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第2章 動きだした凶悪な者達
第11話 巨悪の断末魔。
しおりを挟む突然閉鎖された国境!
ドワーフ王国は、アッロガーンス王国に何度も魔導珠通信で問い合わせるが、一切返事が来ない。
アッロガーンス王国側の国境の兵士達にも呼びかけるが、返事が来ないのでドワーフ国の国境の兵士が近づくが、ファイヤーボールが飛んできた!
ドワーフ王国の周辺国は、ほとんどの国がゴブリン国に占領されており、死の森と呼ばれる東の森を抜けることは不可能なので、実質の人の出入りできる国境はアッロガーンス王国だけとなっていた。
それが、突然封鎖された!
ブラー王国に、なんとか情報を求めるが通信拒否をされる。
キスカ王女に、神聖皇国に助けを求めるように言うが、今、ここを離れてしまうと、ラッド公爵からもガス王国の出入り禁止命令が出る可能性があり、そうなると後がなくなると言われて、黙るしかなかった。
ついに魔導珠での通信で神聖皇国に、ドワーフ国王が謝罪して助けを求める事になったのだが、神聖皇国の皇主は
多忙な為に出てこれず、副皇主が対応すると言って皇主は、出てこなかった。
これは、かなり異例のことであった。
鍛冶ギルドのグランドマスターを兼任するドワーフ国王に、副王位の者しか対応しないなんて事は、これまでなかった。
怒りの顔のドワーフ国王だが、副皇主が、用が無いならこちらも忙しいので通信を切ると、サバサバした対応で言うので、ドワーフ国王が焦る!
ドワーフ国王は、アッロガーンス王国の国境の事を言うが、副皇主はカザトを殺すほど二国は仲がいいのに、そちらが知らない事を神聖皇国が知るわけないだろ!
とか言って、ほとんど相手にしない。
その間、また不祥事が明らかになる。
元皇太子が任命した官僚が、昇進したさに食料予定収穫量を捏造していたことが判明。
本当の食料予定収穫量は、たったの500㎏。
絶望的である。
それから、10日後…ガス王国との国境も閉鎖していたアッロガーンス王国であったが、国境砦から商人がガス王国のマトの街にやって来た。
もちろん、マトの街には今は入れない。
街の外の商業ギルドの臨時出張所に誘導しようとするが、その商人はかなり怒って今度は、ブラー王国に行こうとしていた。
ラッド公爵も、アッロガーンス王国の突然の国境の閉鎖に興味が有ったので、その商人を連れてくるように命令するが、その商人は逃げ出す!
結局、ガス側の国境で捕まった商人は、マトの街の外で取り調べを受けるが、全く話さない。
仕方無いので、商業ギルドの職員に対応させた。
すると、ギルドマスターを出せと言う。
その言葉以外全く商人は答えないので、仕方なく副ギルドマスターが対応するが、一言、ギルドマスターを出せと
いうだけである。
商業ギルドマスターが対応すると、今度は手紙を出した。
「読め!」それだけしか言わない。
商業ギルドマスターは、読むと真っ青になった。
手紙の主は、商業ギルドマスターの嫁の姉であった。
かなりの高飛車で確か、アッロガーンス王国の男爵に嫁いでいたはずの人だ。
黙っていれば美人なのだが、賄賂をいつも要求してきて関わりたくないから、これまで連絡は取ってない。
アッロガーンス王国から逃げたいので、手引しろ!
牢屋に入れられた!早く助けろ!
商業ギルドの力を使って早く助けろ!
だけ書いてあった。
商業ギルドマスターが、何があったのかと聞くが商人は黙ったままだったので、「衛兵に引き渡す!」と言うと、
金を出せとの仕草をするので銭ゲバ商人だと判断して、衛兵に引き渡した。
手紙は、公爵に渡して隠し事は無いと言ったが、公爵の側近が手紙に魔力が籠もっていると言うので、何かあるかもと思い、一応ギルドマスター夫人を呼ぶと、その手紙をずっと睨んで呪文を唱えだした!
手紙の文字が消えて別の文字が現れる。
そこには、やはり内容は助けろ!なのだが、詳しい内容になっていた。
日付的にアッロガーンス王国に丁度、一ヶ月前ドワーフ国との共同作戦で、焼け野原になった山岳地帯に聖者様が
現れたらしい。
爆発で重症の農民達を介抱して、無報酬で治療をして回り、畑を土魔法ですぐに直し作物を経った2日目で種から開花させ3日目で収穫になったという。
農民達は、そのせいで飢餓が無くなり聖者を崇めだした。
だが、その聖者は自分を拝むことを禁止して、創生の管理者神(前管理者神)を拝むように言ったらしい。
税を取り立てに来た役人がそのことを知って、その聖者様達その一行を連れて行こうとすると、断られたらしく武力でも敵わなかった。
逃げた役人が領主に報告して、騎士団を動かして捕えに行かせたが誰も帰って来なかった。
そして次の日、領主は行方不明。
そのことを聞いた隣の領主達が軍を派遣したが、帰って来なかった。
そして、また領主達が行方不明になり、税が来ないので異変を知った国王が調べると、痩せた大地は豊かな農地となり、痩せ細った農民達が標準体型になっていた。
そして、独立国家を名乗っていた。
国王は、自ら軍を率いて国政の回復のために進軍したが、3日後に国王は僅かな手勢だけで帰ってきた。
農民一揆に敗北したらしい。
そして、アッロガーンス王城はいつの間にか農民一揆に包囲され、3日間の猶予が設定された。
平民で降伏するものは、王都から逃がす!
だが、逃げないものは敵とみなして、攻撃すると…。
そして、3日後…城壁よりも高い土塀が現れ水が満たされていき、王都は水の中に沈んだ!
わずかに王都に残った平民達は屋根に登り、貴族と軍は城の上階に避難したがたった一日で食料が無くなり、三日目で降伏を提議する者が現れ、7日後アッロガーンス国王が大臣たちに捕らえられ、降伏した。
貴族は全て捕らえられ、野外開放型牢屋に入れられて表通りに放置されている。
全国民平等などの法律が作られ、ベイントス公国という国に改名するらしい。
助けに来てくれ!いつ、殺されるかわからない。
という内容だった。
ラッド公爵
「ベイントス公国?」
商業ギルド職員
「ギルドマスター!全世界の魔導珠に向けに通信が入って来ました!
内容ですが、アッロガーンス王国は無くなった。
これからは、新国家ベイントス公国がこの土地を治める。
我らの代表者達が、議会で国を動かす事にする。
そして、我らが主を害したドワーフ王国の宣戦布告を受け入れ攻撃する。
なお、ドワーフ王国に利益を与えるような行動を起こした者達や国家は、敵とみなして攻撃する。
です!」
□□
ブラー王国では…
ブラー国王
「ミラージュ君?本当に、国王就任祝いとかいらないと言ったのか?」
ミラージュ
「はい。カザト様は国主になることすら、拒否されました。
しかし国の代表達に対して、ブラー国王と、神聖皇国には戦争をすることを禁止しました。
近く、特使が公国から派遣されます。
国家運営ができなかったら、公国の代表達もすぐに併合してもらうつもりみたいですね。」
ブラー王国
「で、本人は修行だと?」
ミラージュ
「はい。この革命で人は一人も死んでません。
カザト様が全て封印しました。
封印術をしっかりしたものにするために、山に籠もって修行中です。」
ブラー王国宰相
「要望書には、欲が無いと評価せざる得ない事ばかり書かれてます。」
思惑入り乱れる、国家間の交渉事に揉まれた歴戦の宰相様には、あっさりし過ぎで物足りない内容らしい(笑)
□□
神聖皇国
ナタリー
「ハァ~まぁ聞いてはいたけどね~。」
メリー
「ハハハハハハ!」
皇主
「聞いてはいたが、これでやっと安心出来る。
それにしても、そのまま教主でもやっていけたのに!」
珠(りん)
「いつの間に…」
ガス国王
「ドワーフ国と、戦争するという事か…王都の宰相と連絡を取らないと!」
□□
ガス王都
「大変だーーーーーー!
あのキチガイ王女が!ゴブリンエンペラーの一匹と戦って、天使の能力を使ったが殴り飛ばされて、旧ゲルー王国があった国境付近方面に、飛ばされたぞー!」
「勇者達も敗走したぞ!王女を追いかけてゲルー王国があった方面に、馬を飛ばしていった。」
「オイ!ベイントス公国ってなんだ?」
「その公国から特使が来たぞ!承認してくれれば、食料品とかを売るって!」
ゴブリンエンペラーの脅威が迫ってきたが、何故かブレーダー王女の敗退で活気が出てきたガス王都であった。
□□
そして、マトの街の宿屋では、ドワーフのキスカ王女とラッド公爵が対談していた。
キスカ王女はラッド公爵に決して敵対しないというが、ラッド公爵は難しい顔を崩さなかった。
ラッド公爵
「キスカ王女、一つの国が潰れた事はかなり大きい。
ベイントス公国は、聖者の名前を公開していないが、彼に間違いないだろう。
もともと、私は彼と敵対するつもりは無い。
今、冒険者ギルドが公国を承認した。
商業ギルドもだ!
そして、商人達が既に現地入りをしているから、情報は入るだろうが公国の動きを止める事は、出来ないだろうな。」
ドワーフ王国 キスカ王女
「人の国家間の戦争をしている場合ではありません。
アッロガーンス王国と、ドワーフ王国は確かに選択を誤りました。
私達は、今から新公国に向かって、話し合いをするつもりです。」
ラッド公爵
「まだ、情報が少なすぎる。それに、話し合いのする余地はないと見ていいだろうな。
なんせ、禁止された魔導爆弾を使い爆破!
そして前勇者の事があっても、仕方なしに協力したのに、それを踏みにじった末の使い捨て行為と暗殺かな?
まぁ、人の国家間で協力なんて文言は使えないだろうね。
彼は節度と礼儀が無ければモンスターとみなすと、はっきりと言っているから、新公国での基準はドワーフがどんな位置づけか分からないよ!」
ドワーフ王国・キスカ王女
「なんですって!言っていいことと、悪いことがありますよ!
発言の訂正を求めます!」
ラッド公爵
「なら、訂正してハッキリ言う!
君たちは、この世界でも人として、やってはいけないことをやったのだ!
そして、このアッロガーンス王国と、冒険者ギルド仲介のゴブリン討伐契約書でも書いてあるとおり、国家存亡に関わるな!新たな国が出来たら承認せよとは、この事態を想定していたのかもな?
それでも、君たちはカザト殿暗殺作戦を実行した。
覚悟の上であり、想定の内だったのだろう?
勇者の国では、(人でなし)と、言う言葉があるらしいが、正しく今の君達の事だ。
話し合いの余地は君達が潰した!
そして、ガス王国復興の計画も!他国のゴブリン討伐計画も!
まだわからないのか?
アッロガーンス王国が勝手にやったでは、もうすまないのだよ!」
ドワーフ王国 キスカ王女
「ぐ…。」
□□
そして、ベイントス公国元アッロガーンス王国では…
元アッロガーンス国王
「出せーーーーーー!ワシを誰だと!
ヒ!ヒヒヒヒヒヒ!ヒャーーーーーー!
(クソ!こうなったら狂ったふりをして、なんとかして逃げてやる!)
ペぎゃ~!」
衛兵A
「ハァ、元々狂っていたが言葉さえ、発音できなくなってしまったのか!
(演技だとバレバレなんだよ!このクソ野郎が!)」
取り調べ官
「ハァ~。止む得ない!拷問に切り替えるか?許可申請するか~!」
元アッロガーンス国王
「(ひぃー!余計悪くなってしまった?奴ら、何を俺に喋らそうとしているのだ?
まさか!狙いは城の地下の勇者帰還魔法陣か?)」
衛兵B
「オイ!大変だ!
城の地下に、異世界の邪神や魔王を呼び出す、魔法陣が見つかったぞ!
この元国王!
ドワーフ王国と共に、ゴブリン国と手を結ぶだけでなくて、異世界魔王を召喚しようとしていた可能性が出てきた!
処刑は中止らしい。
議会で、徹底的に吐かせろという決議が出た!」
取り調べ官
「元国王様…あなた達王族は、なんて事をしたのだ。
聖者カザト様を殺そうとしたのは、ドワーフ王国と共にゴブリン国と内通していたから、邪魔になっただけとかの
理由ではなく、魔王まで召喚しようとしていたから邪魔になったからなのか!
だから、この一年間の訳の分からない不敬罪ばかり乱発していたのも、生け贄にするためだったのか!」
元アッロガーンス国王
「違う!断じて違うぞ!ワシは金を、討伐契約金を払うのが嫌だっただけだ!
平民風情が、王族の命令に従って当たり前だろうが!
魔王召喚?アレは、勇者帰還魔法陣だ!
だが、アレを使うとこの世界の魔力が無くなるから、使ってはだめなのだ!」
しかし、先程から音もなく近づいて来ていた男が話し出す。
上位取り調べ官
「では聞きますが、あの薄気味悪い青白い炎を出す魔法陣が、神聖なる勇者帰還魔法陣だと言うのかな?」
元アッロガーンス国王
「う!
(確かに、国王になったときに何度か見たけど、確かに、勇者帰還魔法陣というより魔王を喚び出す魔法陣だったよな。)
アレは、勇者帰還魔法陣そのものだと聞いている。」
衛兵A
「あ!発狂じゃなくて、しっかりと言葉を話している!」
元アッロガーンス国王
「しまった!」
取り調べ官
「ブハッ!」
衛兵B
「プックククククク!」
上位取り調べ官
「発狂は、演技でしたか…
(プックククククククク!)
では、しっかりと説明してもらわないと。
あなたに、魔王の使徒の疑惑があります。
もう、物証が出ましたので言い逃れはできませんからね。」
他の王族や、元王太子や第一王女達に見られながら、引きずられて取調室に連行される元国王…。
元アッロガーンス国王
「違うんだーーーーーー!俺は、魔王の使徒ではない~!
ドワーフの国王や、部下の言葉を信じたから、あの冒険者を爆殺したのだ!
助けろ~!誰か助けろ~!
助けてくれーーーーーー!
嫌だーーーーーー!」
だが、王族たちは自分達がカザト爆殺作戦が、ゴブリン国に降って人類を裏切った疑惑に発展していた事に戦慄して、その疑惑を、補強するように魔王の召喚陣が発見された事で、
[国王以外、実は魔王の召喚陣だと感づいていて、アッロガーンス王国の王族間では公然の秘密であった。]
自分達が魔王の使徒だとされれば、どうなるのかを想像してどうすればいいか解らず、ただ黙っていた。
「嫌だーーーーーー!」
そして、元国王の叫びだけが響いていた…。
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