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中学生編
8 体調不良の原因
しおりを挟む二学期が始まって数日後。
その日千夜子は朝から何だか調子が悪かった。
(身体が何だか重だるい……)
午前中の授業は何とか受けることが出来た千夜子であったが、給食前にいよいよ貧血気味となり心配する純と理名に促され保健室へとやってきた。
「熱は37度ぴったり。風邪症状は無いようだけど、顔色が悪いみたいだから少し休んだら今日はもう帰りなさい。担任の先生とお家の人には連絡しておくから」
「はい、ありがとうございます」
50代位の落ち着いた雰囲気の女性の保険医が労るように千夜子に家に帰るように勧め、千夜子も素直にその言葉に応じた。
千夜子は割りと身体が丈夫な方で、このように保健室に世話になることは珍しく、夏休みからの環境の変化による疲労とストレスが溜まっていたのだろうかと千夜子は思った。
保険医は再度千夜子をベッドに休ませると、担任に報告するため一旦保健室から姿を消した。
一人保健室のベッドの上に取り残された千夜子は身体のだるさに目を閉じた。何もせず横になっていると徐々に下腹部に痛みを感じてきた。
(あ、もしかしてこれって……)
ガラリ――
千夜子が休んでいると、唐突に保健室の扉が開かれた。保険医にしては乱暴な開け方に千夜子が思わず閉じていた目を開けた。
そして、保健室に入ってきた意外な人物の姿を目にした千夜子は、思わず驚きの声を漏らした。
「藤森先輩……!? 」
晃の姿に、横になっていた千夜子は慌ててベッドから上体を起こした。
ベッドで休んでいた千夜子の姿を確認した晃は、心配するような素振りもなく千夜子に対して事務的な口調で容態を聞いてきた。
「具合悪いんだって? 」
「いや、……まぁ、はい。……あの、何で先輩がここに? 」
晃の態度から、千夜子を心配するような様子は微塵も感じられず、千夜子は晃が何をしに保健室にきたのかを尋ねた。
「たまたま生徒会の用事で職員室にいたら、保険医が親父のクリニックにお前のこと連絡してるのが聞こえた」
「あ……」
「それで俺達のこと知ってるお前の担任が、わざわざ俺にもお前のこと報告しにきてくれて、何となく流れ的にここに来るしかなかったってわけ。あと、ついでに保険医からも伝言頼まれた。お前の母親、もう少ししたら迎え来るってさ」
「な、なるほど。よく分かりました。……とんだご迷惑をおかけしまして…… 」
職員室からの流れで、不本意ながら保健室へとやって来た晃に対して、具合の悪い千夜子の方が何故だか謝罪の言葉を述べた。
晃は千夜子の謝罪には答えず、千夜子の休むベッドの側までやって来ると、側に置いてあった椅子に無言のままドカリと腰を降ろした。
「え? 」
用件を伝えたはずの晃が、千夜子の隣に居座る素振りを見せてきたので、思わず千夜子は戸惑いの声を上げた。
(……き、気まずいな)
自分を静かにじっと見つめる晃の視線に耐えきれなくなった千夜子は、内心の焦りを隠しつつ、遠慮がちに晃へ話し掛けた。
「あの、先輩? あと何か他に私に用事が……? 」
「別に。わざわざここまで足を運んだんだし、もう少し苦しんでるお前の姿を見ていこうかと思って」
「ひぇ……」
恐ろしいことをさらりと言ってのける晃に、千夜子は恐れ戦いた。
(やっぱり、この人悪魔か何かの生まれ変わりなんじゃ……。うん、きっとそうに違いない! )
「お陰様で、すっかり具合の悪さが吹き飛びました。もう苦しくも何ともないのでどうぞ教室にお戻り下さい! 」
早く晃をこの場から追い返したくて、早口に千夜子が捲し立てる。
「あっそ」
晃は千夜子の言葉を耳に流しながら、尚もじっと千夜子を見つめた。
晃の目には千夜子の顔は未だに青ざめて見えた。
具合が悪いながらも自分の前で強がる千夜子の態度に、晃は何故だか苛立ちを覚え、チッと舌打ちをした。
(何で今舌打ちしたの!? )
一層不機嫌さが増したような晃の様子に千夜子は大いに焦ったが、その直後――
くらり、と再び千夜子は目眩に襲われ咄嗟に手で顔を覆った。
「――おい!? 」
具合が悪化した千夜子の姿に反射的に晃は駆け寄ると、千夜子のか細い肩に手を添えた。
「す、すみません。何か目眩が……」
「いいから横になれよ。お前、顔真っ青だぞ」
そう言うと、晃は千夜子を労るように優しくそっとベッドへと休ませた。
目眩と同時にズキンズキンと下腹部の痛みが増していく。千夜子も晃に振り回されている余裕がなくなり、大人しく晃に言われるがままに横になる。
痛みに歪む千夜子の目を覆うように晃の手がバンと乗せられた。
「な、何?」
「とにかく寝ろ」
決して優しくはない物言いで晃が千夜子を寝かそうと無理矢理手で目を塞ぐ。恭とは違ってひんやりとする晃の手が今はほんのり微熱の千夜子には心地好い。いつしか千夜子はその手の熱に意識を移すとすーっと眠りに着いていた。
* * *
千夜子が眠っている間に多江が迎えに来てくれた。
寝て起きたら大分貧血は良くなっていて、千夜子はそのまま多江と一緒に家に戻った。
家に戻った千夜子はお手洗いに行くと、戻って来た際に微妙な表情で多江に告白した。
「……生理になったみたい」
「やっぱりそうか。そうだと思った。お赤飯炊こうか? 」
「絶対にやめて」
初潮を迎えた娘に多江が冗談交じりにそう話す。
最早家族は母と娘だけではないのだ。千夜子は速攻で多江の提案を拒否した。
そんな嫌がる千夜子の様子に、「ふふ」と感慨深げ多江が優しく笑い声を漏らした。
「これからちゃこには身体の変化が色々と現れてくると思うから、何かあったらいつでも私に言ってね。今はお腹痛みはある? 明日の方が痛み辛いかもよ」
「お腹はちょっとまだ痛い。……生理痛ってこんななんだね。これが毎月来るのか。何だか怖いな」
「段々慣れてくるとは思うけど、無理はしないでね」
「うん」
そんな会話をしていると、ふと千夜子は晃のことを思い出した。
「そう言えばお母さん来た時、お兄ちゃんはいた? 」
「晃君のこと? いなかったわよ? 晃君、ちゃこのこと心配で様子見に来てくれてたの? 」
「う、うん。そうみたい……」
『先生に言われて渋々来て、その腹いせに自分の苦しんでいる姿を見ていた』とは言えない千夜子は母親の誤解を訂正せずに頷いた。
「あんた達が仲良くしてくれていて本当に良かったわ。千夜子一人っ子だったし、兄妹は作ってやりたかったんだ」
「……そうなんだ」
晃の外面の良さに騙されて二人の兄妹仲を疑わない母親に、千夜子は複雑な気持ちで曖昧な笑顔を浮かべた。
* * *
「初潮が来たって? 」
今夜は仕事を早退した多江がそのまま夕飯を作ってくれることになり、千夜子が授業の遅れを取り戻そうと自分の部屋で机に向かって勉強をしていると、ノックもなしに晃が部屋に入ってきた。
デリカシーの欠片もない話を持ち出してきた晃に対し、千夜子はあんぐりと口を開け、顔を赤く染めると非難の目を向けた。
晃はそんな千夜子の視線を無視すると、そのまま千夜子のベッドにどさりと腰を降ろした。
最早思春期の千夜子への配慮は皆無な晃に、千夜子は倍になって返ってくる報復を恐れ、文句が言いたいところをぐっと堪えると、代わりに手にしていたシャーペンをぎゅっと強く握り締めた。
「どーりでお前ずっと乳臭いと思ってたんだ。マジで正真正銘お子様だったんだな」
「ちょっと、失礼じゃないですか? 」
晃のあまりの言いように、堪えていた千夜子の怒りが再燃する。
「ま、でも今日で一歩大人の仲間入りした訳だろ。良かったじゃん、乳臭いお子様卒業出来て」
「だから言い方!! 」
「これで、恭もお前のこと女として見てくれるかもな」
「え? 何で神宮寺先輩の話に……? 」
晃の口から次々に飛び出す予想外の内容に、千夜子は付いていくことが出来ずに眉根を寄せた。
「お前、この間の放課後、焼却炉で恭といちゃついてたろ? 」
「見てたんですか!? いや、ていうか、いちゃついてなんてないし! 」
「じゃあ、何してた? 」
「先輩にいちいち言うことじゃない……」
あの日の恭とのやり取りは正直千夜子にとっては心が痛んだ苦い記憶でもある。
それはまさに今目の前にいる人物のせいであり、自分の傷をまたほじくり返すようなことは言いたくなかった。
「言えよ」
しかし、そんな千夜子の気持ちを知らない晃は、執拗に恭とのやり取りを躍起になって聞いてきた。
「い、嫌です」
強情な千夜子に焦れた晃はカッとなって、ベッドから立ち上がると、机の前に座っていた千夜子の腕を無理矢理引っ張りそのまま強引にベッドへと押し倒した。
「ひゃ! 」
千夜子の中でいつかの光景が思い浮かび、軽い既視感を覚えた。
「お前、ついこの間迄俺に惚れてたんだよな? それがもう恭に乗り換えかよ。 乳臭い女だと思ったらすげー尻軽で男好きのビッチだな」
千夜子を腕の下に組み敷きながら、侮蔑と憎しみのこもった鋭い視線をぶつける晃に、千夜子はえも言われぬ恐怖を覚えたが、あまりにも理不尽過ぎる言われ様に、勇気を奮い起たせると千夜子は晃を睨み返しながら反論した。
「乗り換えてなんかいない! 神宮寺先輩は前に私が藤森先輩に贈った誕生日プレゼントを、藤森先輩から貰ったけど自分がそのまま貰っていいのかって、わざわざ私に確認に来てくれたんです。……藤森先輩、私のプレゼント神宮寺先輩にあげたんでしょ? 」
千夜子の言葉に、千夜子の腕を押さえていた晃の手が身に覚えがあると肯定したように、ピクリと反応する。
「プレゼントすら受け取ってもらえない、義妹になっても奴隷扱い。いつも酷いこと言って、こんな風に一方的に力でねじ伏せられて。……こんなの家族じゃない。私、先輩の妹になんてなれないよっ……! 」
千夜子は晃の許しがたい言動と行為に、今迄溜まりに溜まっていた不満を全て晃へとぶちまけた。それでも晃は千夜子の腕を押さえたまま離れない。
(――いい加減にして! )
いよいよ千夜子の怒りが沸点まで到達する。
千夜子は自由のきく足をバタつかせながら、思い付くままに晃へと悪態を吐いた。
「この毒兄! 鬼畜! 悪魔! もう、お腹痛いから離して! てか離せ! 」
「……恭が好きになった? 」
そんな千夜子の怒り任せの幼稚な訴えをまるっと無視して、晃の目にスッと暗い影が落ちる。
「……そうじゃなくて、そんなこと言ってない。ついでに言うと前にも言ったけど、先輩には憧れていただけで、好きとかそんな恋愛感情は全然なくて……あ、そ、そうだ……っ! 」
そう言って千夜子は何かを思い付いたように、押さえつけられている晃の腕から逃れようと、一層身体をバタつかせた。
「何だよ、暴れんな」
「ち、違う。見て欲しいものがあって……」
「見て欲しいもの? 」
千夜子の言葉に、晃は訝しそうに手を緩めた。千夜子は素早く晃の腕から身体を捻って逃れると、本棚に沢山並んだ漫画本の一冊をさっと取り出し、晃の目の前にその漫画の表紙が見えるように掲げて見せた。
「この漫画の中の登場人物の一人。この表紙の人! 私の『推しキャラ』でヒロインが困っているといつも助けてくれている『ウィル』って名前の王子様キャラなの。すっごい格好良くて。ホラ、先輩にそっくりでしょ? 」
「は? 」
突然少女漫画を取り出して勢い良く捲し立てる千夜子の姿に、晃が引き気味に顔をしかめる。
「中学校に入学して初めて先輩を見た時に、『ウィル』だ! ってビックリした。それからいつも先輩を目で追うようになって、勝手に私の中で現実の『ウィル』になってて……」
「…………」
千夜子の話を晃が静かに聞いている。千夜子は言葉を続けた。
「勝手に先輩を『推し』にして、勝手に浮かれてファンになってごめんなさい。でも、もう自分がどんなに自分勝手で先輩に対して物凄く迷惑なことしたか分かったから。……だからもう、先輩に対する憧れの気持ちとかも全部消したから……」
漫画本を大事そうに胸に抱えると、千夜子は晃を真正面から見つめて、感情が昂り、泣きそうになるのをぐっと堪えて懇願するように言葉を続けた。
「だからもう許して……」
ドクリ――
今にも泣き出しそうな千夜子に、晃の心が初めて音を立てて揺れた。
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