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第一章
プロローグ
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「種付けするのは私だけにして!」
女は弱いくせに喧しい。庇護を求めるくせに口ばかり達者で煩く自分の主張ばかりする。
ザイは醜い嫉妬の顔をする女の唇を強引に塞いだ。舌を入れて適当に口内を掻き回した。
それだけで女は濡れて喜ぶ。
αに唇を奪われて蕩けない女はいない。
激しい嫉妬の炎を燃やしていた女の顔はうっとりと夢心地になった。
「……孕ませたい女は貴女だけです」
名前に興味がない女の耳元で甘く囁くと女はこくん、と頷いて豊満な乳房を押し付けて甘えてきた。
それが煩わしくて面倒だ。一瞬でも愛しいとは思わない。さっさと燻る熱をぶち込んで終わらせたい。欲望の捌け口としてこの女を選んだのは失敗だった。
αの雄はすべてのβ、α、Ωの雌に取ってすり寄って媚を売り子種を乞う惹かれて止まない存在。
雌だけではなく魅力的な容姿や高い能力にαの雄に心酔する雄もいる。
子種を注がれても子を成さない雄と進んで交尾しようとは思わない。
ザイは恋人気取りの熱っぽい視線は女のものも男のものも邪魔臭くて堪らなかった。
独占欲を向けられると萎える。
誰の所有物になるつもりもないし、誰も自分の側に置きたいとは思わない。
交尾に感情はいらない。
恋だの愛だの馬鹿馬鹿しい。下らない、と鼻先で笑い飛ばす。
「あっん!もっとぉ、もっと奥まできて!私を愛して」
女は髪を振り乱し自らザイの身体に跨がると腰を振り雄を貪った。
その姿は独占欲の塊でザイの目には醜くうつる。嫌悪感さえ芽生え、削がれる。
何とか最後まで持ちこたえると最奥に多量の精液を注いでやる。
(このしゃべる喧しい穴も潮時ですね)
冷めた気持ちで心の中で呟いた。
この女に雄の猛りをぶつけることはない。
この世には誰もが世界に一人の運命の番がいると耳にする。ザイはその度に鼻で笑い飛ばす、運命とは下らない。
それに翻弄されるのは間抜けな奴だ。と。
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