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中学生編
6 新しいオモチャ
しおりを挟む晃がシャワーを浴びている間に、千夜子は言われるがままにリビング中をアルコール消毒して回った。
それが終わると今度は夕飯作りに取り掛かった。
冷蔵庫を開けると、ハウスキーパーが買ってきた材料が冷蔵庫の中にたっぷりと詰め込まれていた。
材料にさっと目を走らせた千夜子はふと、あることに気付き思案した。
「私、先輩の食べ物の好み全然知らない……」
日頃の晃の食事の様子を千夜子は思い浮かべる。
いつも作られた物を静かに食べているようだが、それが美味しいのかも、好きなのか嫌いなのか、晃は一切口にしないため分からなかった。
ただ目の前に出された食事を淡々と食べているような、そんな感じだった。
ただ、多江の料理を初めて口にした時は一瞬口の動きが止まり、眉根を寄せていた。多分純粋に口に合わなかったんだろう。
「う~ん、ここは皆大好きで万人受けするものを作るかぁ……」
命令され、面白くはないものの千夜子は久し振りの料理に心を踊らせていた。
* * *
晃がシャワーを浴び終えてリビングに戻ると、キッチンからトントンと小気味良い包丁の音が聞こえてきた。そして微かに漂う夕食の香り。
「ふ~ん……」
晃は美味しそうな匂いに釣られ、キッチンまで足を運んだ。
キッチンでは千夜子が二つのIHクッキングヒーターを存分に使い、テキパキと手際良く料理を作っていた。
フライパンに油をひき、先程溶きほぐしていた卵を入れる。ジュワっと美味しそうな音を立て、卵がふんわりと焼けていく。半熟の頃合いを見て千夜子がさっと箸でフライパンの中の卵をかき混ぜる。
その横で片手鍋がコトコトと揺れる。千夜子はボールに入れていた刻んだ油揚げと、なすを鍋の中にぶち込むと、冷蔵庫から味噌を取り出し、お玉の上でまた箸を回し、味噌を溶かした。
13歳ながら千夜子の手際の良さに、晃の目が釘付けとなる。
「あ、先輩。もうお風呂あがったんですね。ご飯、もうすぐで出来るんでもうちょっとだけ待ってて下さい」
そんな晃に千夜子が気が付くと、料理の手を止めずに声を掛けた。
何だか生き生きしている千夜子の姿に晃は何となく面白くない気持ちになる。
「お前、もしかして料理好きなの? 」
「え、分かりますか? お父さんが死んでお母さんが働きに出た頃から、お母さんを手伝うつもりで始めたんですけど、何だかそれがはまっちゃって」
「……それじゃあ、罰になんないじゃん」
「え? 何ですか? 」
晃のぼやきを聞き逃した千夜子が、もう一度聞き返すが晃からの返事はなく、大したことではないのだろうと、千夜子は気にせず料理の盛り付けに取りかかった。
「――よし、出来ました。食べましょう」
千夜子は笑顔でそう言うと、ダイニングテーブルに夕食を運んだ。
先程から食欲を刺激するいい匂いに、晃もお腹が空いてくる。
晃は素直に食卓に着くとトレーに乗せられた料理に視線を走らせた。
夕食は丼に盛られたご飯の上に卵とほうれん草とひき肉を乗せた三色丼と、たっぷりの具が入ったキノコの味噌汁。そして小鉢にはモヤシとほうれん草のお浸しが盛られていた。
(あの短時間でこれだけのものを作れるのか……)
今迄はハウスキーパーに任せていた為、料理について全く関心がなかった晃だったが、まだ13歳の少女がこんなにもしっかりとした料理を作れることに素直に驚いていた。
「では頂きます! 」
そう言って千夜子が両手を合わせる。晃もそれに釣られて「頂きます」と小さく呟き、食事に箸を延ばした。
* * *
「晃さ、何か良いことあった? 」
夏休みが明け、二学期が始まった。始業式が終わって体育館からクラスへ戻る道中で、何となく朝から機嫌の良い晃に向かって、友人の恭が尋ねてきた。
「……何でそう思う? 」
「んー、何となく? 」
恭は晃の顔を見つめたまま、その理由についての想像を口にした。
「もしかして、妹ちゃん? 」
夏休みに入ってからの晃の変化と言えば新しい家族が出来たことだ。しかし、晃は家族に関しては非常にデリケートなものを抱えているため、父親がまた再婚するという話を聞いた時、恭は晃が荒れるのではないかと少し心配していたが、そんな恭の考えは杞憂だったかのように、隣にいる晃は再婚前と変わらず、明るい雰囲気が作れる程に余裕があるように見えた。
「……まぁな」
晃がニヤリと悪い笑みを浮かべる。晃のこういう一面は本当に気心の知れた限られた人間にしか見せないものだ。
「暫くは退屈しないいいオモチャ見つけたわ」
「オモチャってお前なぁ……。もしかして、あんな純粋そうな子虐めてたりすんの? 」
恭は千夜子の姿を思い浮かべた。
まだ幼さの残る純朴そうな少女が、学校では品行方正で清廉潔白な正統派王子のような完璧な仮面を被りつつ、その実、裏の顔は陰険陰湿な腹黒王子の晃に虐められている姿を想像し、千夜子に同情するように晃に非難の目を向けた。
「人聞きの悪い。まぁ、でもあいつが来たお陰で鬱陶しかったハウスキーパーの女をクビに出来たし、替わりのやつが必要ない位には家事も出来るし、俺にとって家で過ごし易くなったのは事実だな」
『虐めていない』という言葉を言わない辺りが最早恭の心配した事実が肯定されていると言うことなのだが、晃はそんなことは全く気にする様子もない。
恭は晃がこの麗しい見た目のせいで良いこともある反面、苦労してきたことも知っている。
過去の数多のトラブルによる女性に対する偏見や、恋愛観念の捻れは早々変われるものでないことも知っている。
晃を見た目だけで判断し、安易に近付いてくる頭の緩い女なら別に痛い目にあっても構わないと思っているが、まだ卵から孵ったばかりの恋愛に憧れる純粋でいたいけな少女が、自分を守るためにガチガチに張られた刃の鎧を身に纏う晃に、誤って触れて傷が付かないことを願うばかりだった。
シャラ――
恭は制服のズボンの中のあるものに手を伸ばし、それを強く握り締めた。
* * *
「ちゃこ、何かやつれてね? 」
始業式が終了し、教室へと戻る千夜子に友人の純が心配そうに声を掛けた。
「そ、そう? 大丈夫だよ。今日から学校も始まったし」
「それって逆じゃね? 普通は夏休みが終われば憂鬱な気分になんだろ? 」
千夜子のおかしな返しにすかさず純が突っ込む。
「あ、でも分かるよ~。藤森先輩とずっと一緒に暮らしてたら変な格好とか出来ないし、ドキドキで心が休まらないよね~」
「り、理名ちゃん、 しー! 」
千夜子が慌てて理名の口を手で塞ぐ。
学校ではまだ二人が家族になったことは秘密なのだ。藤森ファンに聞かれたらただでは済まない。千夜子は周囲をキョロキョロと見回し、誰にも聞かれていないことを確認すると安堵の息を吐いた。
「こら、理名! ちゃこを困らせるな! 」
「ゴメンゴメン、 気を付けるね。想像してつい興奮しちゃって」
「……そんなんじゃ全然ないって、理名ちゃん」
二学期も恋愛脳全開の理名に千夜子が誤解を訂正する。
そう、本当にそんな甘酸っぱいようなものではなかった。千夜子はふと夏休みの記憶を思い返した。
◆ ◆ ◆
「千夜子がどーしても家事やりたいって言うから、あのハウスキーパーとの契約切ったんだけど、いいよね? 」
夜の食卓を囲みながら、晃が妹を気遣う兄のように殊勝な口調で新婚旅行から戻ってきた両親にハウスキーパーの解雇を告げた。
当然その夕食を作ったのは千夜子であった。
「千夜子ちゃんさえ良ければ私は全然構わないよ。 というか、この夕飯本当に全部千夜子ちゃんが作ったのかい? どれも美味しくてびっくりだよ」
「ええと、お口に合って良かったです」
「ちゃこ、お父さんに敬語はいらないわよ。……でも、家事の件、ちゃこが大変じゃない? 今までは私とちゃこの二人分だったのが、今度は四人に増えるのよ? 今は夏休みだからいいけど、学校が始まったら流石にキツいんじゃない? 洗濯は私が帰ってきてからするとしても、食事は私と大和さんが帰ってくるのがそもそも20時頃だから、そこから私が作るとなると食べるのは21時近くになっちゃうし、やっぱりハウスキーパー雇った方がいいんじゃない? 」
やまとデンタルクリニックは隣町で開業しており、そもそも歯科医院が終わるのは19時と遅い。患者が帰ってからも細かい残務処理がある為、遅くなりそうな日は二人でそのままクリニックに泊まってくることもあった。
多江は結婚する前は流石に他の従業員達と同じく定時に上がっていたが、今はもう院長婦人として大和と一緒に最後まで残って、帰りは大和と一緒に帰ることにしている。
大和は多江に無理に最後まで残らなくてもいいとは言ってくれていたが、子供がしっかりしている安心感もあり、仕事が大変な大和を支えることを決めた。
しかし、家事の負担まで千夜子に押し付ける気は多江には更々なかったので、結婚の条件として家事の負担軽減にハウスキーパーの雇用の継続は絶対条件の一つだった。
千夜子を気遣う多江の発言を受けて、千夜子はチラリとテーブルを挟んで千夜子の目の前で食事を食べている晃に視線を向けた。
晃はニコリと張り付けた笑顔を浮かべながら、テーブルの下で向かい合う千夜子の足を両親に気付かれないようにガンと蹴った。
「いっ!? 」
脛を蹴られて千夜子が悲鳴を上げる。咄嗟に非難の目を晃に向けるが、晃は口元に笑顔を浮かべながらうっすらと千夜子に向けて『分かってんだろーな』という視線を送った。
(こ、怖いってば……)
「だ、大丈夫だよ、お母さん。私部活入ってないし、本当にお料理作るのは大好きだから、むしろやりたいの。というかやらせて欲しい! 」
若干の本音も含みつつ千夜子は必死で多江を説得した。そんな千夜子の必死の頼みに多江が折れる。
「ちゃこの好きなようにしたらいいわ。私もずっと好きにさせて貰ってるしね。……でも、大変になったらいつでも言ってね」
「うん。ありがとう、お母さん」
「良かったな、千夜子」
母娘の会話に晃が図々しく割って入る。
千夜子は親の前でわざとらしく良い兄のように振る舞う晃の作り笑顔に心の中で舌を出した。
「うん、ありがとうお兄ちゃん 」
そんな晃に対して千夜子もまた、可愛らしい妹の振りをしたのだった。
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