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外伝 フアニータの憂鬱
戸惑い
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ミカエラは、私の体を自分の仮想空間内の「環境」に引き込んだ。
うん、それはいい。
手間が省けて、ちょうどいい。
問題はその先。
「私の花よ!」
鈍い。
何だか私の花の動きが、いつもよりずっと鈍い。
「行こう!」
発動したはずの金色の力が引き起こす嵐が、いつもよりずっと遅くて動きが重々しい。
何かが足を引っ張ってる?
違う。
何かが私のエネルギーを吸い取っている感じ。
どんなに力を入れても、どこからか抜けていく。
「気付いた?」
ミカエラの、勝ち誇ったような笑顔。
「力が入らないわよね。だって」
ラフレシアの花が一回り大きくなった。
「私の花があなたの力を吸い取っているから」
ミカエラが、ラフレシアの白い根元をちらりと見せた。
その瞬間、貧血のように目の前が真っ白になって気を失いそうになった。
駄目だ。
私が左手で持った、金色のヒマワリが一回り小さくなった。
どういう原理なのか、あのラフレシアは私のヒマワリのエネルギーを吸い取っている。
体に力が入らない…
「そうよね。力が入らないよね、おチビちゃん。
だって私のラフレシアは、相手の力を吸い取って自分の力にできるんだから」
私は、最強。最強なのに…
「相手が強ければ強いほど、私は力を吸い取って強くなる。
だから誰も私には勝てない。そして…」
ラフレシアから、もの凄い悪臭が吹き出した。
例えは悪いけど、トイレの匂いみたい。
「息ができないでしょ? そう。それがラフレシアの匂い。毒ガスに匹敵する悪臭なの。
おわかり? 誰も私のラフレシアに勝てるわけないのよ、おチビちゃん」
ミカエラは私の胸ぐらを掴んで持ち上げた。
私の両足が地面から離れて、じたばたと宙を蹴る。
「『参った』と言えば、許してあげる」
意識が遠のく。
どうあがいても勝てないじゃん。
「それにしても、下品な色とデザインのワンピースね」
ミカエラが何気なく言った一言。それは、聞き捨てならない。
「今、何て言った!?」
私は胸ぐらを掴まれたまま、ミカエラをにらんだ。
この黄色いワンピースは、グラン司令が生地を選んでくれて、イヴがデザインを一緒に考えてくれた。
あんたなんかにわからない。このワンピースの価値はわからない。
「お前、今何て言った!?」
「お前だって? 何? 聞こえなかったの?
下品なワンピースって言ったのよ」
全身の血液が沸騰した。
私のことを侮辱するのはまだいい。
でも、司令やイヴさんを侮辱するのは、絶対に許せない。
「私のヒマワリ!」
左手に握ったヒマワリ。
すっかり小さくなって、一輪だけになった花。
それを、ぎゅっと握りしめた。
「行くよ!」
戦闘中は何があるかわからないから、いつもは空けている右手。
その右手も加えた、両手でヒマワリをギュッと握りしめた。
私の全ての力が花に注ぎ込まれる。
ヒマワリが、まばゆい金色に輝いた。
その姿がぐんぐん大きくなる。
「無駄なあがきね」
ラフレシアも大きくなっていく。
私のヒマワリの力を吸い込んで、どんどん大きくなる。
「もっと、力を!」
私は、全力をヒマワリに注ぎ込む。
ヒマワリの金色の輝きが限界を超えて、視界が全て白く飛んでいく。視界がまばゆい光に包まれる。
「金色の力!」
ミカエラのラフレシアが私の力を吸い込んで、真っ赤に輝いている。
「私のラフレシア!」
ミカエラが、恍惚とした表情で叫んだ。
悪臭が彼女の花から吹き出し、目を開けているのが辛い。
私のヒマワリと、彼女のラフレシアが力比べをしている。
両者の攻撃範囲が押し合いせめぎ合い、ギリギリのバランスを保っている。
皮肉なことに、殆ど全て私の力だけでこんな状態になってる。
「もっと! もっと力を!」
おへその下、その辺りから湧いてくる花乙女の力。
私は、生まれて初めて全力を自分の花に注いだ。
そう、生まれて初めて。
私は今までずっと、力をセーブしてきた。
全力を出すと他人と自分を傷付けてしまうかもしれないから。
たまに本気を出そうとした時に見える、海の底のような真っ暗な世界が怖いから。
でも今は、そうやって怯えてる時じゃない。
「おおおおおおおおおお!」
ヒマワリとラフレシアが、どちらもまばゆく輝いた。
うん、それはいい。
手間が省けて、ちょうどいい。
問題はその先。
「私の花よ!」
鈍い。
何だか私の花の動きが、いつもよりずっと鈍い。
「行こう!」
発動したはずの金色の力が引き起こす嵐が、いつもよりずっと遅くて動きが重々しい。
何かが足を引っ張ってる?
違う。
何かが私のエネルギーを吸い取っている感じ。
どんなに力を入れても、どこからか抜けていく。
「気付いた?」
ミカエラの、勝ち誇ったような笑顔。
「力が入らないわよね。だって」
ラフレシアの花が一回り大きくなった。
「私の花があなたの力を吸い取っているから」
ミカエラが、ラフレシアの白い根元をちらりと見せた。
その瞬間、貧血のように目の前が真っ白になって気を失いそうになった。
駄目だ。
私が左手で持った、金色のヒマワリが一回り小さくなった。
どういう原理なのか、あのラフレシアは私のヒマワリのエネルギーを吸い取っている。
体に力が入らない…
「そうよね。力が入らないよね、おチビちゃん。
だって私のラフレシアは、相手の力を吸い取って自分の力にできるんだから」
私は、最強。最強なのに…
「相手が強ければ強いほど、私は力を吸い取って強くなる。
だから誰も私には勝てない。そして…」
ラフレシアから、もの凄い悪臭が吹き出した。
例えは悪いけど、トイレの匂いみたい。
「息ができないでしょ? そう。それがラフレシアの匂い。毒ガスに匹敵する悪臭なの。
おわかり? 誰も私のラフレシアに勝てるわけないのよ、おチビちゃん」
ミカエラは私の胸ぐらを掴んで持ち上げた。
私の両足が地面から離れて、じたばたと宙を蹴る。
「『参った』と言えば、許してあげる」
意識が遠のく。
どうあがいても勝てないじゃん。
「それにしても、下品な色とデザインのワンピースね」
ミカエラが何気なく言った一言。それは、聞き捨てならない。
「今、何て言った!?」
私は胸ぐらを掴まれたまま、ミカエラをにらんだ。
この黄色いワンピースは、グラン司令が生地を選んでくれて、イヴがデザインを一緒に考えてくれた。
あんたなんかにわからない。このワンピースの価値はわからない。
「お前、今何て言った!?」
「お前だって? 何? 聞こえなかったの?
下品なワンピースって言ったのよ」
全身の血液が沸騰した。
私のことを侮辱するのはまだいい。
でも、司令やイヴさんを侮辱するのは、絶対に許せない。
「私のヒマワリ!」
左手に握ったヒマワリ。
すっかり小さくなって、一輪だけになった花。
それを、ぎゅっと握りしめた。
「行くよ!」
戦闘中は何があるかわからないから、いつもは空けている右手。
その右手も加えた、両手でヒマワリをギュッと握りしめた。
私の全ての力が花に注ぎ込まれる。
ヒマワリが、まばゆい金色に輝いた。
その姿がぐんぐん大きくなる。
「無駄なあがきね」
ラフレシアも大きくなっていく。
私のヒマワリの力を吸い込んで、どんどん大きくなる。
「もっと、力を!」
私は、全力をヒマワリに注ぎ込む。
ヒマワリの金色の輝きが限界を超えて、視界が全て白く飛んでいく。視界がまばゆい光に包まれる。
「金色の力!」
ミカエラのラフレシアが私の力を吸い込んで、真っ赤に輝いている。
「私のラフレシア!」
ミカエラが、恍惚とした表情で叫んだ。
悪臭が彼女の花から吹き出し、目を開けているのが辛い。
私のヒマワリと、彼女のラフレシアが力比べをしている。
両者の攻撃範囲が押し合いせめぎ合い、ギリギリのバランスを保っている。
皮肉なことに、殆ど全て私の力だけでこんな状態になってる。
「もっと! もっと力を!」
おへその下、その辺りから湧いてくる花乙女の力。
私は、生まれて初めて全力を自分の花に注いだ。
そう、生まれて初めて。
私は今までずっと、力をセーブしてきた。
全力を出すと他人と自分を傷付けてしまうかもしれないから。
たまに本気を出そうとした時に見える、海の底のような真っ暗な世界が怖いから。
でも今は、そうやって怯えてる時じゃない。
「おおおおおおおおおお!」
ヒマワリとラフレシアが、どちらもまばゆく輝いた。
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