転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい!

ももがぶ

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◆プリしました

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いつもの様に工房の自室へとマサオと一緒に潜ると『ギャ~』と叫ばれる。
「おはよう! いきなり叫んでどうしたの? ジョシュアさん」
「どうしたのじゃないだろ! なんだよ、そのでかい生き物は!」
「え? なにってみての通りのマサオだけど」
『よろ「(お前は! 初見の人がいる時は黙っとく!)」』
『(あ! そうだった)』
「そういうことを言ってるんじゃない! なんでここにいるんだ!」
「なんでって、俺が世話することになったから?」
「ハァ~なんだよそれ。俺は聞いてないぞ!」
「え~なんでジョシュアさんに許可が必要なの?」
「ぐっ……そ、そんなの当たり前のことじゃないか!」
「え? ガンツさん、俺の耳がおかしいのかな? ジョシュアさんが言っていることがよくわからないんだけど……」
「くくく、ケイン。心配することはない。ワシにも、そのおかしな内容は聞こえておる。さあ、ジョシュアよ。理由を話してもらおうか」
「ぐっ……ガンツさんまで、そっちに回ったか」
「ジョシュアさん、話が進まないから。あと、今日は色んな用事が支えているから、手短にね」
「なら、言おうじゃないか」
「だから、早く言ってよ。こっちはず~っと待っているんですけど?」
「……」
「なに? 聞こえないんだけど?」
「俺は、犬が苦手なんだ!」
「なんだ。そんなこと」
「なんだとはなんだ! 犬が苦手だと言っているだろうが! 早く捨てて来い!」
「もう、落ち着いてよジョシュアさん。いいよく聞いてね。まず、これは犬ではなく『マサオ』です」
「だから、それがなんだと言うんだ。犬には変わりないじゃないか!」
「あれ? おかしいな。家はこれで納得したんだけど」
「それは、ケインの家が特別じゃからな」
「あ~ガンツさんが、そういうこと言うんだ~」
「ほれ、そんなことより、こいつを片付けんことには先に進まんぞ」
「ああ、そうだった。ねえ、ジョシュアさん、だからね、これは犬じゃなくってフェンリルだから、怖くないでしょ?」
「フェ……フェ……フェンリルだと?」
「そう、犬とは違ってフェンリル。どう? 怖くないでしょ?」
『そう! 俺、フェンリルのマサオ。よろしくな!』
「しゃ……しゃべった……犬が……しゃべった……う~ん」
なにかを呟きながら、ジョシュアさんが、そのまま後ろへと倒れる。

そんな彼を見て、ガンツさんが話しかけてくる。
「お前、マサオのこと話してしまっていいのか?」
「別に構わないよ。面倒になったら山に帰ってもらうだけだし。ね、マサオ」
『「ね」じゃねえよ! なんで俺が追い返されることが前提なんだよ! お前、飼い主としての心構えが足りないぞ!』
「非道いよ、マサオ! なに言ってんの!」
『あれ? 俺がおかしいのか?』
「もし、マサオがフェンリルとして、ここで暮らしていけないんだったら、元の山の中でひっそり暮らした方がいいに決まってるじゃん!」
『ケイン、お前は俺との生活より煩わしさの解消を取るっていうのか!』
「そんなの当たり前じゃん! もし、双子の妹になにかあったら許さないからね」
『うわぁ~ひでぇ、もう同衾した仲なのに……』
「ケイン、人の趣味にとやかく言うつもりはないが、その……なんだ、せめて人型にしとけな」
「ガンツさん、なに言ってんの? とにかく、マサオが原因で問題が起こるなら、マサオが自分で解決しなよ。俺は面倒見ないよ」
「『うわぁ~引くほどドライだな』」
「え、そうかな~」
「『褒めてねえから!』」

とりあえずジョシュアさんをどうにかしようということなので、そのままゲートを教習所の前に繋いで、寝ているジョシュアさんを教習所内のベンチに寝かせて放置してきた。

工房に戻り、ガンツさんとマサオが談笑していた。
普通に見れば、爺さんと大型犬が触れ合っていて、一見ほのぼのとした雰囲気だったが、話している内容が昨夜のドタバタだった。
「ほう、すると旦那はまだお盛んなんだな」
『そうみたいだよ。今朝も「マサオ!」……あ、ケイン! お前からも話してやってくれよ。昨日のあの傑作な内容を……痛い……痛いです』
マサオの頭を両拳で挟んでぐりぐりと挟み込みながら、よ~く言って聞かせる。
「マサオ~いいか~あまり、気軽に家の中のことを話すのはやめなさいね~例え、相手がガンツさんでもね~」
『う~分かった。俺が悪かった。謝るから、痛いから……』
「本当に?」
『ああ、言わない。誓うから!』
なにに誓うのかは分からないが、この辺でやめといてあげよう。

マサオが頭を抱えて、うつ伏せの状態でまだ唸っている。
そんなに痛くしたつもりはないんだけどね。

「なんじゃ、いいとことだったのに」
「それは後で、父さんにでも聞いて。それでガンツさんの今日の用事は?」
「ワシの方は学校関連のことは下の工房の連中に投げてしもうたし。新しい机に椅子、長机にパイプ椅子まで、作り方は説明しておいたから、昼には何らかの形が出来上がるじゃろ。それでお前は?」
「うん、俺の方はセバス様から連絡があったら、王都の倉庫に冷蔵庫とか馬車を届けるくらいかな。でも、それは昼過ぎの予定だから、それまでは何もないんだ。妹のおもちゃでも作ろうかな」
「なんじゃ、王都に行けるのか。なら、ワシも一緒に行って構わないか?」
「いいけど、門を通る訳じゃないし、すぐに帰ることになると思うよ」
「構わん。お前がこの前行った時の酒屋が気になっての。それにそろそろ仕入れも済ませとかんと、なくなりそうなんじゃ」
「え~結構、あったと思ったけど、もうないの?」
「まあ、すぐにとはいかんが、近日中じゃな」
「まさか、ドワーフの人達が増えてる?」
「お? 分かるか。実はそうなんじゃ。どっから集まってくるのかワシも不思議でならん」
「は~すごいね。じゃ学校も人は集まりそうなんだね」
「ああ、ガンボも言ってたが、建物の心配は無くなって、生徒数も心配はないが、今度は教師役が足りんと泣いておったの」
「ハァ~よくもまあ、次から次へと問題が出てくるね」
「お前がそれを言うか」
「でもさ、教師役ならメアリーでも出来るんじゃないの?」
「ん? どういうことじゃ」
「いや、メアリーだって、カーティスさんに教育を受けていたんだから、そこそこは教えられるはずだよね。別に難しいことをする訳じゃないから、小さい子相手に読み書き計算を教えるくらいなら出来そうだけどね」
「それもそうじゃの。あの嬢ちゃんもしばらくはここにいる予定だしの。よし、後でガンボに言うてみるわ」
「そうしてあげて」
「それで、ケインが前に言うてた絵本を安くする手段があるとか言うてたじゃろ?」
「あ~言ってたね。それが?」
「学校と言えば、教本が必要じゃろ?」
「そうだよね。まさか数が足りないとか?」
「そもそも、こういう市井の学校じゃ教師が教本を持って、習う側は教師の言うことを真剣に聞いて、覚えるのが普通じゃ」
「へ~大変だね」
「じゃが、最近は紙質も安定して安い紙を束にして、帳面として使える様にもなった」
「うん、俺もメモ紙使っているし、それは分かるよ」
「なら、教本も複写して使えんかと思っての。ほれ、お前が作った写真をパパッと紙に写すじゃろ? あれが使えんかと思ってな」
「あ~活版じゃなくそっちか~」
「ん? なんじゃその『かっぱん』てのは?」
「あ~なんでもない。こっちの話。で、それを使えば教本を生徒に用意してあげられると、ガンツさんはそう言うんだね」
「ああ、そうすれば家に帰っても勉強することができるじゃろ」
「ガンツさんにしては、なんだかまともだね。しかもそんなに教育熱心なんて」
「なんじゃバカにするのか?」
「いや、そうじゃないけど、今までとの方向性の違いに驚いているだけだから」
「ふん、ワシも三男の為に出来ることを考えているだけじゃ」
「へ~そういうことね。分かったよガンツさん、考えてみようか」
「おお、やってくれるか!」
「結構、大変だと思うけど。やる意味はあるよね」
「そうじゃろ、そうじゃろ。たまにはワシもいいこと言うよな」
「本当、たまにだけどね」
「やかましいわい! それで、さっきケインが言っていた『かっぱん』てのはなんだ? ワシの勘が放っておいちゃいかんと告げてきてるんだが」
「(うわぁ~なに、その優秀すぎる勘は)は~どうしても知りたい?」
「ああ、どうしても知っておけと、ワシの中の何かが叫んでおる」
「じゃあ、説明するけど、結構大変だよ。それでもいい?」
「構わん! まずは聞いてからじゃ。ほれ! 早う聞かせてくれ」
「じゃあ、説明するね。活版ってのは……」
いつも通りにメモ紙と土魔法で作った模型と合わせて説明していく。

ガンツさんが俺が用意した『りんご』と並べられた組版を手に取り、じっと見る。
「なるほどの~こんな風に一字毎に用意されたものを並べて一つに纏めて、インクを付けた後に紙に押しつける訳じゃな」
「そう、ね? 面倒でしょ。一字ずつ用意しなけりゃダメだし、手間が掛かってしょうがないよね」
「じゃが、今は人の手による写本でしか、本を作ることは出来ん。じゃから、本は高価になるんじゃがな。だが、これなら、一度文字を組めば大量に刷ることが出来るんじゃろ。なら、簡単な話じゃ」
「まさか……作るつもり?」
「ふん、ケインよ。ワシらのモットーを忘れておらんか?」
「『なければ作る。欲しければ作る』かな?」
「なら、これも作るしかなかろう」
「え~じゃ、この前に言っていたのはいいの?」
「もちろん、そっちも必要じゃ」
「欲張りだね」
「なんじゃ、今知ったのか?」
「いや、知ってはいたけどさ」
「なら、なにも問題ないじゃろ」

ガンツさんが組版をバラして一本の一文字のみの角柱を手に持ち、手元のメモ紙にポンポンと押していく。
「なあ、ケインよ。ちょっと思い付いたんがな。もし、手書きじゃなく、こういう風に一文字ずつ紙に印字出来るのなら、手書きの作業は減ると思わんか?」
「(なに、このじいさん。俺と一緒で前世の記憶持ちなの?)」
「どうしたケイン?」
「いや、いい考えだと思うよ。やってみる価値はあるんじゃないかな」
「そうじゃろ、そうじゃろ。まだまだワシの頭も衰えておらんな」
三男さんを思って、ここまでアイデアが出たのなら凄いよね。
なら、俺も少しだけサポートしてみるかな。
「ねえ、ガンツさん。今の経理業務ってさ、ほとんど数字と品名の書き換えだけで後は同じ様式だよね?」
「ああ、なにを当たり前のことを……まさか、なにか思い付いたのか?」
「うん、例えばさ……」
メモ紙に定型文、金額欄、明細欄などをサラッと書いてガンツさんに見せながら説明する。
「ほら、こんな感じで定型の挨拶文とかは、相手のお店と担当者だけを書けばいいだけにしてさ、後は品名とか金額を入れる欄を用意しとけば、楽にならない? これは版木か金型で用意しとけばいいし。ガンツさん?」
「ケイン、これはいい! これも色んなパターンを用意して纏めれば、売れる!」
「あれ? 三男さんがどこか行っちゃった?」
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