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繋ぎたい
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田出呂神社に新しい巫女が加わった。
モカの友達である花枝は美人な上に飾らない性格で、参拝客からの評判も上々だ。
しかも現在フリーらしい。
「良い子だよな?綺麗だし」
蒼士に水を向けてみたが、案の定全く食いつかない。
「そうだな……けど、やっぱりモカの方が可愛く見えるな俺には」
臆面もなくキッパリ言い切り、ニマニマと笑う蒼士を横目で見て舌打ちを堪える。
「お前そういうのモカちゃんにキチンと言ってんの?縁の上に胡座かいてちゃいけねぇんだぞ」
「モカはちゃんとわかってるから。言葉なんか無くても通じあってるのを感じるしな」
蒼士が得意気に上げた顎にアッパーを喰らわせたくなる衝動を何とか逃し、浅緋はイライラを治めるべく深呼吸をする。
「お前こそ出水さんに行ってみれば?美人、好きだろ?」
確かに美人でスタイルも良い。
非の打ち所のない女の子だ。
だかしかし、食指が動かない。
それより今は、地味な装いで武装する変わった女の子が浅緋の心を占めていて、入り込む隙もない。
「花枝ちゃんは俺みたいのは相手にしないよ、真面目そうだもん」
何気なく答えた言葉が自らの胸をズキリと刺す。
「いい加減お前もフラフラすんの止めれば良いだろ。不特定多数の人間を巻き込むのはリスクが高いし、そもそも反動の解消の為だけに誰かを利用するような真似はどうかと……」
浅緋はムッとして蒼士を睨んだ。
「黙れよ、何にも知らねぇくせに!」
普段から滅多に怒ることの無い浅緋の怒りを浴びて、蒼士は余程驚いたのだろう、唖然としてこちらを見ている。
浅緋は背中を向けて歩き出す。
「儀式の時間だ。モカちゃんを呼んでこいよ」
しまったと思ったが、取り繕う気にもなれなかった。
不特定多数などではない。
浅緋が事情を明かしたのは、たった一人だけ。
彼女一人が浅緋の反動を解消してくれている。
別人を装うのは彼女の斜めな気遣いとちょっとした趣味だ。
浅緋は温度の高い溜息をつく。
儀式が終われば上茶谷が離れにやって来る。
そしてまた浅緋はあの感情に苛まれるのだ。
その正体が解らぬ内は、不用意な言葉は吐けないし、行動もとれない。
禁じ手の隙間をかいくぐり上茶谷に近付く度に、何かが浅緋の中に溜まっていく。
そして、それはどんどんと膨らんでいる。
浅緋の中に飼われ育っている獣の正体。
それが解放される時は来るのだろうか?
それともやがて、檻の中で消え失せる運命か。
浅緋は甘美な妄想と喪失の恐怖の間で揺れ動いていた。
翌週の水曜日、上茶谷を家に招いた。
黒のゆったりとしたカットソーにグレーのスキニーパンツという普段の地味なスタイルで、玄関に所在なげに立つ彼女を出迎える。
「お、お邪魔します」
「どうぞ上がって。今お湯を沸かしてるところなんだ。パスタにしようと思ってるんだけど、良いかな?」
リビングに向かいながら、沸き立つ気持ちを悟られぬように話しかける。
「はいっ、お手伝いしますか?」
「あー、じゃあお願いしようかな」
キッチンに上茶谷と並んで立つ姿を想像して浅緋は微笑む。
上茶谷は大きめのトートバッグから白衣を取り出した。
「それ着るの?」
「はい。これは家用です」
家でも白衣を着てるのか。
「上茶谷さんって、やっぱり少し変わってるね」
「ええ……まあ、よく言われます」
上茶谷は白衣を羽織りながら苦笑いをする。
「こんな変わり者に付き合ってくれるなんて、広瀬さんは貴重な方です」
「俺は面白いと思うけど」
上茶谷はクスクスと笑い、浅緋を見た。
「広瀬さんって、スケコマシだとか言われてますけど……単なる面倒臭がりですよね?」
浅緋はその言葉に面食らう。
上茶谷はボタンを填めながら浅緋の分析を続ける。
「色んな方とお付き合いしてるというのも、来るもの拒まず去るもの追わずなんでしょう?執着が無いだけでは?」
「……凄いな、なんでわかるの?」
「分析が癖なんです。それに、本当に節操が無い人を知ってるので」
浅緋はじっと上茶谷の横顔を見た。
「それは、前の彼氏とか?」
「あー、違います」
「誰のこと?」
思いの外口調がキツくなり焦った浅緋は、上茶谷から視線を逸らしてキッチンへ向かった。
「いや、その、ソイツも眠らされたのかと」
上茶谷が後についてくる気配がする。
「いえ、学生時代の先輩です。彼女がいるのに色んな女の子に言い寄ってるような不誠実な方でした」
「へえ、上茶谷さんも誘われたの?」
浅緋は何気無い風を装ってパスタの帯を外す。
上茶谷も並んでそれを手伝った。
「そのせいで誤解されて、その当時の彼氏と破局して、研究室も他に移ることになりました。ある意味忘れられない人ではありますね」
「迷惑な奴だな……もしかして、それがトラウマの元凶?」
「はい。だから、広瀬さんのことも勝手に苦手意識を持っていたんですが……」
上茶谷は微笑んだ。
「全然違いました」
浅緋は動きを止める。
胸がザワザワと波打ち、手先が震えた。
「そう」
「拒まないのは寂しがり屋だから?でも、自分から積極的に行くことはあまり無いように見えます。まあ、広瀬さんほどの人なら周りが放っておかないでしょうから……」
「今夜も寂しいから上茶谷さんを家に呼んだと思ってる?」
上茶谷はキョトンとした。
「今夜はお礼だと……寂しかったんですか?」
浅緋はグッと言葉に詰まった。
違う。
確かめたかったから。
君に対する気持ちが何なのか。
「お礼だよ?」
でも、言えないんだよ。
臆病な僕はいつだって本当の気持ちが言えない。
繋ぎ止めるために嘘をつく。
「ですよね……へへ、嬉しかったです。誘って貰えて」
浅緋は恐る恐る隣に視線を移した。
上茶谷が鍋を覗き込んでいる。
「広瀬さん、沸騰してますよ。塩は……」
浅緋はカウンターから塩の器を掴み、上茶谷に手渡した。
指が触れる、たったそれだけの事に鼓動が跳ね上がる。
もう否定しようがない。
こんなにも意識している。
ガキみたいに。
「これぐらいかなぁ」
上茶谷はグツグツ滾る湯の中に塩を振ると、赤いキャップを嵌めて浅緋に返す。
浅緋は咄嗟にその手首を掴んだ。
上茶谷が窺うように浅緋を見る。
「君の言う通りだよ。俺は面倒臭がりで傷付くのが怖い臆病者だ。本気で人を好きになるのが怖い。だけど孤独にも耐えられない」
「広瀬さん、あの、すいません、勝手に決めつけて。私の言った事はどうか気にしないで……」
「だって、そうだろう?もし誰かを好きになったって、縁が繋がって無かったら別れが待ってる。直ぐに確定された悲しい事実を知るんだ。だって、俺は見えるんだから」
上茶谷は息を呑み、目を大きく見張った。
「誰かを好きになるのが怖い」
上茶谷は唇を噛んで目を伏せた後に直ぐに視線を上に向け、何事かを考えるような仕草をする。
そして、決意したように真正面を向いて口を開いた。
「縁は繋ぐものなんじゃないでしょうか」
上茶谷は懸命に語りかける。
「本当にその人の事が好きなら、結んでしまえば良いのではないでしょうか」
「どうやって」
上茶谷は眉を寄せる。
再び何事かを考え始めたようだ。
浅緋はその表情に見惚れつつ上茶谷の言葉を待つ。
「そ、それは、誠心誠意、アタックあるのみ!やるだけやってみるべし!……です!」
浅緋は吹き出した。
上茶谷は頬を染めて俯き、ボソボソと呟く。
「すいません、適当なこと言って。何せ激しく経験不足なもので……でも、広瀬さんには諦めて欲しくないです。……幸せになって欲しいです」
「俺も幸せになりたい」
浅緋は掴んでいた手首を引き、上茶谷を引き寄せ腰に手を回す。
激しく瞬きをする長い睫毛を上から見下ろした。
「俺さ、どうやら上茶谷さんの事が好きみたい。上茶谷さんと縁を繋ぎたいんだ」
弾かれるように顔を上げた上茶谷の潤んだ瞳を捉えながら、顔を寄せた。
柔らかい唇に触れ、そっと重ねて離す。
抵抗しない上茶谷の頬を挟み、再び唇を寄せた。
今度は深く。
角度を変えて何度も夢中で食んだ。
抑え込んでいた感情が溢れ出て止まらない。
身の内の獣が胸までのし上がり、暴れだしそうだ。
「上茶谷さん、好きだ」
口からついて出た初めての告白に、震える。
「広瀬さん……私……」
が、そこで世界が暗転した。
モカの友達である花枝は美人な上に飾らない性格で、参拝客からの評判も上々だ。
しかも現在フリーらしい。
「良い子だよな?綺麗だし」
蒼士に水を向けてみたが、案の定全く食いつかない。
「そうだな……けど、やっぱりモカの方が可愛く見えるな俺には」
臆面もなくキッパリ言い切り、ニマニマと笑う蒼士を横目で見て舌打ちを堪える。
「お前そういうのモカちゃんにキチンと言ってんの?縁の上に胡座かいてちゃいけねぇんだぞ」
「モカはちゃんとわかってるから。言葉なんか無くても通じあってるのを感じるしな」
蒼士が得意気に上げた顎にアッパーを喰らわせたくなる衝動を何とか逃し、浅緋はイライラを治めるべく深呼吸をする。
「お前こそ出水さんに行ってみれば?美人、好きだろ?」
確かに美人でスタイルも良い。
非の打ち所のない女の子だ。
だかしかし、食指が動かない。
それより今は、地味な装いで武装する変わった女の子が浅緋の心を占めていて、入り込む隙もない。
「花枝ちゃんは俺みたいのは相手にしないよ、真面目そうだもん」
何気なく答えた言葉が自らの胸をズキリと刺す。
「いい加減お前もフラフラすんの止めれば良いだろ。不特定多数の人間を巻き込むのはリスクが高いし、そもそも反動の解消の為だけに誰かを利用するような真似はどうかと……」
浅緋はムッとして蒼士を睨んだ。
「黙れよ、何にも知らねぇくせに!」
普段から滅多に怒ることの無い浅緋の怒りを浴びて、蒼士は余程驚いたのだろう、唖然としてこちらを見ている。
浅緋は背中を向けて歩き出す。
「儀式の時間だ。モカちゃんを呼んでこいよ」
しまったと思ったが、取り繕う気にもなれなかった。
不特定多数などではない。
浅緋が事情を明かしたのは、たった一人だけ。
彼女一人が浅緋の反動を解消してくれている。
別人を装うのは彼女の斜めな気遣いとちょっとした趣味だ。
浅緋は温度の高い溜息をつく。
儀式が終われば上茶谷が離れにやって来る。
そしてまた浅緋はあの感情に苛まれるのだ。
その正体が解らぬ内は、不用意な言葉は吐けないし、行動もとれない。
禁じ手の隙間をかいくぐり上茶谷に近付く度に、何かが浅緋の中に溜まっていく。
そして、それはどんどんと膨らんでいる。
浅緋の中に飼われ育っている獣の正体。
それが解放される時は来るのだろうか?
それともやがて、檻の中で消え失せる運命か。
浅緋は甘美な妄想と喪失の恐怖の間で揺れ動いていた。
翌週の水曜日、上茶谷を家に招いた。
黒のゆったりとしたカットソーにグレーのスキニーパンツという普段の地味なスタイルで、玄関に所在なげに立つ彼女を出迎える。
「お、お邪魔します」
「どうぞ上がって。今お湯を沸かしてるところなんだ。パスタにしようと思ってるんだけど、良いかな?」
リビングに向かいながら、沸き立つ気持ちを悟られぬように話しかける。
「はいっ、お手伝いしますか?」
「あー、じゃあお願いしようかな」
キッチンに上茶谷と並んで立つ姿を想像して浅緋は微笑む。
上茶谷は大きめのトートバッグから白衣を取り出した。
「それ着るの?」
「はい。これは家用です」
家でも白衣を着てるのか。
「上茶谷さんって、やっぱり少し変わってるね」
「ええ……まあ、よく言われます」
上茶谷は白衣を羽織りながら苦笑いをする。
「こんな変わり者に付き合ってくれるなんて、広瀬さんは貴重な方です」
「俺は面白いと思うけど」
上茶谷はクスクスと笑い、浅緋を見た。
「広瀬さんって、スケコマシだとか言われてますけど……単なる面倒臭がりですよね?」
浅緋はその言葉に面食らう。
上茶谷はボタンを填めながら浅緋の分析を続ける。
「色んな方とお付き合いしてるというのも、来るもの拒まず去るもの追わずなんでしょう?執着が無いだけでは?」
「……凄いな、なんでわかるの?」
「分析が癖なんです。それに、本当に節操が無い人を知ってるので」
浅緋はじっと上茶谷の横顔を見た。
「それは、前の彼氏とか?」
「あー、違います」
「誰のこと?」
思いの外口調がキツくなり焦った浅緋は、上茶谷から視線を逸らしてキッチンへ向かった。
「いや、その、ソイツも眠らされたのかと」
上茶谷が後についてくる気配がする。
「いえ、学生時代の先輩です。彼女がいるのに色んな女の子に言い寄ってるような不誠実な方でした」
「へえ、上茶谷さんも誘われたの?」
浅緋は何気無い風を装ってパスタの帯を外す。
上茶谷も並んでそれを手伝った。
「そのせいで誤解されて、その当時の彼氏と破局して、研究室も他に移ることになりました。ある意味忘れられない人ではありますね」
「迷惑な奴だな……もしかして、それがトラウマの元凶?」
「はい。だから、広瀬さんのことも勝手に苦手意識を持っていたんですが……」
上茶谷は微笑んだ。
「全然違いました」
浅緋は動きを止める。
胸がザワザワと波打ち、手先が震えた。
「そう」
「拒まないのは寂しがり屋だから?でも、自分から積極的に行くことはあまり無いように見えます。まあ、広瀬さんほどの人なら周りが放っておかないでしょうから……」
「今夜も寂しいから上茶谷さんを家に呼んだと思ってる?」
上茶谷はキョトンとした。
「今夜はお礼だと……寂しかったんですか?」
浅緋はグッと言葉に詰まった。
違う。
確かめたかったから。
君に対する気持ちが何なのか。
「お礼だよ?」
でも、言えないんだよ。
臆病な僕はいつだって本当の気持ちが言えない。
繋ぎ止めるために嘘をつく。
「ですよね……へへ、嬉しかったです。誘って貰えて」
浅緋は恐る恐る隣に視線を移した。
上茶谷が鍋を覗き込んでいる。
「広瀬さん、沸騰してますよ。塩は……」
浅緋はカウンターから塩の器を掴み、上茶谷に手渡した。
指が触れる、たったそれだけの事に鼓動が跳ね上がる。
もう否定しようがない。
こんなにも意識している。
ガキみたいに。
「これぐらいかなぁ」
上茶谷はグツグツ滾る湯の中に塩を振ると、赤いキャップを嵌めて浅緋に返す。
浅緋は咄嗟にその手首を掴んだ。
上茶谷が窺うように浅緋を見る。
「君の言う通りだよ。俺は面倒臭がりで傷付くのが怖い臆病者だ。本気で人を好きになるのが怖い。だけど孤独にも耐えられない」
「広瀬さん、あの、すいません、勝手に決めつけて。私の言った事はどうか気にしないで……」
「だって、そうだろう?もし誰かを好きになったって、縁が繋がって無かったら別れが待ってる。直ぐに確定された悲しい事実を知るんだ。だって、俺は見えるんだから」
上茶谷は息を呑み、目を大きく見張った。
「誰かを好きになるのが怖い」
上茶谷は唇を噛んで目を伏せた後に直ぐに視線を上に向け、何事かを考えるような仕草をする。
そして、決意したように真正面を向いて口を開いた。
「縁は繋ぐものなんじゃないでしょうか」
上茶谷は懸命に語りかける。
「本当にその人の事が好きなら、結んでしまえば良いのではないでしょうか」
「どうやって」
上茶谷は眉を寄せる。
再び何事かを考え始めたようだ。
浅緋はその表情に見惚れつつ上茶谷の言葉を待つ。
「そ、それは、誠心誠意、アタックあるのみ!やるだけやってみるべし!……です!」
浅緋は吹き出した。
上茶谷は頬を染めて俯き、ボソボソと呟く。
「すいません、適当なこと言って。何せ激しく経験不足なもので……でも、広瀬さんには諦めて欲しくないです。……幸せになって欲しいです」
「俺も幸せになりたい」
浅緋は掴んでいた手首を引き、上茶谷を引き寄せ腰に手を回す。
激しく瞬きをする長い睫毛を上から見下ろした。
「俺さ、どうやら上茶谷さんの事が好きみたい。上茶谷さんと縁を繋ぎたいんだ」
弾かれるように顔を上げた上茶谷の潤んだ瞳を捉えながら、顔を寄せた。
柔らかい唇に触れ、そっと重ねて離す。
抵抗しない上茶谷の頬を挟み、再び唇を寄せた。
今度は深く。
角度を変えて何度も夢中で食んだ。
抑え込んでいた感情が溢れ出て止まらない。
身の内の獣が胸までのし上がり、暴れだしそうだ。
「上茶谷さん、好きだ」
口からついて出た初めての告白に、震える。
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が、そこで世界が暗転した。
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2019年11月、書籍化されました。
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