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連載
◆色々分かっちゃいました
リーサさんに抱き付き、ひとしきり泣いてしまったことを恥ずかしく思いつつ顔を上げるとリーサさんが微笑んでいた。
「ケイン、もういいのか?」
「うん、リーサさんありがとう」
「ふふふ、いいさ。これくらいなら、いつでも歓迎だ。しかし、ケインも子供だったんだな~と改めて思ってしまったよ。だが、一人で色々考えたくなる内容だとは思うが、出来れば相談してほしかったな」
「ごめん、リーサさん。でもね、ちゃんと父さんには相談というか報告というか、そういうのはしていたんだ。でも、これだけじゃ守るには足りないと思ったから」
「ああ、すまん。言い方が悪かったな。いいかいケイン。これからは危ないことでも、そうでないことでも、私達……か、かぞ」
「ん? リーサさんどうしたの?」
「頑張るんだよ! リーサさん、私はここで応援しているから! ほら、父さんもサム達も一緒に応援して! ほら、がんばれ~リーサちゃん!」
「「「『がんばれ~リーサさん!』」」」
「な、なに? 父さん達まで」
「あ、ありがとうお義母様。ふぅ~よし、いいか続けるぞ」
「え? この状態で?」
「いいから、さっきの続きだな。いいか、これからは危ないことでも、そうでないことでも、私達か、か「ほら! そこ! 今よ! リーサちゃん!」……すまないお義母様。ちゃんと言いますから。ふぅ、いいか私達家族に「言えた~! ほら、父さんリーサちゃんが言えたわ!」……お義母様、少しだけ黙っててもらえますか」
「ごめんなさい……」
「ふぅ~少し気が楽になった。いいかケイン、私達家族に関係することは必ず行動する前に報告、連絡、相談してほしい」
「(まさか、ここで『報連相』を説かれるとは)分かった。リーサさん、約束する」
そう言いながら、リーサさんの前で右手を軽く握ると小指を突き立てる。
「ケイン、これはどうすれば?」
「リーサさんも同じようにして」
「こうか?」
リーサさんも俺と同じ様に小指だけを突き立てたので、その小指に俺の小指を絡ませ、勢いよく振りながら、あれを歌う。
「ゆ~び~き~り~げ~んま~ん、う~そ~つ~い~た~ら~は~り~せ~んぼ~んの~ま~す~ゆ~びきった」
「ケイン、なんだその歌は初めて聞くが? 内容的には怖いな。約束を破ったら、針千本って」
「まあ、実際には出来ないから覚悟みたいなもんだけどね。でも、約束したからね。リーサさんもちゃんと家族に言うんだよ」
「わ、私もか?」
「だって、家族でしょ? ねえ、母さん」
「ええ、ええそうよ。リーサちゃんは私達の家族だもの」
「だが、私は……」
「もう、ここまで親密になっているのに、これ以上は嫌だと言うの?」
「いや、お義母様。私はそんなことは……」
「本当、今更よね。リーサちゃんは私のこと、いつからか『マギー』から『お義母様』って呼んでるの自分でも気付いてる?」
「え、私がお義母様のことを。ハッそう言えばいつの間に……すまないマギー」
「ダメよ! リーサちゃん、謝らないで。そのまま『お義母様』って呼んで」
「でも……」
「いいから呼ぶの。これが私とリーサちゃんの約束よ。いい?」
「あ、ああ。分かった。いえ、分かりました。お義母様」
「そう! それでいいのよ。リーサちゃん」
父さんが抱き合う母さんとリーサさんを横目に見ながら、俺の方に来る。
「あっちは片付いたみたいだが、お前はいいのか?」
「父さん、ごめんね。泣いたりして」
「いいさ、お前も歳相応だったと言うことだろう。その歳なら無理ないさ。本当なら俺が家族を守っていかなきゃダメなのに、お前に任せっきりにしてしまっていたな。すまんかった」
「父さんが謝ることじゃないんだから、やめてよ」
「いや、前にケインにも言われたが、お前の好きな様にやれと後押ししたのは俺達だ。だから、本当なら後のことも予測して動くべきだったとは今でも思う。だから、これは俺達の責任だ」
「分かったよ。分かったけどさ、さっきから『俺』じゃなく『俺達』って言ってるけど、それは父さんと誰のこと?」
「なんだ俺の謝罪はスルーか。まあいいが、俺の言う『俺達』は、まず俺な」
「それはそうだよね」
「で、次がケイン、お前だ」
「あ~ここで俺も入るんだ」
「当然だ! お前は当事者じゃないか。で、残りがガンツさんだ」
「やっぱりね~俺と一緒に好き放題したもんな~」
「どうだ、納得か?」
「うん、父さん一人で背負わないのが『らしく』ていいね」
「こんな、父さんでガッカリか?」
「ううん、まさか。こんなことくらいで幻滅したりとかしないよ。そんなことも含めての今の父さんだしね」
「なんだか引っ掛かるが、今は考えないようにしておこう。ほら、お前も明日色々忙しいんだろう。なら、リーサさんも送って早く休むといい」
「うん、そうするね。ありがとう父さん」
父さんと二人で母さん達の側に行き、二人を立たせリーサさんを送ってくるからと母さんに言う。
「あら、リーサちゃんを帰しちゃうの。もういいから、ここに住んじゃえばいいのに~ケインの甲斐性なし!」
「母さん、ケインに一番言っちゃいけない言葉だ。今、この家はケインで大きくなっているんだから」
「あら、そうだったわね。ごめんね」
「いいよ、実際俺がヘタレで面倒なこともあったしね。じゃ、リーサさん行こうか」
「すまないが、その前に顔を洗ってきてもいいだろうか。さすがにこのままじゃ妹弟達が不安がると思うのでな」
「ああ、そうよね。リーサちゃん、いらっしゃい着いていってあげるわ」
「お義母様、よろしく頼む」
「いいのいいの。こんなきれいな娘なら、どんな世話だって楽しいもの。本当に男の子ってのはね……」
母さんが息子の生態についてリーサさんに愚痴りながら、洗面所へと向かう。
「ねえ、父さん」
「なんだい息子」
「父さんまで。ふぅ~俺たちあんな風に母さんに愚痴らせるほどのことして来たのかな?」
「さあ、どうだろうな。母さんは女姉妹で育ったから、こんな男所帯のことなんて知らなかっただろうし、想像もしてなかっただろうな」
「ヘェ~母さんは女の人ばっかりの中で育ったんだね。俺達はそんなことすら知らないんだけどね~」
「まあ、お互いの家のことはなんとなく秘密にしていたからな、その内二人とも実家のことは思い出しても口にすることなんてなかったし。それにお前達の世話が忙しくてそれどころじゃなかったのかもな」
「それで、少し落ち着いた頃に俺が聞いたことで、実家のあれこれを思い出して話してみようかとなったってこと?」
「ああ、さすがに孫が五人もいるのに黙っているのも悪いかなと思ってな」
「ふ~ん。それで、その息子達の中に自分が入っているとは微塵も考えていない長男の父さんに聞くけどさ。父さんは男所帯に慣れている様だけど、父さんは何人兄弟だったの?」
「なんだか引っ掛かる言い方してくれるな。俺は男ばかりの五人兄弟の四番目だ」
「うわぁ~一番上でも一番下でも真ん中でもなく。ビミョ~な位置だね」
「だろ? せめて二番目ならまだ構ってくれたとは思うんだけどさ、四番目だから後継って訳でもなく、末っ子みたいに甘え放題って訳でもない。だから、構って欲しくて色んなことをして親父の手を煩わせて、構ってもらおうと思ったこともあってな。でも、親父はお前も知っている様にあんな性格だろ? 物を言う前に鉄拳制裁なもんだから、その最初の一回で終わったよ。その後は自分なりに考えて、どこでも生きていける様にと実家の商売だけじゃなく、色んな商売を勉強がてら働かせてもらってな「そこで母さんに出会ったと」……なんだよ、せっかくの盛り上がりを」
「ケイン、お待たせ」
リーサさんと母さんが洗面所から出てきたので、送って行こうとソファから立ち上がると父さんが引き止める。
「ケイン、いいのか? この機会を逃したら俺はいつこの話をするか分からないぞ」
「え~そういうのはやめてよ~」
「あら? なんの話してたの?」
「父さんと母さんの馴れ初め」
「父さん! なんで話すの!」
「いや……俺が話したんじゃなく、またケインに先回りされたから、その答え合わせで……」
「言い訳はいいです! こんな面白い話を二人っきりで話すなんて」
「「母さん」」
「なに?」
「一応、俺もクリスもいたんだけど」
「あら、いたの。で?」
「「『でっ』って……」」
「まあ、母さん聞きたいのなら座って。ほら、ここに」
『ポンポン』と父さんが自分の横を手で軽く叩く。
「そ、そう? じゃあ、遠慮なく……」
「ふふふ、母さんはあの頃とちっとも変わらないな~」
「あら、そういうあなただって……」
「母さん、いやマギー愛してる」
「トミー。私もよ……」
『だから、まぐわうなら話が終わってからにしてくれよ。こっちは待ってるんだぞ』
「「マ、マサオ」」
父さん達が俺達を見回すと軽く頭を下げる。
「「ごめん」」
『人間の発情期って、毎日なのか?』
「マサオ、そういうのは後で、父さんに聞いて」
『そうか、今は馴れ初めの話が先だな。さあ続けてくれ』
「どこまで話していたっけ?」
「父さんが母さんのいる店に勤め始めたところ」
「お、そうだった。でな、俺は母さんが働く服飾店で働くことになったんだ」
「よく勤めることが出来たよね。だって、縫い物とか父さんは出来ないんじゃなかったっけ?」
「まあな。要は倉庫の片付け要員さ。ほとんどが女の人ばかりだから、力仕事を任せられる人を募集していたところに俺が入ったって訳だ」
「でも、そうすると母さんとの接点なんかないんじゃないの」
「そう思うよな。ところがだ、そこが母さんとの出会いの場所だったんだ」
「父さん、そこはちゃんと正確に話してよ。分かってるわよね?」
「ああ、任せろ! なんせ最初の出会いだ。ちゃんと覚えているとも。いいか、俺が片付けを終えて、倉庫から出ようとするとだ。倉庫の入り口側に置いてあるベンチでな。何かを一心不乱といった感じで食べている女性がいた訳だ」
「それが母さんだったと」
「父さん、全然違うわよ。私が泣いていたら父さんが慰めてくれたのよ。そうでしょ! 絶対にそうだった筈なのよ」
「母さん、嘘はいけない。それにあんな印象的な出来事を俺は忘れることが出来ない。だって、初めて女性を可愛らしく好きだと思えた瞬間だったから」
「あなた……」
「マギー……」
『もう、話は終わりか? なら、後は自由にまぐわってくれ。ケイン、俺はもう眠いぞ』
「ああ、ごめん。リーサさん、送るね」
「頼むケイン」
リーサさんの部屋の中へとゲートを繋ぎリーサさんを見送る。
『終わったな。なら、俺の寝床に案内してもらえるかな』
「じゃあ」
ゲートを中庭に繋ぎマサオに外に出る様に言う。
『なんだよケイン、なんの冗談だよ。まさか、俺に外で寝ろと言うのか』
「え? そのつもりだけど?」
『なんでだよ~風呂に入ったんだぞ。家の中で寝かせてくれよ~俺は家族じゃないのか?』
「そうか、庭はいやか。じゃあ、お前を家族と認めてくれた父さんと母さんの部屋でいいな」
『お前、本気か? あの二人、まぐわう気満々だぞ。そんな所に俺を放り込むのかよ』
「まあ、マサオったら……」
「マサオの言う通りかもな」
「いやだ! あなたったら……」
『ほら見ろ~あんなことを言ってるんだぞ! なんとかしろよ!』
「じゃあ、ここで寝なよ。ここなら、夜中は誰も来ないから」
『だから、一人はもういやなんだって~』
「ケイン、さすがに気の毒すぎる。お前の部屋でいいじゃん」
「サム兄さん、そんな無責任な」
「無責任って、お前が拾って来たんだろ」
「拾ったんじゃなくて、勝手に着いて来たんだって」
「まあ、どっちにしても今はケインに懐いているんだし観念しなよ」
「クリス兄さんまで……分かったよ。じゃあ着いて来て」
『おう! ありがとうな兄ちゃん達』
「いいってことさ」
「ケインを怒らせないようにね」
『おう!』
「ケイン、もういいのか?」
「うん、リーサさんありがとう」
「ふふふ、いいさ。これくらいなら、いつでも歓迎だ。しかし、ケインも子供だったんだな~と改めて思ってしまったよ。だが、一人で色々考えたくなる内容だとは思うが、出来れば相談してほしかったな」
「ごめん、リーサさん。でもね、ちゃんと父さんには相談というか報告というか、そういうのはしていたんだ。でも、これだけじゃ守るには足りないと思ったから」
「ああ、すまん。言い方が悪かったな。いいかいケイン。これからは危ないことでも、そうでないことでも、私達……か、かぞ」
「ん? リーサさんどうしたの?」
「頑張るんだよ! リーサさん、私はここで応援しているから! ほら、父さんもサム達も一緒に応援して! ほら、がんばれ~リーサちゃん!」
「「「『がんばれ~リーサさん!』」」」
「な、なに? 父さん達まで」
「あ、ありがとうお義母様。ふぅ~よし、いいか続けるぞ」
「え? この状態で?」
「いいから、さっきの続きだな。いいか、これからは危ないことでも、そうでないことでも、私達か、か「ほら! そこ! 今よ! リーサちゃん!」……すまないお義母様。ちゃんと言いますから。ふぅ、いいか私達家族に「言えた~! ほら、父さんリーサちゃんが言えたわ!」……お義母様、少しだけ黙っててもらえますか」
「ごめんなさい……」
「ふぅ~少し気が楽になった。いいかケイン、私達家族に関係することは必ず行動する前に報告、連絡、相談してほしい」
「(まさか、ここで『報連相』を説かれるとは)分かった。リーサさん、約束する」
そう言いながら、リーサさんの前で右手を軽く握ると小指を突き立てる。
「ケイン、これはどうすれば?」
「リーサさんも同じようにして」
「こうか?」
リーサさんも俺と同じ様に小指だけを突き立てたので、その小指に俺の小指を絡ませ、勢いよく振りながら、あれを歌う。
「ゆ~び~き~り~げ~んま~ん、う~そ~つ~い~た~ら~は~り~せ~んぼ~んの~ま~す~ゆ~びきった」
「ケイン、なんだその歌は初めて聞くが? 内容的には怖いな。約束を破ったら、針千本って」
「まあ、実際には出来ないから覚悟みたいなもんだけどね。でも、約束したからね。リーサさんもちゃんと家族に言うんだよ」
「わ、私もか?」
「だって、家族でしょ? ねえ、母さん」
「ええ、ええそうよ。リーサちゃんは私達の家族だもの」
「だが、私は……」
「もう、ここまで親密になっているのに、これ以上は嫌だと言うの?」
「いや、お義母様。私はそんなことは……」
「本当、今更よね。リーサちゃんは私のこと、いつからか『マギー』から『お義母様』って呼んでるの自分でも気付いてる?」
「え、私がお義母様のことを。ハッそう言えばいつの間に……すまないマギー」
「ダメよ! リーサちゃん、謝らないで。そのまま『お義母様』って呼んで」
「でも……」
「いいから呼ぶの。これが私とリーサちゃんの約束よ。いい?」
「あ、ああ。分かった。いえ、分かりました。お義母様」
「そう! それでいいのよ。リーサちゃん」
父さんが抱き合う母さんとリーサさんを横目に見ながら、俺の方に来る。
「あっちは片付いたみたいだが、お前はいいのか?」
「父さん、ごめんね。泣いたりして」
「いいさ、お前も歳相応だったと言うことだろう。その歳なら無理ないさ。本当なら俺が家族を守っていかなきゃダメなのに、お前に任せっきりにしてしまっていたな。すまんかった」
「父さんが謝ることじゃないんだから、やめてよ」
「いや、前にケインにも言われたが、お前の好きな様にやれと後押ししたのは俺達だ。だから、本当なら後のことも予測して動くべきだったとは今でも思う。だから、これは俺達の責任だ」
「分かったよ。分かったけどさ、さっきから『俺』じゃなく『俺達』って言ってるけど、それは父さんと誰のこと?」
「なんだ俺の謝罪はスルーか。まあいいが、俺の言う『俺達』は、まず俺な」
「それはそうだよね」
「で、次がケイン、お前だ」
「あ~ここで俺も入るんだ」
「当然だ! お前は当事者じゃないか。で、残りがガンツさんだ」
「やっぱりね~俺と一緒に好き放題したもんな~」
「どうだ、納得か?」
「うん、父さん一人で背負わないのが『らしく』ていいね」
「こんな、父さんでガッカリか?」
「ううん、まさか。こんなことくらいで幻滅したりとかしないよ。そんなことも含めての今の父さんだしね」
「なんだか引っ掛かるが、今は考えないようにしておこう。ほら、お前も明日色々忙しいんだろう。なら、リーサさんも送って早く休むといい」
「うん、そうするね。ありがとう父さん」
父さんと二人で母さん達の側に行き、二人を立たせリーサさんを送ってくるからと母さんに言う。
「あら、リーサちゃんを帰しちゃうの。もういいから、ここに住んじゃえばいいのに~ケインの甲斐性なし!」
「母さん、ケインに一番言っちゃいけない言葉だ。今、この家はケインで大きくなっているんだから」
「あら、そうだったわね。ごめんね」
「いいよ、実際俺がヘタレで面倒なこともあったしね。じゃ、リーサさん行こうか」
「すまないが、その前に顔を洗ってきてもいいだろうか。さすがにこのままじゃ妹弟達が不安がると思うのでな」
「ああ、そうよね。リーサちゃん、いらっしゃい着いていってあげるわ」
「お義母様、よろしく頼む」
「いいのいいの。こんなきれいな娘なら、どんな世話だって楽しいもの。本当に男の子ってのはね……」
母さんが息子の生態についてリーサさんに愚痴りながら、洗面所へと向かう。
「ねえ、父さん」
「なんだい息子」
「父さんまで。ふぅ~俺たちあんな風に母さんに愚痴らせるほどのことして来たのかな?」
「さあ、どうだろうな。母さんは女姉妹で育ったから、こんな男所帯のことなんて知らなかっただろうし、想像もしてなかっただろうな」
「ヘェ~母さんは女の人ばっかりの中で育ったんだね。俺達はそんなことすら知らないんだけどね~」
「まあ、お互いの家のことはなんとなく秘密にしていたからな、その内二人とも実家のことは思い出しても口にすることなんてなかったし。それにお前達の世話が忙しくてそれどころじゃなかったのかもな」
「それで、少し落ち着いた頃に俺が聞いたことで、実家のあれこれを思い出して話してみようかとなったってこと?」
「ああ、さすがに孫が五人もいるのに黙っているのも悪いかなと思ってな」
「ふ~ん。それで、その息子達の中に自分が入っているとは微塵も考えていない長男の父さんに聞くけどさ。父さんは男所帯に慣れている様だけど、父さんは何人兄弟だったの?」
「なんだか引っ掛かる言い方してくれるな。俺は男ばかりの五人兄弟の四番目だ」
「うわぁ~一番上でも一番下でも真ん中でもなく。ビミョ~な位置だね」
「だろ? せめて二番目ならまだ構ってくれたとは思うんだけどさ、四番目だから後継って訳でもなく、末っ子みたいに甘え放題って訳でもない。だから、構って欲しくて色んなことをして親父の手を煩わせて、構ってもらおうと思ったこともあってな。でも、親父はお前も知っている様にあんな性格だろ? 物を言う前に鉄拳制裁なもんだから、その最初の一回で終わったよ。その後は自分なりに考えて、どこでも生きていける様にと実家の商売だけじゃなく、色んな商売を勉強がてら働かせてもらってな「そこで母さんに出会ったと」……なんだよ、せっかくの盛り上がりを」
「ケイン、お待たせ」
リーサさんと母さんが洗面所から出てきたので、送って行こうとソファから立ち上がると父さんが引き止める。
「ケイン、いいのか? この機会を逃したら俺はいつこの話をするか分からないぞ」
「え~そういうのはやめてよ~」
「あら? なんの話してたの?」
「父さんと母さんの馴れ初め」
「父さん! なんで話すの!」
「いや……俺が話したんじゃなく、またケインに先回りされたから、その答え合わせで……」
「言い訳はいいです! こんな面白い話を二人っきりで話すなんて」
「「母さん」」
「なに?」
「一応、俺もクリスもいたんだけど」
「あら、いたの。で?」
「「『でっ』って……」」
「まあ、母さん聞きたいのなら座って。ほら、ここに」
『ポンポン』と父さんが自分の横を手で軽く叩く。
「そ、そう? じゃあ、遠慮なく……」
「ふふふ、母さんはあの頃とちっとも変わらないな~」
「あら、そういうあなただって……」
「母さん、いやマギー愛してる」
「トミー。私もよ……」
『だから、まぐわうなら話が終わってからにしてくれよ。こっちは待ってるんだぞ』
「「マ、マサオ」」
父さん達が俺達を見回すと軽く頭を下げる。
「「ごめん」」
『人間の発情期って、毎日なのか?』
「マサオ、そういうのは後で、父さんに聞いて」
『そうか、今は馴れ初めの話が先だな。さあ続けてくれ』
「どこまで話していたっけ?」
「父さんが母さんのいる店に勤め始めたところ」
「お、そうだった。でな、俺は母さんが働く服飾店で働くことになったんだ」
「よく勤めることが出来たよね。だって、縫い物とか父さんは出来ないんじゃなかったっけ?」
「まあな。要は倉庫の片付け要員さ。ほとんどが女の人ばかりだから、力仕事を任せられる人を募集していたところに俺が入ったって訳だ」
「でも、そうすると母さんとの接点なんかないんじゃないの」
「そう思うよな。ところがだ、そこが母さんとの出会いの場所だったんだ」
「父さん、そこはちゃんと正確に話してよ。分かってるわよね?」
「ああ、任せろ! なんせ最初の出会いだ。ちゃんと覚えているとも。いいか、俺が片付けを終えて、倉庫から出ようとするとだ。倉庫の入り口側に置いてあるベンチでな。何かを一心不乱といった感じで食べている女性がいた訳だ」
「それが母さんだったと」
「父さん、全然違うわよ。私が泣いていたら父さんが慰めてくれたのよ。そうでしょ! 絶対にそうだった筈なのよ」
「母さん、嘘はいけない。それにあんな印象的な出来事を俺は忘れることが出来ない。だって、初めて女性を可愛らしく好きだと思えた瞬間だったから」
「あなた……」
「マギー……」
『もう、話は終わりか? なら、後は自由にまぐわってくれ。ケイン、俺はもう眠いぞ』
「ああ、ごめん。リーサさん、送るね」
「頼むケイン」
リーサさんの部屋の中へとゲートを繋ぎリーサさんを見送る。
『終わったな。なら、俺の寝床に案内してもらえるかな』
「じゃあ」
ゲートを中庭に繋ぎマサオに外に出る様に言う。
『なんだよケイン、なんの冗談だよ。まさか、俺に外で寝ろと言うのか』
「え? そのつもりだけど?」
『なんでだよ~風呂に入ったんだぞ。家の中で寝かせてくれよ~俺は家族じゃないのか?』
「そうか、庭はいやか。じゃあ、お前を家族と認めてくれた父さんと母さんの部屋でいいな」
『お前、本気か? あの二人、まぐわう気満々だぞ。そんな所に俺を放り込むのかよ』
「まあ、マサオったら……」
「マサオの言う通りかもな」
「いやだ! あなたったら……」
『ほら見ろ~あんなことを言ってるんだぞ! なんとかしろよ!』
「じゃあ、ここで寝なよ。ここなら、夜中は誰も来ないから」
『だから、一人はもういやなんだって~』
「ケイン、さすがに気の毒すぎる。お前の部屋でいいじゃん」
「サム兄さん、そんな無責任な」
「無責任って、お前が拾って来たんだろ」
「拾ったんじゃなくて、勝手に着いて来たんだって」
「まあ、どっちにしても今はケインに懐いているんだし観念しなよ」
「クリス兄さんまで……分かったよ。じゃあ着いて来て」
『おう! ありがとうな兄ちゃん達』
「いいってことさ」
「ケインを怒らせないようにね」
『おう!』
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彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
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