[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き

文字の大きさ
271 / 334
第5章 ついに始まった本当の戦い。

第19話 こちら、新生ガス王国 情報部 その1

しおりを挟む
  新生ガス王国のマトの街の地下にある部所

 それが、情報部である。
 その部所の所長であるヘントリックは大忙しであった。

 今の情報処理最優先順から言うと、
1.カザト様から送られてくるガス王都内の怪獣のデーター。
2.ガス王国の貴族達の動向。
3.ニャントゥ王国の亡命政府の動向。
4.邪神達の動向。
5.人類を裏切ったエルフ(カザトの配下達は除外)達の動向。
である。

 カザト様からのデーターは、国王も見ているので、まぁ王室で処理してくれ。
 つまり、問題はガス貴族だ!
 ガス国王と共に行動している、つい最近勇者になったガス貴族達は、ガス国王勢力分類に分けられている。

 では、領地にいるガス貴族はどうか?
 これが大問題である。
 領地の人民がいる限り、兵力は存在する。
 強制徴兵するのは、ガス貴族の常套手段だからだ。
 そして、騎士達は訓練していない農民や普通の領民達に戦わせて、全く戦わないのもガス貴族の常套手段である。

 つまり!本当のガス貴族の戦力は、未だに領地に温存されているのだ。
 その事もあって領地から早く救援の使者を出させるよう、ガス貴族に腹を立てていた国王達が煽る為に公開牢屋にしたのだが、なぜか1人も領地からの、領主やその嫡男の開放要求の使者が来なかったのだ。
 領地には、次男とか?前領主とかの留守番がいるはずなのだが、全く使者が来なかった。
 もちろん、新聞社にも公開牢屋特集なんて記事を出してもらった。
 だから、知らないはずはないのだが。

 どういう事だ?

 それは、牢屋に入れられていた領主達も怒っていた事だ。
 カザト殿は、「最悪の場合として」と
1.領主と嫡男を見殺しにして、次男が領主になることを画策している。
2.既に、次男と領民は逃亡済み。
3.他の邪神の部下になった。
 とか、言う始末。

 まぁ、あのガス国王やブレーダー王女を見ていたら、そんな人でなしばかりだと思ってしまうよな。
 これも、あれも、ガス国王やブレーダー王女が悪い。
 だが、ホビット族やニャントゥ王国や外道1号国の事を考えると、3の可能性が濃厚だ。
 
 斥候部隊と新生ガス王国探偵商人が、手始めに国境地帯の近くのガス王国の男爵領に入った。

報告
1.住民は、餓えていた。
2.行政機関は、警備のみ機能している。
3.領主代行の最近の行動の噂が無い。
4.最近のガス日報(新聞)を渡すと、現地の商人達は、領主逮捕を知らなかった。
5.領主の館に呼ばれたが、危険を察知してすぐに領都から退却。

 なるほどね。
 知らなかったというよりも、情報封鎖をしている可能性有るのか。
 
斥候部隊からの報告
1.領主邸に、兵がいない。
2.領主代行の姿もない。
3.いるのは副執事長のみ。
4.メイドすらいない。
5.領主執務室は、壁に血の跡が多数。
6.ある領主は、開放されているはずなのに帰ってきた形跡は無し。

 これだ!
 警戒するべきは、5.6.だろう。
 なぜ、領主は帰ってきていない?
 そして、領主代行が殺された可能性がある。
 では、誰が殺した?

 他の領でも、よく似た例がみられた。
 どうするのか?
 領都で、副執事長とかの反乱か?
 それとも、別件での暗殺か?

 だが、領主が帰ってきていない謎は、カザトの報告によって解明した。


 ガス王都

カザト
「あのキノコは、厄介だな。」

 鑑定で、なぜエボラ出血熱とか感染しているのに、死なないのかと滅菌魔法陣付の偵察ゴーレムを出して、遠隔鑑定でガス貴族勇者の伯爵を調べていた。

 この伯爵は、よく覚えている。
 オレを城から生贄投棄する時に、蹴りやがった伯爵だ!
 しかし、伯爵なのにお供も警護の騎士すら付けずに、なぜかガス王都の伯爵邸からある、商人の大屋敷を徒歩で徘徊しているのだ。
 しかも、3時間に1回往復する。
 夜とか、時間は関係なしだ。
 頭にキノコが生えている以外は、血色のいい肌をしていて健康そのものだ。

 どういう事だ?
 結核、腸チフス、エボラ出血熱、とかヤバイ病気盛りだくさんなのに、生きている。
 コルトバフ病とか、聞いた事が無い病気もあるが、病原菌が病原菌を牽制するという現象は鑑定では、発生していなかった。
 だが、食事はどうしている?
 カザトの調査は続く。
 なぜこの伯爵が観察対象なのか?
 理由は、簡単。
 気がね無く、ぶっ叩けるから。
 急いで、小型ゴーレムを生成する。
 そして、伯爵の肩に載せたがやはり無反応だった。

カザト
「やっぱり、怪しいのはあのキノコだ!
 あの頭の上のキノコから、頭蓋骨を貫通して脳に送られている物資が原因だな。」

 別の意味で、ものすごくカザトは興味を持っていた。
 あのキノコを調べよう。
 地球のキノコって、粘菌の分類だ。

 そして、解明する。
 なんと、食糧はキノコだった。
 伯爵邸の中だけ、キノコが一面に生えていた。
 なんだ?この差は?
 伯爵邸の中は、キノコだらけ。
 しかし、外装はキノコ1つのもない。
 庭にもキノコは生えていない。
 
 キノコの空気中の胞子濃度も、伯爵邸の中と外と同じ。
 湿度と気温も比較するが、暖炉に薪が焚べられて無い今、外と同じく寒い(既に、フェイクランドは冬に差し掛かっている。)

 カザトは、ある仮説を立てる。
 カザトが戦闘を始めた時は、なぜかキノコの胞子濃度が高くなっていた。
 今みたいに空間魔法の結界で完全遮断していない。

 まさか…。
 カザトは、ゴブリンの小魔石をガス王都の大通りに投げつけて、ゴーレムカメラで監視することにした。

 結論からいう。

 小さな歩くキノコが誕生した。
 奴らは、魔力を餌にするらしい。
 つまりだ、近い将来にキノコガス貴族勇者兵が誕生する。
 しかも、治療薬が無い病原菌を持ったとんでもない兵力が誕生する。
 だが、ガス王都は焼けない。
 あのデカいキノコを倒すしかないだろうな。

 そう思って、これからの戦略を練っていたら、王都に珍客が来た。
 
カザト
「なぜ、こいつが?」
 
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...