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◆言いたいことが不明でした
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「気が進まないところ、わざわざ済まんな」
「あ……聞こえてましたか。それで、呼ばれたのは?」
「流すな! まあ、何時ものことだが……はぁ気が進まないのは俺も一緒だよ」
「旦那様、何時までもそう言ってないで本題を」
「セバス、お前まで……まあ、察しは付いていると思うが港のことだ」
やはり、そうかと思うが、まだ土地の確保と壁を建てただけだし何も問題はないと思うんだけどな。
「どこからか、苦情でも来ました?」
「いや、それはない」
「なら……「だがな」……だが?」
「お前、壁に忠告の貼り紙をしただろ?」
「ええ、危ないので立ち入り禁止としましたけど。それが問題でした?」
「いや、それは問題ない。まあ、あの貼り紙のお陰で壁がいきなり出て来ても混乱せずにすんでいると思う」
「なら……「だがな」……また、『だが』ですか?」
「ああ、と言うか、ここからが本題だ」
「ええ? 何も問題になるようなことは書いてなかったと思いますけど?」
確か『これより先、シャルディーア辺境伯管轄の港湾地区となります。しばらくはご不便かと思いますが、工事期間中は大変危険なため関係者以外の立ち入りを禁じます。』と書いたけど何処にもおかしなところはないと思うけど、デューク様はどこが気に障ったのだろうか?
「分からんか?」
「ええ、さっぱり」
そう言って首を傾げて考えてみるが、やはりおかしなところは思いつかない。
「問題はだ。シャルディーア家が前面に出ていることだ」
「え~そこを言いますか? だって、港に付いてはデューク様に一任されたんでしょ? なら、名前を使っても問題ないと思っていたんですが」
「使ったことは問題ない」
ハッキリしないデューク様の相手が面倒になったので、セバス様に聞いてみることにする。
「セバス様、俺にはなんのことだか分からないんですけど。結局は何が問題なんですか?」
「おい! ケイン! 私を無視するな!」
「はぁ~旦那様、先程から仰っていることは私でも要領を得ません。ケイン様、要はですね。あの貼り紙を見た王都の住民や周辺貴族に果ては王族にまで過度な期待をされているのが耐えられずにツライと言うことなんです」
「はぁ」
デューク様が長々と話していた内容がセバス様の説明で単に『期待が重すぎてツライ』と纏められた。
「じゃあ、止めますか?」
「いや、それはダメだ」
「じゃあ、どうします?」
「どうしたら、いいと思う?」
なんだろう、この面倒なやり取りは。セバス様を見ても軽く会釈するだけで丸投げされた感が強い。
「もしかして、もう誰かに何か約束してたりしますか?」
「……」
俺の質問にデューク様の目が泳ぐ。
デューク様なら、他の貴族に対してはほとんど強気でいけるだろうから、逆らえないところからの頼みなら……もしかして、王族。
「もしかしてですけど、王族から何か要求でもありました?」
「分かるか?」
「なんとなくですけどね」
「まあ、簡単に想像出来るだろうな。確かにお前の言うとおりだ。ハッキリと対面で言われた訳ではないがな、王家からの伝令で楽しみにしているとだけだが」
「そうなんですね。直接言わないのは王族と言うか貴族文化なのでしょうね。でも、ソレを俺にまで強要されてもサッパリですよ」
「それはスマン。だがな、王族に期待されても俺も何をどうすればいいのかさっぱり分からないんだよ」
「別に気にする必要はないんじゃないですか」
「いや、ダメだろ。仮にも王族だぞ。何かこう、パァ~っと派手な催しとかした方がいいと思うんだが」
そう言って、チラリと俺を見る。
「その派手な何かが、あの壁の向こうにあるんですけどね。まあ、するのなら、王族をオープンカーにでも乗せて、港湾施設の中をパレードとかでしょうか」
「その『オープンカー』が何かは分からないが、要は何かに乗せたまま案内するということか?」
「はい、そうです。ただ、中を見たいとか言われたら、その都度止まるか、それとも不敬を気にせずに後回しにするかですね」
「それはどちらもイヤだな」
「なら、オープン前に特別と。嫌みなくらいに『特別感』を演出して王族専用の貸し切りみたいな感じで一日中満喫してもらうのはどうです?」
「それが一番無難か」
「旦那様、私もそれが一番かと」
「じゃあ、それまでに港湾施設の名前を考えといて下さいね。じゃあ」
そう言い残し、ソファから立とうとするとデューク様に腕を捕まれる。
「待て! なんと言った?」
「ですから、港湾施設の名前をお願いしますと」
「なぜ、俺が?」
「なぜって、デューク様の管轄でしょ?」
「ああ、それはそうだ。だからって」
「なら、後から募集するってのもありますよ」
「何? それはどういうことだ?」
俺の提案にデューク様が飛びつく。
「だから、急いで決めなくても仮称で『シャルディーア港湾区』とでもしておいてですね。あとから、利用客の人達に名前を決めて貰うんですよ。投票形式で箱の中にその人が考えた名前を紙に書いて入れてもらうんです。それで、その中で多かった名前、良さそうな名前をいくつか候補として選んで、その中から改めて、いいと思う名前を選んで貰うんです」
「ふむ。なるほどな。その名前を考えるところから決めるところまでもイベントとして扱うということか。セバス、お前はどう思う?」
「いい考えだと思います。今までの様に貴族主導での押し付け感もなく、しかもイベントすることで更に好感を得られるかと」
俺の苦し紛れのいい加減な提案にデューク様もセバス様も太鼓判を押してくる。どうしよう?
マサオを見ると、「やっちまったな」とでも言うように呆れた顔で俺を見ていた。
やっちゃったな~
「あ……聞こえてましたか。それで、呼ばれたのは?」
「流すな! まあ、何時ものことだが……はぁ気が進まないのは俺も一緒だよ」
「旦那様、何時までもそう言ってないで本題を」
「セバス、お前まで……まあ、察しは付いていると思うが港のことだ」
やはり、そうかと思うが、まだ土地の確保と壁を建てただけだし何も問題はないと思うんだけどな。
「どこからか、苦情でも来ました?」
「いや、それはない」
「なら……「だがな」……だが?」
「お前、壁に忠告の貼り紙をしただろ?」
「ええ、危ないので立ち入り禁止としましたけど。それが問題でした?」
「いや、それは問題ない。まあ、あの貼り紙のお陰で壁がいきなり出て来ても混乱せずにすんでいると思う」
「なら……「だがな」……また、『だが』ですか?」
「ああ、と言うか、ここからが本題だ」
「ええ? 何も問題になるようなことは書いてなかったと思いますけど?」
確か『これより先、シャルディーア辺境伯管轄の港湾地区となります。しばらくはご不便かと思いますが、工事期間中は大変危険なため関係者以外の立ち入りを禁じます。』と書いたけど何処にもおかしなところはないと思うけど、デューク様はどこが気に障ったのだろうか?
「分からんか?」
「ええ、さっぱり」
そう言って首を傾げて考えてみるが、やはりおかしなところは思いつかない。
「問題はだ。シャルディーア家が前面に出ていることだ」
「え~そこを言いますか? だって、港に付いてはデューク様に一任されたんでしょ? なら、名前を使っても問題ないと思っていたんですが」
「使ったことは問題ない」
ハッキリしないデューク様の相手が面倒になったので、セバス様に聞いてみることにする。
「セバス様、俺にはなんのことだか分からないんですけど。結局は何が問題なんですか?」
「おい! ケイン! 私を無視するな!」
「はぁ~旦那様、先程から仰っていることは私でも要領を得ません。ケイン様、要はですね。あの貼り紙を見た王都の住民や周辺貴族に果ては王族にまで過度な期待をされているのが耐えられずにツライと言うことなんです」
「はぁ」
デューク様が長々と話していた内容がセバス様の説明で単に『期待が重すぎてツライ』と纏められた。
「じゃあ、止めますか?」
「いや、それはダメだ」
「じゃあ、どうします?」
「どうしたら、いいと思う?」
なんだろう、この面倒なやり取りは。セバス様を見ても軽く会釈するだけで丸投げされた感が強い。
「もしかして、もう誰かに何か約束してたりしますか?」
「……」
俺の質問にデューク様の目が泳ぐ。
デューク様なら、他の貴族に対してはほとんど強気でいけるだろうから、逆らえないところからの頼みなら……もしかして、王族。
「もしかしてですけど、王族から何か要求でもありました?」
「分かるか?」
「なんとなくですけどね」
「まあ、簡単に想像出来るだろうな。確かにお前の言うとおりだ。ハッキリと対面で言われた訳ではないがな、王家からの伝令で楽しみにしているとだけだが」
「そうなんですね。直接言わないのは王族と言うか貴族文化なのでしょうね。でも、ソレを俺にまで強要されてもサッパリですよ」
「それはスマン。だがな、王族に期待されても俺も何をどうすればいいのかさっぱり分からないんだよ」
「別に気にする必要はないんじゃないですか」
「いや、ダメだろ。仮にも王族だぞ。何かこう、パァ~っと派手な催しとかした方がいいと思うんだが」
そう言って、チラリと俺を見る。
「その派手な何かが、あの壁の向こうにあるんですけどね。まあ、するのなら、王族をオープンカーにでも乗せて、港湾施設の中をパレードとかでしょうか」
「その『オープンカー』が何かは分からないが、要は何かに乗せたまま案内するということか?」
「はい、そうです。ただ、中を見たいとか言われたら、その都度止まるか、それとも不敬を気にせずに後回しにするかですね」
「それはどちらもイヤだな」
「なら、オープン前に特別と。嫌みなくらいに『特別感』を演出して王族専用の貸し切りみたいな感じで一日中満喫してもらうのはどうです?」
「それが一番無難か」
「旦那様、私もそれが一番かと」
「じゃあ、それまでに港湾施設の名前を考えといて下さいね。じゃあ」
そう言い残し、ソファから立とうとするとデューク様に腕を捕まれる。
「待て! なんと言った?」
「ですから、港湾施設の名前をお願いしますと」
「なぜ、俺が?」
「なぜって、デューク様の管轄でしょ?」
「ああ、それはそうだ。だからって」
「なら、後から募集するってのもありますよ」
「何? それはどういうことだ?」
俺の提案にデューク様が飛びつく。
「だから、急いで決めなくても仮称で『シャルディーア港湾区』とでもしておいてですね。あとから、利用客の人達に名前を決めて貰うんですよ。投票形式で箱の中にその人が考えた名前を紙に書いて入れてもらうんです。それで、その中で多かった名前、良さそうな名前をいくつか候補として選んで、その中から改めて、いいと思う名前を選んで貰うんです」
「ふむ。なるほどな。その名前を考えるところから決めるところまでもイベントとして扱うということか。セバス、お前はどう思う?」
「いい考えだと思います。今までの様に貴族主導での押し付け感もなく、しかもイベントすることで更に好感を得られるかと」
俺の苦し紛れのいい加減な提案にデューク様もセバス様も太鼓判を押してくる。どうしよう?
マサオを見ると、「やっちまったな」とでも言うように呆れた顔で俺を見ていた。
やっちゃったな~
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