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第五章

☆4

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◇◇◇

「へーくしょん!あー、目が痒い、鼻づまり最悪」

少年の連続くしゃみが辛そうだ。瑠璃の花が咲き誇っている、るりるりフラワーロード。屋台が並ぶ道をピンク色の花びらで彩っている。
瑠璃の花は一見可憐で可愛らしいが、アレルギーを持つ者が多い。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、微熱を引き起こしてしまう。症状がひどくなると嗅覚を一時的に失う。
それを知っていても自分はアレルギーはないし、ピンク色が好きだからと理由で王妃は瑠璃の花のフラワーロードを王にねだり作らせたのだ。
瑠璃の花が咲く頃になると、地獄の道がまた開いた、と瑠璃の花アレルギーの国民は憂鬱なため息を洩らすのだ。

「…だいじょおぶ、かの?」

「ああ、へーき。少しいつもと感覚違うけど」

ティアは少年に声を掛ける。嗅覚はほぼないが、聴覚は通常運転だし危険は十分に察知出来るし、と少年は笑った。

「キティちゃあああーん!」

その時、よく知った声が聞こえた。エメラルドだ。
両手を広げて泣きながらティアの元に駆け寄ってくる。

「え、えめらるどーーーー!」

ティアもエメラルドの元に駆け寄る。
がしっ、と二人は抱き合いおいおいと泣いている。
こうして孫とおじいちゃんは感動の再会を果たした。

「よかったな、じーちゃん。もう、孫の手離すなよ」

少年はもらい泣きして少し瞳を潤ませている。瞳が潤んでいるのは瑠璃の花アレルギーのせいもあるが。

「ありがとうございます、おじいちゃんがお世話になりました」

ティアはエメラルドに少年が危ないところを助けてくれた、魚を買ってくれたと、母鳥に餌を催促する雛鳥のようなピヨピヨ、という表現が合うような声色で説明する。
エメラルドは少年に深々と頭を下げたお礼を言った。

「いや、俺がほっとけなかっただけだし。じゃあ、じーちゃん長生きしろよ」

「ありがとうのう!」

ティアは親切な少年に向かって手を振り見送った。
エメラルドと再び手を繋いだ。それから、ほどなくしてレミィと合流した。

「レミィ!」

「…ティア、よかった無事で」

レミィはティアの元気そうな様子を見てほっと息を吐いて胸を撫で下ろした。
そして、面白眼鏡アイテム一つで獣人であることが隠せるものかとレミィは感心した。

「それにしても、ジェイの知り合いのおばあちゃんすごいわね!煮干し占い。私、後で占ってもらいに行こうかしら」

エメラルドはジェイに人探しと言ったら彼女です、と紹介された老婆の姿を思い出して言った。



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