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◆視察ツアーを始めました
ヨサック夫婦が呆けていると空間に穴が開き、ケインが出てくる。
「人が集まるのなら、これも必要でしょ。俺からの差し入れ。あ、それとバターで野菜とか炒めるだけでも美味しいよ。試してみてね。じゃあね」
ケインはそれだけ言うと、穴の中に戻っていく。
そのケインが置いていったのは数本の酒瓶。もちろん中身入り。
「なんだったんだ? しかもこんなに……」
「ふふふ、まあいいじゃない。ほら、呼んでくるんでしょ。いってらっしゃい。私はケイン君の言うように試作してみるわ」
「おう。じゃあ、ちょっと行ってくるな」
ヨサックがケインとの話に賛同してくれそうな友人達を呼びに出かけたので、ハンナはケインの言うようにバターを使って、野菜や肉を炒めてみることにする。
「まずは、簡単に野菜からにしようかな。お肉は来てからでいいよね、時間おくと固くなっちゃうし。よし、始めよう!」
しばらくして、ヨサックが五人の同年代の男を連れて帰ってくる。
「ハンナ、戻ったぞ。ん? なんかいい匂いがするな」
「お! 本当だ。いい匂いだな」
「ふんふん、嗅いだことがあるようなないような……」
「いいから、早く入ってくれ。後が支えてるだろ」
「ああ、すまんな」
テーブルに皆が着くと一人の男が尋ねる。
「ところで、俺達を呼んだのはどういう訳だ?」
「そうだよ、なにか話があるとしか聞いてないぞ」
「ああ、そうだ。実はな……」
「ヨサック、話をする前にこれを食べてもらって。ケインの言うようにバターを使って見たのよ。さあ、召し上がれ」
「おう、これか。さっきからいい匂いがして気にはなっていたんだ」
「ほう、うん。いい匂いだな」
「普通に野菜を炒めただけのようだが、なにを使ったんだ?」
「これはね「バターだよ」もう、ヨサック!」
「「「「「バター?」」」」」
「そう、バターだ」
「まあ、なにか分からんがうまそうだし食べれば分かるだろ。どら」
皿の上の野菜炒めを口に入れ黙り込む。
「どうした? なにか言えよ!」
「そうだぞ」
「もしかして、お口に合わなかったのかしら?」
「ハンナの料理が口に合わないとかないだろ。ほら、なんか言えよ」
「う……」
「「「「「「う?」」」」」」
「うまい!」
「「「「「うまいのかよ!」」」」」
「もう。ほら、皆も食べてみて」
「ああ、ご馳走になろう」
「そうだな」
『パクッ』
その場にいる皆がほぼ同時に口に入れる。
「「「「「……」」」」」
皆が皆の顔を見渡す。
「「「「「うまい!」」」」」
「なんでだ? これはここで採れた野菜だろ?」
「そうよ。いつも通りのお野菜よ」
「なら、なんでこんなに味が……」
「それはね「バターだ!」もう、ヨサック!」
「そういや、さっきもそんなことを言ってたな」
「それで、なんなんだ? そのバターってのは?」
ヨサックが不敵に笑うと冷蔵庫からバターを少しだけ取り出して、テーブルに乗せる。
「これがバターだ!」
「なあ、これはヨサックが作ったのか?」
「そ、それは……」
「違うのよ。それを早く話せばいいのにヨサックてば」
「まあ、とりあえず少しずつだが、味見をしてくれ」
「「「「「分かった」」」」」
順番に言われた通りに少しずつ味見する。
「なあ、これって元は牛乳じゃないのか?」
「お! 分かるか?」
「ああ、どことなくチーズに近い気がしたんでな」
「だけど、チーズはこんなに溶けないぞ?」
「だよな」
「なあ、ヨサック。今日の話はこれのことじゃないのか?」
「ふふふ」
言われたヨサックがまた、冷蔵庫に近づくと生クリームを取り出し、冷凍庫からアイスを取り出す。
「今度は二つか」
「一つは柔らかそうだが、もう一つは固そうだな」
「それより味見だろ。早く食わせてくれ!」
「ふふふ、驚けよ?」
それぞれの皿に生クリームとアイスを乗せる。
「ほら、食ってみろ」
「もう、ヨサックは……ケイン君に言いつけちゃおうかな?」
ヨサックが一瞬ビクリとするのを男達は見逃さなかった。
「やっぱりな。ヨサックだけじゃこれだけの物は作れないはずだ」
「ああ、もういいから食って感想を聞かせてくれ!」
「分かったよ」
男達がそれぞれの皿の上に乗せられた生クリームとアイスを口の中に入れる。
「うん、うまいな。まさか、これも牛乳からなのか?」
「ああ、その通りだ」
「そうか。で、ヨサックはなにをしたい? なんで俺たちは呼ばれた?」
「実はな、これを作ったやつがな昨日、チーズの買い付けに来たんだ」
「まあ、チーズの買い付けはそんなに珍しくはないだろ」
「そうだが、そいつは牛乳も大量に買ってくれたんだ」
「へ~そりゃいいな。ぜひ、ウチからも買っていって欲しいもんだ」
「本当か? そりゃ、ケインも喜ぶ!」
「お、おお、それはいいが。で、ケインってのがその教えてくれたやつの名前なのか?」
「ああ、そうだ。でな、そのケインが言うにはだ。もし許されるならば売ってくれるだけの牛乳とチーズを買いたいと言われている」
「いい話じゃないか。そんなの俺達に話さなくてもヨサックだけでやればいい話じゃないか。なんで俺達に話すんだ?」
「ふぅ~」
ヨサックは一旦嘆息し皆を見渡す。
「なあ、そのアイスは冷たかっただろう?」
「ああ、そう言われればそうだな。それが?」
「お前達は不思議に思わないのか?」
「いや、だってお前は氷魔法を少しだけど使えるだろう。なにも不思議なことじゃないぞ」
「ああ、そうだった……」
「で、ヨサックはなにが言いたいんだ?」
ヨサックがなんとか気を取り直して話を続ける。
「今は俺の他に氷魔法を使えるやつは少ないよな。いても王都まで保たないし」
「ああ、そうだな。だから、行商はヨサックに頼んでいるんだろ」
「そうだな。だがな、誰でも行けると言ったらどうする? 行きたいか?」
「いや、ヨサックが行ってくれるのなら、俺はいいかな」
「あ、俺も!」
「俺もだ」
「なんだよ! 俺に押し付けるのかよ!」
「いや、だってお前ほど氷魔法は使えないからな。行商自体が無理だから。な?」
「「「「ああ」」」」
「だから、それが出来るようになるんだって」
「いや、無理だって」
「出来る!」
「無理!」
しばらくヨサックと男達で言い合いが続いていたが、ヨサックが嘆息すると椅子から立ち上がり、男達を呼ぶ。
「なんだよ。話は終わりじゃないのか?」
「いいから、そこの冷蔵庫の扉を開けてみろ」
「冷蔵庫? この箱のことか?」
「ああ、その扉を開けてくれ」
「開ければいいんだな。ったく……」
男が冷蔵庫の扉を開けるが、そのまま動かなくなる。
「おい、どうした? なにがあった? これは? 冷たい……」
「そうだよ、冷たいんだよ! おい! ヨサックどういうことだよ!」
「ヨサック、お前魔法を付与出来たのか?」
「ばか! 俺がそんなこと出来る訳ないだろ」
「じゃあ、これはなんなんだ?」
「だから、これが俺以外でも行商が出来る様になる道具だ」
しばらく男達が冷蔵庫の扉を開けたままぼーっとしていると、ハンナが冷蔵庫の扉を閉める。
「中の物が悪くなるからね」
そう言って、ゆっくりと冷蔵庫の扉を閉めると男達をテーブルに戻す。
「ヨサックの言っていることは分かった。あれと似たような魔道具があるんだろ? で、それを使えば誰でも今まで以上のチーズを王都に売りに行けるようになると、そう言いたいのか?」
「まあ、半分……いや、三分の一当たりってとこかな」
「残りはなんだ?」
「そのケインがな、王都でチーズの需要を高めたようでな、ここまで買い付けに来るのが増えるかもと言ってたな」
「それはいいことじゃないか。なにが問題なんだ?」
「だから、チーズが売れる物として、認識されたら買い占めとかあるだろ? だから、ちょっと質が良くない連中も来るかもしれないってのが一つ」
「それは嫌だな。他は?」
「村長が、販売量を増やすのを嫌がっている」
「ハァ~村長らしいな。それでもう終わりか?」
「ケインが牛乳を買い取りたいと言って来た」
「いい話じゃないか。それはうちでもいいのか?」
「ああ、増える分には問題ないだろうな」
「それで、他にもあるのか?」
「ああ、お前達これがなにか分かるか?」
ヨサックが携帯電話をテーブルの上に出し男達に尋ねる。
「なんだこれ?」
「まあ、そうだよな」
「なんだ、はっきりしないな。ヨサックはどうしたいんだ?」
「俺はこの村を出て移住しようかと考えている」
「「「「「はぁ?」」」」」
「もう、移住先も案内してもらった」
「「「「「はぁ?」」」」」
「土地も十分広い場所を無償で提供してくれるとも言ってくれた」
「「「「「はぁ?」」」」」
「移住が嫌なら通勤でもいいと言ってくれた」
「「「「「はぁ?」」」」」
「なんだよ、お前らさっきから『はぁ』しか言わないな」
「いや、そりゃ言うだろ! お前、騙されているんじゃないのか?」
「騙されているってなんだよ。お前らも食ったろ? もし移住したら乳搾り以外にもバターとか乳製品の仕事もして欲しいって言われてる」
「お前、牛の世話だってキツいのに、そんなに幾つも仕事は出来ないだろ?」
「いや、それがな移住先では車ってのが、いろんな作業で使われていてな、そんなにきつくはならないだろうって言われてるんだ」
「だめだ、お前は騙されているんだ! ヨサック! 目を覚ますんだ!」
「ああ、もう分かったよ。なら、お前らにも経験してもらうからな!」
「「「「「なにをだよ!」」」」」
「こういうことだよ。もしもしケインか? 今から、ちょっとこっちに来てくれないかな? そうか、分かった。ああ、待ってる。ああ、頼むな」
「ヨサック、なんで、そんなのを持っていきなり独り言なんて……お前、大丈夫か?」
するといきなりリビングの空間に穴が開いたと思ったら、少年と犬が出てきた。
「ヨサックさん、来たけどなに?」
「おう、ケイン。ちょっとこいつらにもお前の街を見せてやりたいんだが頼めるか?」
「ああ、前に話していた一緒に来てくれるかもって人?」
「そうだ。頼めるか?」
「いいよ。じゃあ、行こうか」
ドラゴニュータウンにケインがゲートを繋ぎ潜るように促すが、なんだか男達の様子がおかしい。
「ヨサックさん、もう面倒だからこっちに押し込んでもらえるかな?」
「ああ、いいぞ。そおれ!」
「人が集まるのなら、これも必要でしょ。俺からの差し入れ。あ、それとバターで野菜とか炒めるだけでも美味しいよ。試してみてね。じゃあね」
ケインはそれだけ言うと、穴の中に戻っていく。
そのケインが置いていったのは数本の酒瓶。もちろん中身入り。
「なんだったんだ? しかもこんなに……」
「ふふふ、まあいいじゃない。ほら、呼んでくるんでしょ。いってらっしゃい。私はケイン君の言うように試作してみるわ」
「おう。じゃあ、ちょっと行ってくるな」
ヨサックがケインとの話に賛同してくれそうな友人達を呼びに出かけたので、ハンナはケインの言うようにバターを使って、野菜や肉を炒めてみることにする。
「まずは、簡単に野菜からにしようかな。お肉は来てからでいいよね、時間おくと固くなっちゃうし。よし、始めよう!」
しばらくして、ヨサックが五人の同年代の男を連れて帰ってくる。
「ハンナ、戻ったぞ。ん? なんかいい匂いがするな」
「お! 本当だ。いい匂いだな」
「ふんふん、嗅いだことがあるようなないような……」
「いいから、早く入ってくれ。後が支えてるだろ」
「ああ、すまんな」
テーブルに皆が着くと一人の男が尋ねる。
「ところで、俺達を呼んだのはどういう訳だ?」
「そうだよ、なにか話があるとしか聞いてないぞ」
「ああ、そうだ。実はな……」
「ヨサック、話をする前にこれを食べてもらって。ケインの言うようにバターを使って見たのよ。さあ、召し上がれ」
「おう、これか。さっきからいい匂いがして気にはなっていたんだ」
「ほう、うん。いい匂いだな」
「普通に野菜を炒めただけのようだが、なにを使ったんだ?」
「これはね「バターだよ」もう、ヨサック!」
「「「「「バター?」」」」」
「そう、バターだ」
「まあ、なにか分からんがうまそうだし食べれば分かるだろ。どら」
皿の上の野菜炒めを口に入れ黙り込む。
「どうした? なにか言えよ!」
「そうだぞ」
「もしかして、お口に合わなかったのかしら?」
「ハンナの料理が口に合わないとかないだろ。ほら、なんか言えよ」
「う……」
「「「「「「う?」」」」」」
「うまい!」
「「「「「うまいのかよ!」」」」」
「もう。ほら、皆も食べてみて」
「ああ、ご馳走になろう」
「そうだな」
『パクッ』
その場にいる皆がほぼ同時に口に入れる。
「「「「「……」」」」」
皆が皆の顔を見渡す。
「「「「「うまい!」」」」」
「なんでだ? これはここで採れた野菜だろ?」
「そうよ。いつも通りのお野菜よ」
「なら、なんでこんなに味が……」
「それはね「バターだ!」もう、ヨサック!」
「そういや、さっきもそんなことを言ってたな」
「それで、なんなんだ? そのバターってのは?」
ヨサックが不敵に笑うと冷蔵庫からバターを少しだけ取り出して、テーブルに乗せる。
「これがバターだ!」
「なあ、これはヨサックが作ったのか?」
「そ、それは……」
「違うのよ。それを早く話せばいいのにヨサックてば」
「まあ、とりあえず少しずつだが、味見をしてくれ」
「「「「「分かった」」」」」
順番に言われた通りに少しずつ味見する。
「なあ、これって元は牛乳じゃないのか?」
「お! 分かるか?」
「ああ、どことなくチーズに近い気がしたんでな」
「だけど、チーズはこんなに溶けないぞ?」
「だよな」
「なあ、ヨサック。今日の話はこれのことじゃないのか?」
「ふふふ」
言われたヨサックがまた、冷蔵庫に近づくと生クリームを取り出し、冷凍庫からアイスを取り出す。
「今度は二つか」
「一つは柔らかそうだが、もう一つは固そうだな」
「それより味見だろ。早く食わせてくれ!」
「ふふふ、驚けよ?」
それぞれの皿に生クリームとアイスを乗せる。
「ほら、食ってみろ」
「もう、ヨサックは……ケイン君に言いつけちゃおうかな?」
ヨサックが一瞬ビクリとするのを男達は見逃さなかった。
「やっぱりな。ヨサックだけじゃこれだけの物は作れないはずだ」
「ああ、もういいから食って感想を聞かせてくれ!」
「分かったよ」
男達がそれぞれの皿の上に乗せられた生クリームとアイスを口の中に入れる。
「うん、うまいな。まさか、これも牛乳からなのか?」
「ああ、その通りだ」
「そうか。で、ヨサックはなにをしたい? なんで俺たちは呼ばれた?」
「実はな、これを作ったやつがな昨日、チーズの買い付けに来たんだ」
「まあ、チーズの買い付けはそんなに珍しくはないだろ」
「そうだが、そいつは牛乳も大量に買ってくれたんだ」
「へ~そりゃいいな。ぜひ、ウチからも買っていって欲しいもんだ」
「本当か? そりゃ、ケインも喜ぶ!」
「お、おお、それはいいが。で、ケインってのがその教えてくれたやつの名前なのか?」
「ああ、そうだ。でな、そのケインが言うにはだ。もし許されるならば売ってくれるだけの牛乳とチーズを買いたいと言われている」
「いい話じゃないか。そんなの俺達に話さなくてもヨサックだけでやればいい話じゃないか。なんで俺達に話すんだ?」
「ふぅ~」
ヨサックは一旦嘆息し皆を見渡す。
「なあ、そのアイスは冷たかっただろう?」
「ああ、そう言われればそうだな。それが?」
「お前達は不思議に思わないのか?」
「いや、だってお前は氷魔法を少しだけど使えるだろう。なにも不思議なことじゃないぞ」
「ああ、そうだった……」
「で、ヨサックはなにが言いたいんだ?」
ヨサックがなんとか気を取り直して話を続ける。
「今は俺の他に氷魔法を使えるやつは少ないよな。いても王都まで保たないし」
「ああ、そうだな。だから、行商はヨサックに頼んでいるんだろ」
「そうだな。だがな、誰でも行けると言ったらどうする? 行きたいか?」
「いや、ヨサックが行ってくれるのなら、俺はいいかな」
「あ、俺も!」
「俺もだ」
「なんだよ! 俺に押し付けるのかよ!」
「いや、だってお前ほど氷魔法は使えないからな。行商自体が無理だから。な?」
「「「「ああ」」」」
「だから、それが出来るようになるんだって」
「いや、無理だって」
「出来る!」
「無理!」
しばらくヨサックと男達で言い合いが続いていたが、ヨサックが嘆息すると椅子から立ち上がり、男達を呼ぶ。
「なんだよ。話は終わりじゃないのか?」
「いいから、そこの冷蔵庫の扉を開けてみろ」
「冷蔵庫? この箱のことか?」
「ああ、その扉を開けてくれ」
「開ければいいんだな。ったく……」
男が冷蔵庫の扉を開けるが、そのまま動かなくなる。
「おい、どうした? なにがあった? これは? 冷たい……」
「そうだよ、冷たいんだよ! おい! ヨサックどういうことだよ!」
「ヨサック、お前魔法を付与出来たのか?」
「ばか! 俺がそんなこと出来る訳ないだろ」
「じゃあ、これはなんなんだ?」
「だから、これが俺以外でも行商が出来る様になる道具だ」
しばらく男達が冷蔵庫の扉を開けたままぼーっとしていると、ハンナが冷蔵庫の扉を閉める。
「中の物が悪くなるからね」
そう言って、ゆっくりと冷蔵庫の扉を閉めると男達をテーブルに戻す。
「ヨサックの言っていることは分かった。あれと似たような魔道具があるんだろ? で、それを使えば誰でも今まで以上のチーズを王都に売りに行けるようになると、そう言いたいのか?」
「まあ、半分……いや、三分の一当たりってとこかな」
「残りはなんだ?」
「そのケインがな、王都でチーズの需要を高めたようでな、ここまで買い付けに来るのが増えるかもと言ってたな」
「それはいいことじゃないか。なにが問題なんだ?」
「だから、チーズが売れる物として、認識されたら買い占めとかあるだろ? だから、ちょっと質が良くない連中も来るかもしれないってのが一つ」
「それは嫌だな。他は?」
「村長が、販売量を増やすのを嫌がっている」
「ハァ~村長らしいな。それでもう終わりか?」
「ケインが牛乳を買い取りたいと言って来た」
「いい話じゃないか。それはうちでもいいのか?」
「ああ、増える分には問題ないだろうな」
「それで、他にもあるのか?」
「ああ、お前達これがなにか分かるか?」
ヨサックが携帯電話をテーブルの上に出し男達に尋ねる。
「なんだこれ?」
「まあ、そうだよな」
「なんだ、はっきりしないな。ヨサックはどうしたいんだ?」
「俺はこの村を出て移住しようかと考えている」
「「「「「はぁ?」」」」」
「もう、移住先も案内してもらった」
「「「「「はぁ?」」」」」
「土地も十分広い場所を無償で提供してくれるとも言ってくれた」
「「「「「はぁ?」」」」」
「移住が嫌なら通勤でもいいと言ってくれた」
「「「「「はぁ?」」」」」
「なんだよ、お前らさっきから『はぁ』しか言わないな」
「いや、そりゃ言うだろ! お前、騙されているんじゃないのか?」
「騙されているってなんだよ。お前らも食ったろ? もし移住したら乳搾り以外にもバターとか乳製品の仕事もして欲しいって言われてる」
「お前、牛の世話だってキツいのに、そんなに幾つも仕事は出来ないだろ?」
「いや、それがな移住先では車ってのが、いろんな作業で使われていてな、そんなにきつくはならないだろうって言われてるんだ」
「だめだ、お前は騙されているんだ! ヨサック! 目を覚ますんだ!」
「ああ、もう分かったよ。なら、お前らにも経験してもらうからな!」
「「「「「なにをだよ!」」」」」
「こういうことだよ。もしもしケインか? 今から、ちょっとこっちに来てくれないかな? そうか、分かった。ああ、待ってる。ああ、頼むな」
「ヨサック、なんで、そんなのを持っていきなり独り言なんて……お前、大丈夫か?」
するといきなりリビングの空間に穴が開いたと思ったら、少年と犬が出てきた。
「ヨサックさん、来たけどなに?」
「おう、ケイン。ちょっとこいつらにもお前の街を見せてやりたいんだが頼めるか?」
「ああ、前に話していた一緒に来てくれるかもって人?」
「そうだ。頼めるか?」
「いいよ。じゃあ、行こうか」
ドラゴニュータウンにケインがゲートを繋ぎ潜るように促すが、なんだか男達の様子がおかしい。
「ヨサックさん、もう面倒だからこっちに押し込んでもらえるかな?」
「ああ、いいぞ。そおれ!」
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※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。