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第二章 これからの生き方を求めて
第7話 モノは試しっていうじゃない
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ナキの説明でマリアも同じ考えに辿り着いたみたいだが「ふ~ん」とどこか他人事だ。
「あれ? もしかしてマリアには興味がない?」
「ん~そんなことはないんだけどね。使えないのならどうでもいいかなって」
「使えない?」
「うん、使えないよ」
「え?」
「え?」
そんなマリアの態度にナキは興味が無いのかと聞けば、マリアは使えない魔法には興味がないと言うので、ナキは不思議に思う。そしてマリアもそんなナキを不思議に思う。
「どうして使えないって分かるの?」
「だって、使えないもの」
「だから、それはどうしてなの?」
「もう、忘れたからよ」
「忘れた?」
「そう、あの長ったらしい呪文なんか忘れちゃったわよ」
「え?」
「はい?」
ナキはマリアが言った『呪文』に反応する。そしてマリアに「呪文ってなに?」と聞けばマリアは不思議そうにナキに言う。
「なにって魔法に呪文は必要でしょ。ナキは何を言ってるの?」
「だって僕は呪文なんか言ったことないし」
「あ!」
ナキに言われマリアも確かにそうだと納得する。そしてナキは続けてマリアに質問する。
「ねえ、呪文が必要だと言うけど、生活魔法を使う時には呪文は唱えないよね」
「そう言われてみれば……そうね。でも、そんなもんでしょ」
「そんなもんと言われてもねぇ」
「まだ、納得いかない?」
「うん、ちなみにだけどさ。参考の為にマリアの魔法を見せてもらえるかな」
「ええ、いいわよ。じゃ……」
マリアはそう言って立ち上がると「うん、あの辺でいいかな」と川に向かって半身の姿勢になり右腕を伸ばし、肘の部分を左手で支えてから右手を思いっ切り開き構えた状態で呪文を唱え出す。
「火よ、我が敵を焼き尽くせ、火球!」
『ゴゥッ!』
「へぇ~」
ナキの目の前でマリアが魔法を使ってみせる。マリアは確かに呪文を使って魔法を発動させた。
「でも、あんなの必要かな?」とナキも試しにとマリアがしたのと同じ様に「火球」と呟くが、何も起きなかった。
「ま、そうだよね。それなら……『火球』と。うん、思った通りだね」
「え?」
「あ、見てた? 出来たよ」
「……なんで? どうして、火球が出せるの?」
「なんでって……なんで?」
「私が聞いてるの!」
「でも、僕にも分からないよ。出来たから出来たとしか言えないんだけど」
「……もしかして他にも出来たりするの?」
「あ! そうだね。ちょっとやってみるね」
「出来るんだ……」
ナキも最初は魔法を使うことが出来なかったので、もしかしてと結界を作りその中で魔法を発動させたところ、出来てしまったのだ。だから、ナキはマリアの「他にも出来るのか」という言葉になんの疑いもなく出来るだろうと思っての発言だった。
そしてその言葉通りに『火魔法』だけでなく他の属性である『水魔法』『土魔法』『風魔法』『聖魔法』『時空魔法』に無属性の身体強化まで使えることが分かった。
「とんでもないわね」
「そうかな」
マリアの言葉にナキは少しだけ恥ずかしそうに照れ笑いをする。
「でも、とてもじゃないけど他人には言えないわね」
「そうなの?」
「そうよ。さっき話したでしょ。複数の属性魔法を使える人なんていないのだから、よくて奴隷にされて使い潰されるわね」
「よくてソレなの? じゃあ、悪い方は?」
「魔王として討伐されるんじゃないかな」
「魔王……もしかして勇者に討伐されるの?」
「ま、そういうことになるわね」
「うそ……」
マリアの話を聞いたナキは一瞬、驚くが直ぐに違うことに気が向く。
「その魔王って今はいるのかな」
「さあ。おとぎ話では聞くけど、私は会ったことがないわね。それにどこかに魔王がいるかもって話も聞いたことがないわ」
「そうなんだ。じゃ、勇者や聖女はどうなの?」
「いるわよ」
「いるんだ」
「そうよ。他はどうか知らないけど、私の街では年に一度の収穫祭の前に勇者が選ばれてその年の聖女と一緒にパレードをするのよ。あ~そっか、もう見られないのかぁ」
マリアはお祭りに出られないことを嘆く。だが、ナキの感心はそこではなく勇者と聖女の存在だ。マリアがいるって言うから期待したのにお祭りを盛り上げる為の存在だと聞きガッカリする。
「あら、もしかしてナキが勇者になりたかったの? そしたら私が聖女に立候補すれば……キャッ。でも、今は無理か」
「……」
ナキがガッカリしているのを斜め上方向に勘違いしているマリアだが、ナキはそんなマリアに「ヤる?」と聞く。
マリアはナキの「ヤる?」に「ちょ、まだ明るいし、あの子達もいるのに!」とまた斜めの方向に突っ走るマリアにナキは呆れながら「そうじゃない」と嘆息しながらマリアに言う。
「じゃあ、何をやるの?」
「だから、魔法だよ。魔法」
「それはもう見せたでしょ?」
「うん。そうだね。だから、今度は水球でもやってみようか」
「え?」
「え?」
ナキがマリアに水球を使ってみようと言えば、マリアは驚きナキを見て、ナキも何がそんなに不思議なのかと驚く。
「ナキ、私の話は聞いてたのよね?」
「マリアも僕の話を聞いてたでしょ」
「はい?」
「じゃ、モノは試しってことで」
「えぇ!」
「あれ? もしかしてマリアには興味がない?」
「ん~そんなことはないんだけどね。使えないのならどうでもいいかなって」
「使えない?」
「うん、使えないよ」
「え?」
「え?」
そんなマリアの態度にナキは興味が無いのかと聞けば、マリアは使えない魔法には興味がないと言うので、ナキは不思議に思う。そしてマリアもそんなナキを不思議に思う。
「どうして使えないって分かるの?」
「だって、使えないもの」
「だから、それはどうしてなの?」
「もう、忘れたからよ」
「忘れた?」
「そう、あの長ったらしい呪文なんか忘れちゃったわよ」
「え?」
「はい?」
ナキはマリアが言った『呪文』に反応する。そしてマリアに「呪文ってなに?」と聞けばマリアは不思議そうにナキに言う。
「なにって魔法に呪文は必要でしょ。ナキは何を言ってるの?」
「だって僕は呪文なんか言ったことないし」
「あ!」
ナキに言われマリアも確かにそうだと納得する。そしてナキは続けてマリアに質問する。
「ねえ、呪文が必要だと言うけど、生活魔法を使う時には呪文は唱えないよね」
「そう言われてみれば……そうね。でも、そんなもんでしょ」
「そんなもんと言われてもねぇ」
「まだ、納得いかない?」
「うん、ちなみにだけどさ。参考の為にマリアの魔法を見せてもらえるかな」
「ええ、いいわよ。じゃ……」
マリアはそう言って立ち上がると「うん、あの辺でいいかな」と川に向かって半身の姿勢になり右腕を伸ばし、肘の部分を左手で支えてから右手を思いっ切り開き構えた状態で呪文を唱え出す。
「火よ、我が敵を焼き尽くせ、火球!」
『ゴゥッ!』
「へぇ~」
ナキの目の前でマリアが魔法を使ってみせる。マリアは確かに呪文を使って魔法を発動させた。
「でも、あんなの必要かな?」とナキも試しにとマリアがしたのと同じ様に「火球」と呟くが、何も起きなかった。
「ま、そうだよね。それなら……『火球』と。うん、思った通りだね」
「え?」
「あ、見てた? 出来たよ」
「……なんで? どうして、火球が出せるの?」
「なんでって……なんで?」
「私が聞いてるの!」
「でも、僕にも分からないよ。出来たから出来たとしか言えないんだけど」
「……もしかして他にも出来たりするの?」
「あ! そうだね。ちょっとやってみるね」
「出来るんだ……」
ナキも最初は魔法を使うことが出来なかったので、もしかしてと結界を作りその中で魔法を発動させたところ、出来てしまったのだ。だから、ナキはマリアの「他にも出来るのか」という言葉になんの疑いもなく出来るだろうと思っての発言だった。
そしてその言葉通りに『火魔法』だけでなく他の属性である『水魔法』『土魔法』『風魔法』『聖魔法』『時空魔法』に無属性の身体強化まで使えることが分かった。
「とんでもないわね」
「そうかな」
マリアの言葉にナキは少しだけ恥ずかしそうに照れ笑いをする。
「でも、とてもじゃないけど他人には言えないわね」
「そうなの?」
「そうよ。さっき話したでしょ。複数の属性魔法を使える人なんていないのだから、よくて奴隷にされて使い潰されるわね」
「よくてソレなの? じゃあ、悪い方は?」
「魔王として討伐されるんじゃないかな」
「魔王……もしかして勇者に討伐されるの?」
「ま、そういうことになるわね」
「うそ……」
マリアの話を聞いたナキは一瞬、驚くが直ぐに違うことに気が向く。
「その魔王って今はいるのかな」
「さあ。おとぎ話では聞くけど、私は会ったことがないわね。それにどこかに魔王がいるかもって話も聞いたことがないわ」
「そうなんだ。じゃ、勇者や聖女はどうなの?」
「いるわよ」
「いるんだ」
「そうよ。他はどうか知らないけど、私の街では年に一度の収穫祭の前に勇者が選ばれてその年の聖女と一緒にパレードをするのよ。あ~そっか、もう見られないのかぁ」
マリアはお祭りに出られないことを嘆く。だが、ナキの感心はそこではなく勇者と聖女の存在だ。マリアがいるって言うから期待したのにお祭りを盛り上げる為の存在だと聞きガッカリする。
「あら、もしかしてナキが勇者になりたかったの? そしたら私が聖女に立候補すれば……キャッ。でも、今は無理か」
「……」
ナキがガッカリしているのを斜め上方向に勘違いしているマリアだが、ナキはそんなマリアに「ヤる?」と聞く。
マリアはナキの「ヤる?」に「ちょ、まだ明るいし、あの子達もいるのに!」とまた斜めの方向に突っ走るマリアにナキは呆れながら「そうじゃない」と嘆息しながらマリアに言う。
「じゃあ、何をやるの?」
「だから、魔法だよ。魔法」
「それはもう見せたでしょ?」
「うん。そうだね。だから、今度は水球でもやってみようか」
「え?」
「え?」
ナキがマリアに水球を使ってみようと言えば、マリアは驚きナキを見て、ナキも何がそんなに不思議なのかと驚く。
「ナキ、私の話は聞いてたのよね?」
「マリアも僕の話を聞いてたでしょ」
「はい?」
「じゃ、モノは試しってことで」
「えぇ!」
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