私がサポートします。だから、死なないで下さい!

ももがぶ

文字の大きさ
6 / 53

第6話 そんな召喚理由

しおりを挟む
『待て。話をする前にだ。このままじゃお前達が話しづらかろう』
 恒達の目の前にいた黒龍が一瞬光ったかと思うと、そこには黒髪で長髪、百九十センチメートルはあろうかという筋骨隆々の冒険者風の服を着た男がそこにいた。
「どうだ? これなら問題なかろう」
「「「「……」」」」
「どうした? どこかおかしなところがあるのか?」
 人化した黒龍が自分の変化した姿に四人が何も言えないでいると黒龍はどこかおかしなところがあるのかと恒に尋ねる。
「あ! いえ、そうではなくてですね。確かにあのままじゃあなたの顔が高い位置にあったので話しづらかったのは確かなので、今の状態は有り難いのですが、俺達はあなたが『人化』が出来ることに驚いているだけで。別に他意があって何も言わなかった訳じゃなくてですね」
「まあ、そういうことならいい。だが、その話し方は止めてくれ。この世界での冒険者達の間では滅多に敬語は使わん」
「分かりま……分かった。これでいい?」
 黒龍から敬語を使う必要はないと言われ、恒は了解したことを黒龍に言おうとして敬語になってしまったのを慌てて言い直す。
「ああ、いいぞ。それとワシの名はドリーだ。よろしくな」
「よろしく。俺は恒。彼は明良、そして由香に久美」
「「「よろしく」」」
「ああ。それで、なんでこの世界に渡って来たんだ?」
「え! 分かるの?」
 ドリーに、この世界とは違う世界から来たことを指摘されたことに恒は驚く。
「分かるさ。多少は鑑定も使えるが、まずはお前達の格好、それにワシの姿……龍であるワシを見てもそれほど驚かずにいただろ。この近辺じゃ、この山の頂上まで登って来る物好きもおらんしの。それにそんな格好をした連中を以前に見たことがある」
「そうなんだ。ここまで人が登って来ないのは、ドリーがいるから?」
「ああ、そうだ。この世界では龍は食物連鎖の頂上てっぺんだからな。まあ、ワシは人は喰わんのだがな。いくらワシが言うても龍の姿のままじゃ、会話も出来んかった」
「あれ? でも俺とは会話出来たじゃない?」
「ソレはお前のスキル『異世界言語理解』のお陰だ」
「え? これってヒト限定じゃないの?」
「正確には意思を持って会話出来る相手だな。だから、唸り声しか出せん獣や魔物相手には無理だぞ」
「やっぱり、魔物っているんだ」
「ああ、いるぞ。さすがにここら辺はワシを怖がって来るのは皆無だ」
「そうなんだ」
 明良はドリーと恒の会話からやっぱり魔物がいることに驚くが、龍がいるんだから別に驚くことでもないかと軽く納得する。
「それで?」
「ん? それでって?」
 ドリーから話を促された恒はなんのことかとドリーに聞き返す。
「だから、お前達がここ。ワシの洞窟に足を踏み入れた理由だよ」
「ああ、そうだったね。じゃあ、折角だからさ。明良達も聞いてよ」
「なんでだ? 俺達が聞く必要あるか?」
「そうだよ。まあ、私は聞くけどね」
「でも、恒が話す内容は私達のことでしょ。特に聞く必要はないと思うけど?」
 明良、由香、久美は恒の話を無理して聞くよりは他のことがしたいようだが、こんなところで何をするつもりなんだろうか。
「そう? じゃあ、これを見てもそんなことが言えるかな。ミモネ、出て来て」
『え~どうしよっかな~』
「ミモネが出てこないと明良達が話を聞いてくれないでしょ」
『分かったわよ。これでい「「きゃ~ナニコレ! 可愛い!」」……ちょっと、離しなさいよ!』
「由香、久美、離して! 可愛そうでしょ!」
「「は~い……」」
 ミモネが明良達にも見えるようにと姿を現した瞬間に由香と久美に捕獲されてしまい、もみくちゃにされているのを恒に咎められ、由香達はミモネを解放する。
『もう、非道いことするわね。ワタル、こんな乱暴な女達との付き合いはちょっと考えた方がいいわよ』
「うん、分かった。考えとくよ」
「「そんな! 恒ぅ~」」
「あ~もう、話が進まないから、ちょっと離れて」
「「……は~い」」
 由香と久美が不満そうに恒から少し離れた位置に座ると明良が恒に聞いてくる。
「なあ、恒。お前、そんなフィギュアを持ち歩いていたのか?」
『その辺の雑な作りの人形と一緒にするな!』
「え? 喋ったの? これが?」
 明良の顔の近くで憤慨するミモネに明良は驚くが、ミモネの怒りは収まるはずもなく、明良の顔にミモネが拳を叩き込もうとしたところで、恒に抑えられる。
『離せよ! ワタル。僕はこいつが許せないんだ! 一発、殴らせろよ!』
「いいから、話が進まないでしょ。明良も座って。少しだけ話が長くなるから。ドリーもね」
「話が長いのは眠くなるから嫌いなんだけど」
「ワシもだ」
 二人の物言いにハァ~と嘆息しつつ、それでも聞いてもらうからと恒は女神であるイスカに会った話から始める。
「そういう訳で、このミモネは俺をサポートしてくれる為に女神であるイスカが着けてくれた精霊なの。ここまではいい?」
「「よく分からん」」
 明良とドリーは話は聞いてくれたが、理解するのは放棄したようだ。
「ちょっと待って! じゃあ、恒は一万と一回目の異世界転移ってことなの?」
「なら、私達もそれを体験していることになるじゃない!」
「まあ、そういうことになるね」
 由香と久美はある程度は理解してくれたが、まさか自分達まで一万と一回の異世界転移を経験しているとは思わなかったようだ。
「でも、私は何も覚えていないのに恒は今までのことを覚えているっていうの?」
「ああ、さすがに全部じゃないけどな。大体はあの男に呼ばれてボーッとしたまま連れて行かれた先で鑑定され、役立たずの判定をされて奴隷として売られて、その先はず~っと鑑定の日々っていうのが一番、多いな」
「「「……」」」
「あとは、すぐに反抗して斬り殺されたり、奴隷になってから理不尽なことで殺されたり、面白半分で殺されたり、魔物から逃げるためのエサにされたり「もういいから!」……そうか」
 恒が覚えている限りのこれまでの異世界転移で体験したことを話すと顔中をぐしゃぐしゃにした由香が泣きながら恒に話を止めてくれと言う。
「分かったから、恒がされてきたことは分かったから。もう話さないでいいよ」
「ああ、恒。悪かったな。あそこにあのままいたら、俺達も奴隷になって誰かにいいように使われていたんだろうな」
「でもさ、なんで恒がそんな特異点みたいな存在なの?」
「さあな。俺もそのことは詳しくは聞いていない。まあ、あっちでも原因は分かっていないが、なんとなく俺だってことが分かっているだけらしい。だから、こんなおまけを着けてくれた訳だ」
 そう言って恒は自分の肩に乗るミモネを摘まんで久美の顔の前に出す。
『う~やめろよ~掴むなよ~』
「ふむ。あの国がワタル達を召喚したんだな。それにしてもアイツら、まだ諦めきれんのか」
 恒の話を聞いたドリーは思い当たる節があるらしく恒達を召喚した国に対し憤慨する。
「ドリーは俺達を召喚した国のこと詳しいの?」
「ああ、イヤでも詳しくなったわい!」
「どゆこと?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

ma-no
ファンタジー
 神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。  その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。  世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。  そして何故かハンターになって、王様に即位!?  この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。 注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。   R指定は念の為です。   登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。   「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。   一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...