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永遠くん3歳のお話

とわくんの世界

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 「みゆも描けたよー。犬のココちゃん!」

みゆちゃんの絵はダイナミック!
画用紙からはみ出しちゃうくらい、ココちゃんを大きく描きました。
愛情の現れなのでしょう。

 「みゆちゃんちのココちゃん、元気いっぱいだね!白いわんちゃんなんだね、マルチーズかな?かわいいね。みゆちゃんも花まるですっ」

ニカッと歯を見せて、先生とお友達にピースサイン!


他の子たちも描き終えて先生に見てもらっています。
みんな褒めてもらえて嬉しそう!


そんな中、とわくんがひとりだけ終わっていない様子。


 「とわくん?お絵描きは終わりましたか?」


よしえ先生は画用紙を見て、反応に困りました。


12色全てでぐるぐる、ぐにゃぐにゃと塗られていて、
ピカソもビックリです。

 「……えーと。とわくんは何を描いたのかかな?」


 「お父さんとお母さんとぼくが海で遊んでいるところだよー」

真っ黒になった手で汗をぬぐった
とわくんの顔はまっくろけっけ…!


黄色とピンクの海に、真っ黒な空!

お父さんとお母さんと、とわくんは頭が大きくて赤い◢◣
体は小さい⚫、そして色は赤、青、黄色、 
信号になっています(笑)


個性が大爆発のとわくんに
クラスのみんなは心もとない言葉を投げかけます。

 「とわくん、へたっぴー」

 「とわくん、なに描いてるのかぜんぜん分からないよ」

 「かけっこでヒーローだったのに、お絵描きはダメダメだぁ」


よしえ先生は慌ててみんなの前に立って両手を広げてこう言いました。

 「みんなーっ!!そんなひどいこと言っていいの?とわくんが一生懸命描いた絵と、とわくんにあやまってください!」


みんな、しゅん…。

反省しているようです。
お友達の悪口はよくないよね。


 「とわくん、ひどいこと言ってごめんね」

みんながとわくんを囲んであやまっている中、
当のとわくんはというと…。


 「え?なぁに?みんなどうした?」

 「うーん、おなかすいたー!今日の給食はなんだっけ?よしえ先生」


本人はまったく、なぁーんも気にしていませんでした。


とわくんのお腹の虫が勝ちました(笑)


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