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しおりを挟む「驚かせてすまなかった、半妖の子よ」
地面に尻をついたまま見上げているコロロに手を指し伸ばした。
きゅ、と男の子の手を掴んでコロロは立ち上がる。
小さな手だ。そこからぬくもりを感じる。あったかくて血が通り生きている。
どんぐりの神だと信じるコロロの純粋さに男の子は心の中で反省した。
悪さをしないが人間ではない半妖という存在が目障りである。この山から追い出してやろうと声をかけたのだ。
人間を見て哀れなほどに怯える姿と嘘を見抜けぬ幼いこ。
「コロロってよんで!どんぐりのかみさま!!」
半妖の子と呼ばれると不満一杯に顔をしかめてコロロは訴える。
「では、コロロも俺をどんぐりの神ではなくシュリと呼べ。俺がどんぐりの神だと知る者はお前だけだ、コロロ」
「ふたりだけのひみつ!」
「そうだ。俺がお前以外にどんぐりだと知られると、ただの物言わぬどんぐりになってしまうのだ」
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