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第一章 ようこそ異世界へ
第九話 なりたいのは冒険者
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ジュリの話を聞いていたラフィだが、段々と瞼が重くなってきたのを感じていたら、ジュリから「では、この辺りで」と話を打ち切られると、ラフィはジュリに抱え上げられベッドの上に寝かせられる。
「では、お昼寝が終わる頃に窺いますので……お休みなさいませ」
「ん……すぅすぅ……」
「ふふふ、いい夢を見て下さいね」
ジュリはラフィの部屋からそっと出ると「どうか、ラミリア様にバレませんように」と祈るのだった。
「ん! ふぁ~あ……よく寝たな~やっぱり、この体じゃ一日は保たないか。でも寝るのは嫌いじゃないしこれもまた良しだね」
ベッドの上で身を起こしそんなことを思っていると部屋の扉をノックする音が聞こえたので「どうぞ」と返事をすると、扉を開けてジュリが入ってくる。
「起きていましたかラフィ様」
「うん、ついさっきね」
「そうですか。では、御髪を整えますのでこちらへよろしいですか」
「うん、お願い」
ラフィはジュリが引いた椅子に座るとそのままジュリに身を任せる。
やがてジュリがラフィの身だしなみを整え終わると、何をしましょうかと聞いてくる。
「え? この後は何もないの?」
「はい。ご夕食までは、後一,二時間程度ですが、特にご予定はありませんので」
「そうなんだ。じゃあ「しませんよ」……まだ、何も言ってないよ」
「先程の話の続きをと……言いたいんじゃないんですか?」
「そう! よく分かったね」
「分かりますよ」
「じゃ「しませんよ」……えぇ、どうして?」
「……言いますよね」
「ん? 何を?」
「だから、冒険者になりたいって奥様に言いますよね」
「え? 言わないよ」
「いいえ、言います!」
「そんなことないって!」
「では、何になりたいのかって聞かれたらなんて答えますか?」
「そりゃ、もちろん冒険者……あ!」
「ほら、やっぱり……もし、そんなことがラミリア様のお耳に入ったら私は、このお屋敷にいられなくなります!」
「そんな、大袈裟な……」
「いいえ! 絶対にそうなります! だってラミリア様のラフィ様に対する溺愛っぷりは凄いんですから!」
「え~そうかなぁ~僕にはそんな風には「いいえ、間違いありません!」……そうなの?」
「はい、そうなんです!」
ジュリはラフィがラミリアに溺愛されていると言うが、ラフィ本人はそんな風に感じたことは全くない。それに記憶が戻り、三歳までのラフィの記憶が融合された今でもそんな風に感じた記憶が全くなかったので、ラフィとしては断言出来るのだが、ジュリは頑なに譲らない。
「ふ~ん、例えば?」
「例えば……ですか?」
「そう、僕としては母様からそういう風に思われているとは思えないんだけど、ジュリは僕と違うところが見えているんでしょ」
「ええ、そうです」
「なら、それを教えて欲しいんだけど」
ラフィはラミリアからそういう態度を受けたことがないので、ジュリに対し具体的に教えて欲しいと言うとジュリは少し難しい顔をする。
「……そういうことですか。分かりました。ですが、一つお約束していただけますか?」
「約束?」
「はい、私から聞いたとラミリア様に内密にしていただきたいのです」
「それはいいけどさ」
「なんでしょうか?」
「今、僕と密な付き合いをしているのはジュリだけだよ。だから、どう頑張っても真っ先に疑われるのはジュリにしかならないよ」
「あ~そうでした……確かにラフィ様の言う通りですね」
ジュリは自分から聞いたと決して言わないで欲しいと懇願するがラフィの側にはいつもジュリがいるしラフィもジュリ以外と話すことはほとんどないのだ。だから、ジュリが私から聞いたと言わないで欲しいと言ったところでラフィが誰から聞いたのかは言わずとも察することが出来るというものだ。そしてジュリもそれに気付き項垂れてしまう。その様子を見てラフィはジュリに対して約束をすると宣言する。
「うん、でも安心して。絶対に母様からジュリに対しては何もしないようにお願いするから」
「……本当に?」
「うん!」
「本当に私を守ってくれるんですね?」
「うん、もう疑り深いな」
「疑り深くもなります! 私、このお屋敷から追い出されたら路頭に迷うことになるんですから!」
「そんな、大袈裟な」
「ラフィ様は分かっていません!」
「え? どういうこと?」
ラフィがジュリの身の安全を保証すると言ってもジュリは本当ですかと執拗にラフィに確認してくるのでラフィもその様子に辟易としながらも対応するが、分かっていないと叱られてしまう。
「ですから、伯爵家のお屋敷から追い出されるということは、それなりに何らかの罪を犯したハズだと世間一般の方は思うわけです」
「えぇ~」
「ですから、例え私の実家であってもそういうレッテルを貼られた私を家に入れることはありませんし、何らかの手助けを行うこともしないでしょう」
「ウソ、マジ?」
「ええ、大マジです。しかもそういう曰く付きの女が男性から好意を持たれたとしても、そういう事情が分かった瞬間に捨てられます。ええ、それはもうこっ酷く捨てられます」
「うわぁ~」
「お分かり頂けましたか?」
「うん、もう十二分に」
「そうですか。では、お約束は確かにして頂けるのでしょうか」
「……」
「ラフィ様?」
「考えさせてもらってもいいかな?」
「いいえ、ダメです」
余りにも話の内容が重くなったのでジュリに対し守るのは難しいかなと思い考える猶予をもらおうとしたのだが、ラフィに対しジュリはダメだと言う。
「え? あれ? どうしてかな? さっきと立場が逆転しているような気がするんだけど?」
「ええ、私もさっき気が付いたんですけど、ラフィ様が冒険者になりたいと言った場合のことを失念していました。もう、これはラフィ様の口からいつかは漏れることが確定していますので、今この場で私を守ると約束していただきたいのです」
「え~そんな大袈裟な……」
「ラフィ様、今一番なりたいのは?」
「それはもちろん冒「ほら、やっぱり!」険者……ちょ、今のは引っ掛けでしょ。やり直しを求めます!」
「いいえ、さっきのが旦那様やラミリア様の前で言われるのは確定事項です。ですから、何卒私を守ると断言して下さい。お願いします!」
「……えぇ~すっごく重いんですけど」
「当たり前です! こんなことで婚期を逃したくはありませんので!」
「あ~そっち……」
「では、お昼寝が終わる頃に窺いますので……お休みなさいませ」
「ん……すぅすぅ……」
「ふふふ、いい夢を見て下さいね」
ジュリはラフィの部屋からそっと出ると「どうか、ラミリア様にバレませんように」と祈るのだった。
「ん! ふぁ~あ……よく寝たな~やっぱり、この体じゃ一日は保たないか。でも寝るのは嫌いじゃないしこれもまた良しだね」
ベッドの上で身を起こしそんなことを思っていると部屋の扉をノックする音が聞こえたので「どうぞ」と返事をすると、扉を開けてジュリが入ってくる。
「起きていましたかラフィ様」
「うん、ついさっきね」
「そうですか。では、御髪を整えますのでこちらへよろしいですか」
「うん、お願い」
ラフィはジュリが引いた椅子に座るとそのままジュリに身を任せる。
やがてジュリがラフィの身だしなみを整え終わると、何をしましょうかと聞いてくる。
「え? この後は何もないの?」
「はい。ご夕食までは、後一,二時間程度ですが、特にご予定はありませんので」
「そうなんだ。じゃあ「しませんよ」……まだ、何も言ってないよ」
「先程の話の続きをと……言いたいんじゃないんですか?」
「そう! よく分かったね」
「分かりますよ」
「じゃ「しませんよ」……えぇ、どうして?」
「……言いますよね」
「ん? 何を?」
「だから、冒険者になりたいって奥様に言いますよね」
「え? 言わないよ」
「いいえ、言います!」
「そんなことないって!」
「では、何になりたいのかって聞かれたらなんて答えますか?」
「そりゃ、もちろん冒険者……あ!」
「ほら、やっぱり……もし、そんなことがラミリア様のお耳に入ったら私は、このお屋敷にいられなくなります!」
「そんな、大袈裟な……」
「いいえ! 絶対にそうなります! だってラミリア様のラフィ様に対する溺愛っぷりは凄いんですから!」
「え~そうかなぁ~僕にはそんな風には「いいえ、間違いありません!」……そうなの?」
「はい、そうなんです!」
ジュリはラフィがラミリアに溺愛されていると言うが、ラフィ本人はそんな風に感じたことは全くない。それに記憶が戻り、三歳までのラフィの記憶が融合された今でもそんな風に感じた記憶が全くなかったので、ラフィとしては断言出来るのだが、ジュリは頑なに譲らない。
「ふ~ん、例えば?」
「例えば……ですか?」
「そう、僕としては母様からそういう風に思われているとは思えないんだけど、ジュリは僕と違うところが見えているんでしょ」
「ええ、そうです」
「なら、それを教えて欲しいんだけど」
ラフィはラミリアからそういう態度を受けたことがないので、ジュリに対し具体的に教えて欲しいと言うとジュリは少し難しい顔をする。
「……そういうことですか。分かりました。ですが、一つお約束していただけますか?」
「約束?」
「はい、私から聞いたとラミリア様に内密にしていただきたいのです」
「それはいいけどさ」
「なんでしょうか?」
「今、僕と密な付き合いをしているのはジュリだけだよ。だから、どう頑張っても真っ先に疑われるのはジュリにしかならないよ」
「あ~そうでした……確かにラフィ様の言う通りですね」
ジュリは自分から聞いたと決して言わないで欲しいと懇願するがラフィの側にはいつもジュリがいるしラフィもジュリ以外と話すことはほとんどないのだ。だから、ジュリが私から聞いたと言わないで欲しいと言ったところでラフィが誰から聞いたのかは言わずとも察することが出来るというものだ。そしてジュリもそれに気付き項垂れてしまう。その様子を見てラフィはジュリに対して約束をすると宣言する。
「うん、でも安心して。絶対に母様からジュリに対しては何もしないようにお願いするから」
「……本当に?」
「うん!」
「本当に私を守ってくれるんですね?」
「うん、もう疑り深いな」
「疑り深くもなります! 私、このお屋敷から追い出されたら路頭に迷うことになるんですから!」
「そんな、大袈裟な」
「ラフィ様は分かっていません!」
「え? どういうこと?」
ラフィがジュリの身の安全を保証すると言ってもジュリは本当ですかと執拗にラフィに確認してくるのでラフィもその様子に辟易としながらも対応するが、分かっていないと叱られてしまう。
「ですから、伯爵家のお屋敷から追い出されるということは、それなりに何らかの罪を犯したハズだと世間一般の方は思うわけです」
「えぇ~」
「ですから、例え私の実家であってもそういうレッテルを貼られた私を家に入れることはありませんし、何らかの手助けを行うこともしないでしょう」
「ウソ、マジ?」
「ええ、大マジです。しかもそういう曰く付きの女が男性から好意を持たれたとしても、そういう事情が分かった瞬間に捨てられます。ええ、それはもうこっ酷く捨てられます」
「うわぁ~」
「お分かり頂けましたか?」
「うん、もう十二分に」
「そうですか。では、お約束は確かにして頂けるのでしょうか」
「……」
「ラフィ様?」
「考えさせてもらってもいいかな?」
「いいえ、ダメです」
余りにも話の内容が重くなったのでジュリに対し守るのは難しいかなと思い考える猶予をもらおうとしたのだが、ラフィに対しジュリはダメだと言う。
「え? あれ? どうしてかな? さっきと立場が逆転しているような気がするんだけど?」
「ええ、私もさっき気が付いたんですけど、ラフィ様が冒険者になりたいと言った場合のことを失念していました。もう、これはラフィ様の口からいつかは漏れることが確定していますので、今この場で私を守ると約束していただきたいのです」
「え~そんな大袈裟な……」
「ラフィ様、今一番なりたいのは?」
「それはもちろん冒「ほら、やっぱり!」険者……ちょ、今のは引っ掛けでしょ。やり直しを求めます!」
「いいえ、さっきのが旦那様やラミリア様の前で言われるのは確定事項です。ですから、何卒私を守ると断言して下さい。お願いします!」
「……えぇ~すっごく重いんですけど」
「当たり前です! こんなことで婚期を逃したくはありませんので!」
「あ~そっち……」
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