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第1話 人攫いあらわる!
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しおりを挟むわたしは神君に手を差しのべた。
目線が少し上になるが、胸を張って名乗る。
「わたしの名前はクーク・シシド。卒業試験を無事合格して魔法剣士となり人喰い姫を倒す!一人として食事にさせない!!」
魔法と剣士のふたつの試験を同時に合格するのは難関である。
魔法剣士となれるのは潜在的な魔力を持ち剣術に秀でた一握りの者。
わたしのお婆様は魔女っこアイドルとして一世風靡をした。魔力と魅力を受け継いでいるはずだ。このスキルは関係ないと思わなくもないが。
魔法剣士は勇者への道の第一歩だ。
残念ながら、学校を卒業しただでは勇者にはなれない。人々を救い、感謝され、勇気や希望を与える。周囲に認められ初めて《勇者》になれる。
「まだ学生だもんね。じゃあ、少しだけ力を貸してあげるよ。人喰い姫の腹時計を狂わせてあげる」
人喰い姫の空腹を感じるペースを狂わせる。ペースを狂わせる系が得意といっていただけのことはある。
人喰い姫が駄々をこねる時間をいくらか稼げる。
「ありがとう。なあ、神くん。一つ質問いいか?」
「どうぞ。神は隠し事や嘘つけない」
「なんで神くんは人喰い姫の言いなりになっているんだ?」
「人喰い姫に弱みを握られているからね」
「弱みってなに?」
「それはきかないで欲しいな~~」
あははと笑う神君を見て仕方なくわたしは誤魔化されてあげることにした。
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