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第5章 ついに始まった本当の戦い。

第14話 なんだよアレは! 臨戦態勢を整えよ!

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 異界の衝突。

 フェイクランドに、降り注ぐ訳のわからない怪獣や、改造されたゴブリンなどが空から降ってきた。

 カザトも、出動することになる。
 デカい植物のモンスターが暴れだす。

カザト
「絶対零度!」

 植物の系のモンスターは、種ごと凍らせて砕く方がいい。
 火だと、爆発する時に種を飛ばして増殖するからだ。
 数の暴力が、やってきた。
 トワイライト達は、マトの街の結界維持に回っている。
 まだまだ、カンターレとガス国王達が仕掛けた戦争の傷痕が治っていない。
 兵士たちも、全快ではないのだ。
 対空兵器は、ワイバーン用の弩級しか無い。
 クソ!手数が足りないぞ。
 連絡騎士に、想定対ゴブリンエンペラー戦闘態勢を始めると、ラッド国王に伝言を頼んだ。

 対ゴブリンエンペラー戦闘態勢
 ゴブリンの数の暴力に対して、国境地帯をマグマの罠を張ることによって、数を減らして守備主体で戦う持久戦である。

 敵の数の全貌が見えない事と、フェイクの関与を疑うと、下手に攻め入る事ができないのだ。

 カザト
「マグマポンド!」
 前回使ったのは、神聖皇国の国境地帯攻防戦のゴブリンスーパーソルジャー戦だったが、それを明らかに越える数の怪獣が降り注いで来たのだ。

 チャンポン!
 ジュオー!
 チャンポン!
 ジュオー!

 マグマの池にデカい身体が溶けていく。
 植物の系の人食いモンスターとかが、根を動かして人を感知して歩いてくる。

 マトの街やベイントス公国の砦から、魔導師団が、対空砲火を始める。
 12段式交代射撃だ。
 魔法攻撃を7割まで、魔力の消費をすると休憩に入る。
 自然回復と、薄くした味の改良版のマナポーションを飲み物替わりにして、連続して絶え間なく攻撃するローテーションである。

 マグマの池の隙間から、やって来るモンスター達を槍隊で攻撃して、動きを止めて大剣隊が斬る。
 これまでのゴブリンたちとの戦闘での経験を活かして布陣であるのだが、おかしい。
 こんな時に、いつもなら神託が降りるのに、フェイクはだんまりだ。

 神聖皇国の騎士の援軍も、首をひねる。
 そして、大体わかってきたのは、ガス王都と旧グランド王国の間の上空に地帯が、他の異世界との衝突地点、いや、空点らしい。
 段々と、異世界同士の接点が広がってきて、向こう側にから怪物が降って来る。
 その模様は、冒険者ギルド本部の斥候部隊が魔導通信で中継してくれている。
 
 ふと、カザトの凍結中のステータスボードが鳴った。
 メールだ。コスモ(本体)さんからだ。
 何々?
 今、衝突した異世界は、管理者神不在でもうすぐ自然崩壊する?
 人間の反応は無い。
 怪獣ばっかりの、世界らしい。
 ハァ?
 怪獣映画のために、改造したら人間の文明が崩壊した世界だって?
 なんて迷惑な世界だ。
 推奨 焼却消毒?
 人間文明が、怪物を殺すために細菌兵器を使用したらしいだと!
 そのせいで、凶暴化と好戦的になったらしい。
 その代わり、実体の無いモンスターは絶滅した模様。
 

 りょ、了解。
 頑張ります。と返信する。

 大体の数が、書いてあった。
 かつてのゴブリンエンペラー軍の5倍らしい。
 いや、今の戦闘体制ならなんとかなりそうか?

 そうだ、それとなくこの事を知らせないと!

カザト
「騎士団長!今からフルパワーの鑑定を、あの異世界の穴にかける。
 マグマの池は維持するが、対空防御とかを頼む!」

騎士団長
「わ、わかった。」

 誰もが見えるほどの、濃い魔力を目に集中させて異世界の接点を鑑定する。

 鑑定

 世界名 ヴァーカランド
 管理者神名  不在
 管理者神履歴 
 初代 非公開
 二代目 メイン管理者神マイネ
     サブ (仮)管理者神見習いNo.51****2

 履歴
 名義貸しの管理者神マイネは、行方不明 捜査中        
 (仮)管理者神見習いは、フェイクランド元(仮)管理者神見習いのフェイクの策謀によって死亡。
 
 人類文明 地球の弥生時代後期
      一部超高度科学文明が残る。
      怪物達の戦闘により崩壊状態。
 
 人口 100人
 モンスター口 約5億6500万匹
 小怪物口 約200億匹
 大怪獣口 約1億匹

 病原菌多数。
 推奨 焼却消毒。
    フェイクランドの標準的治癒ポーション、殺菌ポーションは効かないと思ってください。


 この鑑定結果を公開する。
 すぐに、各国に伝達された。

新生ガス王国 騎士団長
「い、いかん!そろそろ豪雨の時間だ!」

 外での防御隊を、マトの街の中に入れる。
 豪雨が降ってきた。
 ジュオーー!

 アレ?
 怪獣達が、苦しんでいる。
 鑑定すると、細菌も高濃度聖水で消毒されいるみたいだ。
 念のために、高濃度聖水で防衛隊を洗浄して、高濃度聖水風呂に入ってもらう。

 そっと、カザトは出力を上げてマグマの池を一面に広げた。
 雨と、マグマが反応して高濃度の聖水の霧が発生する。
 それに当てられて、空を飛んでいる怪獣達がマグマの池に墜落していた。
 
 カザトは、その時マトの街の防壁の塔からみた。
 なんだよ?あの怪獣は!
 大きさは、ガス王都の王城よりもデカい触手のうねうねが多数ある、キノコだ!
 デカい目が印象的なキノコだ!

 望遠鏡を覗く兵士もびっくりしている。
 すぐに、国防会議にかけられた。
 カザトは、現場で待機することを選択する。
 かわりにマーベルに出席を頼んだ。

 
 この頃、ガス王都

ブレーダー王女
「ひえーー!
 た!助けろー!」

 王都の城壁よりもデカいキノコが、攻めてきたのだ。
 あれ?
 周りにいるのは?
 なんと、勇者ワクチンを打たれたガス貴族達は、勇者戦士、勇者斥候、勇者ヒーラーとか、妙なジョブが、発現して筋肉モリモリの戦闘員に変貌していた。
 それでも居残りの、ホビット族達を使役して自らは戦わない、腐ったスタイルはそのままなのだが…。
 少し、彼らに勇者ワクチンのせいで変化があった。

ガス宰相
「弟君?そろそろ出陣する時間じゃのう。」

ガス国王
「お兄様、そんなものガス貴族達にやらせるものじゃろう。」

勇者ゴン太
「(う、調子狂うな~。あの勇者ワクチンを打たれてから、筋肉モリモリだけど性格が少し腐女子化して、余計に調子が狂う。)

 おい!兵士共!防御につけ!
 キノコなんて焼け!
 よく見ろ!デカいのならファイヤーボールを打ち込んでも、外さねえぞ!
 魔導師団は、攻撃しろ!
 でかい的だ!
 撃て!
 なに?
 小さい植物の棘に刺されただと!
 つばでもつけとけ!
 ほら、回復ポーションを塗るんだよ!
 急げ!
 敵を斬れ!
 ゴブリンと違うから忌避感はないはずだ!」

 ラッド国王からの温情で、カザトの鑑定結果は、送られて来ていたが、ガス王国は無視。
 ガス宰相も無視。勇者ゴン太が、その日の夕方に怪獣が邪神オークの方に向かったのを見届けて、現場から帰ってきた夜に書類を見てキレた。
 
勇者ゴン太
「どういう事だ!
 こんなに詳しく書いてあるのを、なぜ現場に知らせなかった!
 ここに、細菌感染の注意が書いてあるだろうが!
 テメェら、何を考えてやがる!」

 マジでブチギレた勇者ゴン太。
 しかし、帰ってきた答えは…。

ガス国王
「細菌?何じゃそれ?魔導師団に聞いたが知らんかったから、大変なものとは思わなかったのじゃ。」

ガス宰相
「それに、それを認めると俺等はラッド兄貴よりもバカだとされそうだから無視でごじゃ!」

ブレーダー王女
「細菌って、どういうものですの?」

勇者ゴン太
「一言で言うと、病原菌というのは病気の素!
 この世界は瘴気でも病気になるが、俺達の元の世界では、病気といえば細菌とウイルスだ。」

ガス国王
「はあ?」

ガス宰相
「え?」

ブレーダー王女
「なにそれ?」

 その後、6時間の講義の後にやっと病原菌の怖さを知ったガス国王達。
 魔導師団の鑑定スキル持ちの者達に、外で戦っていた兵士達に鑑定を受けさせる。

「感染済み、菌多数、とか出てますが、まさか?」

勇者ゴン太
「うぎゃーー!」

 最悪の結果である。
 そこに、豪雨が降る。
 雨に弱いのか、動かなくなるモンスター達。
 ひとまず停戦だ。
 だが、ホビット族は全て感染済み。
 ガス貴族の兵士達の8割が感染済み。
 時間の問題である。

 勇者ゴン太は、恐怖した。
 
ガス国王
「心配するのは無駄じゃ!
 ジョブ勇者は、フェイク様の加護を受けているのが当たり前じゃ!
 つまり、病気にならないのじゃ!
 ヒャーハッハッハッハッハッ!」

 勇者ゴン太は、愕然とした。
 あれほど、講義したのに無駄だった。
 鑑定で感染済みということは、病気になったということである。

 俺だけでも、逃げるか?
 だけど、カザトは受け入れないだろう。
 かと言って、邪神の下について魔王になるなんて嫌だ。
 地球に、帰りたい。
 なぜ邪神戦争になったのか、少しわかってきたぞ。
 
 そんなゴン太を黙って見るブレーダー王女。
 逃げるつもりだ!と見て、監視を付ける。
 だが、別の考えが浮かぶ。
 まさか、手遅れ?
 勇者ジョブでは免れない病気になっている?

 ブレーダー王女は、カザト籠絡作戦書を手にとって、勇者ゴン太達と出陣すると書き置きをしておいた。
 部下に、ガス国王と宰相に酒を飲ませて作戦実行のサインを書かせて、寝室に送り込んだ。

ブレーダー王女
「ゴン太?
 今から、カザト籠絡作戦に入るわよ。
 城から、出るわ。
 雨の降っている、モンスターが動かないうちに動くわよ!」

 何を考えてやがると、ゴン太は思ったがチャンスなので行くことにした。
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