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◆顔を上げました
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「なるほど。そういうことでしたか」
「そうなんだ。分かってくれるか!」
「まあ、分かると言えば分かりますが……ふぅ~どうしようもないですよね」
「そうなのかい?」
「「「……」」」
デューク様の言い訳とも言えない釈明を長々と聞いて分かったことはと言えば、単なる王太子の好奇心を満たす為のワガママとしか言えなかったが、それを当の本人に言ってしまえば不敬罪となるか、その好奇心を満たす何かを献上するしかない。もちろん、どちらも勘弁なのでここは敢えて目を合わせないように話をしているのだが……。
「あの、王太子殿下。先程から何をしているのでしょうか?」
「あ~シャル……うん、そうだな。ここは私もデュークと呼ばせてもらおう。デュークよ、さっきからケインが私の顔を見てくれないのだがどうしてだと思う?」
「……それは……その……」
王太子の質問に対し答えに窮したデューク様は俺の様子を窺おうとするが、俺はそのデューク様の視線さえも敢えて外す。
デューク様も俺の考えがある程度分かっているのか、敢えて無理に聞いてこようとはしない。そして、そんなことは関係ないとばかりになぜか俺の膝の上に鎮座しているマリー様は俺の顔を下から見て、ニッコリしている。
「もう! ケイン君! ちゃんと見てよね。ほら、可愛いでしょ? ね、どうかな?」
「……」
王太子とデューク様がなんとか俺の様子を窺おうとしていたのを横から無理矢理、俺の顔を上げさせたのは「こちらを見なさい!」と強い調子のエリー様だった。
エリー様は入学式が終わっても着替えもせずにここへ来たようで制服姿のままだった。その制服姿はと言えば、上半身は白を基調としたブラウスで襟と袖の回りはフリルでフリフリ、襟元には赤くフワッとした感じのリボンで、中央には宝石っぽい何かが埋め込まれていた。下半身は紺色の踝まで隠れる長さのプリーツが入ったスカートで、エリー様がその場でくるっと一回転するとスカートの裾が舞い上がり、スカートの下地? っぽい何かふわふわとした物が見えた気がする。そんなエリー様の様子に何も言えないでいると横に座っていたガンツさんが俺の脇腹を軽く突く。あ、何か言わないとマズいんだなと気付き慌てて口にする。
「か、可愛いですね」
「でしょ? よかった」
「よかったわね、エリー」
「うん!」
「じゃあ、もう着替えて来なさい」
「え~!」
「え~じゃありません。シャルディーア家の長女として列席するのですから。制服姿ではなく用意した服に着替えてきなさい」
「は~い。じゃあね、ケイン君」
「……はい」
「じゃ、ケイン君。お願い出来るかしら」
「分かりました」
マリー様を膝の上に載せているので、ソファに座ったままの状態で転移ゲートを王都のお屋敷に繋ぐと、エリー様とセバス様が潜って行く。
「ふむ、やはり便利だな」
「あげませんよ?」
「おや、やっとこっちを見てくれたね」
「……」
王太子の言葉にしまったと思い慌てて下を向くとマリー様と視線がかち合う。
するとマリー様が口元に右手の人差し指を当てながら、俺を見つつ「マリーもかわいい?」と聞いてくる。
「ええ。いつも可愛いですよ」
「ふふふ……」
いつまでも王太子を無視しているのもマズいかと、意を決して顔を上げるとホッとした表情を見せるデューク様とこれからのことを期待満面の王太子の顔が目に入る。やっぱり下を向いてようかなと思っていると、王太子から質問される。
「ケインよ。聞けばここの港から王都までの航路があると言うではないか。もう、それは運用しているのかい?」
「いえ、まだ運用するには人手不足なので、今はその人手不足を解消するために色々と対策中です」
「そうか。では、この後に私を王都まで送るのは難しいのかな?」
「……」
俺は王太子の言葉に横のガンツさんの顔を窺うとガンツさんは黙って頷いたので「分かりました」と返事をする。
「そうか! いやな、転移ゲートでこのままデュークの屋敷に帰るのもいいが、どうせならと思っていたんだ。そうか、そうか。乗れるのだな。王都でも帆を張らずに海上を自在に進む船のことが話題になっていたのだ。そうかそうか。いや、楽しみだな。なあ、デュークよ」
「……はい、そうですね」
「なんだ楽しみじゃないのか?」
「いえ、そんなことはないですよ」
「なんだ? あまり気乗りしないみたいだな」
「まあ、それよりもそろそろ時間じゃないでしょうか。なあ、ガンボよ」
「はい。ですがお嬢様は……」
王太子の無茶振りとまではいかないまでもワガママに付き合うデューク様は思わず生返事を返していたが、ガンボさんにそろそろ開始の時間じゃないかと問い掛けたところでセバス様から携帯電話に連絡が入る。着替え終わったとのことたっだので、転移ゲートを王都のお屋敷へと繋ぐと制服姿から、あまり華美とは言えない大人しめのドレスに身を包んだエリー様とセバス様が転移ゲートの向こうからこちらへと潜って来る。
「ふふふ、お待たせケイン君。制服姿も可愛いって言ってくれたけど、これもいいでしょ。ね、どうかな?」
「ええ、可愛いですね」
「ふふふ、ありがとう」
そんな俺とエリー様とのやり取りをガンツさんがニヤニヤしながら見ていることに気付いたのでガンツさんに「なんなの?」と聞けばニヤニヤするばかりだ。もう、放っておくかとガンツさんから目を逸らすと、同時にガンツさんが楽しそうに呟く。
「くくく、リーサにチクっちゃおう。くふふ」
「あ……」
「そうなんだ。分かってくれるか!」
「まあ、分かると言えば分かりますが……ふぅ~どうしようもないですよね」
「そうなのかい?」
「「「……」」」
デューク様の言い訳とも言えない釈明を長々と聞いて分かったことはと言えば、単なる王太子の好奇心を満たす為のワガママとしか言えなかったが、それを当の本人に言ってしまえば不敬罪となるか、その好奇心を満たす何かを献上するしかない。もちろん、どちらも勘弁なのでここは敢えて目を合わせないように話をしているのだが……。
「あの、王太子殿下。先程から何をしているのでしょうか?」
「あ~シャル……うん、そうだな。ここは私もデュークと呼ばせてもらおう。デュークよ、さっきからケインが私の顔を見てくれないのだがどうしてだと思う?」
「……それは……その……」
王太子の質問に対し答えに窮したデューク様は俺の様子を窺おうとするが、俺はそのデューク様の視線さえも敢えて外す。
デューク様も俺の考えがある程度分かっているのか、敢えて無理に聞いてこようとはしない。そして、そんなことは関係ないとばかりになぜか俺の膝の上に鎮座しているマリー様は俺の顔を下から見て、ニッコリしている。
「もう! ケイン君! ちゃんと見てよね。ほら、可愛いでしょ? ね、どうかな?」
「……」
王太子とデューク様がなんとか俺の様子を窺おうとしていたのを横から無理矢理、俺の顔を上げさせたのは「こちらを見なさい!」と強い調子のエリー様だった。
エリー様は入学式が終わっても着替えもせずにここへ来たようで制服姿のままだった。その制服姿はと言えば、上半身は白を基調としたブラウスで襟と袖の回りはフリルでフリフリ、襟元には赤くフワッとした感じのリボンで、中央には宝石っぽい何かが埋め込まれていた。下半身は紺色の踝まで隠れる長さのプリーツが入ったスカートで、エリー様がその場でくるっと一回転するとスカートの裾が舞い上がり、スカートの下地? っぽい何かふわふわとした物が見えた気がする。そんなエリー様の様子に何も言えないでいると横に座っていたガンツさんが俺の脇腹を軽く突く。あ、何か言わないとマズいんだなと気付き慌てて口にする。
「か、可愛いですね」
「でしょ? よかった」
「よかったわね、エリー」
「うん!」
「じゃあ、もう着替えて来なさい」
「え~!」
「え~じゃありません。シャルディーア家の長女として列席するのですから。制服姿ではなく用意した服に着替えてきなさい」
「は~い。じゃあね、ケイン君」
「……はい」
「じゃ、ケイン君。お願い出来るかしら」
「分かりました」
マリー様を膝の上に載せているので、ソファに座ったままの状態で転移ゲートを王都のお屋敷に繋ぐと、エリー様とセバス様が潜って行く。
「ふむ、やはり便利だな」
「あげませんよ?」
「おや、やっとこっちを見てくれたね」
「……」
王太子の言葉にしまったと思い慌てて下を向くとマリー様と視線がかち合う。
するとマリー様が口元に右手の人差し指を当てながら、俺を見つつ「マリーもかわいい?」と聞いてくる。
「ええ。いつも可愛いですよ」
「ふふふ……」
いつまでも王太子を無視しているのもマズいかと、意を決して顔を上げるとホッとした表情を見せるデューク様とこれからのことを期待満面の王太子の顔が目に入る。やっぱり下を向いてようかなと思っていると、王太子から質問される。
「ケインよ。聞けばここの港から王都までの航路があると言うではないか。もう、それは運用しているのかい?」
「いえ、まだ運用するには人手不足なので、今はその人手不足を解消するために色々と対策中です」
「そうか。では、この後に私を王都まで送るのは難しいのかな?」
「……」
俺は王太子の言葉に横のガンツさんの顔を窺うとガンツさんは黙って頷いたので「分かりました」と返事をする。
「そうか! いやな、転移ゲートでこのままデュークの屋敷に帰るのもいいが、どうせならと思っていたんだ。そうか、そうか。乗れるのだな。王都でも帆を張らずに海上を自在に進む船のことが話題になっていたのだ。そうかそうか。いや、楽しみだな。なあ、デュークよ」
「……はい、そうですね」
「なんだ楽しみじゃないのか?」
「いえ、そんなことはないですよ」
「なんだ? あまり気乗りしないみたいだな」
「まあ、それよりもそろそろ時間じゃないでしょうか。なあ、ガンボよ」
「はい。ですがお嬢様は……」
王太子の無茶振りとまではいかないまでもワガママに付き合うデューク様は思わず生返事を返していたが、ガンボさんにそろそろ開始の時間じゃないかと問い掛けたところでセバス様から携帯電話に連絡が入る。着替え終わったとのことたっだので、転移ゲートを王都のお屋敷へと繋ぐと制服姿から、あまり華美とは言えない大人しめのドレスに身を包んだエリー様とセバス様が転移ゲートの向こうからこちらへと潜って来る。
「ふふふ、お待たせケイン君。制服姿も可愛いって言ってくれたけど、これもいいでしょ。ね、どうかな?」
「ええ、可愛いですね」
「ふふふ、ありがとう」
そんな俺とエリー様とのやり取りをガンツさんがニヤニヤしながら見ていることに気付いたのでガンツさんに「なんなの?」と聞けばニヤニヤするばかりだ。もう、放っておくかとガンツさんから目を逸らすと、同時にガンツさんが楽しそうに呟く。
「くくく、リーサにチクっちゃおう。くふふ」
「あ……」
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