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◆好きになりました
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ガンツさん達と昼食を終え、奥さんにお礼を伝えるついでにお菓子が売られているお店を聞いてみる。
横で、マサオが期待の眼差しで見ているが今は無視だ。
「お菓子? そうね、サッパリとコッテリとあるけどどっちがお好みかな?」
「サッパリ? コッテリ? ちなみにどんな感じか聞いても?」
「そうよね。いいわ、教えてあげる。まずはコッテリからね。これはね、もうとにかく甘いの! 砂糖をこれでもかってぐらいに使っているのよ。だから、値段もそれなりにするんだけど、ケイン君なら心配はいらないわね」
「そうですね。それで、もう一つのサッパリは?」
「こっちはね、砂糖はほんの少しだけ使っているのよ。なんていうのかな~塩辛さの中に少しだけ甘みを感じるの。う~ん、難しいよね?」
「いえ、分かります。助かりました! ありがとうございます。じゃあ行こうか、ガンツさん!」
「ああ、だが待て。お前は店の名前も場所も聞いとらんぞ? いいのか?」
「あ! す、すみませんが教えてもらってもいいですか?」
「ふふふ、いいわよ。ちょっと待っててね。今、ここで書いてあげるから」
「あ、ならこれを」
そう言って、懐から出すふりをして、インベントリから白紙を三枚取り出して渡す。
「あら! 結構、いい紙じゃない。いいの? これに書いても?」
「ええ、まだありますから」
「じゃ、遠慮なく……」
奥さんがペンを取り、俺が渡した紙に地図を書いていく。
「これで分かるかな~まあ、分からなかったら、もう一度おいでよ」
「はい、ありがとうございます!」
「なにか目新しい物があったら教えてね~」
「はい!」
食堂を出て書いてもらった地図を見ながら、菓子店を目指す。
「地図だと、この辺りなんだが……お! あれじゃないか?」
ガンツさんが指を差す方向を見ると、派手なお店があり、看板にはお菓子らしき絵が描かれている。おまけに甘ったるい匂いがすごく鼻につく。
「ガンツさん、なんだろう。この店に入るのがすごくイヤなんだけど……」
「まあ、そうだな。ワシもそうは思うが、ものは試しだ。ここは土産話にするつもりで入ってみようや、なあ。なあに、食べきれないほどの甘さでも、マサオならなんとかするだろうよ。なあ?」
『……』
マサオが急に振られて微妙な顔をするが、まあどうにかなるだろう。
「ハァ~気が進まないな~」
「あ~もう、とっとといくぞ。これ以上、ここにいると甘い匂いが体に染み込みそうじゃ。だから、さっさと買う物を買って、離れるとしようじゃないか。なあ? マサオ」
『……』
「なんじゃ、マサオは乗り気じゃないの~」
「まあ、ガンツさんのいうことも最もだね。じゃ、行こうか」
覚悟を決め、店内に入ると外で嗅いだ以上の甘い匂いが立ち込めている。
「うわぁ、甘すぎ!」
「ケイン、いいからさっさと買ってこい! ワシは無理じゃ!」
『……』
ガンツさんとマサオは店内に入るのを無理と言って、さっさと店の外に出る。
「キタね~!」
ガンツさん達の行動に呆れながらも、こういう時こその魔法だろうとナーガさんの部屋の時のように顔の周りに無臭の空気の層を作り出す。
「これでなんとか呼吸は出来るな」
呼吸が落ち着いたので、改めて店内を見渡し、飾られているお菓子を見る。
「うわぁ典型的な砂糖菓子での飾り付けっぽいな。そういや、こっちでは生クリームとかバターは見てないな。あ~思い出したら、チョコレートも食べたくなったぞ」
似たような感じのお菓子ばかりだったので、適当に三つほど購入し店から出る。
「お、出てきたな」
『……』
「非道いよ! ガンツさん!」
「まあ、そういうな。お前は魔法でなんとかしたんじゃろ? ワシらには、そういうことは無理じゃからな」
『……』
「もういいよ。次のお店に行こう」
「次はまともならいいな」
『……』
地図を見ながら二軒目のお店を探す。
「お! あそこじゃねえか?」
「なんだか、さっきのところと比べるとこじんまりとしてるね」
「そうか? まあ、こんなもんじゃないか」
お店の前で騒ぐのもあれなので、今回はさっさと中に入る。
「いらっしゃいませ~」
「あ、どうも」
さっきは挨拶受けたりする余裕もなかったが、今回は落ち着いて様子をみることが出来る。
店内を見回すと焼き菓子がメインのようだ。
「これだけ、あると迷うね~」
「そうか? なら、全部かっちまえばいいじゃないか」
「う~ん、それもいいかな? すみません、少しお願いがあるんですが……」
「はい、なんでしょう」
「この店内のお菓子を買えるだけ欲しいんですが……お願いできますか?」
「お客さん、冗談は困ります」
「あ、いえ。気を悪くしたのなら、謝ります。でも、どうしても選べないのでお店が困らない範囲で購入したいんですが、ダメですか?」
「買っていただけるのなら、ありがたいお話ですが支払いの方は大丈夫なんでしょうか?」
「ちなみにですが、どれくらいになるかお聞きしても?」
「そうですね、ざっくりでよければ」
「お願いします」
「分かりました。いいですか、ざっくりですからね」
「はい」
「え~と、金貨で……」
「はい、金貨で……」
「五枚くらいでしょうか」
「五枚ですね。では、これを」
懐から金貨五枚を取り出し、手の平に乗せて店員さんに見せる。
「え、本当に?」
「あれ? 足りませんか?」
「いえ。しょ、少々お待ちください」
店員さんが店の奥に引っ込むと、奥から少しだけ話し声が聞こえてくる。
「だから、買いたいっていうんなら買ってもらえばいいじゃないか。なにが問題なんだよ」
「だって、店の中の全部を欲しいって言うんだよ。絶対にお忍びのお貴族様に違いないって! だから、怖いからあんたが相手をしてよ!」
「はぁ? 仕込みで俺は忙しいんだがな」
「いいから! 奥さんを守るのは旦那の役目でしょ! いいから、行ってよ!」
「ったく、しょうがねえな」
俺たちが待っているここまで話が丸聞こえだったのだが、ここは知らない振りをするべきかどうか迷っていたら、店の奥から出てきたのは、ちんまい店員さんとは違って、熊みたいな髭面のおっさんだった。
「俺が店主のゴーシュだ。あんたらか? お菓子を買い占めたいってのは? すまんが、全部を買い占めるのはやめて欲しいんだが……」
『ゴスッ』とか『ドスッ』とか音がするからなにかと思えば、店員さんが店主の脇腹を力一杯突ついているんだが、店主は気にする様子もなくこちらの出方を伺っている。
店員さんは俺たちをお忍びのお貴族様と勘違いしているからか、俺たちに対する言葉遣いが乱暴なのを止めたいんだろうな。
「え~と、店員さんからのお話がどう伝わっているのか分かりませんが、こちらからはお店が許せる範囲で買わせて下さいとお願いしたのですが……」
「あれ? 買い占めるんじゃなくて?」
「ええ、それではお店にご迷惑になると思い、売っていただける分だけ欲しいのですが……ダメでしょうか?」
「なんだよ~もう、全然話が違うじゃねえか! ちゃんと言えよ!」
「だって……」
「あ~もう、いいから。坊ちゃん、すまなかったな。どうやら、こいつの言う事を間違って解釈していたみたいだ。もし、買ってもらえるのなら全部買ってもらって構わないぞ」
「え? いいんですか?」
「ああ、どうせ今仕込んでいるのが焼き上がったら並べるからな。店の中から売り物がなくなることはないぞ」
「分かりました。じゃあ、全部いいですか?」
「ああ、いいぞ。でも支払いは大丈夫なんだろうな?」
「ええ、金貨五枚と聞いています。これでいいですか?」
手の平に金貨を並べて見せる。
「五枚? おい、どういうことだ? どう見ても三枚でも多いくらいだぞ」
「そ、そう?」
「お前、計算出来る様になったって言ってなかったか?」
「出来るよ! 出来るけど、計算しようにも紙が手元になかったんだもん!」
店員さんが両頬を膨らませて、反論する。
「ああ、もう分かったから、包んでくれ」
「分かったわよ」
「悪かったな。そういうことで金貨三枚だけど、いいか?」
「いいですよ。はい」
そう言って、店主に金貨五枚を渡す。
「お前もか? 俺は三枚と言ったんだ。どう見てもこれは五枚だろ?」
「いえ、合ってますよ」
「ん? どういうことだ? 分かるように説明してもらえるか?」
「余った分で、また買わせてもらいますので」
「そうか、要は前払いってことか」
「そうです。また後で取りに来たいんですが、今日はやめときます。三日後とか大丈夫ですか?」
「三日後か……うん、いいぞ。なら、三日後に取りに来てくれ」
「はい、分かりました」
「おう、こっちこそありがとうな。おい、まだ包んでいるのか?」
「待ってよ~こんなにいっぱい無理だよぉ~」
店員さんが大量の焼き菓子を前にてんやわんやだ。
しょうがないと店主さんにこれから見ることを秘密にしておいて欲しいとお願いする。
「俺はいいが、なにをするつもりだ?」
「まあ、いいですから。『収納』」
店員さんが包むのにあたふたしていた大量のお菓子が一瞬で目の前から消える。
「「はぁ?」」
「じゃあ、三日後にまた来ますね」
固まったままの店主さんと店員さんをそのままにお店から出る。
今度はドラゴさんのところだな。
お店までの道を歩きながら、ガンツさんが聞いてくる。
「あいつらは、そのままでいいのか?」
「ああ、いいんじゃない。そのうち、気付くでしょ」
「相変わらず軽いの~」
「それにあの二人は、なんだか揶揄いたくなる二人だよね」
「まあ、確かにな。じゃが、なにを考えているのかは分からんが、ほどほどにしとけよ」
「うん、ほどほどにね」
「お前の匙加減はいつも間違えとるからな」
ガンツさんの失礼な物言いに釈然としないものを感じる。
それよりも牛乳だ。これがあれば生クリームにバターにチーズと食生活もだけど、お菓子の種類がぐんと増える。
チーズはあるんだから、どこかに乳牛はいるはずだ。
もしいるのなら、ドラゴニュータウンで飼育したい! ついでに鶏卵も欲しいな。
「ケイン、着いたぞ。そろそろ戻って来い」
「あ、ガンツさん」
「あ、じゃねえよ。ほれ、酒を買うんだからシャンとしてくれよ」
「やっと来よったか」
そこには店の前で仁王立ちしているドラゴさんがいた。
横で、マサオが期待の眼差しで見ているが今は無視だ。
「お菓子? そうね、サッパリとコッテリとあるけどどっちがお好みかな?」
「サッパリ? コッテリ? ちなみにどんな感じか聞いても?」
「そうよね。いいわ、教えてあげる。まずはコッテリからね。これはね、もうとにかく甘いの! 砂糖をこれでもかってぐらいに使っているのよ。だから、値段もそれなりにするんだけど、ケイン君なら心配はいらないわね」
「そうですね。それで、もう一つのサッパリは?」
「こっちはね、砂糖はほんの少しだけ使っているのよ。なんていうのかな~塩辛さの中に少しだけ甘みを感じるの。う~ん、難しいよね?」
「いえ、分かります。助かりました! ありがとうございます。じゃあ行こうか、ガンツさん!」
「ああ、だが待て。お前は店の名前も場所も聞いとらんぞ? いいのか?」
「あ! す、すみませんが教えてもらってもいいですか?」
「ふふふ、いいわよ。ちょっと待っててね。今、ここで書いてあげるから」
「あ、ならこれを」
そう言って、懐から出すふりをして、インベントリから白紙を三枚取り出して渡す。
「あら! 結構、いい紙じゃない。いいの? これに書いても?」
「ええ、まだありますから」
「じゃ、遠慮なく……」
奥さんがペンを取り、俺が渡した紙に地図を書いていく。
「これで分かるかな~まあ、分からなかったら、もう一度おいでよ」
「はい、ありがとうございます!」
「なにか目新しい物があったら教えてね~」
「はい!」
食堂を出て書いてもらった地図を見ながら、菓子店を目指す。
「地図だと、この辺りなんだが……お! あれじゃないか?」
ガンツさんが指を差す方向を見ると、派手なお店があり、看板にはお菓子らしき絵が描かれている。おまけに甘ったるい匂いがすごく鼻につく。
「ガンツさん、なんだろう。この店に入るのがすごくイヤなんだけど……」
「まあ、そうだな。ワシもそうは思うが、ものは試しだ。ここは土産話にするつもりで入ってみようや、なあ。なあに、食べきれないほどの甘さでも、マサオならなんとかするだろうよ。なあ?」
『……』
マサオが急に振られて微妙な顔をするが、まあどうにかなるだろう。
「ハァ~気が進まないな~」
「あ~もう、とっとといくぞ。これ以上、ここにいると甘い匂いが体に染み込みそうじゃ。だから、さっさと買う物を買って、離れるとしようじゃないか。なあ? マサオ」
『……』
「なんじゃ、マサオは乗り気じゃないの~」
「まあ、ガンツさんのいうことも最もだね。じゃ、行こうか」
覚悟を決め、店内に入ると外で嗅いだ以上の甘い匂いが立ち込めている。
「うわぁ、甘すぎ!」
「ケイン、いいからさっさと買ってこい! ワシは無理じゃ!」
『……』
ガンツさんとマサオは店内に入るのを無理と言って、さっさと店の外に出る。
「キタね~!」
ガンツさん達の行動に呆れながらも、こういう時こその魔法だろうとナーガさんの部屋の時のように顔の周りに無臭の空気の層を作り出す。
「これでなんとか呼吸は出来るな」
呼吸が落ち着いたので、改めて店内を見渡し、飾られているお菓子を見る。
「うわぁ典型的な砂糖菓子での飾り付けっぽいな。そういや、こっちでは生クリームとかバターは見てないな。あ~思い出したら、チョコレートも食べたくなったぞ」
似たような感じのお菓子ばかりだったので、適当に三つほど購入し店から出る。
「お、出てきたな」
『……』
「非道いよ! ガンツさん!」
「まあ、そういうな。お前は魔法でなんとかしたんじゃろ? ワシらには、そういうことは無理じゃからな」
『……』
「もういいよ。次のお店に行こう」
「次はまともならいいな」
『……』
地図を見ながら二軒目のお店を探す。
「お! あそこじゃねえか?」
「なんだか、さっきのところと比べるとこじんまりとしてるね」
「そうか? まあ、こんなもんじゃないか」
お店の前で騒ぐのもあれなので、今回はさっさと中に入る。
「いらっしゃいませ~」
「あ、どうも」
さっきは挨拶受けたりする余裕もなかったが、今回は落ち着いて様子をみることが出来る。
店内を見回すと焼き菓子がメインのようだ。
「これだけ、あると迷うね~」
「そうか? なら、全部かっちまえばいいじゃないか」
「う~ん、それもいいかな? すみません、少しお願いがあるんですが……」
「はい、なんでしょう」
「この店内のお菓子を買えるだけ欲しいんですが……お願いできますか?」
「お客さん、冗談は困ります」
「あ、いえ。気を悪くしたのなら、謝ります。でも、どうしても選べないのでお店が困らない範囲で購入したいんですが、ダメですか?」
「買っていただけるのなら、ありがたいお話ですが支払いの方は大丈夫なんでしょうか?」
「ちなみにですが、どれくらいになるかお聞きしても?」
「そうですね、ざっくりでよければ」
「お願いします」
「分かりました。いいですか、ざっくりですからね」
「はい」
「え~と、金貨で……」
「はい、金貨で……」
「五枚くらいでしょうか」
「五枚ですね。では、これを」
懐から金貨五枚を取り出し、手の平に乗せて店員さんに見せる。
「え、本当に?」
「あれ? 足りませんか?」
「いえ。しょ、少々お待ちください」
店員さんが店の奥に引っ込むと、奥から少しだけ話し声が聞こえてくる。
「だから、買いたいっていうんなら買ってもらえばいいじゃないか。なにが問題なんだよ」
「だって、店の中の全部を欲しいって言うんだよ。絶対にお忍びのお貴族様に違いないって! だから、怖いからあんたが相手をしてよ!」
「はぁ? 仕込みで俺は忙しいんだがな」
「いいから! 奥さんを守るのは旦那の役目でしょ! いいから、行ってよ!」
「ったく、しょうがねえな」
俺たちが待っているここまで話が丸聞こえだったのだが、ここは知らない振りをするべきかどうか迷っていたら、店の奥から出てきたのは、ちんまい店員さんとは違って、熊みたいな髭面のおっさんだった。
「俺が店主のゴーシュだ。あんたらか? お菓子を買い占めたいってのは? すまんが、全部を買い占めるのはやめて欲しいんだが……」
『ゴスッ』とか『ドスッ』とか音がするからなにかと思えば、店員さんが店主の脇腹を力一杯突ついているんだが、店主は気にする様子もなくこちらの出方を伺っている。
店員さんは俺たちをお忍びのお貴族様と勘違いしているからか、俺たちに対する言葉遣いが乱暴なのを止めたいんだろうな。
「え~と、店員さんからのお話がどう伝わっているのか分かりませんが、こちらからはお店が許せる範囲で買わせて下さいとお願いしたのですが……」
「あれ? 買い占めるんじゃなくて?」
「ええ、それではお店にご迷惑になると思い、売っていただける分だけ欲しいのですが……ダメでしょうか?」
「なんだよ~もう、全然話が違うじゃねえか! ちゃんと言えよ!」
「だって……」
「あ~もう、いいから。坊ちゃん、すまなかったな。どうやら、こいつの言う事を間違って解釈していたみたいだ。もし、買ってもらえるのなら全部買ってもらって構わないぞ」
「え? いいんですか?」
「ああ、どうせ今仕込んでいるのが焼き上がったら並べるからな。店の中から売り物がなくなることはないぞ」
「分かりました。じゃあ、全部いいですか?」
「ああ、いいぞ。でも支払いは大丈夫なんだろうな?」
「ええ、金貨五枚と聞いています。これでいいですか?」
手の平に金貨を並べて見せる。
「五枚? おい、どういうことだ? どう見ても三枚でも多いくらいだぞ」
「そ、そう?」
「お前、計算出来る様になったって言ってなかったか?」
「出来るよ! 出来るけど、計算しようにも紙が手元になかったんだもん!」
店員さんが両頬を膨らませて、反論する。
「ああ、もう分かったから、包んでくれ」
「分かったわよ」
「悪かったな。そういうことで金貨三枚だけど、いいか?」
「いいですよ。はい」
そう言って、店主に金貨五枚を渡す。
「お前もか? 俺は三枚と言ったんだ。どう見てもこれは五枚だろ?」
「いえ、合ってますよ」
「ん? どういうことだ? 分かるように説明してもらえるか?」
「余った分で、また買わせてもらいますので」
「そうか、要は前払いってことか」
「そうです。また後で取りに来たいんですが、今日はやめときます。三日後とか大丈夫ですか?」
「三日後か……うん、いいぞ。なら、三日後に取りに来てくれ」
「はい、分かりました」
「おう、こっちこそありがとうな。おい、まだ包んでいるのか?」
「待ってよ~こんなにいっぱい無理だよぉ~」
店員さんが大量の焼き菓子を前にてんやわんやだ。
しょうがないと店主さんにこれから見ることを秘密にしておいて欲しいとお願いする。
「俺はいいが、なにをするつもりだ?」
「まあ、いいですから。『収納』」
店員さんが包むのにあたふたしていた大量のお菓子が一瞬で目の前から消える。
「「はぁ?」」
「じゃあ、三日後にまた来ますね」
固まったままの店主さんと店員さんをそのままにお店から出る。
今度はドラゴさんのところだな。
お店までの道を歩きながら、ガンツさんが聞いてくる。
「あいつらは、そのままでいいのか?」
「ああ、いいんじゃない。そのうち、気付くでしょ」
「相変わらず軽いの~」
「それにあの二人は、なんだか揶揄いたくなる二人だよね」
「まあ、確かにな。じゃが、なにを考えているのかは分からんが、ほどほどにしとけよ」
「うん、ほどほどにね」
「お前の匙加減はいつも間違えとるからな」
ガンツさんの失礼な物言いに釈然としないものを感じる。
それよりも牛乳だ。これがあれば生クリームにバターにチーズと食生活もだけど、お菓子の種類がぐんと増える。
チーズはあるんだから、どこかに乳牛はいるはずだ。
もしいるのなら、ドラゴニュータウンで飼育したい! ついでに鶏卵も欲しいな。
「ケイン、着いたぞ。そろそろ戻って来い」
「あ、ガンツさん」
「あ、じゃねえよ。ほれ、酒を買うんだからシャンとしてくれよ」
「やっと来よったか」
そこには店の前で仁王立ちしているドラゴさんがいた。
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