男爵令嬢なのにくじ引きで王子のいる生徒会の役員になりました!

らな

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第65話 アンドレアとの遭遇

天使?
こんな可愛い子、学院にいたか?
小さいから1年か?

「ああ、俺は大丈夫だ。俺も考え事をしながら歩いていたからな。悪かった。お前も怪我はないか?」
思っていたことと全く違う言葉が口から出た。
そして柄にもなく、手を差し出し女子生徒を立ち上がらせた。

「ああ、筆箱が・・・。メガネのツルも折れちゃった・・・。」

彼女が散らばった文具を集めるのも手伝ってやった。
壊れたメガネも含め、全てをカバンに収めると彼女は満面の笑みを浮かべ礼を言った。
「手伝って下さって、ありがとうございました。」
彼女はペコリとお辞儀をすると、パタパタと走り去ってしまった。

あ、しまった。名前、聞きそびれた。

ぼうっと彼女の後ろ姿を見送り、アンドレアがそう気づいたのは彼女が見えなくなった後だった。
その時、ふと廊下の端っこに小さな手帳が落ちているのが目に入った。

彼女の生徒手帳か。

中を開くと、クラスと名前が書いてあった。
「1年A組、リア・アーロン。男爵令嬢か・・・。」
男爵家では、アンドレアの家とは家格が釣り合わない。

本妻はどこかの名家から調達して、あの子は愛人にしたらいいか。
うちの両親も、そうしているしな。

アンドレアはリアの生徒手帳を胸ポケットに入れ、ご機嫌で教室へと戻ったのだった。

放課後、アンドレアは急いで1年A組へと向かった。
手帳をリアに返し、今後の繋ぎとするのだ。
そして教室の前で、自分の手下として使っている1年の男子生徒をつかまえた。
侯爵家の配下の家の息子だ。
「おい、おまえ。リア・アーロンって子を呼んできてくれ。」
アンドレアに命令され、青い顔でブンブン頷いた男子生徒は、慌てて教室に入っていった。

帰り支度をしていたリアは、クラスメイトの男子に話しかけられた。
「リア。アンドレア様が呼んでるぞ。」
「アンドレア様って、誰?」
「アンドレア・ディアブロン侯爵令息だよ。お前、何かしたのか?」
名前も知らない人だ。
リアは首を横に振った。

よく分からないが、呼ばれているとのことなので、同級生が指差した後ろの扉の方へ行ってみた。
「あ、朝の・・・?」
朝に廊下でぶつかった先輩だ。

まさか、今になって足が痛み出したとかじゃないよね?

リアが不安に思っていると、ずいっと生徒手帳が差し出された。
「これ、おまえのだろう?」
「わざわざ届けて下さったんですか?ありがとうございます。」

なんだ。良かった。すごくいい先輩だった。

ホッとしてニコニコ笑うリアに、アンドレアも笑顔になった。
「それでだな、今度おれと・・・」

アンドレアが何かを言いかけたその時、廊下を通りかかったオズワルド先生が突然横から入りこみ、リアの肩をガシッとつかまえた。
「ああ!アーロン。君がつかまって良かった。先月の会計報告書に大きなミスが見つかってな。今日中に訂正して校長先生に提出しないといけないんだ。今から職員室に来て手伝ってくれないか?」
会計主任のオズワルド先生だ。
「まあ、それは大変。今行きます。先輩、手帳をありがとうございました!」

再びペコリとお辞儀をされ、リアは風のように先生と立ち去ってしまった。
「あ・・・」
アンドレアは伸ばした手をバツが悪そうにひっこめた。

まあ、名前もクラスも分かったし、また別の日にアプローチすればいいか。

リアとの楽しい生活を思い描きながら、アンドレアは1年の教室を去ったのだった。





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