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第53話 ヘンドリックの秘密
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王子、王子と常にいろんな人にまとわれつかれ、自分の時間を取りたくなるとクリスは学院の裏庭の木陰に避難することがあった。
ある日、クリスが木陰で本を読んでいると、後ろの方で話し声が聞こえてきた。
コッソリ見ると、生物学教室のモーリス教授と同級生のヘンドリック・モーリスの二人が木立の陰で話をしていた。
モーリス教授は、アルノー国がほこる優秀な研究者だ。
専門は植物学だが、学院の教師をしながら様々な研究発表を行っていた。
とりわけ小麦の品種改良の研究が有名で、食料問題の解決に貢献したと高く評価されノーブル賞を受賞している。
ノーブル賞とは、毎年、大陸中で最も優秀と評価された研究者に贈られる賞だ。
「ヘンドリック。君が本気を出したらトルドーやディアブロンの息子たちなんか目じゃないだろう。どうして才能を隠すんだ?」
「おじさんも父さんたちのことは知ってるでしょう?僕は目立ちたくないんですよ。」
「忌々しいディアブロン親子め。兄さんだけじゃなく、君の才能まで潰すのか。」
「仕方ないですよ。田舎の子爵家が侯爵家にかなうわけがないんですから。」
「本当に残念だよ。兄さんもお前も、僕よりずっと優秀なのに・・・。」
モーリス教授より優秀?
現在、アルノー国でノーブル賞を受賞したことがある研究者はモーリス教授を含めて3人だけだ。
しかも他の2人は、もう故人だ。
その後、クリスは気になってディアブロン侯爵とモーリス子爵について、同じくらいの年代の家臣に尋ねてみた。
そして驚くべき情報を聞き出したのだった。
現当主たちは学院の同級生だった。
1年生の時にトーマス・モーリスがマーカス・ディアブロンより上位の成績を取り続けたことで、マーカスによる執拗ないじめがあったというのだ。
その結果、トーマスは学院を休みがちになり留年した。
なんとか学院を卒業した後は、領地に引っ込み親の跡を継ぎ子爵になった。
そしてその後、表舞台に出ることなく現在に至っているとのことだった。
不幸にも親子で学年が被ってしまったのか・・・。
そんなことで優秀な人物の才能が潰されることをクリスは残念に思った。
※
クリスの話を聞き、ルーファスは眉をひそめた。
「それはつまり、私は譲られて1位を取っていたというわけですか?」
「まあ、そうだろうね。それ以来、ヘンドリックのことを時々観察していたけど、読んでいる本も専門家が読むような高度な内容のものばかりだったよ。」
クリスの言葉に、ルーファスは悔しそうに顔をゆがめた。
「ルーファス。君は今の話を聞いてどう思った?」
クリスに尋ねられ、ルーファスは毅然と答えた。
「正直、腹が立ちました。譲られて1位を取るくらいなら、正々堂々戦って負けた方がすっきりします。」
ハハハとクリスが笑った。
「君はそうだろうね。でも、アンドレアは違うだろう?」
たしかに、あの男なら気弱そうなヘンドリックをいびりたおしそうだ。
「それで、殿下は生徒会にまで入れて、ヘンドリックをどうしたいんです?」
「彼の才能を明らかにして、表舞台に引きずり出したいんだ。有能な人物がわざと才能を隠すなんて健全じゃない。」
「なるほど・・・、それで、どうするつもりなんだ?」
ジークフェルドが尋ねた。
「直球でいくよ。今度のお茶会でね。」
クリスは不敵に笑った。
ある日、クリスが木陰で本を読んでいると、後ろの方で話し声が聞こえてきた。
コッソリ見ると、生物学教室のモーリス教授と同級生のヘンドリック・モーリスの二人が木立の陰で話をしていた。
モーリス教授は、アルノー国がほこる優秀な研究者だ。
専門は植物学だが、学院の教師をしながら様々な研究発表を行っていた。
とりわけ小麦の品種改良の研究が有名で、食料問題の解決に貢献したと高く評価されノーブル賞を受賞している。
ノーブル賞とは、毎年、大陸中で最も優秀と評価された研究者に贈られる賞だ。
「ヘンドリック。君が本気を出したらトルドーやディアブロンの息子たちなんか目じゃないだろう。どうして才能を隠すんだ?」
「おじさんも父さんたちのことは知ってるでしょう?僕は目立ちたくないんですよ。」
「忌々しいディアブロン親子め。兄さんだけじゃなく、君の才能まで潰すのか。」
「仕方ないですよ。田舎の子爵家が侯爵家にかなうわけがないんですから。」
「本当に残念だよ。兄さんもお前も、僕よりずっと優秀なのに・・・。」
モーリス教授より優秀?
現在、アルノー国でノーブル賞を受賞したことがある研究者はモーリス教授を含めて3人だけだ。
しかも他の2人は、もう故人だ。
その後、クリスは気になってディアブロン侯爵とモーリス子爵について、同じくらいの年代の家臣に尋ねてみた。
そして驚くべき情報を聞き出したのだった。
現当主たちは学院の同級生だった。
1年生の時にトーマス・モーリスがマーカス・ディアブロンより上位の成績を取り続けたことで、マーカスによる執拗ないじめがあったというのだ。
その結果、トーマスは学院を休みがちになり留年した。
なんとか学院を卒業した後は、領地に引っ込み親の跡を継ぎ子爵になった。
そしてその後、表舞台に出ることなく現在に至っているとのことだった。
不幸にも親子で学年が被ってしまったのか・・・。
そんなことで優秀な人物の才能が潰されることをクリスは残念に思った。
※
クリスの話を聞き、ルーファスは眉をひそめた。
「それはつまり、私は譲られて1位を取っていたというわけですか?」
「まあ、そうだろうね。それ以来、ヘンドリックのことを時々観察していたけど、読んでいる本も専門家が読むような高度な内容のものばかりだったよ。」
クリスの言葉に、ルーファスは悔しそうに顔をゆがめた。
「ルーファス。君は今の話を聞いてどう思った?」
クリスに尋ねられ、ルーファスは毅然と答えた。
「正直、腹が立ちました。譲られて1位を取るくらいなら、正々堂々戦って負けた方がすっきりします。」
ハハハとクリスが笑った。
「君はそうだろうね。でも、アンドレアは違うだろう?」
たしかに、あの男なら気弱そうなヘンドリックをいびりたおしそうだ。
「それで、殿下は生徒会にまで入れて、ヘンドリックをどうしたいんです?」
「彼の才能を明らかにして、表舞台に引きずり出したいんだ。有能な人物がわざと才能を隠すなんて健全じゃない。」
「なるほど・・・、それで、どうするつもりなんだ?」
ジークフェルドが尋ねた。
「直球でいくよ。今度のお茶会でね。」
クリスは不敵に笑った。
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