保護者つきで異世界転生!

遊虎りん

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「よく頑張りましたね」

鬱蒼としている木々に覆われている山は大人の人間でも一人で入るのは躊躇ってしまう。しかも、魔物がすむ。武術の心得もなく、魔力を持たない普通の子供が一人で来れるものでもない。
肉親の為に、勇気を振り絞ってここまで来たルウミナのいじらしさに青年は心を打たれたように声を微かに震わせた。

「私が魔術師です。君に薬草をわけてあげましょう」

「……やった!ありがとうございます」

ルウミナは安心したように笑った。キリトもルウミナの笑顔をみて安堵した。
報われないことが続いていたから物分かりがよい魔術師に感謝した。
人間が心底嫌いだから山にこもっていたわけではないらしい。

「……今夜は私の家にとまっていきなさい。明るくなったら帰るといい」

「いいんですか!魔法のじゅうたんとかありますか?」

魔術師の家に興味津々のルウミナの瞳は無邪気だ。ずる賢い思惑はひとつもなくすみわたっている。
魔術師は柔らかく微笑んだ。

「残念ながら魔法のじゅうたんはありません。君は空を飛びたいんですか?」

「はい!あの辺に母ちゃんがいるんだって父ちゃんが言ってたから。びゅーんとひとっ飛びして母ちゃんに会いに行きたいです」

じゅうたんがない、という言葉を聞いてもルウミナは残念がる様子を見せなかった。
幼い指を夜空に向けて魔術師の問いかけに屈託ない笑顔で答えた。


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