始まることの前に

高城

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てとてわあわせて

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まだ、足があった頃。
並んで歩いた道。

まだ、手があった頃。
手を繋いで歩いた。

まだ、目があった頃。
見つめ合うのがすきだった。

まだ、耳があった頃。
囁かれる言葉に愛を感じた。

また、口があった頃。
自分の気持ちを伝えることで精一杯だった。

次に無くなる前に私は、私たちは全部伝えよう。

私たちはまだ地平線の外、わかりあえる最後の、最後の時。

歌うように嘘を、嘘を歌うように。


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