[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き

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第2章 動きだした凶悪な者達

第41話 カザトは、療養中

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 ドワーフ王国の王城…。

 深夜1時30分…。
 カザトは、激痛と共に起きた。

カザト
「いてててて! か、体が動かない!
 痛みが!」
 それが筋肉痛だけならいいが、関節も痛い。
 完全にあの邪神ゴキブリとの戦いで全力を出して、限界を越えた反動だとすぐにわかったが、今は、嫌でも動かないといけなかった。
 ここは、ドワーフ王城の自分の部屋であることを思い出す。
 そして、魔導時計から記憶している限り3日は寝ていた事になる。

カザト
「クッ! ウッ! いててて!
 だめだ、立てない!」

 ゆっくりと、足をベットから床につけて転がるように身体を床に着地させると、レンガがひんやりとして気持ちがいい。
 少し痛みが和らいだ気がする。
 どうも火照っているというか、かなり身体が熱を持っているということなのだろう。
 ひんやり感を少し堪能してから、毛虫型ホフク前進をして部屋から出る。
 目的の部屋は、ここから廊下を右に進み最奥だ。
 進む事に格闘すること15分!
 たどり着いた!
 全身が痛いが、床冷却のおかげで少し和らいだからなんとか我慢して立つ!



20分後
 ジャーーーー!

 あ~スッキリした!

 ハイ!トイレです。
 この城のトイレは、全て俺が窯焼きからの手作りで、水洗トイレに変更しており強化浄化槽も設置!
 かなり、日本基準に近づいています。悪臭はしません。

 ふ~!
 なんとか立って、ゆっくりと歩いて自分の部屋に帰還する。
 途中、トワイライトが廊下で俺を探していて一緒に帰ってきた。

 実は、寝ているときに夢で、同級生勇者ゴン太達の事を見ていたカザト。

 知らなかった…。
 夜目似 池内(よじい いくと)の奴が、ちょうどこの世界に勇者召喚される一ヶ月前から、それまでは、女性を見たら例え、学校だろうが駅だろうが、OLのお姉さんだろうが、小学生だろうが、壁ドンするような奴だったのに、ある日を境に男性にも壁ドンをし始めて、ある日その相手が悪くて袋叩きにあったとか、腰をくねらすような、歩き形になったとか、あったけど…。
 ゴン太…、アレ?あの生徒会長の名前…アレ?思い出せない…。
 まぁ…、いいか!
 勇者ゴン太と、スキルを使って結婚する段階の所まで、進んでいたとは…。

 それとも、ゴン太の奴…
 女性を襲って警察に捕まっても、レストランで暴れて窓ガラスを大破させて警察に連行されても、次の日には平気な顔で登校していたから、あいつの親が、ものすごい権力者だと言われていたけど…。
 その権力をバックに、まさか部下の夜目似を、襲ったのか?
 もう、女性ですら飽きていたのか?

 やっべー!

 俺は、アイツラの事をかなりヤバいヤツだと思っていたが、まだまだ、もっと闇が深い事をまだ見積もりきれてなかった、ということだ。

 イカン!
 奴が、性別すら関係なく自分の欲望の為に、人を襲い出す事を、各国に知らせないと!

 あ!
 思い出した!
 アイツら!
 ガス王都のペットとかを襲っていたとか報告書があったな!

 まずいぞ!かなりまずいぞ!
 もう、実は人種とか生態系とか関係なく襲う段階に入っていたか!
 ということは、
 次の段階は…。
 ゴブリンを襲うのか?
 ゴン太ゴブリンって奴が量産されるのか?

サーーーーーーー!
と、血の気が引くカザト。

 パートナースキルでカザトの思考を見ていた、トワイライトも真っ青!
 そして、部屋にキスカやマーベル達も入って来た。

 全員真っ青である。

マーベル
「今、考えていることはわかったわ。
 いったい、管理者神フェイク様はなにを考えているのよ!」

ドワーフ副女王・キスカ
「とにかく、明日のハト一便で各国に勇者警戒の注意喚起をします。
 特に、奴らはラッド公王のもとに逃げ込む可能性が高いから、早く知らせないと!」

 エルファー達が、スープとパンを持ってきてくれた。
 俺が、起きたのを知って、食堂で温めて持ってきてくれた。
 美味い。こんなに暖かく美味く感じるとは。

 物凄く幸せを感じて、またゆっくりと眠りに着いたカザト。

 その傍ら、トワイライト達は会議をしていた。

トワイライト
「カザト様の夢を共有していましたが、壮絶ですね。
 バッタ人間ですか…。」

メーベル
「ガス王都は、落ちたと考えるべきでしょうね。
 どうも、あの部下天使達は戦闘制限が有るとか言っていますが、どことなく、戦わずに逃亡の一手を必ず打ちますよね?」

エルファー
「グランド王国の国王が…。
 火山で灰になりましたか…。」

エルシー
「覚えてもいない、故郷ですが考えさせられますね。
 ハァ~。」

マーベル
「冒険者ギルドの暗部が動き出す前に、こちらも手を打たないと!。」

トワイライト
「ゴブリン帝国の城となっていた城を本来のモノに戻して、私達の仮拠点にするのはどうでしょうか?
 あの邪神ゴキブリ・ゴキリとの戦いで拠点にしていたあの祠が、ひょっとしたらおとぎ話で出てくるあの旧ゴブリン帝国城の基になった、精霊の館の手がかりがあると思われます。」

ドワーフ女王・トスカ
「確かに、そうですね。
 今は、ゴキブリン掃討戦の後で残党調査中として、ベイントス公国とドワーフ王国の国境を封鎖していますが、そろそろ開けないといけません。
 冒険者ギルドの特戦隊達も今は、治療法で全身大火傷の治療中ですが、すぐに替わりを寄越すでしょう。」

 そう、この異世界の遠い昔のおとぎ話では、昔のドワーフ王国の向こうに精霊郷があり、そこに[精霊の館]と呼ばれる城があったという。
 おとぎ話では、その当時の魔王侵攻の時に救援を頼んだが、第2世代管理者神フェイクはそれを無視して、精霊郷は陥落してしまい、それ以降精霊達は第2世代管理者神フェイクとその部下天使の命令には、絶対服従ではなくなったという。
 そんな、悲しい精霊達の物語だ。
 だが、今はこの世界の大人になった者達は、この物語は裏があると皆思っていた。

 それは、邪神戦争の時の第2世代管理者神フェイク自身が発した言葉、
「貴様らも、精霊達みたいに[精霊の館]を焼いて我が飽きるまで、いじめ抜いて封印してやろうか!」
なんて言っていたので、精霊郷が魔王にやられたとは誰も信じなくなったのだ。

 カザトは、旧ゴブリン帝国領域を冒険者ギルド特戦隊が撤退したあと、結界を使って封鎖していた。
 なので、今は旧ゴブリン帝国は無人である。
 トワイライト達エルフが、ドワーフ城の中級精霊達にお伺いしていた。
 精霊達も喜んでいたのと大精霊プロミネンス達も出てきて、カザトの拠点化計画が進んでいた。


 一方、冒険者ギルド本部は、修羅場を迎えていた。
 冒険者ギルド本部は、実はどこにあるか秘密である。

 シークレットである!

 マーベルや、バッカー達ですら、耳栓・目隠し・されて防音・防振動と、時間感覚狂わせの仕掛けが付いた箱に入れられて、ギルド本部に行きギルドマスター資格の試験を受けた覚えがあるようなところである。

 だ~が!
 なぜか、トワイライトはその場所を知っていた!
(トワイライトは、他国出身のエルフでグランド王国内部の事は知らない。)

 なぜ知っていたか?

 それは、精霊さんに教えてもらったから!
 では、なぜ?精霊さん達は知っていて、一応口止めされていたけど教えたのか?
 それは、グランド王国に冒険者ギルド本部があるからで、グランド王国の本当の王である世界樹に、一応いつもいる大精霊達が、カザトの事を「旦那様」と呼びほぼ実質的に世界樹の主と認定していたからである。

 そのグランド王国が、内戦状態になった。
 そして、エルフ総長老達が国王と敵対して、戦力を整えだした途端邪神が城に現れたのと、同時にこれにかなりの
ダメージを与えて城ごと封鎖してしまったのだ。


[冒険者ギルドグランドマスター視点]

 これには、冒険者ギルド本部の一番の権力者グランドマスターも、びっくりしたのだ。
 そして、グランドマスターは、背中に冷や汗をかいていた。

 今、総長老・巫女長と話していたが、冒険者カザトを呼びだして邪神を討伐させようと言う話題になって、時々殺気を感じていたが段々と[冒険者カザト]呼びをした時に、殺気を感じている事に気がついた巫女長とグランドマスター。
 殺気は、この辺り1面の全方向から、地面からも感じる。

 まさか?
 巫女長の目が、青く光る。精霊眼(大)だ!
 グランドマスターの側近も鑑定眼を起動する。
 鑑定眼では、わからなかったらしい。
 どうも巫女長も、わからないみたいだが、なにか考えている。

 冒険者カザトの呼びたし計画の打ち合わせを進めていたときに巫女長が、いきなり[冒険者カザト]から[カザト様]に呼び方を変えた。
 途端に、殺気が薄らいだのだ!
 どういうことだ!
 巫女長が、会議の一旦停止を提案する。
 
 側近の巫女達が、慌ただしくギルド本部の外の巫女達に、指令を出していた。
 そして巫女長が「世界樹にお伺いしてくる」と、青ざめた顔で席を外す。
 その間に、グランドマスターの仕事として、[冒険者カザト]の情報を集めるように指令をした。

 やはり殺気を感じる…。

 そして、ドワーフ王国にいる自称・(仮)ギルドマスターのマーベルを呼び出す事に成功した。
 よし!マーベルがいるという事は冒険者カザトは、今はドワーフ王国にいると言うことだな!
 これでアドバンテージが1つ積み上がったと、その時は思っていた!

 だがマーベルの次の発言で、グランドマスターのいた会議室は声を出せないが、無音の騒然とした修羅場に陥ったのだ!

マーベル
「グランドマスターの所も大変だろうから、トスカ女王達と相談して旦那様のカザトが作った、対ゴキブリ兵器の1つしかない試作品とか、対邪神戦で手応えがあったアイテムをかなり持たせて、巫女長さん宛に鍛冶ギルドの定期便でそちらにおくったから~! 役にたててね~!」

ポーカーフェイス!
ポーカーフェイス!
ポーカーフェイス!

 顔を崩すな!
 絶対びっくりしていると悟らせるなよ!

 なんだって?
 今!
 なんて言った!

 巫女長さん?
 グランド王国が国王が副権力者で実は、総長老・巫女長の存在は国外には秘匿されていたが、支部マスタークラスでも秘匿されているハズの事だ?
 なぜ?巫女長って役職の名前まで知っている?
 ま!まさか!鍛冶ギルド員のドワーフの諜報活動なのか?

 しかし、部下がすぐに調べたがいつもの、火と土の大精霊に対する献上品という名目だったらしい。

 封を開けて、始めて密書と除虫菊の種とかが入っていたのがわかったらしいのだ。
 それで、巫女長が真っ青になったのか!
 そして、さり気なくマーベルは言ってたが、この本部の場所がバレている!

 そんな馬鹿な?!
 既に、マーベル達との通信は終了していたが、終了した途端に会議室は怒鳴り声の大爆発となった!
 アドバンテージどころか、こちらの居場所がバレている?

 首根っこを、カザト達に掴まれている気分で、幹部たちは怒鳴り声を上げるしかない恐慌状態に陥った。

 一時間後…。
 怒鳴り疲れて、静かになった会議室。
 そこに、巫女長が頭にタンコブを作って帰ってきた。
 大精霊達に、怒られたらしい。

 はて?
 よく似た話を、どこかで聞いたような?
 あ?!
 ブレーダー王女だ!

 よく聞くと、大精霊達に(助けてもらった方を道具扱いするとは、いい根性だな!)と、土の大精霊に拳骨を頭に食らったのと、風の大精霊に説教を食らったのと、火の大精霊に蒸し焼きにされかかったのと、水の大精霊に、「旦那様に頼んで、エルシーと、エルファーの事を棚に一時的に上げてもらい救援に来てもらったのに、あなたには、礼儀すら無いのか?何様だ!コラ!」
と、叱られたらしい。

 横にしょんぼりしている、エルフ最強騎士王女様。

 旦那様?
 そういえば、マーベルも言っていたな。

 報告書に書いてあった!
 思い出した!
 マーベルの報告書に姉妹で、精霊達とエルフの仲間と共にお嫁さんになった!
 とか、わけわからん報告書だったから燃やして捨てた!

ウギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

 その日、全てのアドバンテージがなくなったと自覚させられたグランドマスター達は、絶叫して放心状態になった後、(カザト様に負担をかけないで来ていただく計画)の立案を、してから会議は終了した。

 後でわかったが、グランド王国の鍛冶師のドワーフさんは、冒険者ギルド本部がある事とか巫女長の事は知らなかった。
 ただ世界樹の祭祀担当者には、いつも本国からの精霊への献上品を渡しているので、巫女さんがいることは知っていたのだった。


◇◇◇◇◇◇
補足
 マーベルとメーベルは、双子姉妹です。
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