49 / 72
マンネリ化? 4
しおりを挟む
夕刻。
貴族学校を終えたミランは、制服を着替え、魔法師団訓練場にやって来たのだが。
「なんだ? 訓練場に入れないぞ!」
訓練場にはフェリクスによって全体にバリアが張られていた。魔力がないミランには突破することはできない。
「しかも中で何をやってるんだ、団員たちは? 暴れまわっているように見えるが」
バリアの中は見ることができた。十人くらいの団員が、浮遊魔法で飛び回り、様々な攻撃魔法を放ち合っている。
そのまわりには、地面でぐったりとしているその他数十人の団員たちがいた。
(予定ではゲリラパフォーマンスの最終調整のはずだが……攻撃魔法の打ち合いをしている? なぜ? フェリシアも参加しているのか?)
――疑問符だらけで茫然としているミランをよそに、バリア内では「魔法師団ガチバトル」が続いていた。
~バリア内~
「やりますね、団長! 治癒魔法が得意なだけじゃないんですね!」
団員の一人がフェリクスに向かって攻撃魔法を放つ。
「見くびってもらっては困る。私は団長として、不得意魔法のないよう、日々訓練している!」
そう言いながらフェリクスが放った攻撃魔法は団員のとぶつかり、スパークし、消滅した。
その傍らで、別の団員が悔しそうに離脱する。
「くそ~、俺は魔力切れだ。ギブアップ」
魔力切れを起こしたり、もともと攻撃魔法が得意ではない団員は、ガチバトルからどんどんリタイアしていく。フェリクスがガチバトル開始前強力なバリアを訓練場全体に展開したので、外に出ることができず、彼らは地面でぐったりとしたまま、魔力の回復を待つしかなかった。
ぐったりし、くやしそうにしてはいるものの、どこかその顔は満足げだ。魔法を制限なく打ち合った爽快感が現われている。
現在ガチバトルを勝ち残っているのは、フェリクスを含め数人だった。
攻撃魔法が得意ではないものは、水の魔法で動きを封じたり、花を大量に出して花粉攻撃を狙ったりしたが、最終的には単純な攻撃魔法の飛ばし合いとなり、結局、攻撃魔法が得意で、もともと魔力量が多いものが残った。
「団長、そろそろ魔力切れじゃないですかあ~?」
フェリクスと対峙している団員が余裕の笑みで挑発してきた。その間にも他の場所でバトルしている団員が放った攻撃魔法がバリアに跳ね返り、フェリクスを襲う。
フェリクスはその攻撃魔法を優雅にかわし、ふっと笑って見せた。
「それは君の方じゃないの? 私はまだまだ大丈夫だよ。伊達に団長じゃないんだからね」
「自分自身にかけているバリア魔法が解けちゃったら団長、大怪我ですよ? 無理しない方がいいですって」
団員の言葉はごもっともだった。まだまだ大丈夫とか言って余裕を見せたフェリクスだが、最初に訓練場全体にバリアを張り、魔力を使ってしまっているため、もうほとんど魔力は残っていなかった。自分自身にかけているバリアの魔法ももうすぐ解けてしまいそうだが、もう一度かけるためには余分な魔力を使う。
気がつけば、残っているのはフェリクスと余裕団員の二人となっていた。
勝った方が勝ち抜きバトル優勝だ。……あれ? そんな趣旨だったっけ? 適度に手加減してやるんじゃなかったっけ?
いつも冷静なフェリクスは、頭の隅ではそれを分かっていたが、どうにも体が止まらない。
これが魔力持ちの性だろうか?
余裕団員も、余裕を見せているだけで、そうそう魔力は残っていない。フェリクスは彼の残っている魔力量を冷静に感知していた。
女性であるフェリクスは、魔力切れを起こしてしまえば男性相手に不利になる。
次の一撃で最後、決めようと思った。
フェリクスが体内の魔力を高めると、団員も「これで決めようってわけですね」体内の魔力を高めた。
二人は同時に攻撃魔法を放った。攻撃魔法はぶつかり合い、ひとつの攻撃魔法となってどこかに飛んで行った。
飛んで行った先には……ミランがいた。
「うそ、ミラン殿下?」
もう浮遊魔法を発動する魔力も残っていないフェリクスは、地面に着地しながら驚愕した。
――訓練場に施したバリアの魔法が解けてる!
バリアの効果時間が切れたのだ。
迫って来る攻撃魔法に対して、ミランは王子ファッションの一部である剣を引き抜き、跳ね返す構えを見せた。
(無理です、ミラン殿下、そのおもちゃの剣じゃ)
フェリクスはミランの元に飛ぼうとした。
間に合わない。
ミランは攻撃魔法を受け、訓練場の端にふっとんだ。
貴族学校を終えたミランは、制服を着替え、魔法師団訓練場にやって来たのだが。
「なんだ? 訓練場に入れないぞ!」
訓練場にはフェリクスによって全体にバリアが張られていた。魔力がないミランには突破することはできない。
「しかも中で何をやってるんだ、団員たちは? 暴れまわっているように見えるが」
バリアの中は見ることができた。十人くらいの団員が、浮遊魔法で飛び回り、様々な攻撃魔法を放ち合っている。
そのまわりには、地面でぐったりとしているその他数十人の団員たちがいた。
(予定ではゲリラパフォーマンスの最終調整のはずだが……攻撃魔法の打ち合いをしている? なぜ? フェリシアも参加しているのか?)
――疑問符だらけで茫然としているミランをよそに、バリア内では「魔法師団ガチバトル」が続いていた。
~バリア内~
「やりますね、団長! 治癒魔法が得意なだけじゃないんですね!」
団員の一人がフェリクスに向かって攻撃魔法を放つ。
「見くびってもらっては困る。私は団長として、不得意魔法のないよう、日々訓練している!」
そう言いながらフェリクスが放った攻撃魔法は団員のとぶつかり、スパークし、消滅した。
その傍らで、別の団員が悔しそうに離脱する。
「くそ~、俺は魔力切れだ。ギブアップ」
魔力切れを起こしたり、もともと攻撃魔法が得意ではない団員は、ガチバトルからどんどんリタイアしていく。フェリクスがガチバトル開始前強力なバリアを訓練場全体に展開したので、外に出ることができず、彼らは地面でぐったりとしたまま、魔力の回復を待つしかなかった。
ぐったりし、くやしそうにしてはいるものの、どこかその顔は満足げだ。魔法を制限なく打ち合った爽快感が現われている。
現在ガチバトルを勝ち残っているのは、フェリクスを含め数人だった。
攻撃魔法が得意ではないものは、水の魔法で動きを封じたり、花を大量に出して花粉攻撃を狙ったりしたが、最終的には単純な攻撃魔法の飛ばし合いとなり、結局、攻撃魔法が得意で、もともと魔力量が多いものが残った。
「団長、そろそろ魔力切れじゃないですかあ~?」
フェリクスと対峙している団員が余裕の笑みで挑発してきた。その間にも他の場所でバトルしている団員が放った攻撃魔法がバリアに跳ね返り、フェリクスを襲う。
フェリクスはその攻撃魔法を優雅にかわし、ふっと笑って見せた。
「それは君の方じゃないの? 私はまだまだ大丈夫だよ。伊達に団長じゃないんだからね」
「自分自身にかけているバリア魔法が解けちゃったら団長、大怪我ですよ? 無理しない方がいいですって」
団員の言葉はごもっともだった。まだまだ大丈夫とか言って余裕を見せたフェリクスだが、最初に訓練場全体にバリアを張り、魔力を使ってしまっているため、もうほとんど魔力は残っていなかった。自分自身にかけているバリアの魔法ももうすぐ解けてしまいそうだが、もう一度かけるためには余分な魔力を使う。
気がつけば、残っているのはフェリクスと余裕団員の二人となっていた。
勝った方が勝ち抜きバトル優勝だ。……あれ? そんな趣旨だったっけ? 適度に手加減してやるんじゃなかったっけ?
いつも冷静なフェリクスは、頭の隅ではそれを分かっていたが、どうにも体が止まらない。
これが魔力持ちの性だろうか?
余裕団員も、余裕を見せているだけで、そうそう魔力は残っていない。フェリクスは彼の残っている魔力量を冷静に感知していた。
女性であるフェリクスは、魔力切れを起こしてしまえば男性相手に不利になる。
次の一撃で最後、決めようと思った。
フェリクスが体内の魔力を高めると、団員も「これで決めようってわけですね」体内の魔力を高めた。
二人は同時に攻撃魔法を放った。攻撃魔法はぶつかり合い、ひとつの攻撃魔法となってどこかに飛んで行った。
飛んで行った先には……ミランがいた。
「うそ、ミラン殿下?」
もう浮遊魔法を発動する魔力も残っていないフェリクスは、地面に着地しながら驚愕した。
――訓練場に施したバリアの魔法が解けてる!
バリアの効果時間が切れたのだ。
迫って来る攻撃魔法に対して、ミランは王子ファッションの一部である剣を引き抜き、跳ね返す構えを見せた。
(無理です、ミラン殿下、そのおもちゃの剣じゃ)
フェリクスはミランの元に飛ぼうとした。
間に合わない。
ミランは攻撃魔法を受け、訓練場の端にふっとんだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
崖っぷち令嬢は冷血皇帝のお世話係〜侍女のはずが皇帝妃になるみたいです〜
束原ミヤコ
恋愛
ティディス・クリスティスは、没落寸前の貧乏な伯爵家の令嬢である。
家のために王宮で働く侍女に仕官したは良いけれど、緊張のせいでまともに話せず、面接で落とされそうになってしまう。
「家族のため、なんでもするからどうか働かせてください」と泣きついて、手に入れた仕事は――冷血皇帝と巷で噂されている、冷酷冷血名前を呼んだだけで子供が泣くと言われているレイシールド・ガルディアス皇帝陛下のお世話係だった。
皇帝レイシールドは気難しく、人を傍に置きたがらない。
今まで何人もの侍女が、レイシールドが恐ろしくて泣きながら辞めていったのだという。
ティディスは決意する。なんとしてでも、お仕事をやりとげて、没落から家を救わなければ……!
心根の優しいお世話係の令嬢と、無口で不器用な皇帝陛下の話です。
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリエット・スチール公爵令嬢18歳
ロミオ王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
山賊な騎士団長は子にゃんこを溺愛する
紅子
恋愛
この世界には魔女がいる。魔女は、この世界の監視者だ。私も魔女のひとり。まだ“見習い”がつくけど。私は見習いから正式な魔女になるための修行を厭い、師匠に子にゃんこに変えれた。放り出された森で出会ったのは山賊の騎士団長。ついていった先には兄弟子がいい笑顔で待っていた。子にゃんこな私と山賊団長の織り成すほっこりできる日常・・・・とは無縁な。どう頑張ってもコメディだ。面倒事しかないじゃない!だから、人は嫌いよ~!!!
完結済み。
毎週金曜日更新予定 00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる