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第四章 ようこそ、新天地へ

第六話 後は頼みました

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 奴隷狩りが元奴隷達の手で裁かれ、物言わぬ体になり山盛りにされたモノを元奴隷達が黙って見ている。

「山盛りにする必要はあったの?」
「だって、どうせ向こうに捨てるのなら穴を掘るのも二度手間じゃない」
「まあ、そうだけどさ……ホントにやるのね」
「うん、するよ。でも、その前に……」

 想太は元奴隷達を見る。中には疲れ切った顔をしているのもいれば、どこかやりきった感じの男もいる。だけど、まだ気が済まないのか、つまらなさそうな顔をしている者もいる。

「じゃあ、これから後始末するんだけど、もう未練はないよね。まあ、未練があると言われても死んじゃっているからね」
「……」
「復讐がこれで終わりとは言わないけど、一つは済んだと思えばいい。もし、元を絶ちたいのならいくらでも協力はする。でも、今はここでの暮らしを楽しんでほしい」
「「「……」」」
「その顔は納得してない顔だね。でもね、あんた達は元奴隷でどこに行っても身分を保障する物も先立つ物もないでしょ。でも、生きているんだから。今はそれだけでもヨシとしてよ」
「「「……」」」
「もし、それでもここに居たくないというなら、相談には乗るよ。でも、俺はこの島から出すことはしてもお金は出さないし、それ以上の世話をすることはないからね」
「じゃあ……なんで助けた」
「なんでって、なら助けない方がよかったの?」
「……それは」

 奴隷狩りに対し復讐が終わってもどこかスッキリしていない連中が想太達に対し、何か言いたそうにしていたので、想太は出て行きたいのなら連れ出してやるというが、その先を世話することはないと言えば、それも面白くなさそうだ。

 想太からすれば、命が助かり、無理な労働を強いられることもなく、暴力を振るわれることもないのだから、先ずはそれを嬉しいと思って欲しいところだが、元奴隷達からすれば、諦めていた所に光が射し込んで来たので欲が出たのだろう。

「まあ、いいや。じゃあ、ライオさん。後は頼むね」
「いや、待て。いきなり、言われても困るぞ」
「困るって言われても困るんだけど?」
「だが、そう言われてもな。ワシは戦うことしか知らない男だ。メシを作ることも土を耕すことも知らん!」
「知らん! って、そうハッキリ言われてもねぇ~」
「あのぉ~」
「ん?」

 想太がライオに後の世話を頼むと言えば、ライオはそれはムリだと言う。ならどうするのかと想太とライオが考えていると一人の元奴隷が想太達に声を掛けるので、どうしたのかと問い掛ける。

「あのぉ私……以前は畑を耕していまして……奴隷狩りに捕まってからも農奴として働かされていましたので、多少は分かります。はい」
「ほら、ライオさん。助けてくれるってさ」
「助けるって、言われてもな~」
「もう、そういう所でしょ。助けるって言ってるんだから、素直に助けてもらえばいいじゃない。ほら、ライオさんには出来ないことをやってもらうんだから。先ずはすることがあるでしょ」
「ワシがすること?」
「そう、ほら。『ありがとう、お願いします』ってお礼を言わないと」
「ワシが? お礼を?」
「もう、分からない人だな。そんなんだから、って言われて地下に閉じ込められるんだよ」
「ぐっ……それを言うなよ」
「なら、分かるでしょ」

 想太の言葉にライオは声を掛けてきた男に向かい「ありがとう。助けてくれ」と頭を下げた。

 すると、別の所から手が上がる。

「今度は何?」
「あの……私は奴隷達を纏める役を任されていました。奴隷狩りに捕まる前は商店の番頭を任されていました」
「ほら、ライオさん。今度は人事を纏めてくれる人が出て来たよ。ほら!」
「ああ、助かる」

 するとあちこちから声が上がる。

「なら、ライオさん。ちゃんと必要な物とか足りない物とか纏めてね」
「ああ……」
「分かりました。それは私が纏めます」

 想太がライオに言うと、さっき声を掛けてきた男が自分が纏めるからと言うので、想太はその場を任せることにした。

「じゃあ、ここ二,三日で必要な物、長期的に必要な物で分けてもらえると助かるかな」
「分かりました。あと、私の名はグレムと言います」
「分かった。グレムさん頼むね」
「はい」

 想太はライオ達のことはライオに任せ、骸となった奴隷狩り達を異空間収納へと収納すると「行ってくるね」と朝香に声を掛けると大きく跳躍し、オーク達がいる島へと降り立つ。

「ここじゃ向こうから丸見えだから、影になるところに移動してから出そうかな」

 オーク達に殴られながら想太は、そのままライオ達から見えないように島の影へと回ると異空間収納から死体を取り出せば、何も反応しない想太ではなくご馳走奴隷狩りへと群がる。
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