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永遠くん3歳のお話

あっちゃんの変化

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 「あっちゃんは大根じゃない!かわいい
女の子だよ」

 「あっちゃんはぼくの友だちだ」


運動会の練習のあの日のことを
とわくんがいじめっ子から助けてくれたあの言葉を
あっちゃんは思い浮かべては顔を赤らめています。

野菜で例えていうならば、
大根ではなくトマトでしょう。


あっ!ちびっこヒーローに怒られちゃうかな。
トマトじゃないよ、女の子だよ!ってね。



あっちゃんの普段の行動といえば、
いつも教室のはじっこでひとり遊びをしていて
なっちゃんやみゆちゃんが話しかけても、
コクッとうなづいたり、首を横に振るくらいで、無表情なことが多かったんです。


お母さんがお迎えに来る時だけは
控えめだけれど笑顔になるんです。

そんなあっちゃんでしたが、
お母さん以外にも保育園で笑顔を見せてくれるようになりました。


笑顔をにさせてくれたのは……

もちろんちびっこヒーローのとわくん!


 「あっちゃーん!一緒になわとびしよ!」

園庭にいるとわくんは、赤色のなわとびでぴょんぴょん跳びながらあっちゃんを誘っています。

あっちゃんは、お絵描きしていたスケッチブックとクレヨンをお道具ばこにしまって、
園庭にいるとわくんの方へ小走りで向かいました。


 「お嬢さん!おはいりなさいっ♪」

小さいふたりのなわとび遊びは先生たちに
ほんわかとさせてくれました。

とわくんとあっちゃんの息はピッタリで、
10回以上引っかかることなく跳び続けています。

このときのあっちゃんは今まで見たことのないくらいの笑顔を見せてくれました。


もちろん、よしえ先生はこの光景を
あっちゃんの連絡帳に記しました。


きっと、お父さん、お母さんも喜んでくれるに違いありません。
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