ミラージュの憂鬱

どら焼き

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第29話 面倒事は、早く済ませるのが吉だ!4 壊滅?

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第29話 面倒事は、早く済ませるのが吉だ!4 壊滅?


 ボスタニア歴655年 バルセリナ歴551年 3月27日  午後1時

 ヨロヨロの冒険者達が、国境門に集まってきた。焚き木で暖を取っている。

 ドゴーーン!

 国境門の近くに、爆音が起こり溝が出来て大雨がふる。そして、溝に水があふれるように溜まりだした。


 雨乞いの祈祷をする私に、近づいてきたカトレア。

カトレア「そうですよね。雨乞いは、聖女の基本ですよね。あのクソババアはやったことがない!なんて胸を張っていましたが。」

 たしかに、やってなさそう。
 雨で、この一帯の水は溜まった。さて、国境防衛戦を始めますか。
 今回の目的は、バルセリナ王国の防衛力を高める狙いもある。この防衛戦のフィナーレの仕込みも夜にやっておいたから、後は実行するのみ。

 国境の砦に武装した王女ミレーヌと共に階段を上がり、辺境伯領を眺める。

 ん?あれ?
 向こうの国境砦があったところがスッキリしているような…。

王女ミレーヌ「スッキリしてますね~。」

国境砦隊長「報告します!先程の恵みの雨のさなか、一発目の落雷で向こうの砦の門などが崩壊。二発目で物見櫓が炎上。三発目というか、何発も落雷が落ちて砦中央の石材が溶解したあと、雨でも爆発。その後崩壊して、豪雨で流されて行きました。」

 溶解?溶岩になったの? 爆発したってことは水蒸気爆発みたいな現象かな?よくわからんが、似たような事が起こったのね。で、流された。

 ふ~ん。  ほんの少し強くしてみようか~なんて思って祈祷していたけど、てへ!

国境砦兵「辺境伯領の中にいる者達からの報告です。冒険者グランドマスターが泊まっている宿が氷結して、まだでてこられない模様。
 Sランクパーティー3組が凍結して行動不能。
 姫様に求婚してきた、あの自称公爵の息子のSランクの冒険者は氷漬け。
 ギルドマスターは、正午に助け出されたらしいのですが重傷。」

 え?あのクソアンポンタン(恐らく私のいとこ)が、あなたに求婚していたの?

王女ミレーヌ「はい。私はお姉様がいるので断りました。」と、私にしなだれかかる。
 おう、初々しいやつじゃ~。ぐへへへへ!

 何か、伝書鳩が飛んで来ていた。
 あ~、王都からか~。そして、ヘロヘロなギルドマスターが、やって来て冒険者達に国境を攻めるように指令を、出したが全員逮捕した。

 しっかりと兵隊教育を施してあげるわ~。
ギルドマスター「い、いやだーー!助けて~!」




 ボスタニア歴655年 バルセリナ歴551年 3月28日  午後2時

 目の前にSランク冒険者パーティー(そんなに強くなかった)3組と、冒険者軍にグランドマスターが、縄に縛られて転がっていた。
 あっけない。 

 まぁ、防衛意識の向上にはなったな。
 さて、取り調べと長年謎だった冒険者ギルドの本部の場所を聞き出そう。

 しかしこまったな~。化けて出てきて徹底的に怖がらせようとしたら、既にびくびくしているとはね~。
 まぁレーダーだと、辺境伯が大急ぎで王都から帰ってきている。そして、王国からも軍隊がやって来ていた。

 始めますか!空城の計を!

 空城の計都は、今はどう見ても先進国になった超大国の国内でのかなり前の戦国時代に使われていた戦略だ。
 都市は、防衛壁で囲まれて一つの城となっていたが、庶民も全員逃げさせて伏兵を少し残してほぼ空っぽにする。
 攻めてきた敵兵を中に入れて、逃亡したと誤認させる。
 そして、夜中に門の扉を閉めた後に、場内にわざと残して置いた食料に仕込んだ遅効性の睡眠薬でグッスリと寝たヤツらが逃げられないように、火で包囲されるように点火!
 仕込まれた草とか、油が轟々と燃えて城ごと敵兵を燃やすという、城ごと消費する戦略だ。

 土魔法で辺境伯の領都そっくりさんの都市をつくる。
 もちろん、建物内には火魔法の魔法陣いり。本来なら国境防壁で焼くつもりだったけど、計画変更。
 王国軍を引き連れて帰ってきたのだから、もう戦争だ。全員反省していないなら再度焼いてやる。霧を出して隠しておこう。

 辺境伯は、夕方には帰ってきた。辺境伯をニセ領都誘導して入れて、さらに偽の城に入れさせる。
 そして、霧の中の領都には幻影の魔法もかけておいた。王国軍に対応させよう。

 辺境伯は、城に帰るなり「ラビリンスを調べたのか!」という。

兵士「ハイ。健在です。討伐したあとなので、モンスター1体すら出ていません。」
 それも、幻影だ。既に兵士もラビリンスもない。

辺境伯「では、どこのラビリンスコアなのだ。それに、聖女になったルージュと子をなそうと国王が例の精力剤を飲んだが…下半身が爆発した。
 調合師をよべ!効きすぎるものを作りおって!最高に効くものをつくれといったが、爆発するほどのものをつくる……優秀なのか?爆発するのだから。こまったな~、そうだとしたら処刑するわけにはいかんな。
 王都に送れ!そして、回復薬とか作らせろ。
 そして、冒険者ギルド軍に遅れをとるな!バルセリナを占領して、私が国王になるのだ。」

 霊体化して聞いていたが、完全にバルセリナ王国はカモにされているな。
 一度戻って幽体離脱する。え?変わらないって?
 たしかに端から見ると幽霊だけど、違うのよ。
 魂には幽体と霊体と魄(はく)という部分があるのよ。
 古代は、魂の事を魂魄という言い方をしていた。死ぬと魂魄は、魂と魄に別れて魂は天か地獄に行って、魄は地に落ちるというのを見た霊能力者とかの伝承本(ほぼ散逸と焚書で無くなっている。)にあるけど、その魂の部分にもよく見ると霊体と幽体とから、かなり細かく書いてあるのね~。
 霊体は、まぁ魂で言うと塩すら入ってない、水とキノコ一つで煮たような薄いスープ。
 幽体は、具沢山の出汁も塩も入った濃厚スープね~。
 で、相手の身体の中に入って乗っ取るくらいのワザを使うとなると、幽体でやらないといけないから、幽体離脱をするってこと。まぁそんなことせずに、そのまま出撃しても良いのだけど、驚かせたいのよ!
 大聖女カンストだから、肉体を持った状態で霊体化もできるけど、幽体はやったことがない。
 出来そうなのだけと、やってしまうと何か嫌な予感がするからやらない。後戻りは出来るのだろうけど、また前前前世とかの面倒な仕事とか押し付けられそう。

 そうだ、かなり前の前世でこの世界の管理者だという、ミミーラにも散々こき使われたわね。
 私にこんな目にあわせている真意を聞かないといけないことな。恐らく教会皇国に神託の神殿があるはず。その時に、また「し~らな~い!」とか言って逃亡するような事が無いように、戦える力をつけないと。

 王国軍が空城のニセ領都に入るように、空間プログラムをやっておいて、次になぜ来たのかの本当に理由を調べよう。
 バルセリナの壊滅だけでは無いはずだ。
 そんな事を思っていたら、聖女レーダーにマークした人間の反応があった。元両親の公爵自らやってきた?
 おかしい。奴がここまで来るか?確か辺境伯とは仲が悪いはず。


 幽体離脱の状態で、まずは城の中のメイドに乗り移ろうとしたが、止めておこう。
 上から様子をみた。あのメイド…教会のスパイだ。

スパイメイド「旦那さま、少しお休みになられては。軽いお酒を用意しました。」

辺境伯「うむ。く!きくな~、グーゴー!グーゴー!」

 即効性の睡眠薬か。
 
スパイメイド「辺境伯さま~、ミラージュは見つかりましたか?」

辺境伯(催眠・睡眠中)「奴はバルセリナにいるという証拠はなかった。グーゴー。」

 なるほど、催眠誘導尋問スキルのレベルを上げて、睡眠状態で話させるのか。なるほど。

スパイメイド「魔王四天王を倒した者の正体は?」

辺境伯「恐らく王弟の息子が、討伐したとか報告していたが、ウソだ。グーゴー! 奴は冒険者ギルド軍に入って王に返り咲くとか言っている。
 そうは行くか。オレのジイさんも国王だった。なら、オレもバルセリナを占領して国王に返り咲くのだ。」

 ほ~、国王の地位に執着が有るのか。

スパイメイド「ミラージュの行方は誰が調べている。」

辺境伯「ミラージュは、国王達が盛った毒が後になって聞いてきて死んだというのが通説。ミラージュは、王妃教育のなかで毒耐性を付ける教育も受けていた。なので、即効性のものでも死ななかったのだろう。グーゴー!
 ミラージュは、死霊術に使われないように身を隠して死んだと言うのが、教会の見解。それには異論なし。教会が調べているはず。」

スパイメイド「ちっ!つまり誰も調べていないという事か!聖皇帝はボスタニアに命令して、ボスタニアは聖皇帝の下部組織の教会に命令する。ち!これだから、クズどもは!」

 ん?コイツの波動…どこかで見たことがあるわね。まさかミミーラ?
 ミミーラの分身を年少の男に変換させた、自動分身ロボット?あの荒すぎる術の使い方とか、ミミーラそのものだ。

スパイメイド「こまったぞ!本体が重傷でしかも聖女が変に作られていて、ミラージュは行方不明。しかも、天界が捜査に動き出した。あの非常用の杖がこんな大事になるとは!
 このままだと、本体の罪になってしまう。何が、「ミラージュがその世界を破壊しても、ミラージュには罪にならない。貴様らが責任を全て取ることになる。」だよ!いったいミラージュとは何者なのだよ!」
 と、キレていらっしゃる。

 ふ~ん。大騒ぎ?へ~、契約を向こうから破ったという自覚はあるが、恐らく実行犯のミミーラには自覚は無いのか。
 メイドの身体から、年少の男が出てきて空に異空間の穴を開けて入って行った。
 そこに居るのね。

 恐らく、暗殺とかでなんとか隠蔽しようと言うことかしら。
 そして、辺境伯には手に有るスイッチを持たせた。そして起こす。

辺境伯「あ?ここは?げ!ミラージュ!」

ミラージュ(私)「辺境伯さま~、手にお持ちなのは、自爆スイッチです。通称デススイッチ。敵に攻め込まれた時に軍もろとも敵を皆殺しにする、自爆スイッチですわ~。
 スイッチに入れ方は簡単!手から離せば5秒でこの城は点火されて火に包まれます。
 そうそう、邪神の使徒になったのがバレて自殺しようとして、手を離すと家来もろとも火の中てすから。ソレと、家来全員にデススイッチの事が自動的に頭に入るようにした親切設計ですから、せめて家来達を巻き込まないようにしないと、あなたが恨まれますわよ。」

 と言って、さっさと姿をけした。

 公爵がなぜ来たのか。次はそれを調べないと。





 
 

 

 



 
 
 
 
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