母性愛、男子!

遊虎りん

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「涙で濡れた瞳で笑ったももちゃんを見たとき、心底この世に生まれてきてくれてありがとうとももちゃんに感謝し、このこを真っ白なふわふわなタオルケットで包み込んであげたいと思ったからです」

面接を受ける緊張感に少し肩に力を入れて琉聖は答えた。
琉聖は老若男女にモテる。眉目秀麗で声も甘く低い声で落ち着いているので、好感をもたれやすい。博愛主義者であり、好きと好意を持ち近づく者を平等に愛してきた。
ずっと愛を受けとる側だった。
その愛というものには、身体に触れて欲しいとか触れてみたいという興奮や他人から羨ましいという眼差しを向けられたい、という欲望が混ざっているどろどろしたものだった。

愛というものは、必ずしも美しい色や形をしているものではない。

鬱陶しい、と雑に愛を扱う時もあり、琉聖自身、自分は紳士的な振る舞いはできないとあきらめていた。
本当に愛する者が現れるまでの、……なんだろうか。

キスもこれ以上の求めにも男としてこたえていた。

だけど、なりよりも愛おしいという感情をもってはいなかったのだ。


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