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第三章 ようこそ、エルフの国へ

第七話 様子見で

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エルフの国から、獣人の国の王城へと戻ってきた想太達。
「ハァ~やっと解放される」
朝香は特撮ヒーロースーツから、普段着へと変わり、想太も同じ様に特撮ヒーロースーツから解放される。

「では、ソウタ殿。もうしばらくお付き合い頂けますか」
宰相に案内され、応接室のような場所へ通される。

応接室に入ると、ソファを進められたので、想太と朝香は並んで座る。
「話は何?」
想太がそう言って話を切り出すと宰相は軽く咳払いをしてから、話し出す。
「先程、奴隷達を一箇所に集めるということをお話していましたが、それは私共獣人の奴隷も一緒ということでしょうか?」
「うん、そのつもり」
「……」
「それが、どうしたの?」
「その考えを変えるつもりはありませんか?」
「ないよ」
「ですが、我々獣人は奴隷になっていたとはいえ、仲間を見捨てることはありません!」
宰相はそう言うが、想太は首を振る。

「ニャルさん。本当にそう思う?」
「私は仲間を信じます!」
「でも、奴隷にされていた方はどうかな?」
「それはどういうことですか?」
「さっき、エルフのお姫様が記憶を取り戻した時の様子は見てたよね?」
「……」
「それでもそう言える?」
「……」
「信じているんじゃないの?」
「そうですね、あの人の様子を見ると、奴隷にされた者達の気持ちが分かる気がします。確かにそんな奴隷にされた者の気持ちを考えると、普通の暮らしに慣らす期間が必要だと思えます。ですが……それでも、私は信じたい!」
「無理!」
「何が無理なんですか!」
「だって、奴隷にされた人に対してはどうやったって『可愛そう』って気持ちは消えないよ」
「そんなことはない!」
「だから、無理だって」
「なぜ、そう言えるんですか!」
「だって、泣いてるじゃない」
「え?」

想太が指摘したように宰相であるニャルは泣きながら、想太に訴えていたのだ。
指摘されたニャルも自分の頬を伝う涙に気付く。

「ね、泣いているってことは可愛そうだと同情する気持ちがあるからだよね」
「わ、私はそんなことは……」
「宰相様、私も気持ちは分かりますが、ソウタ殿の言うことも一理あります」
「そうですね。彼らもいきなり元の生活に戻るのは難しいでしょう」
「お前達……」

「じゃあさ、皆を助けたら、様子見に行けばいいよ。そして、実際に一人一人と話してから決めればいいんじゃないの」
「だが……」
「宰相様、そうしましょう。そんなに急いで答えを出す必要はないと思います」
「そうですよ。まずは我々の仲間が救えることを喜びましょう」
「分かった。そうだな……ソウタ殿、頼みます」
「分かったよ。じゃあ、また来るね」
「またね!」

そう言うと想太は朝香と共に転移する。

「あ! そう言えばライオは……」

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