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猛特訓
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夕方。エルドゥ王国第三王子ミランは、貴族学校から王宮へと帰って来た。ミランが魔法師団のマネージャーになって、三か月が経とうとしていた。
自分の部屋に向かう途中、魔法師団の団員数人に出会った。彼らはミランを認めると、王族である彼に対して、揃って敬礼した。
「僕は魔法師団のマネージャーになったんだから、いちいちそんな形式ばったこと、しなくていいのに」
困ったような顔をするミランに対し、団員たちはもっと困った顔をした。
「ミラン殿下、いいところに来て下さいました。フェリクス団長を助けてあげて下さい!」
団員たちのその声を聞いて、ミランははしばみ色の目を見開いた。「フェリクス殿が、どうしたの」
「前・魔法師団団長……リステアード王太子に、居残り練習させられてるんです。二週間後のパフォーマンスが、団長だけうまくできなくて」
「二週間後……王都前の広場でちびっ子たち向けのショーをやるんだったね」
ミランは「大人の男に人気ナンバーワン」と評判の、スタイリッシュな手帳を取り出し、スケジュールを確認した。形から入るタイプなので、魔法師団のマネージャーになる際、わざわざ新調したのだ。
「すでに国民には魔法動画で宣伝してあるし、ショーに使う魔物も準備してある。シナリオも完璧だと思うけど」
「それが、リステアード王太子はフェリクス団長に不満があるみたいで『君だけ居残り特訓だ! ビシバシ、しごいてやる!』とか言って、王宮内の練習場でもうかれこれ三時間……。いい加減、可哀想ですよ」
「もうやめろ、俺達がフォローするから、って言ったんだけど、聞きゃあしねえ。ったく王太子は魔法師団のこととなると、止まらねーんだから」
リステアードが団長時代に親しかった古参の団員が、そう言い終わる前に、すでにミランは駆け出していた。
普段の練習の後に、三時間も一人居残り練習だって? なんてブラックな……! フェリクス殿、今助けに行くぞ!
~王宮内練習場~(体育館みたいなところだと思って下さい)
「フェリクス君! ほらもう一度、俺のあとに復唱して! 『みんな! 団長の俺に、魔法の力を集めてくれ!』」
「み、みんな、団長の、お、俺に魔法の力を集めてくれ……」
「『とどめだ! フェリクスペシャル・ファイナル・クールビューティー・ラ・アターック!!』」
「と、とどめだ……フェリク、クスペシャル? ファイナル・クール……」
練習場には張り切りまくっているエルドゥ王国王太子、リステアードと、弱り切っている魔法師団団長、フェリクスの姿があった。
自分の部屋に向かう途中、魔法師団の団員数人に出会った。彼らはミランを認めると、王族である彼に対して、揃って敬礼した。
「僕は魔法師団のマネージャーになったんだから、いちいちそんな形式ばったこと、しなくていいのに」
困ったような顔をするミランに対し、団員たちはもっと困った顔をした。
「ミラン殿下、いいところに来て下さいました。フェリクス団長を助けてあげて下さい!」
団員たちのその声を聞いて、ミランははしばみ色の目を見開いた。「フェリクス殿が、どうしたの」
「前・魔法師団団長……リステアード王太子に、居残り練習させられてるんです。二週間後のパフォーマンスが、団長だけうまくできなくて」
「二週間後……王都前の広場でちびっ子たち向けのショーをやるんだったね」
ミランは「大人の男に人気ナンバーワン」と評判の、スタイリッシュな手帳を取り出し、スケジュールを確認した。形から入るタイプなので、魔法師団のマネージャーになる際、わざわざ新調したのだ。
「すでに国民には魔法動画で宣伝してあるし、ショーに使う魔物も準備してある。シナリオも完璧だと思うけど」
「それが、リステアード王太子はフェリクス団長に不満があるみたいで『君だけ居残り特訓だ! ビシバシ、しごいてやる!』とか言って、王宮内の練習場でもうかれこれ三時間……。いい加減、可哀想ですよ」
「もうやめろ、俺達がフォローするから、って言ったんだけど、聞きゃあしねえ。ったく王太子は魔法師団のこととなると、止まらねーんだから」
リステアードが団長時代に親しかった古参の団員が、そう言い終わる前に、すでにミランは駆け出していた。
普段の練習の後に、三時間も一人居残り練習だって? なんてブラックな……! フェリクス殿、今助けに行くぞ!
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「フェリクス君! ほらもう一度、俺のあとに復唱して! 『みんな! 団長の俺に、魔法の力を集めてくれ!』」
「み、みんな、団長の、お、俺に魔法の力を集めてくれ……」
「『とどめだ! フェリクスペシャル・ファイナル・クールビューティー・ラ・アターック!!』」
「と、とどめだ……フェリク、クスペシャル? ファイナル・クール……」
練習場には張り切りまくっているエルドゥ王国王太子、リステアードと、弱り切っている魔法師団団長、フェリクスの姿があった。
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