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第5話 まずはこの国から出る!
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恒は明良達を抱えたまま、自分達が軟禁されていた部屋の上空五十メートルまで転移した。
「うわぁ~ちょっと高すぎたかな、こりゃ」
「おい、恒。どうなってんだ? って、どこだよ、ここは!」
「きゃっ、床がない!」
「へ~以外と平気なもんだね」
恒に抱えられたままの状態で明良、由香、久美がそれぞれの感想を言うと、恒が今の状況を説明する。
「ここはアノ場所から上空五十メートルの位置。『転移』だと行った場所しかダメだけど、距離指定ならイケるって話だったから、とりあえずここにしたんだけど、いつまでもここにいられないから、どこかに行かないとダメなんだけど、そうだな。まずはアソコに行こうか」
「「「アソコ?」」」
「そう、アソコ。ほら、アソコに高い山が見えるでしょ? アソコなら、ここの連中も追い掛けてくるのは時間が掛かると思うんだ。ってことで『転移』!」
「「「ひゃっ!」」」
恒達が消えた場所ではあの偉そうに話していた男が回りにいた衛兵に問い掛ける。
「どういうことだ?」
「どういうことだと言われましても……衛兵がアイツらの腕を掴もうとした寸前に消えました。それしか分かりません」
「消えただと!」
「はい。確かに消えました。私達の目の前で」
男の側にいた衛兵がそう答えると、男は腕を組み考え込む。
「司祭様、どうしましょうか?」
「消えたのは何人だ?」
「確か、四人です」
「四人か。四人なら、残りの連中でもイケるか」
「ええ、多分」
「なら、取り敢えず消えた連中は放置する。どうせ、何も知らないこの世界ではそう長くは保たないだろう。いずれ、ここへ泣きついてくるに違いない」
「はっ、分かりました」
司祭と言われた男は消えた恒達のことは取り敢えず放置することに決め、残されたクラスメイトの元へと向かう。
「さてと。残された連中の中に有効なスキルを持つ者がいればいいがな」
「司祭様。これだけ残っているんですから。きっといますよ」
「そうだといいがな。もしいなかったら、消えた連中がそうかもしれないな」
「それはそうかもしれませんが、まずはこやつらのスキルを調べます」
「ああ、そうしてくれ」
山頂に転移した恒達は、足が地面に着いたことでホッとする。
「寒っ! 地面に足が着いたのはいいけど、少し寒くないか」
「そうだよ。わ、恒。女の子は体を冷やしちゃダメなんだよ」
「ねえ、恒。あそこに洞窟があるよ。あそこなら少しは寒さも和らぐんじゃない?」
「「「洞窟?」」」
「そう、ほら! あそこにあるでしょ」
そう言って、久美が指を差す方向には確かに洞窟があった。確かに洞窟でなら風をさけることも出来るだろうと恒達四人は洞窟を目指し歩く。
「なあ、明良。これって洞窟かな」
「どういう意味だ恒?」
「だってさ、これって入口の高さだけで五メートルはあるんじゃない。洞窟っていうよりはトンネルっぽいんだけど。それにこれだけ広いと寒さも凌げない気がするし。それにさ、なんだか生臭いんだよね」
「生臭い? そうか?」
「そうだよ、明良。それに山の中の洞窟ってさ、普通なら熊とかが住み着いているよね」
明良に恒が質問し、由香がそれを引き継ぐ形で何が住み着いているのかもと考察する。そして、それに対し明良も頷く。
「そうだな」
「それにここは異世界でしょ。多分、魔物とかもいるよね」
「かもな」
「じゃあさ、これだけの大きさの入口で生臭いってなると、どんな魔物だと思う?」
「これだけの大きさだとゴブリンクラスじゃないよな」
「だよね。恒ならなんだと思う?」
由香からの質問に恒が自分なりの考えを話す。
「そうだなオークには大きすぎるし、オーガにも大きいかな。それにオークもオーガも山頂じゃなくてもっと麓寄りだろうな。その辺も含めて、人が寄りつかない頂上付近に巣を構える魔物となると……」
「「「なると?」」」
「龍だろうな」
「「「龍!」」」
『当ったり~!』
「え? そうなの?」
「恒? どうしたの?」
ラノベの知識から引っ張ってきた恒が推測した一つの答えに対し、ミモネが肯定する。
「いや、まあそれはあとで話すけど。イヤな予感の方が当たったみたい」
「イヤな予感?」
「それって、まさか……」
「まさかなの?」
『誰じゃ! ワシの寝床で騒ぐのは?』
「「「「え?」」」」
恒達が声のした方を振り向くと、洞窟の奥の方で何やら眼のような物が金色に輝く。そして、それと同時に生臭く温い風が恒達を覆う。
「「「「臭っ!」」」」
『なんじゃ、これでも身だしなみには気を付けている方なんじゃがな』
そう言って、金色の眼がゆっくりと闇の中で動くと、のそりと恒達の方へと向かって来る。
「「恒、怖い!」」
由香と久美が恒の背後へと隠れる。明良はその場に立ち尽くしたままだ。
恒達の前に姿を現したのは、真っ黒な色をした龍だった。
そして、恒達に向かって話しかける。
『ふむ、お前達はワシの声は聞こえるかな?』
「聞こえている」
『なら、まずは話そうじゃないか。ワシとて無闇矢鱈に暴力を振るう訳じゃない』
「分かりました。では、話します。俺達四人は……」
「うわぁ~ちょっと高すぎたかな、こりゃ」
「おい、恒。どうなってんだ? って、どこだよ、ここは!」
「きゃっ、床がない!」
「へ~以外と平気なもんだね」
恒に抱えられたままの状態で明良、由香、久美がそれぞれの感想を言うと、恒が今の状況を説明する。
「ここはアノ場所から上空五十メートルの位置。『転移』だと行った場所しかダメだけど、距離指定ならイケるって話だったから、とりあえずここにしたんだけど、いつまでもここにいられないから、どこかに行かないとダメなんだけど、そうだな。まずはアソコに行こうか」
「「「アソコ?」」」
「そう、アソコ。ほら、アソコに高い山が見えるでしょ? アソコなら、ここの連中も追い掛けてくるのは時間が掛かると思うんだ。ってことで『転移』!」
「「「ひゃっ!」」」
恒達が消えた場所ではあの偉そうに話していた男が回りにいた衛兵に問い掛ける。
「どういうことだ?」
「どういうことだと言われましても……衛兵がアイツらの腕を掴もうとした寸前に消えました。それしか分かりません」
「消えただと!」
「はい。確かに消えました。私達の目の前で」
男の側にいた衛兵がそう答えると、男は腕を組み考え込む。
「司祭様、どうしましょうか?」
「消えたのは何人だ?」
「確か、四人です」
「四人か。四人なら、残りの連中でもイケるか」
「ええ、多分」
「なら、取り敢えず消えた連中は放置する。どうせ、何も知らないこの世界ではそう長くは保たないだろう。いずれ、ここへ泣きついてくるに違いない」
「はっ、分かりました」
司祭と言われた男は消えた恒達のことは取り敢えず放置することに決め、残されたクラスメイトの元へと向かう。
「さてと。残された連中の中に有効なスキルを持つ者がいればいいがな」
「司祭様。これだけ残っているんですから。きっといますよ」
「そうだといいがな。もしいなかったら、消えた連中がそうかもしれないな」
「それはそうかもしれませんが、まずはこやつらのスキルを調べます」
「ああ、そうしてくれ」
山頂に転移した恒達は、足が地面に着いたことでホッとする。
「寒っ! 地面に足が着いたのはいいけど、少し寒くないか」
「そうだよ。わ、恒。女の子は体を冷やしちゃダメなんだよ」
「ねえ、恒。あそこに洞窟があるよ。あそこなら少しは寒さも和らぐんじゃない?」
「「「洞窟?」」」
「そう、ほら! あそこにあるでしょ」
そう言って、久美が指を差す方向には確かに洞窟があった。確かに洞窟でなら風をさけることも出来るだろうと恒達四人は洞窟を目指し歩く。
「なあ、明良。これって洞窟かな」
「どういう意味だ恒?」
「だってさ、これって入口の高さだけで五メートルはあるんじゃない。洞窟っていうよりはトンネルっぽいんだけど。それにこれだけ広いと寒さも凌げない気がするし。それにさ、なんだか生臭いんだよね」
「生臭い? そうか?」
「そうだよ、明良。それに山の中の洞窟ってさ、普通なら熊とかが住み着いているよね」
明良に恒が質問し、由香がそれを引き継ぐ形で何が住み着いているのかもと考察する。そして、それに対し明良も頷く。
「そうだな」
「それにここは異世界でしょ。多分、魔物とかもいるよね」
「かもな」
「じゃあさ、これだけの大きさの入口で生臭いってなると、どんな魔物だと思う?」
「これだけの大きさだとゴブリンクラスじゃないよな」
「だよね。恒ならなんだと思う?」
由香からの質問に恒が自分なりの考えを話す。
「そうだなオークには大きすぎるし、オーガにも大きいかな。それにオークもオーガも山頂じゃなくてもっと麓寄りだろうな。その辺も含めて、人が寄りつかない頂上付近に巣を構える魔物となると……」
「「「なると?」」」
「龍だろうな」
「「「龍!」」」
『当ったり~!』
「え? そうなの?」
「恒? どうしたの?」
ラノベの知識から引っ張ってきた恒が推測した一つの答えに対し、ミモネが肯定する。
「いや、まあそれはあとで話すけど。イヤな予感の方が当たったみたい」
「イヤな予感?」
「それって、まさか……」
「まさかなの?」
『誰じゃ! ワシの寝床で騒ぐのは?』
「「「「え?」」」」
恒達が声のした方を振り向くと、洞窟の奥の方で何やら眼のような物が金色に輝く。そして、それと同時に生臭く温い風が恒達を覆う。
「「「「臭っ!」」」」
『なんじゃ、これでも身だしなみには気を付けている方なんじゃがな』
そう言って、金色の眼がゆっくりと闇の中で動くと、のそりと恒達の方へと向かって来る。
「「恒、怖い!」」
由香と久美が恒の背後へと隠れる。明良はその場に立ち尽くしたままだ。
恒達の前に姿を現したのは、真っ黒な色をした龍だった。
そして、恒達に向かって話しかける。
『ふむ、お前達はワシの声は聞こえるかな?』
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