10 / 15
10
しおりを挟む
「あの3人のこと知ってたのか?」
横抱きで運ばれながら聞いた。
優しいコルムは歩けよとは言わない。なんなら何も言わずに抱き上げてくれた。
気が抜けて脱力しまくりのオレはもう歩ける気がしないのでとても助かる。コルムの首に腕を回し体を密着させ絶対に降りないぞと意思表示をした。
「個人的に知っていたわけじゃないが、問題を起こしそうな生徒の顔と名前を一致させていた」
・・・そんなことってある?
「・・・痛いか?」
「顔、ひどい?」
「片側だけ顔が倍になってる」
「倍かあ」
確かに張られた側だけ目を開けられないな。ちょっと鏡で見てみたい。
「俺のせいだ。ごめんな」
「謝るなよ。コルムは待ってろって言ったのに、オレが勝手に寮に戻ろうとしたから。こんなことが起きるなんて誰も想像できないことだし。それに見た目ほど痛くないんだ。痛いっていうより熱い、かな」
「ごめんな・・・。色々、焦った」
「え?」
「騎士科に入ってから、先輩や同級生からの妬みややっかみなんかが多くて、それがベイラに向かないかそればかり心配していて。だけど、ベイラから話を聞いて、やっと他にも目を向けないと、って思った。その、俺とのことを勘違いされて・・・」
ああ、あのちょくちょく放課後に校舎裏に呼び出されてたヤツね。
コルムが訥々と話すには、さらにそこにオレ狙いの奴らもいて(いやいや、いないから)、つまり、敵は全方向にいると認識し、全て炙り出して身の回りをすっきりさせようと考えた。
それで自分があちこちで好きな人がいると吹聴して回ったと、そういうことらしい。
な、なんて脳筋な。
だが、確かに釣れたので馬鹿に出来ない策だとも言える。
「大分いいとこ処理できたと思っていたのに・・・」
「え、もしかしてこんなこと他にもあったの?」
「まあまあ。でも、妬み関係はやっぱり手荒に解決するしかなかったけど、その、俺を好きだと言ってくれてる子たちは話し合いで解決できた。問題はベイラを狙っている奴らだ。なかなか尻尾を出さなくて」
「コルムコルム、それはね、尻尾を出さないんじゃなくて、そんな奴らそもそもいないんだよ」
「は?」
「もー!は?じゃなくて、い・な・い、の!」
ぽかんとした顔でオレを見るな。変なとこで心配性なんだから。
「・・・俺だけが知る秘密の場所に閉じ込めておけたら安心なんだが」
至近距離でオレを見つめ、ため息をつくコルム。
オレの発言を全然信じてない。
「なんでそんなにオレを好きなんだよ」
あ。思わず小っ恥ずかしいことを言ってしまった。内心ワタワタしているとコルムが薄く苦笑した。
「・・・さあ。好きなもんは好きなんだからしょうがない。それに、俺にはベイラと両思いの未来しか見えないんだ」
「・・・。」
はい脳筋です。思い込みの激しい脳筋です。だから赤くなるなオレ。ひー!瞳がとっても澄んでいるー。イケメンー。鎮まれオレの顔面の熱!
「青春だな。続きは後にしてとりあえず傷を見せてくれ」
医務室のドアが開き、養護のキリエ先生が顔を出した。
き、聞かれていた、だと。泣ける。
確かにオレたちは少し前に医務室のドアの前に到着していた。
なぜ話に夢中になってしまっていたんだオレ。泣ける。
ベッドにそっと降ろされたオレを見た先生は眉間にしわを寄せ、コルムを廊下に出した。
「詳しいことはわからんが大変だったな。傷は顔だけか?他に痛むところはあるか?肛門はどうだ?」
「こ、肛門・・・。いえ!顔だけ、顔だけ、顔だけです!」
「そうか、ベルトは外されていないから下半身は無事だったか」
「は、はい。無事です!」
真剣な先生の顔を見て、本当にやばかったんだと認識を改めた。
その後、飛んでしまったボタンがわりにピンで開いていたシャツを閉じてもらい、左頬全体に湿布を貼られ夕食後に飲む薬を処方された。
「怖かったな。残念だけど、危険なこともあるのが現実だ。これを機会に自分の身を守ることも考えてみるのもいいかもな」
オレは先生の言葉に大きく頷きお礼を言い、医務室を後にした。
「ああ、今日はシャワーはやめとけよー」
ドアを閉めようとした時、中から声を掛けられた。
「夜、熱が出るかもしれないからな」
「・・・はい」
舐められた耳が気持ち悪くて洗いたくて仕方ないのだが。
廊下で待っていてくれたコルムが壁から身を起こしながら眉をひそめた。
「熱が出る、ってどういうことだ?他にも傷が?」
「な、ないよっ。念のためってことだろ」
先ほどの“肛門”というえげつない単語が頭を過ぎりどもってしまう。
「ベイラ?」
「わ、バカ!抱き上げるな!もう一人で歩ける!ほら行こう。夕食の前に着替えたい」
コルムの後ろにまわり、背中を押す。心配性の相手は疲れるよ。
結局、夕食はコルムがシャワー帰りに2人分持ってきてくれて、一緒に部屋で食べた。その後薬も飲んだ。
だけどその晩、キリエ先生の言った通り、オレは熱を出した。
横抱きで運ばれながら聞いた。
優しいコルムは歩けよとは言わない。なんなら何も言わずに抱き上げてくれた。
気が抜けて脱力しまくりのオレはもう歩ける気がしないのでとても助かる。コルムの首に腕を回し体を密着させ絶対に降りないぞと意思表示をした。
「個人的に知っていたわけじゃないが、問題を起こしそうな生徒の顔と名前を一致させていた」
・・・そんなことってある?
「・・・痛いか?」
「顔、ひどい?」
「片側だけ顔が倍になってる」
「倍かあ」
確かに張られた側だけ目を開けられないな。ちょっと鏡で見てみたい。
「俺のせいだ。ごめんな」
「謝るなよ。コルムは待ってろって言ったのに、オレが勝手に寮に戻ろうとしたから。こんなことが起きるなんて誰も想像できないことだし。それに見た目ほど痛くないんだ。痛いっていうより熱い、かな」
「ごめんな・・・。色々、焦った」
「え?」
「騎士科に入ってから、先輩や同級生からの妬みややっかみなんかが多くて、それがベイラに向かないかそればかり心配していて。だけど、ベイラから話を聞いて、やっと他にも目を向けないと、って思った。その、俺とのことを勘違いされて・・・」
ああ、あのちょくちょく放課後に校舎裏に呼び出されてたヤツね。
コルムが訥々と話すには、さらにそこにオレ狙いの奴らもいて(いやいや、いないから)、つまり、敵は全方向にいると認識し、全て炙り出して身の回りをすっきりさせようと考えた。
それで自分があちこちで好きな人がいると吹聴して回ったと、そういうことらしい。
な、なんて脳筋な。
だが、確かに釣れたので馬鹿に出来ない策だとも言える。
「大分いいとこ処理できたと思っていたのに・・・」
「え、もしかしてこんなこと他にもあったの?」
「まあまあ。でも、妬み関係はやっぱり手荒に解決するしかなかったけど、その、俺を好きだと言ってくれてる子たちは話し合いで解決できた。問題はベイラを狙っている奴らだ。なかなか尻尾を出さなくて」
「コルムコルム、それはね、尻尾を出さないんじゃなくて、そんな奴らそもそもいないんだよ」
「は?」
「もー!は?じゃなくて、い・な・い、の!」
ぽかんとした顔でオレを見るな。変なとこで心配性なんだから。
「・・・俺だけが知る秘密の場所に閉じ込めておけたら安心なんだが」
至近距離でオレを見つめ、ため息をつくコルム。
オレの発言を全然信じてない。
「なんでそんなにオレを好きなんだよ」
あ。思わず小っ恥ずかしいことを言ってしまった。内心ワタワタしているとコルムが薄く苦笑した。
「・・・さあ。好きなもんは好きなんだからしょうがない。それに、俺にはベイラと両思いの未来しか見えないんだ」
「・・・。」
はい脳筋です。思い込みの激しい脳筋です。だから赤くなるなオレ。ひー!瞳がとっても澄んでいるー。イケメンー。鎮まれオレの顔面の熱!
「青春だな。続きは後にしてとりあえず傷を見せてくれ」
医務室のドアが開き、養護のキリエ先生が顔を出した。
き、聞かれていた、だと。泣ける。
確かにオレたちは少し前に医務室のドアの前に到着していた。
なぜ話に夢中になってしまっていたんだオレ。泣ける。
ベッドにそっと降ろされたオレを見た先生は眉間にしわを寄せ、コルムを廊下に出した。
「詳しいことはわからんが大変だったな。傷は顔だけか?他に痛むところはあるか?肛門はどうだ?」
「こ、肛門・・・。いえ!顔だけ、顔だけ、顔だけです!」
「そうか、ベルトは外されていないから下半身は無事だったか」
「は、はい。無事です!」
真剣な先生の顔を見て、本当にやばかったんだと認識を改めた。
その後、飛んでしまったボタンがわりにピンで開いていたシャツを閉じてもらい、左頬全体に湿布を貼られ夕食後に飲む薬を処方された。
「怖かったな。残念だけど、危険なこともあるのが現実だ。これを機会に自分の身を守ることも考えてみるのもいいかもな」
オレは先生の言葉に大きく頷きお礼を言い、医務室を後にした。
「ああ、今日はシャワーはやめとけよー」
ドアを閉めようとした時、中から声を掛けられた。
「夜、熱が出るかもしれないからな」
「・・・はい」
舐められた耳が気持ち悪くて洗いたくて仕方ないのだが。
廊下で待っていてくれたコルムが壁から身を起こしながら眉をひそめた。
「熱が出る、ってどういうことだ?他にも傷が?」
「な、ないよっ。念のためってことだろ」
先ほどの“肛門”というえげつない単語が頭を過ぎりどもってしまう。
「ベイラ?」
「わ、バカ!抱き上げるな!もう一人で歩ける!ほら行こう。夕食の前に着替えたい」
コルムの後ろにまわり、背中を押す。心配性の相手は疲れるよ。
結局、夕食はコルムがシャワー帰りに2人分持ってきてくれて、一緒に部屋で食べた。その後薬も飲んだ。
だけどその晩、キリエ先生の言った通り、オレは熱を出した。
3
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
冒険者の幼馴染と、ずっとその隣にいたい男の話
くろねこや
BL
お前の隣で、一緒に歳をとって生きていくんだと思ってた。
例えお前が誰かと結婚しても、子どもが生まれても。
◇
15歳になると神様から魔法が与えられる世界で、たった一人魔法が使えないイスト。
火魔法と氷魔法を授かった幼馴染は冒険者になった。
オレにあるのは畑や動物たちをちょこっと元気にする力だけ…。
ところが、そこへ謎の老婆が現れて…。
え? オレも冒険者になれるの?
“古代種様”って何?!
※『横書き』方向に設定してお読みください。
※『設定 こぼれ話』は情報を追加・修正することがあります。
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 一月十日のアルファポリス規約改定を受け、サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をこちらへ移しましたm(__)m サブ垢の『バウムクーヘンエンド』はこちらへ移動が出来次第、非公開となりますm(__)m)
幼馴染がいじめるのは俺だ!
むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに...
「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」
「はっ...ぁ??」
好きな奴って俺じゃないの___!?
ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子
ーーーーーー
主人公 いじめられっ子
小鳥遊洸人
タカナシ ヒロト
小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。
姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。
高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、
脳破壊。
千透星への恋心を自覚する。
幼馴染 いじめっ子
神宮寺 千透星
ジングウジ チトセ
小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。
美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている)
転校生の須藤千尋が初恋である
お酒に酔って、うっかり幼馴染に告白したら
夏芽玉
BL
タイトルそのまんまのお話です。
テーマは『二行で結合』。三行目からずっとインしてます。
Twitterのお題で『お酒に酔ってうっかり告白しちゃった片想いくんの小説を書いて下さい』と出たので、勢いで書きました。
執着攻め(19大学生)×鈍感受け(20大学生)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる