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とわくん小学生のお話~低学年編~

とわくんは悪役のヒーロー

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入学式から1週間ほど経ちました。

とわくんや1組のお友達も
少しずつ小学校生活に慣れてきた様子です。

「とわ!ヒーローごっこしようぜ」

お昼休みにとわくんの元へやってきたのは
クラスの男の子の中でとっても仲良しの
高橋圭太たかはしけいたくん。
そして、中田和真なかたかずまくん。

「うん、やろうやろう!」

とわくんはヒーロー役かな?

あれ?

「 ぼく悪役やるから、けーたとかずまはヒーローね!」

「おう!にっくき、トワ軍覚悟しろー!」

そう、とわくんは自分から悪役の
「トワ軍のリーダー」をするようになっていたんです。

ちびっこヒーローのとわくんに何があったのでしょう。

「トウッ!ビームくらえ!」

「うっっ。な、なんて強さだ…。まけた……」

とわくんは教室の床に倒れこみました。
トワ軍の敗北です。

「オレたちヒーローに勝てっこないのさ」

けーたくんとかずまくんは揃って
シャキーンとポーズをキメています。


「とわくん、なんで悪役やるの?」

「とわくん、保育園の時からヒーローなのに」

保育園のときから知ってる子たちも含め、
クラスの子たちは不思議がって
とわくんにききました。

あっちゃんも教室の片隅で
とわくんの方を見つめています。


「オトコは誰だって、ヒーローだからだよ。ぼくばっかりヒーローやってもつまらない。それに…」

「それに?」

「負けちゃうくやしい気持ちも大事だから」

とわくんは少し大人びた微笑みをうかべて答えました。

「とわくんの言ってること意味わからなーい」

「とわくんはヒーローしか似合わないよ!」

1組でも女子から見るとわくんは
アイドルであり、ヒーローなようです。


キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン♪

お昼休み終了、
そして5時間目の授業の始まりを知らせるチャイムがなりました。

やがて、担任の佐藤先生が教室に入ってきました。

「さぁ、この時間は
これについてみんなに発表してもらうぞ~」

そう言いながら、
佐藤先生は黒板に文字を書いています。

カツカツカツ

「みんなのゆめ」

「将来、大きくなったら何になりたいか教えてください」


「絵を描いて発表しましょう!」


「えっ?」
とわくんはつい声が出てしまいました。

「どうした?永遠」
先生は首をかしげます。


「あ、そうかぁ…」

保育園の時から一緒の子たちは気付いていますね(苦笑)
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