転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい！

連載

◆注意されました

そろそろ時間かなと思っていると、どこからか『ぐ～』という音が聞こえる。

「ん？」
「ワシじゃないぞ」

どこからか聞こえた『ぐ～』というお腹の虫が鳴る音にガンツさんを見ると否定された。なので、マサオの方をジッと見る。そのマサオがバツが悪そうに顔を伏せたが、直ぐに顔を上げ逆ギレする。

『なんだよ、そうだよ。俺だよ悪いか！』
「いや、別にそうじゃないけど」
「そういや、もうすぐ昼だしな。忙しくなる前に済まるか」
「そうだね」
『さすが、ガンツ！』

ガンツさんの提案にマサオの機嫌もよくなり、『早く！』と俺達を急かす。

「だが、昼と言っても今日は弁当を用意してないからな。と、なればどこかに食べに行くしかないんだが……う～ん」
「どうしたの？　何か問題でも？」
「いやな、ほれ。今日は開校式に入学式だろ。だから、この街の住人の殆どが子供に付き添って参加予定だったり、本人が入学予定での参加するとガンボに聞いたもんだからな。店が開いているかどうかなんだがな」
「あ～そういうこと。なら、俺の家に行こうか」
「いいのか？」
「いいよ、いいよ。いつもアンジェさんにはお世話になりっぱなしだしね。じゃあ、繋げるね」

俺はそう言うと家のリビングへと転移ゲートを繋ぐとガンツさん達と一緒に潜る。

「お邪魔する」
「はい、どうぞ」
「あら、ガンツさん。お久しぶりね。で、どうしたのその格好は？」
「うん、久しぶりだな。そんなに変か？」
「母さん、ガンツさんは学校の式典に呼ばれているから、この格好なんだよ」
「あら、そうなのね。それはそれは、ご苦労様です」
「あ……ああ、ありがとう」
「で、ケイン。どうしたの？」
「えっとね……って、ことなんだけど」
「そういうことなのね。分かったわ。じゃあ、ちょっと待ってなさい」

母さんに昼前に家に帰って来たことを不審に思われたので、さっきガンツさんから聞いたことを話して昼食を作ってもらう。

「ご馳走になったな」
「いいえ、ケインがいつもお世話になっているんですもの。これくらいお安いご用よ」
「そうじゃ、そうじゃ。遠慮することはないぞ」
「ヘレンさん、まだいたんだ……」
「新しく家を建てたのに憑いて来ちまったか」

ガンツさんが母さんにお礼を言っていると横からヘレンさんがまるで自分ちの様にくつろぎながら食後のお茶を啜りつつガンツさんに遠慮は無用と言うと、ガンツさんがヘレンさんを呆れた目で見てしまい、それに対しヘレンさんが激昂する。

「ワシを憑きもの扱いするでない！」
「そうよ、ガンツさん。いくらガンツさんでも老い先短い人には優しくするものよ」
「そうじゃ、そうじ……ゃ……マギーよ、泣きそうなんだが、泣いてもいいかの？」
「あらあら、ヘレンさん。泣くなら家に帰ってからにしてくださいね。さっき寝付いたばかりですからね。静かにして欲しいの」
「ぐっ……ぐぬぬ……」

ヘレンさんがガンツさんに言い返し、母さんもガンツさんにフォローにならないフォローを入れ、ヘレンさんが気持ちのやり場に困っているが、母さんは妹達が寝たばかりだから静かにして欲しいとお願いする。そして、ヘレンさんは俺に対し縋るような目で見詰めてくる。

「はいはい、ヘレンさんも機嫌を直して。はい、コレを上げるから」
「ん？　なんだこれは……む？　おぉ！　なんだコレは！」
「「「静かに！」」」
「すまない……」

ヘレンさんにインベントリからチョコレートを板チョコのまま、取り出した物を渡すとそれを口にしたヘレンさんが感激して騒ぐものだから、俺達から注意されることとなった。