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あのやる気がないリクス王子が熱弁を奮っている。
拳を握り締めて国王となるべく、夢や希望を語っている。
ベルンは感動で胸をいっぱいにさせた。
というか話の内容がまったく耳には入ってこなかった。
たった、今聞いたはずなのだが、記憶に何一つ残っていない。
しかし、もはや、どうでもいい。
王子の熱意は充分に伝わった。
鉄のように固く冷たさをたたえている表情は、変わらないがベルンの瞳は感激で潤んでいる。
(よくぞ、ここまで、立派になられた、リクス王子!)
心の中でベルンはリクスを強く抱き締めた。
『お前の小言はいつも同じでつまらない。』
『それ、覚えて何か意味あるのか?』
『はあー、大人になんかなりたくない。お前見てると、子供の時が一番楽しんだなって思う。』
等々、エトセトラ、リクスのくそ生意気な数え切れないほどの小憎らしい言葉がベルンの脳裏に蘇り浮かんでは消えていく。
何度、躾と称しおしりペンペンをしたか分からない。
はあ、とため息が洩れた。
ふと、リクスの腕の中に抱っこされている、リウと丸く赤い瞳と視線が合う。丸み帯びた子供らしい身体。所轄幼児体型。ぷにぷにしたくなるほっぺ。
可愛い、ほっぺ、ぷにぷにしたい!
ベルンは子供が大好きなのだ。
だが、恋愛対象は自分より年上のおっぱいがでかい庶民的な女性に限る。
「りう、なの!べるん、どーていか?なの」
元気よく自分の名前を名乗るリウ。大変可愛らしいが、童貞との言葉を受けてぐふっとよろける、ベルン。
初対面の幼児に童貞と見抜かれてしまった。
胸なら見えない血がドクドクと流れる。
「おい、それを言うなよ。俺だって童貞って馬鹿にするの遠慮してんのに」
リクスは、めっ!と母親のように叱る。
ぐふ、げほ!
ベルンはその場に倒れ付した。
くーん!
ジョンが気を使っている鼻声を出してベルンの頬を舐めて、知らず知らずに流れる涙を舐めて慰めてくれた。
だが、ジョンは五匹の仔犬の父親である。昨日、生れたばかりで母犬と、仔犬は城の中で大事を取り室内で過ごしているのだ。
ジョンは童貞ではない。
この気持ちは、私の気持ちなんて分からない!ぷいっとジョンから顔を背けていじける。
くうーん
ジョンは仕方ないやつだな、と尻尾と耳を下げた。
もう、今日はなにもしたくない。ベルンはむくり、と立ちあがった。
「今日は自習にします。図書室で、吸血鬼のことでも調べなさい。貴方は母親なんだから、理解しないといけません」
ベルンはそう言い残し自室へと向かった。
背中が寂しそうだと、ジョンは思った。
拳を握り締めて国王となるべく、夢や希望を語っている。
ベルンは感動で胸をいっぱいにさせた。
というか話の内容がまったく耳には入ってこなかった。
たった、今聞いたはずなのだが、記憶に何一つ残っていない。
しかし、もはや、どうでもいい。
王子の熱意は充分に伝わった。
鉄のように固く冷たさをたたえている表情は、変わらないがベルンの瞳は感激で潤んでいる。
(よくぞ、ここまで、立派になられた、リクス王子!)
心の中でベルンはリクスを強く抱き締めた。
『お前の小言はいつも同じでつまらない。』
『それ、覚えて何か意味あるのか?』
『はあー、大人になんかなりたくない。お前見てると、子供の時が一番楽しんだなって思う。』
等々、エトセトラ、リクスのくそ生意気な数え切れないほどの小憎らしい言葉がベルンの脳裏に蘇り浮かんでは消えていく。
何度、躾と称しおしりペンペンをしたか分からない。
はあ、とため息が洩れた。
ふと、リクスの腕の中に抱っこされている、リウと丸く赤い瞳と視線が合う。丸み帯びた子供らしい身体。所轄幼児体型。ぷにぷにしたくなるほっぺ。
可愛い、ほっぺ、ぷにぷにしたい!
ベルンは子供が大好きなのだ。
だが、恋愛対象は自分より年上のおっぱいがでかい庶民的な女性に限る。
「りう、なの!べるん、どーていか?なの」
元気よく自分の名前を名乗るリウ。大変可愛らしいが、童貞との言葉を受けてぐふっとよろける、ベルン。
初対面の幼児に童貞と見抜かれてしまった。
胸なら見えない血がドクドクと流れる。
「おい、それを言うなよ。俺だって童貞って馬鹿にするの遠慮してんのに」
リクスは、めっ!と母親のように叱る。
ぐふ、げほ!
ベルンはその場に倒れ付した。
くーん!
ジョンが気を使っている鼻声を出してベルンの頬を舐めて、知らず知らずに流れる涙を舐めて慰めてくれた。
だが、ジョンは五匹の仔犬の父親である。昨日、生れたばかりで母犬と、仔犬は城の中で大事を取り室内で過ごしているのだ。
ジョンは童貞ではない。
この気持ちは、私の気持ちなんて分からない!ぷいっとジョンから顔を背けていじける。
くうーん
ジョンは仕方ないやつだな、と尻尾と耳を下げた。
もう、今日はなにもしたくない。ベルンはむくり、と立ちあがった。
「今日は自習にします。図書室で、吸血鬼のことでも調べなさい。貴方は母親なんだから、理解しないといけません」
ベルンはそう言い残し自室へと向かった。
背中が寂しそうだと、ジョンは思った。
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