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着せ替えフェリシア 3 (完)
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マルガレーテは驚異的な速さで何着もの服をコーディネートしだし、フェリシアと共に試着室に入った。
「マルガレーテ様、なんで一緒に試着室に入るんですか?」
フェリシアが聞くと、マルガレーテはさも当然と言わんばかりにこう返した。
「わたくしがお姉様のお着替えをサポートするためですわ。フェリシアお姉様、どうぞ安心して、わたくしに身をまかせてくださいな。きっと、お姉様を生まれ変わらせて見せます!」
変な使命感に目覚めたマルガレーテは、フェリシアのワンピースに手をかけた。
「え、ちょっと、やめ……きゃあああああああ」
「お姉様、恥ずかしがらなくて大丈夫ですわ」
――ちょうどそのとき、試着室の近くを魔法師団の団員数人が通りかかった。彼らも終業後の時間を利用して、買い物にやってきたのだ。魔法師団はおしゃれにだって気を抜けない。
「今、試着室の方から団長っぽい声しなかったか?」
「たしかに試着室の中にすごい魔力持ちがいるみたいだけど……人違いだろ」
「そうだよ。団長はあんな女性みたいな悲鳴あげないよ」
当のフェリシアは、魔力持ちたちが通りすぎたことにも気がつかなかった。マルガレーテに着せ替え人形にされ、それどころではない。
「じ、自分でできますから! あ、あんまり変なところ触らないで……」
「お姉様はすばらしいスタイルをなさっていますわね。憧れますわ~。この割れた腹筋、美しいですわ」
一時間後、やっと解放されたフェリシアは、ぐったりした様子で試着室を出た。マルガレーテはそんなフェリシアとは対照的に、満足げな顔をしている。
「決まりましたわね、お姉様。完璧ですわ。デート、楽しんでいらしてね」
「あ、ありがとうございます……」
「マルガレーテ、ここにいたのか」
そのとき、一人の男性紳士がこちらの方へ駆け寄ってきた。
「あら、フレディー、貴方のご用事は終わりましたの?」
マルガレーテがぱっと顔を輝かせる。
「フェリシアお姉様、ご紹介しますわ。フレディー・アルトマン。わたくしの婚約者です。フレディー、こちら、わたくしの友人、フェリシア・ローデンバルト様ですわ」
「貴方が、倒れたマルガレーテを救って下さったご令嬢ですか。お初にお目にかかります」
フレディーと紹介された男性は、三十歳くらいに見えた。長身で、思慮深く、知的で大人な男性だ。ミランと正反対のタイプだった。フェリシアは慌てて挨拶し、握手する。
そうか、マルガレーテ様は、婚約したのか。本当に思うお相手と。
「マルガレーテは大人しそうに見えて強引だから、大変でしょう? だけどさみしがり屋なので、どうか友人として仲良くしてやってください」
フレディーは柔和に笑った。
「まあ、フレディーったら。今日一緒にお買い物に来たのも、不服だったのかしら?」
対してマルガレーテは唇を尖らせる。年相応の幼さが垣間見えた。
「いやいや、とんでもないよ、君をエスコートできて、僕は光栄さ」
「まあ、いつも調子のいいこと」
二人はすでにフェリシアを忘れかけているような感じだったが、フェリシアは心から安堵した。この二人の仲を、事情があったとはいえ、引き裂こうとしていたのだ。真に愛し合う二人が結ばれて、本当に良かった。
ここまで着てきたワンピースは破けてしまったので、フェリシアはマルガレーテがコーディネートしてくれた服を着たまま、王宮へ帰ることとなった。
マルガレーテによると、最新のファッションらしい。肩の空いたシャツと、レースをあしらった、ワイドパンツの組み合わせ。セクシーさとキュートさがほどよく取り入れられ、色もいつもと違って明るめだ。
「今日もお疲れ、フェリシア……」
魔法師団団長室に戻ってすぐ、ミランが団長室に顔を出した。表情が固まっている。一体どうした、という顔だ。
「ミラン殿下、買い物からただいま戻りました。服を新調したのですが、おかしいでしょうか」
フェリシアはちょっと不安になった。すると、ミランの固まった顔がしゅるしゅるとほどけて、満面の笑みに変わり、ミランは、フェリシアに飛びつくように抱きついた。
「おかしいどころか、めちゃくちゃいいよ! 明日が楽しみだ!」
そう言うなり、フェリシアの唇を塞ぐ。
貴方のおかげで明日のデートはうまくいきそうです。感謝します、マルガレーテ様。そして……お幸せに。
フェリシアはほっとして、着せ替え人形にされたのも無駄じゃなかったと、マルガレーテの幸せを祈るのだった。
着せ替えフェリシア 終わり。
「マルガレーテ様、なんで一緒に試着室に入るんですか?」
フェリシアが聞くと、マルガレーテはさも当然と言わんばかりにこう返した。
「わたくしがお姉様のお着替えをサポートするためですわ。フェリシアお姉様、どうぞ安心して、わたくしに身をまかせてくださいな。きっと、お姉様を生まれ変わらせて見せます!」
変な使命感に目覚めたマルガレーテは、フェリシアのワンピースに手をかけた。
「え、ちょっと、やめ……きゃあああああああ」
「お姉様、恥ずかしがらなくて大丈夫ですわ」
――ちょうどそのとき、試着室の近くを魔法師団の団員数人が通りかかった。彼らも終業後の時間を利用して、買い物にやってきたのだ。魔法師団はおしゃれにだって気を抜けない。
「今、試着室の方から団長っぽい声しなかったか?」
「たしかに試着室の中にすごい魔力持ちがいるみたいだけど……人違いだろ」
「そうだよ。団長はあんな女性みたいな悲鳴あげないよ」
当のフェリシアは、魔力持ちたちが通りすぎたことにも気がつかなかった。マルガレーテに着せ替え人形にされ、それどころではない。
「じ、自分でできますから! あ、あんまり変なところ触らないで……」
「お姉様はすばらしいスタイルをなさっていますわね。憧れますわ~。この割れた腹筋、美しいですわ」
一時間後、やっと解放されたフェリシアは、ぐったりした様子で試着室を出た。マルガレーテはそんなフェリシアとは対照的に、満足げな顔をしている。
「決まりましたわね、お姉様。完璧ですわ。デート、楽しんでいらしてね」
「あ、ありがとうございます……」
「マルガレーテ、ここにいたのか」
そのとき、一人の男性紳士がこちらの方へ駆け寄ってきた。
「あら、フレディー、貴方のご用事は終わりましたの?」
マルガレーテがぱっと顔を輝かせる。
「フェリシアお姉様、ご紹介しますわ。フレディー・アルトマン。わたくしの婚約者です。フレディー、こちら、わたくしの友人、フェリシア・ローデンバルト様ですわ」
「貴方が、倒れたマルガレーテを救って下さったご令嬢ですか。お初にお目にかかります」
フレディーと紹介された男性は、三十歳くらいに見えた。長身で、思慮深く、知的で大人な男性だ。ミランと正反対のタイプだった。フェリシアは慌てて挨拶し、握手する。
そうか、マルガレーテ様は、婚約したのか。本当に思うお相手と。
「マルガレーテは大人しそうに見えて強引だから、大変でしょう? だけどさみしがり屋なので、どうか友人として仲良くしてやってください」
フレディーは柔和に笑った。
「まあ、フレディーったら。今日一緒にお買い物に来たのも、不服だったのかしら?」
対してマルガレーテは唇を尖らせる。年相応の幼さが垣間見えた。
「いやいや、とんでもないよ、君をエスコートできて、僕は光栄さ」
「まあ、いつも調子のいいこと」
二人はすでにフェリシアを忘れかけているような感じだったが、フェリシアは心から安堵した。この二人の仲を、事情があったとはいえ、引き裂こうとしていたのだ。真に愛し合う二人が結ばれて、本当に良かった。
ここまで着てきたワンピースは破けてしまったので、フェリシアはマルガレーテがコーディネートしてくれた服を着たまま、王宮へ帰ることとなった。
マルガレーテによると、最新のファッションらしい。肩の空いたシャツと、レースをあしらった、ワイドパンツの組み合わせ。セクシーさとキュートさがほどよく取り入れられ、色もいつもと違って明るめだ。
「今日もお疲れ、フェリシア……」
魔法師団団長室に戻ってすぐ、ミランが団長室に顔を出した。表情が固まっている。一体どうした、という顔だ。
「ミラン殿下、買い物からただいま戻りました。服を新調したのですが、おかしいでしょうか」
フェリシアはちょっと不安になった。すると、ミランの固まった顔がしゅるしゅるとほどけて、満面の笑みに変わり、ミランは、フェリシアに飛びつくように抱きついた。
「おかしいどころか、めちゃくちゃいいよ! 明日が楽しみだ!」
そう言うなり、フェリシアの唇を塞ぐ。
貴方のおかげで明日のデートはうまくいきそうです。感謝します、マルガレーテ様。そして……お幸せに。
フェリシアはほっとして、着せ替え人形にされたのも無駄じゃなかったと、マルガレーテの幸せを祈るのだった。
着せ替えフェリシア 終わり。
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