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出立の日
出立の日
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教会堂の扉が開かれ、砂埃と共に人々の歓声が押し寄せた。
僕は目の上に掌を翳しながら歩を進める。
久しぶりに嗅ぐ外界の匂いと肌から伝わる感触に、ぞわぞわと身体が震えた。
改めて考えてみれば、十のころに教会堂に連れてこられてからほとんど外には出ていない。
沿道に連なる町民たちの姿を、手を振りながら観察して歩く。色とりどりの衣服を身に着け花を撒く彼らの鮮やかな色に目が痛くなった。
素朴な色で構成されていた暮らしに慣れていた僕は、十年ぶりに目にする世界に圧倒されていた。
「勇者様、陛下に一礼を」
背後から大司教に促され、上を見上げる。城壁の奥に見える城のベランダから王族らしき人物たちが見下ろしている。きっと、ラフラ王女もその中にいるのだろう。
僕は胸に手を当て、首を垂れる。他のメンバーも僕に倣った。
ブーツの爪先を見ながら、再びこの地に戻ってこられるだろうか、と考えた。
僕がセルジュに勝ち、尚且つ交渉に成功したら、戻らねばならない。
けれど、身の安全が保障されるわけじゃない。私利私欲に乗っ取られた海千山千の猛者たちと渡り合わねばならない未来が待っている。
下手をすれば裏切り者として処刑されるかもしれない。
セルジュの望みが何かはわからないが、きっと負けてしまった方が安全なのだろう。
セルジュは決して僕に無茶なことは要求しない。見かけは魔王そのものだが、とても、とても優しい奴なのだから。
僕は顔を上げた。
勇者の出立を祝う人の列のその向こうに、一行のために用意された二頭の白馬と馬車が見える。
胸いっぱいに空気を吸い込み、背筋を伸ばした。
それでも僕は決めたのだ。
唯一愛する者のために、この命を捧げると。
たとえ地獄に身を投じることになろうと構わない。
僕の残りの人生は、君と君の愛するものを解放するために使いたいのだ。
それが、僕の勇者としての使命。
僕の選ぶ未来だ。
僕は大きく一歩を踏み出した。
つむじ風に花弁がくるくると舞うその中を、颯爽と行く。
背後から慌ててついてくるいくつかの足音が聞こえる。
恐れはもう感じなかった。
僕は目の上に掌を翳しながら歩を進める。
久しぶりに嗅ぐ外界の匂いと肌から伝わる感触に、ぞわぞわと身体が震えた。
改めて考えてみれば、十のころに教会堂に連れてこられてからほとんど外には出ていない。
沿道に連なる町民たちの姿を、手を振りながら観察して歩く。色とりどりの衣服を身に着け花を撒く彼らの鮮やかな色に目が痛くなった。
素朴な色で構成されていた暮らしに慣れていた僕は、十年ぶりに目にする世界に圧倒されていた。
「勇者様、陛下に一礼を」
背後から大司教に促され、上を見上げる。城壁の奥に見える城のベランダから王族らしき人物たちが見下ろしている。きっと、ラフラ王女もその中にいるのだろう。
僕は胸に手を当て、首を垂れる。他のメンバーも僕に倣った。
ブーツの爪先を見ながら、再びこの地に戻ってこられるだろうか、と考えた。
僕がセルジュに勝ち、尚且つ交渉に成功したら、戻らねばならない。
けれど、身の安全が保障されるわけじゃない。私利私欲に乗っ取られた海千山千の猛者たちと渡り合わねばならない未来が待っている。
下手をすれば裏切り者として処刑されるかもしれない。
セルジュの望みが何かはわからないが、きっと負けてしまった方が安全なのだろう。
セルジュは決して僕に無茶なことは要求しない。見かけは魔王そのものだが、とても、とても優しい奴なのだから。
僕は顔を上げた。
勇者の出立を祝う人の列のその向こうに、一行のために用意された二頭の白馬と馬車が見える。
胸いっぱいに空気を吸い込み、背筋を伸ばした。
それでも僕は決めたのだ。
唯一愛する者のために、この命を捧げると。
たとえ地獄に身を投じることになろうと構わない。
僕の残りの人生は、君と君の愛するものを解放するために使いたいのだ。
それが、僕の勇者としての使命。
僕の選ぶ未来だ。
僕は大きく一歩を踏み出した。
つむじ風に花弁がくるくると舞うその中を、颯爽と行く。
背後から慌ててついてくるいくつかの足音が聞こえる。
恐れはもう感じなかった。
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