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◆任されました
ヨサック達をドラゴニュータウンに繋がるゲートに放り込むとケインもゲートを潜る。
「ヨサック、痛いよ」
「そうだぞ、いきなりなに……」
「いてぇ……あれ?」
「なあ、ここは?」
「俺達はヨサックの家にいたよな?」
「ああ、そうだ。そしたら、急に穴が空いて……」
「そう、その穴から子供が出てきて……」
「気がつきました?」
「「「「「お前だ~!」」」」」
「もう、なんですか? いきなり」
気づいた男達はこれまでの経緯を思い出すと同時にいきなり穴の中から現れたケインを思い出し恐怖する。
「「「「「……」」」」」
「お、俺たちをどうするつもりだ!」
「あれ? ヨサックさん、話してないの?」
「いや、ちゃんと案内するとは言ったぞ。なあ?」
「そんなことは言ってない!」
「ああ、俺達は聞いてない!」
「でも、見ないと信用しないだろ? だから、半ば無理矢理に案内することにした。それだけだ」
「『それだけだ』って……」
「まあ、いい。それでここはどこなんだ?」
「じゃあ、それは俺から」
ケインが前に出て話し出す。
「皆さんはシャルディーア領をご存知ですか?」
「知らん。聞いたこともない」
「俺も知らないな」
「俺も!」
「私も」
「僕はちょっとだけ、聞いたことがあります」
一番、若い青年がそう答える。
「へ~それはどんな風に?」
ケインが青年に問いかける。
「なんでも、オートバイとかいう物や、いろんな見たこともない魔道具の開発が盛んな領だと聞きました」
「はい、その通りです。皆さん、後ろを振り向いてください!」
「ふふふ、皆驚くぞ~」
ヨサックは自分がやられたことを思い出し、皆がどういう風に反応するのかを楽しみにしていると、振り向いた男達がそれぞれに反応する。
「へ?」
「は?」
「ほ~」
「ふぅ~」
「ひぃ~なんですか! あれは……」
青年が魔導列車を見て驚く。
「あれは魔導列車ですね。ここからシャルディーア領の領都まで人や荷物を運びます」
「じゃあ、あれはなんだ?」
一人の男が軽トラを指して聞いてくる。
「あれは軽トラですね。主に荷物を運びます。馬以上に働きますよ」
「じゃあ、ヨサックが言っていた余裕が出来るってのは、ああいう道具を使うことが前提なんだな」
「そうだ。俺もケインに聞いたばかりだがな」
「だから、なんでお前が偉そうにするんだ。全部そこの子供がやっていることだろうが!」
「そりゃ、そうだけど一番最初に話を聞いたのは俺なんだから、いいじゃないか」
「とにかく、移住するのはそっちじゃなく、反対側のこっちの草原になるんだろ?」
男がそう言って、もう一度振り返る。
「どの範囲をヨサックと約束しているか聞いてもいいか?」
「いいですよ。とりあえずは山の麓からになりますが、今のカイドー村と同じくらいの土地は保証しますよ」
「ほう、随分と大盤振る舞いだな。俺達にそこまでして、お前になんの得があるんだ?」
「あれ? ヨサックさん、皆さんには食べてもらってないの?」
「いや、食べさせたぞ」
「そうなんですね。じゃあ、話しますけど俺が欲しいのはヨサックさんの絞る牛乳とチーズです。そして、その牛乳から乳製品を作りたいんですよ。俺が作る乳製品は必ず売れます! それも想像を超えるくらいに。もし、そうなればこんな土地なんか安いものと思いませんか?」
「要はヨサックの牛乳を元に荒稼ぎが出来るって訳だ」
「簡単に言えばですね。でも、美味しかったでしょ?」
「まあ、それはそうだな」
「でも、ヨサックさんのところだけでは量として限界があります。だから、ヨサックさんには賛同してくれそうな人への声がけを頼んだんですよ。どうです? 興味ありませんか?」
「ふむ」
ケインの話を聞き、皆が思案顔になる。
「なあ、その乳製品を作るのは俺達に任せるのが条件と言ったら、お前はどうする?」
「別に構いませんよ」
「まあ、利益が見えている商売だからな簡単には頷けないだろう」
「だから、構いませんって」
「だがな、俺達も長いこと牛乳を生活の糧として暮らして来たんだ。それなりに考えられることもあると思うんだが、どうかな? 考えてもらえるのなら……」
「だから、そういう条件なら別に構わないって言ってるでしょ!」
「ん? 聞き間違いか? すまんがもう一度いいかな?」
「だから、さっきから何度も言っているじゃないですか! 俺はそっちで面倒を見てもらえるのなら、なにも抵抗はないって」
「お前、自分が言っていることが分かっているのか?」
「変なことを言うおじさんですね。自分で譲れと言っておきながら」
「おじさんいうな! 俺はまだ若い……なあ、俺はまだ若いよな?」
「三十超えれば立派なおじさんだと思うぞ」
「ヨサック、テメェ……」
「で、いいですか? 俺は乳製品を作るのが目的であって、作った乳製品で儲けるのが目的じゃないんです。だから、面倒を見てもらえるのなら、俺にとっては渡りに船です」
「その『渡りに船』ってのは良く分からんが、本当にいいんだな?」
「ええ、ただ一つ言わせてもらえるのなら、最初は俺のレシピを変えずに作って欲しいことですかね」
「まあ、それはそうだろうな。他にはないのか?」
「レシピを変えたり、新製品を作りたい場合には俺にも試食をさせて欲しいかな」
「それは分かる。じゃあ、もうないな?」
「あ、皆さん車のライセンスは取ってくださいね。出来れば男性女性関係なく成人を迎えた人にはなるべく取得をお願いします」
「それはなんでだ?」
「ヨサックさんにも話しましたが、作業用の機械はほぼ車のライセンスを必要としますのでお願いします」
「それは、あの軽トラってのを動かすのに必要なのか?」
「そうですね。それにライセンスを取ればカイドー村から王都までの行程も楽になりますよ」
「それはありがたいな。それじゃこっちから質問だ。ヨサックが言ってた通勤ってのはなんだ?」
「それは、こことカイドー村を転移ゲートで繋いで自由に行き来が出来る様にして、皆さんがここに移住しなくても、カイドー村から通えるようにすることですね」
「そんなことが……出来るんだろうな。まあいい話は分かった」
「あ、あと学校に通う子がいるのなら九月になる前に言って下さいね」
「「「「「学校に通えるのか?」」」」」
「ええ、別に子供だけとはしていませんので、習いたいと思う人は言ってください」
「「「「「……」」」」」
「ヨサックさん、皆さんどうしたんですか?」
「ああ、この人達には子供がいるんだけど、教えてくれる人がいないんだ」
「それじゃ、今まではどうしていたんですか?」
「少し前まではいたんだがな、歳のせいで……」
「ああ、そういうことですか。なら、他の人が教えることも出来るんじゃ……」
「俺もそう思った。だけど、仕事が忙しかったり、教える内容に自信が持てなかったりと色々あってな」
「なるほど」
「じゃあ、もし移住の話が消えたとしても子供達だけでも通えるように手続きだけでもしていってはどうですか?」
「「「「「いいのか?」」」」」
「はい。学校はあそこです。あの建物です」
ケインが指差す方向には角張った建物が建っていた。
「まあ、まだ時間もありますし、子供の名前と性別、年齢を書いてヨサックさんに預けておいてください。あとで回収しますから。あ、紙はこれですね。ヨサックさん、はい」
「また、お前は……」
「じゃ、これで視察は終わりでいいですか? じゃ、戻りますか」
ヨサックさんの家にゲートを繋ぐとケインは皆さんが潜るのを見送る。
ヨサックの家のリビングのソファに座り、項垂れる。
「あら、皆さんお疲れみたいですね」
「ハンナ、さっきケインのところに行って来たからな」
「ああ、それで」
「なあ、ヨサック。あれはなんなんだ。俺達はさっきまで別のところにいたんだよな?」
「ああ、潮の匂いもしたが王都ではなかった」
「さっきのは本当の話なんだよな?」
「子供達だけでも、学校には通えるって言ってくれたよな」
「本当なら、それだけでも頼みたいがな」
その言葉を聞いて、ヨサックが忘れないうちにとテーブルの上に紙を広げる。
「ほら、さっき言われたろ。学校に通わせたい子供の名前、年齢、性別を書いてくれ。あと、親であるお前達の名前もな」
「これに書けばいいんだな」
「ああ、あとで俺が渡すから書いてくれ」
「分かった」
男が紙を受け取り、固まる。
「どうした? 書かないのか?」
「ヨサック、お前はこの紙をもらってもなにも感じなかったのか?」
「紙? 上等な紙だとは思ったけど。それが?」
「それがって……ああ、もういい。考えるだけ無駄だ」
「なんだぁおかしな奴だな」
「ヨサック、痛いよ」
「そうだぞ、いきなりなに……」
「いてぇ……あれ?」
「なあ、ここは?」
「俺達はヨサックの家にいたよな?」
「ああ、そうだ。そしたら、急に穴が空いて……」
「そう、その穴から子供が出てきて……」
「気がつきました?」
「「「「「お前だ~!」」」」」
「もう、なんですか? いきなり」
気づいた男達はこれまでの経緯を思い出すと同時にいきなり穴の中から現れたケインを思い出し恐怖する。
「「「「「……」」」」」
「お、俺たちをどうするつもりだ!」
「あれ? ヨサックさん、話してないの?」
「いや、ちゃんと案内するとは言ったぞ。なあ?」
「そんなことは言ってない!」
「ああ、俺達は聞いてない!」
「でも、見ないと信用しないだろ? だから、半ば無理矢理に案内することにした。それだけだ」
「『それだけだ』って……」
「まあ、いい。それでここはどこなんだ?」
「じゃあ、それは俺から」
ケインが前に出て話し出す。
「皆さんはシャルディーア領をご存知ですか?」
「知らん。聞いたこともない」
「俺も知らないな」
「俺も!」
「私も」
「僕はちょっとだけ、聞いたことがあります」
一番、若い青年がそう答える。
「へ~それはどんな風に?」
ケインが青年に問いかける。
「なんでも、オートバイとかいう物や、いろんな見たこともない魔道具の開発が盛んな領だと聞きました」
「はい、その通りです。皆さん、後ろを振り向いてください!」
「ふふふ、皆驚くぞ~」
ヨサックは自分がやられたことを思い出し、皆がどういう風に反応するのかを楽しみにしていると、振り向いた男達がそれぞれに反応する。
「へ?」
「は?」
「ほ~」
「ふぅ~」
「ひぃ~なんですか! あれは……」
青年が魔導列車を見て驚く。
「あれは魔導列車ですね。ここからシャルディーア領の領都まで人や荷物を運びます」
「じゃあ、あれはなんだ?」
一人の男が軽トラを指して聞いてくる。
「あれは軽トラですね。主に荷物を運びます。馬以上に働きますよ」
「じゃあ、ヨサックが言っていた余裕が出来るってのは、ああいう道具を使うことが前提なんだな」
「そうだ。俺もケインに聞いたばかりだがな」
「だから、なんでお前が偉そうにするんだ。全部そこの子供がやっていることだろうが!」
「そりゃ、そうだけど一番最初に話を聞いたのは俺なんだから、いいじゃないか」
「とにかく、移住するのはそっちじゃなく、反対側のこっちの草原になるんだろ?」
男がそう言って、もう一度振り返る。
「どの範囲をヨサックと約束しているか聞いてもいいか?」
「いいですよ。とりあえずは山の麓からになりますが、今のカイドー村と同じくらいの土地は保証しますよ」
「ほう、随分と大盤振る舞いだな。俺達にそこまでして、お前になんの得があるんだ?」
「あれ? ヨサックさん、皆さんには食べてもらってないの?」
「いや、食べさせたぞ」
「そうなんですね。じゃあ、話しますけど俺が欲しいのはヨサックさんの絞る牛乳とチーズです。そして、その牛乳から乳製品を作りたいんですよ。俺が作る乳製品は必ず売れます! それも想像を超えるくらいに。もし、そうなればこんな土地なんか安いものと思いませんか?」
「要はヨサックの牛乳を元に荒稼ぎが出来るって訳だ」
「簡単に言えばですね。でも、美味しかったでしょ?」
「まあ、それはそうだな」
「でも、ヨサックさんのところだけでは量として限界があります。だから、ヨサックさんには賛同してくれそうな人への声がけを頼んだんですよ。どうです? 興味ありませんか?」
「ふむ」
ケインの話を聞き、皆が思案顔になる。
「なあ、その乳製品を作るのは俺達に任せるのが条件と言ったら、お前はどうする?」
「別に構いませんよ」
「まあ、利益が見えている商売だからな簡単には頷けないだろう」
「だから、構いませんって」
「だがな、俺達も長いこと牛乳を生活の糧として暮らして来たんだ。それなりに考えられることもあると思うんだが、どうかな? 考えてもらえるのなら……」
「だから、そういう条件なら別に構わないって言ってるでしょ!」
「ん? 聞き間違いか? すまんがもう一度いいかな?」
「だから、さっきから何度も言っているじゃないですか! 俺はそっちで面倒を見てもらえるのなら、なにも抵抗はないって」
「お前、自分が言っていることが分かっているのか?」
「変なことを言うおじさんですね。自分で譲れと言っておきながら」
「おじさんいうな! 俺はまだ若い……なあ、俺はまだ若いよな?」
「三十超えれば立派なおじさんだと思うぞ」
「ヨサック、テメェ……」
「で、いいですか? 俺は乳製品を作るのが目的であって、作った乳製品で儲けるのが目的じゃないんです。だから、面倒を見てもらえるのなら、俺にとっては渡りに船です」
「その『渡りに船』ってのは良く分からんが、本当にいいんだな?」
「ええ、ただ一つ言わせてもらえるのなら、最初は俺のレシピを変えずに作って欲しいことですかね」
「まあ、それはそうだろうな。他にはないのか?」
「レシピを変えたり、新製品を作りたい場合には俺にも試食をさせて欲しいかな」
「それは分かる。じゃあ、もうないな?」
「あ、皆さん車のライセンスは取ってくださいね。出来れば男性女性関係なく成人を迎えた人にはなるべく取得をお願いします」
「それはなんでだ?」
「ヨサックさんにも話しましたが、作業用の機械はほぼ車のライセンスを必要としますのでお願いします」
「それは、あの軽トラってのを動かすのに必要なのか?」
「そうですね。それにライセンスを取ればカイドー村から王都までの行程も楽になりますよ」
「それはありがたいな。それじゃこっちから質問だ。ヨサックが言ってた通勤ってのはなんだ?」
「それは、こことカイドー村を転移ゲートで繋いで自由に行き来が出来る様にして、皆さんがここに移住しなくても、カイドー村から通えるようにすることですね」
「そんなことが……出来るんだろうな。まあいい話は分かった」
「あ、あと学校に通う子がいるのなら九月になる前に言って下さいね」
「「「「「学校に通えるのか?」」」」」
「ええ、別に子供だけとはしていませんので、習いたいと思う人は言ってください」
「「「「「……」」」」」
「ヨサックさん、皆さんどうしたんですか?」
「ああ、この人達には子供がいるんだけど、教えてくれる人がいないんだ」
「それじゃ、今まではどうしていたんですか?」
「少し前まではいたんだがな、歳のせいで……」
「ああ、そういうことですか。なら、他の人が教えることも出来るんじゃ……」
「俺もそう思った。だけど、仕事が忙しかったり、教える内容に自信が持てなかったりと色々あってな」
「なるほど」
「じゃあ、もし移住の話が消えたとしても子供達だけでも通えるように手続きだけでもしていってはどうですか?」
「「「「「いいのか?」」」」」
「はい。学校はあそこです。あの建物です」
ケインが指差す方向には角張った建物が建っていた。
「まあ、まだ時間もありますし、子供の名前と性別、年齢を書いてヨサックさんに預けておいてください。あとで回収しますから。あ、紙はこれですね。ヨサックさん、はい」
「また、お前は……」
「じゃ、これで視察は終わりでいいですか? じゃ、戻りますか」
ヨサックさんの家にゲートを繋ぐとケインは皆さんが潜るのを見送る。
ヨサックの家のリビングのソファに座り、項垂れる。
「あら、皆さんお疲れみたいですね」
「ハンナ、さっきケインのところに行って来たからな」
「ああ、それで」
「なあ、ヨサック。あれはなんなんだ。俺達はさっきまで別のところにいたんだよな?」
「ああ、潮の匂いもしたが王都ではなかった」
「さっきのは本当の話なんだよな?」
「子供達だけでも、学校には通えるって言ってくれたよな」
「本当なら、それだけでも頼みたいがな」
その言葉を聞いて、ヨサックが忘れないうちにとテーブルの上に紙を広げる。
「ほら、さっき言われたろ。学校に通わせたい子供の名前、年齢、性別を書いてくれ。あと、親であるお前達の名前もな」
「これに書けばいいんだな」
「ああ、あとで俺が渡すから書いてくれ」
「分かった」
男が紙を受け取り、固まる。
「どうした? 書かないのか?」
「ヨサック、お前はこの紙をもらってもなにも感じなかったのか?」
「紙? 上等な紙だとは思ったけど。それが?」
「それがって……ああ、もういい。考えるだけ無駄だ」
「なんだぁおかしな奴だな」
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しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。