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◆聞こえました
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ヨサックさんの家の前に出ると玄関をノックする。
「ヨサックさ~ん、いますか~?」
少し待つと中から、奥さんのハンナさんが玄関を開けてくれた。
「あら、ケイン君。どうしたの?」
「こんにちは、ハンナさん。ヨサックさんは?」
「ヨサックは、牛の世話に行ってるわ。急用なの?」
「そこまで急用と言う訳でも……あ、そうか。ヨサックさんにも渡していたんだった」
携帯電話をヨサックさんに渡していたことを思い出し、その場でヨサックさんに掛ける。
『プルル……プルル……プルル……』
「出ないね。マサオ、呼んできてくれる?」
『……』
「ケイン君。マサオだって、ヨサックがどこにいるかなんて分からないわよ。それよりも、ほら!」
ハンナさんが指す方向を見ると、ヨサックさんがこっちに走って向かっているのが見える。
「あんなに慌てて、なにがあったのかしら?」
「ハァハァ……お~い、ハンナ! これ! ん? ケインか。ちょうどいい、お前にもらったこれから急に音が鳴り出してな。壊れたのか?」
ヨサックさんが携帯電話を俺に見せながら、話す。
それで慌てて、帰って来たのかと思いつつ、携帯電話でヨサックさんに掛ける。
『プルル……プルル……』
「おい! また鳴ったぞ!」
「ヨサックさん、その携帯電話の『受話』ボタンを押した後に携帯電話を耳に当ててください」
「こうか? 『もしもし、聞こえますか?』……ん? ケインの声がしたぞ?」
「『ヨサックさん、簡単にですけど使い方は説明しましたよね?』」
「ん? こっちからもケインの声がする」
「もう! あなたは……ごめんね。ケイン君、私からもちゃんと教えておくから。ごめんね」
ハンナさんは横で聞いていただけなのに使い方を覚えているみたいだ。
「じゃあ、ハンナさんにもこれを」
インベントリから携帯電話を取り出すとハンナさんに渡す。
「それとこれがハンナさんに渡した携帯電話の番号と下が俺の番号で、その下がヨサックさんの番号です」
それぞれの携帯電話の番号を書いた紙片を渡す。
「あら、ありがとう。これでヨサックにも教えてあげられるわ。それで、ヨサックに用があったんじゃないの?」
「そうでした。実は見せたい物がありまして……」
「そうか、なら家に入ってくれ」
「そうね。どうぞ」
ヨサックさん夫妻に案内され家に入る。
「それで、見せたい物ってのはなんだ?」
「これです」
テーブルの上に生クリーム、バター、アイスを並べる。
「「これは?」」
「これが、生クリーム。これがバターで、これがアイスです。まずはそれぞれの味見をしてください」
ハンナさんにお皿とスプーンを用意してもらい試食をお願いする。
「これは……」
「あら、美味しい」
「でしょ。これの原料は全て牛乳です。だから、ヨサックさんが絞った牛乳があまることなんて考える必要はありません! むしろ、足りないくらいです」
「お、おう」
「あなた……」
「そして、王都の菓子店のゴーシュさんにお願いして試作してもらったのがこれです!」
今度はシュークリームを一つずつお皿の上に置き、ヨサックさん夫妻に試食をお願いする。
「じゃ、いただきます。 ん?」
「私も……な、なにこれ!」
「どうです? もうすぐゴーシュさんのお店で販売されるでしょう。そうなるとゴーシュさんは原料である生クリームが欲しくなりますよね? でも、今の状況ではそこまで手が回らないし、ヨサックさん達では生産することも出来ない……ですよね?」
ヨサックさん夫妻が揃って頷く。
「そこで、この間のお話です。生産工場は俺の方で用意します。いや、させてもらいます! なので、ヨサックさん夫妻にはのびのびと乳牛を育てられる環境を作って欲しいんです。あと、出来れば美味しいチーズもね」
「うん、分かったよ。ケインが俺達に大丈夫だと言った意味が」
「そうね。これだけの美味しい物が出来るんですもの。私達が絞った牛乳が余ることなんてないわね」
「ああ、そうだな。なあ、ケイン。これを俺達に賛同してくれる連中に食べさせてやりたいんだが、いいか?」
「いいですよ。いい結果が聞けることを期待していますね。あ! それと王都でチーズの需要が高くなりそうだから、ここまで買い付けに来る人がいるかもしれません。もし、無茶を言うような人がいたら、いつでも連絡してください」
「え? そんな荒事っぽいのをケイン君に頼んでも大丈夫なの?」
「ハンナ、お前も見ただろ? ケインはこう見えても魔法も結構使えるはずだぞ。多分……」
「まだ、多分なんですね。まあ、いいです。その辺は徐々に分かってもらえれば。じゃあ、帰りますね。行くよ、マサオ」
『なんだ、もう終わりか?』
その場でゲートを工房に繋いで戻る。
「ヨサック、あの犬喋ってなかった?」
「ハンナ、お前も聞こえたのか?」
「前も聞こえたと思ったけど、気のせいと思いたかったのよ。だって、犬が話すわけないじゃない。ねえ?」
「でも、話してたな」
「うん、ケイン君も当たり前のようにね……」
「「はぁ……」」
自分達がとんでもない少年と知り合ったことを喜ぶべきか後悔するべきか悩む夫婦が、その場に残された。
「ヨサックさ~ん、いますか~?」
少し待つと中から、奥さんのハンナさんが玄関を開けてくれた。
「あら、ケイン君。どうしたの?」
「こんにちは、ハンナさん。ヨサックさんは?」
「ヨサックは、牛の世話に行ってるわ。急用なの?」
「そこまで急用と言う訳でも……あ、そうか。ヨサックさんにも渡していたんだった」
携帯電話をヨサックさんに渡していたことを思い出し、その場でヨサックさんに掛ける。
『プルル……プルル……プルル……』
「出ないね。マサオ、呼んできてくれる?」
『……』
「ケイン君。マサオだって、ヨサックがどこにいるかなんて分からないわよ。それよりも、ほら!」
ハンナさんが指す方向を見ると、ヨサックさんがこっちに走って向かっているのが見える。
「あんなに慌てて、なにがあったのかしら?」
「ハァハァ……お~い、ハンナ! これ! ん? ケインか。ちょうどいい、お前にもらったこれから急に音が鳴り出してな。壊れたのか?」
ヨサックさんが携帯電話を俺に見せながら、話す。
それで慌てて、帰って来たのかと思いつつ、携帯電話でヨサックさんに掛ける。
『プルル……プルル……』
「おい! また鳴ったぞ!」
「ヨサックさん、その携帯電話の『受話』ボタンを押した後に携帯電話を耳に当ててください」
「こうか? 『もしもし、聞こえますか?』……ん? ケインの声がしたぞ?」
「『ヨサックさん、簡単にですけど使い方は説明しましたよね?』」
「ん? こっちからもケインの声がする」
「もう! あなたは……ごめんね。ケイン君、私からもちゃんと教えておくから。ごめんね」
ハンナさんは横で聞いていただけなのに使い方を覚えているみたいだ。
「じゃあ、ハンナさんにもこれを」
インベントリから携帯電話を取り出すとハンナさんに渡す。
「それとこれがハンナさんに渡した携帯電話の番号と下が俺の番号で、その下がヨサックさんの番号です」
それぞれの携帯電話の番号を書いた紙片を渡す。
「あら、ありがとう。これでヨサックにも教えてあげられるわ。それで、ヨサックに用があったんじゃないの?」
「そうでした。実は見せたい物がありまして……」
「そうか、なら家に入ってくれ」
「そうね。どうぞ」
ヨサックさん夫妻に案内され家に入る。
「それで、見せたい物ってのはなんだ?」
「これです」
テーブルの上に生クリーム、バター、アイスを並べる。
「「これは?」」
「これが、生クリーム。これがバターで、これがアイスです。まずはそれぞれの味見をしてください」
ハンナさんにお皿とスプーンを用意してもらい試食をお願いする。
「これは……」
「あら、美味しい」
「でしょ。これの原料は全て牛乳です。だから、ヨサックさんが絞った牛乳があまることなんて考える必要はありません! むしろ、足りないくらいです」
「お、おう」
「あなた……」
「そして、王都の菓子店のゴーシュさんにお願いして試作してもらったのがこれです!」
今度はシュークリームを一つずつお皿の上に置き、ヨサックさん夫妻に試食をお願いする。
「じゃ、いただきます。 ん?」
「私も……な、なにこれ!」
「どうです? もうすぐゴーシュさんのお店で販売されるでしょう。そうなるとゴーシュさんは原料である生クリームが欲しくなりますよね? でも、今の状況ではそこまで手が回らないし、ヨサックさん達では生産することも出来ない……ですよね?」
ヨサックさん夫妻が揃って頷く。
「そこで、この間のお話です。生産工場は俺の方で用意します。いや、させてもらいます! なので、ヨサックさん夫妻にはのびのびと乳牛を育てられる環境を作って欲しいんです。あと、出来れば美味しいチーズもね」
「うん、分かったよ。ケインが俺達に大丈夫だと言った意味が」
「そうね。これだけの美味しい物が出来るんですもの。私達が絞った牛乳が余ることなんてないわね」
「ああ、そうだな。なあ、ケイン。これを俺達に賛同してくれる連中に食べさせてやりたいんだが、いいか?」
「いいですよ。いい結果が聞けることを期待していますね。あ! それと王都でチーズの需要が高くなりそうだから、ここまで買い付けに来る人がいるかもしれません。もし、無茶を言うような人がいたら、いつでも連絡してください」
「え? そんな荒事っぽいのをケイン君に頼んでも大丈夫なの?」
「ハンナ、お前も見ただろ? ケインはこう見えても魔法も結構使えるはずだぞ。多分……」
「まだ、多分なんですね。まあ、いいです。その辺は徐々に分かってもらえれば。じゃあ、帰りますね。行くよ、マサオ」
『なんだ、もう終わりか?』
その場でゲートを工房に繋いで戻る。
「ヨサック、あの犬喋ってなかった?」
「ハンナ、お前も聞こえたのか?」
「前も聞こえたと思ったけど、気のせいと思いたかったのよ。だって、犬が話すわけないじゃない。ねえ?」
「でも、話してたな」
「うん、ケイン君も当たり前のようにね……」
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自分達がとんでもない少年と知り合ったことを喜ぶべきか後悔するべきか悩む夫婦が、その場に残された。
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