝福した。
決して笑えなかったけれど。
だが、ジュディは笑っていた。
だから、そんな気持ちが裏に隠されていたなど、全く気付かなかった。
「髪が抜けて最初は落ち込んだけど、直ぐに喜んだわ。これで、当てつけのようにお受けした婚約の話を無かった事に出来るって」
「何だって?」
「王太子様への罪悪感とグランケへの想いが募る一方で苦しかった……毎日どんどんと心が死んでいく心地だったわ」
グランケはヨロヨロと立ち上がり、ジュディの顔を覗き込んだ。涙を拭いたかったが、狼の手では傷つけてしまう。頬から顎を伝う涙を吸い取りたかったが、突き出た鼻の距離感が掴めない。
「ジュディ……俺は……」
「グランケが髪の毛の無い女性など嫌だと言うなら噛んで貰う。鬘だって被るわ。他の誰でもないグランケに好きになって欲しいの」
「俺は、俺は狼男で、きっとそれは俺の子供にも遺伝して……」
「私は狼男のグランケが好きなの」
ジュディは顔を覆っていた手を外すと、涙でぐしゃぐしゃになった顔を近付けて、グランケの鼻先に口付けた。
どう答えた?
深く傷付き血を流す心を必死で覆い隠し、おめでとうと祝福した。
決して笑えなかったけれど。
だが、ジュディは笑っていた。
だから、そんな気持ちが裏に隠されていたなど、全く気付かなかった。
「髪が抜けて最初は落ち込んだけど、直ぐに喜んだわ。これで、当てつけのようにお受けした婚約の話を無かった事に出来るって」
「何だって?」
「王太子様への罪悪感とグランケへの想いが募る一方で苦しかった……毎日どんどんと心が死んでいく心地だったわ」
グランケはヨロヨロと立ち上がり、ジュディの顔を覗き込んだ。涙を拭いたかったが、狼の手では傷つけてしまう。頬から顎を伝う涙を吸い取りたかったが、突き出た鼻の距離感が掴めない。
「ジュディ……俺は……」
「グランケが髪の毛の無い女性など嫌だと言うなら噛んで貰う。鬘だって被るわ。他の誰でもないグランケに好きになって欲しいの」
「俺は、俺は狼男で、きっとそれは俺の子供にも遺伝して……」
「私は狼男のグランケが好きなの」
ジュディは顔を覆っていた手を外すと、涙でぐしゃぐしゃになった顔を近付けて、グランケの鼻先に口付けた。
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