3 / 97
ポッコチーヌ様のお世話係
白騎士団長マクシミリアン・ガルシア①
しおりを挟む
ここで、マクシミリアン・ガルシアについて語っておこう。
まず、ガルシア侯爵家は現王妃の生家、つまり、マクシミリアンは現王妃の弟にあたる。ガルシア家の血を引くものは皆、文武に優れ、類まれなる美貌を持つ。王妃を最も多く輩出する名家であり、ガルシア家との縁を得る為に国中の貴族が躍起になるという。
マクシミリアンはそのガルシア家の嫡男であり、白騎士団の団長である。一見儚げにも見える美貌を持ちながらも、剣技に於いては右に出るもの無し。独特の間合いで優雅に剣を振るい、無敗記録を未だ更新中であるらしい。要所に於いて的確な指示を与え、かつ余計な口出しはしない。その余裕のある佇まいは生まれながらの指導者と讃えられ、部下からの信頼も厚い。
正に非の打ち所のない男なのである。
そう、王都から遠く離れた地方勤務のゲルダでさえ、マクシミリアンの評判を聞き及んでいた。
であるからして、そんな男の欠点を見つけるなど、不可能に近いだろうと思っていたのだが……
「あ、あのう......団長」
「ああ、食事はそこのテーブルの上に置けば良い」
「は、はあ」
ゲルダはギクシャクとしながら部屋の中央に進み、テーブルの上にバスケットを置く。そして、目線を下に落としたまま、後退った。
「そ、それでは私は失礼致します」
「何を言っている。引き継ぎの騎士から聞いていないのか?お前はこのままここに留まるのだ」
「……いや、そうなりますと他の業務が滞……」
「これがお前の任務である。他の業務などせずとも良い」
有無を言わせぬ口調が降ってきて、ゲルダは縮こまる。
「貴様、俺を見ろ」
ゲルダはギュッと目を瞑り、唇を噛む。
「この俺を見るのだ!その眼を開き、焼き付けろ!」
いや、なんのために?
ゲルダは口に出せぬ疑問を胸の内で叫ぶ。
「貴様、この俺の言うことが聞けぬのか?!」
声に憤怒の色が混ざり始めたことに気付き、ゲルダは遂に観念した。目を開き恐る恐る目を開ける。
「そうだ!とくと見るがよい!このマクシミリアン・ガルシアの全てを!」
目の前に立つ男は満足気に手を広げ、逞しい胸を押し出した。
その姿を目に収め、決して見間違いではないことを再確認したゲルダは絶望する。
……やはり夢では無かったようだ。
まず、ガルシア侯爵家は現王妃の生家、つまり、マクシミリアンは現王妃の弟にあたる。ガルシア家の血を引くものは皆、文武に優れ、類まれなる美貌を持つ。王妃を最も多く輩出する名家であり、ガルシア家との縁を得る為に国中の貴族が躍起になるという。
マクシミリアンはそのガルシア家の嫡男であり、白騎士団の団長である。一見儚げにも見える美貌を持ちながらも、剣技に於いては右に出るもの無し。独特の間合いで優雅に剣を振るい、無敗記録を未だ更新中であるらしい。要所に於いて的確な指示を与え、かつ余計な口出しはしない。その余裕のある佇まいは生まれながらの指導者と讃えられ、部下からの信頼も厚い。
正に非の打ち所のない男なのである。
そう、王都から遠く離れた地方勤務のゲルダでさえ、マクシミリアンの評判を聞き及んでいた。
であるからして、そんな男の欠点を見つけるなど、不可能に近いだろうと思っていたのだが……
「あ、あのう......団長」
「ああ、食事はそこのテーブルの上に置けば良い」
「は、はあ」
ゲルダはギクシャクとしながら部屋の中央に進み、テーブルの上にバスケットを置く。そして、目線を下に落としたまま、後退った。
「そ、それでは私は失礼致します」
「何を言っている。引き継ぎの騎士から聞いていないのか?お前はこのままここに留まるのだ」
「……いや、そうなりますと他の業務が滞……」
「これがお前の任務である。他の業務などせずとも良い」
有無を言わせぬ口調が降ってきて、ゲルダは縮こまる。
「貴様、俺を見ろ」
ゲルダはギュッと目を瞑り、唇を噛む。
「この俺を見るのだ!その眼を開き、焼き付けろ!」
いや、なんのために?
ゲルダは口に出せぬ疑問を胸の内で叫ぶ。
「貴様、この俺の言うことが聞けぬのか?!」
声に憤怒の色が混ざり始めたことに気付き、ゲルダは遂に観念した。目を開き恐る恐る目を開ける。
「そうだ!とくと見るがよい!このマクシミリアン・ガルシアの全てを!」
目の前に立つ男は満足気に手を広げ、逞しい胸を押し出した。
その姿を目に収め、決して見間違いではないことを再確認したゲルダは絶望する。
……やはり夢では無かったようだ。
20
あなたにおすすめの小説
世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない
二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。
ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。
当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。
だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。
――君の××××、触らせてもらえないだろうか?
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる