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第三章 旅の始まり
第十二話 散策していただけなのに
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宿を出るが、まだ日も明るいからと王都をフラフラと目的もなしに歩いてみることにした。タロは眠そうだったが、なんとか頑張って起きてもらう。何か美味しそうな物があったら買ってあげるからという条件付きだが。
それでも人が多く行き交う場所はなんとなくだけど楽しくもあるが、少し考えが甘かったかなと思う。
何故かと言えば、アオイの容姿が目立ち過ぎるからだ。特に胸の辺りに視線が集中し過ぎな様な気がしないでもないがとか、そんなことを思っていると後ろからニヤつきながら着いてくる連中に気が付く。
地図を表示し、表示範囲を俺を中心に五十メートルで敵意を持っている連中を赤色で表示すると、後ろに三人。前の路地に五人。周囲にバラバラと五人ほどが俺達の動向に注目していることが分かる。
「手配書は破棄するからと聞いたんだけどな~」
「どうした、コータ?」
「うん、なんでもない」
「そうか、着いて来ている連中をどうにかするのなら、吝かではないぞ」
「え? アオイも気付いていたの?」
「ああ、そりゃアレだけの剥き出しの敵意をこっちに向けられればイヤでも気付くだろ」
「あ~それもそうだね」
「で、どうするんだ?」
「ん、放置で」
「何もしないのか?」
「しないよ」
「だが「待つだけだから」……ん?」
「だから、こっちが下手に手を出すよりも向こうが痺れを切らして我慢出来なくなるのを待つだけだから」
「そんな手緩いことを」
「だから、こっちから仕掛けると色々面倒だから、先手を向こうに譲るの。それだけでも衛兵の対応とか違ってくるとハズだから」
「だがな……」
「いいから待とうよ。多分だけど、これからもこういうことは結構あると思うよ」
「そうなのか? それは何か原因があるのか?」
「……」
不思議そうにしているアオイに「鏡見なよ」と言っても自分の容姿にそれほど興味がないアオイには意味不明だろうなと思い「ハァ~」と嘆息するしかない。でも、アオイが今の容姿を変えるとなれば、それはそれでもったいないと思う自分がいるから面倒だ。
そんな風に地図を見ながらエミリーさんの家の方向へと進みながら途中の屋台を冷やかしたり、タロの鼻に引っかかった物を購入したりとゆっくり歩いていたのだが、ふと地図を見ると俺達への包囲網が段々と狭まっているのが分かった。
「そろそろかな……」
「ふむ、ではあの辺りで座って待つか」
「うん、そうだね」
俺の呟きに対しアオイも相手が焦れているのが分かったのか、中央広場の噴水の前に置かれているベンチを指して座ろうと言う。
アオイの提案に乗り、タロもやっと眠れるとばかりにベンチの方へと向かい、俺とアオイが並んで座りタロは俺の足下で横になる。
すると目の前の方から後ろから着けてきたであろう三人が姿を現す。それと同時に噴水を取り囲む様にチラホラとお仲間らしい集団も現れた。
「おい!」
「アオイ、これ美味しいよ。食べてみなよ。ほら! あ~んして」
「あ~ん……ん、確かに美味いな。コータ、こっちも美味いぞ。ほら、お前もあ~んしろ!」
「え……」
「何を恥ずかしがっているんだ。俺にさせといてお前はしないつもりなのか?」
「おいって!」
「だって、皆見てるし……」
「それは俺だって同じだ。ほら、いいからあ~んしろ。ほら、あ~んだ」
「おいって言ってるだろうが!」
「もう、一回だけだよ」
「ああ、いいから。ほら、あ~ん」
「おい!」
「あ~ん、ん……ホントだ!」
「だろ?」
「手前ら! いい加減にしやがれ!」
「「はい?」」
バカップルを演じていた俺達の前には激昂し顔を真っ赤にした中年のおじさんが立っていた。額は随分と広くなっていて、頭頂部の方まで赤くなっているのが座っていてもよく分かる。横にいるのは少し若くも見えるが、それでも二十代後半くらいだろうか。
そしてその真っ赤な顔をしたおじさんは飛沫を飛ばしながら俺達に絡んでくる。
「さっきから、俺様が声を掛けているのにしっかり無視してくれやがって!」
「そうだぞ!」
「ああ、そんなキレイなお姉さんとそんなことして……もしかしてあんなことやこんなことも……あぁ~」
「「……」」
やっと絡んできたのはいいんだが、いやよくはないのだけど何が言いたいのか、何が目的なのかがサッパリ分からない。なので、こっちから聞いてみる。
「で、おじさんは誰で、俺になんの用なの?」
「お、おじさん……だと!」
「うん、そう。それでおじさんはなんの用なの?」
「お、俺様をおじさんと言うな!」
「え? だって……」
「見るな!」
おじさんがおじさんと言うなと言うので俺はその真っ赤になった頭頂部を不思議そうに見るとおじさんは自分の頭を両手で隠し見るなと言う。
そして横の二人は笑いを堪えるのに必死な様で自分の膝や脇腹を抓っている。
「見るからにおじさんなのにおじさんじゃないってどういうこと?」
「だから、俺様はおじさんじゃない! 単に人より額が広いだけだ! それにこう見えてもまだ二十五歳だ! どうだ、おじさんじゃないだろ!」
「……」
人より額が広いだけって、その額が後頭部にまで広がっていますが、それでも額と言い張るおじさんをある意味リスペクトしてしまうが、問題はそんなことより俺達になんの用があるかなんだが、どうもおじさんはおじさんであることを否定したいが為に目的を忘れているようなんだが。
『肯定します』
だよね。
それでも人が多く行き交う場所はなんとなくだけど楽しくもあるが、少し考えが甘かったかなと思う。
何故かと言えば、アオイの容姿が目立ち過ぎるからだ。特に胸の辺りに視線が集中し過ぎな様な気がしないでもないがとか、そんなことを思っていると後ろからニヤつきながら着いてくる連中に気が付く。
地図を表示し、表示範囲を俺を中心に五十メートルで敵意を持っている連中を赤色で表示すると、後ろに三人。前の路地に五人。周囲にバラバラと五人ほどが俺達の動向に注目していることが分かる。
「手配書は破棄するからと聞いたんだけどな~」
「どうした、コータ?」
「うん、なんでもない」
「そうか、着いて来ている連中をどうにかするのなら、吝かではないぞ」
「え? アオイも気付いていたの?」
「ああ、そりゃアレだけの剥き出しの敵意をこっちに向けられればイヤでも気付くだろ」
「あ~それもそうだね」
「で、どうするんだ?」
「ん、放置で」
「何もしないのか?」
「しないよ」
「だが「待つだけだから」……ん?」
「だから、こっちが下手に手を出すよりも向こうが痺れを切らして我慢出来なくなるのを待つだけだから」
「そんな手緩いことを」
「だから、こっちから仕掛けると色々面倒だから、先手を向こうに譲るの。それだけでも衛兵の対応とか違ってくるとハズだから」
「だがな……」
「いいから待とうよ。多分だけど、これからもこういうことは結構あると思うよ」
「そうなのか? それは何か原因があるのか?」
「……」
不思議そうにしているアオイに「鏡見なよ」と言っても自分の容姿にそれほど興味がないアオイには意味不明だろうなと思い「ハァ~」と嘆息するしかない。でも、アオイが今の容姿を変えるとなれば、それはそれでもったいないと思う自分がいるから面倒だ。
そんな風に地図を見ながらエミリーさんの家の方向へと進みながら途中の屋台を冷やかしたり、タロの鼻に引っかかった物を購入したりとゆっくり歩いていたのだが、ふと地図を見ると俺達への包囲網が段々と狭まっているのが分かった。
「そろそろかな……」
「ふむ、ではあの辺りで座って待つか」
「うん、そうだね」
俺の呟きに対しアオイも相手が焦れているのが分かったのか、中央広場の噴水の前に置かれているベンチを指して座ろうと言う。
アオイの提案に乗り、タロもやっと眠れるとばかりにベンチの方へと向かい、俺とアオイが並んで座りタロは俺の足下で横になる。
すると目の前の方から後ろから着けてきたであろう三人が姿を現す。それと同時に噴水を取り囲む様にチラホラとお仲間らしい集団も現れた。
「おい!」
「アオイ、これ美味しいよ。食べてみなよ。ほら! あ~んして」
「あ~ん……ん、確かに美味いな。コータ、こっちも美味いぞ。ほら、お前もあ~んしろ!」
「え……」
「何を恥ずかしがっているんだ。俺にさせといてお前はしないつもりなのか?」
「おいって!」
「だって、皆見てるし……」
「それは俺だって同じだ。ほら、いいからあ~んしろ。ほら、あ~んだ」
「おいって言ってるだろうが!」
「もう、一回だけだよ」
「ああ、いいから。ほら、あ~ん」
「おい!」
「あ~ん、ん……ホントだ!」
「だろ?」
「手前ら! いい加減にしやがれ!」
「「はい?」」
バカップルを演じていた俺達の前には激昂し顔を真っ赤にした中年のおじさんが立っていた。額は随分と広くなっていて、頭頂部の方まで赤くなっているのが座っていてもよく分かる。横にいるのは少し若くも見えるが、それでも二十代後半くらいだろうか。
そしてその真っ赤な顔をしたおじさんは飛沫を飛ばしながら俺達に絡んでくる。
「さっきから、俺様が声を掛けているのにしっかり無視してくれやがって!」
「そうだぞ!」
「ああ、そんなキレイなお姉さんとそんなことして……もしかしてあんなことやこんなことも……あぁ~」
「「……」」
やっと絡んできたのはいいんだが、いやよくはないのだけど何が言いたいのか、何が目的なのかがサッパリ分からない。なので、こっちから聞いてみる。
「で、おじさんは誰で、俺になんの用なの?」
「お、おじさん……だと!」
「うん、そう。それでおじさんはなんの用なの?」
「お、俺様をおじさんと言うな!」
「え? だって……」
「見るな!」
おじさんがおじさんと言うなと言うので俺はその真っ赤になった頭頂部を不思議そうに見るとおじさんは自分の頭を両手で隠し見るなと言う。
そして横の二人は笑いを堪えるのに必死な様で自分の膝や脇腹を抓っている。
「見るからにおじさんなのにおじさんじゃないってどういうこと?」
「だから、俺様はおじさんじゃない! 単に人より額が広いだけだ! それにこう見えてもまだ二十五歳だ! どうだ、おじさんじゃないだろ!」
「……」
人より額が広いだけって、その額が後頭部にまで広がっていますが、それでも額と言い張るおじさんをある意味リスペクトしてしまうが、問題はそんなことより俺達になんの用があるかなんだが、どうもおじさんはおじさんであることを否定したいが為に目的を忘れているようなんだが。
『肯定します』
だよね。
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