このVRMMOは色々と異常な気がする

酒屋陣太郎

文字の大きさ
44 / 44
第三部

第43話 地下3階 貪欲な者

しおりを挟む
 翌日も『我々の中に裏切り者ガイル』の五人は、『タルタロスの口』へ向かう前に、冒険者ギルドに立ち寄った。
「地下三階のクエって、盗賊とかの人型の魔物を討伐するみたい」
「人型か、あまり人に近いとやりにくいんだよな……」
「そうね、無駄に断末魔がリアルだったりするからね……」
「私は別に平気ですけど?」
「我らに敵意を向けてくれれば、斬るのに躊躇ためらいは無いな」
そう話しながら歩いていると、クロウの足元に何か小さい物が落ちた。
「クロさん、何か落としましたよ」
リノはそれを拾い上げ、クロウに渡す。何かの金属片のようだ。
「あっ、ごめん、何だろうこれ?」
そう言って彼は身に着けている装備を調べた。
「これ、剣の柄の飾りだ……」
「大丈夫なのか? その剣」
「まだ使ってないけど、カッコいいからな~」
「名前が『定価三〇〇円』でしょ? すぐ折れるんじゃないかしら?」
「どうだろな? 一応予備に初期装備の剣も持ってきたけど」
「何でそんな名前なのよ……」
「俺に言われても困る。使い勝手が良かったら名前変えるか……」
そんな事を話しつつ、彼らはダンジョンに向かう。


 ――地下三階。
 地下三階は洞窟になっていた。
自然にできた鍾乳洞のような物ではなく、誰かが掘った坑道のような雰囲気だ。
この階には盗賊などの人型の魔物が出るらしいが、どうだろうか。
 一行は道なりに進んで行く。進む道はいつもの通り、クロウの直感頼みである。
道の折れた場所に差しかかると、向こうから盗賊型の魔物達が二匹現れた。
出会い頭であったが、一行はその盗賊達をすぐ斬り捨てた。
「…………」
クロウは昨日拾った剣、『定価三〇〇円』を見て考えていた。
「どうした、クロ? その剣どうだった?」
エリーが彼に声をかけた。
「この剣、普通すぎる……」
「普通ってなによ?」
「初期装備の剣とほとんど変わらん……」
「ハズレなんじゃないの?」
「いや、1ポイント位攻撃力が上がった気がする……」
「1ポイントの加減が分からんって」
「とりあえず、まだ使ってみるよ」
クロウはそう言って、その剣を鞘に収める。
すると、再び剣から何か落ちたようだ。
「……」
彼は無言でそれを拾い上げ、先へ進んだ。

 そこの道の先を進んで行くと扉があった。
エリーがその扉を調べて聞き耳を立てる。
「中に何人かいるね、多分盗賊だろうけど」
と、皆に注意するように言い、扉を開ける。
 中にいたのは盗賊三人と戦士二人だった。
その盗賊の中に弓を持つ者がいたが、その五人も一行はあっさり倒してしまう。
キャラクターが弱くなっても、プレイヤーの経験は健在のようだ。
「弓持ってるのもいるのか」
「そりゃいるだろうね」
「後衛が狙われたら面倒だわね」
「でも、私も銃を持ってますし」
「弓を持つ者を先に倒した方が良さそうだな」
そう言って彼らは、奥の扉を開けて、さらに先に進んで行く。

 魔物達を倒しながら先へ進むと、そこは分岐路になっていた。
エリーがクロウに聞こうとすると、右手の通路から誰かがこちらに来ている。
冒険者、ドワーフ、女性の三人のようだ。魔物ではないらしい。
前の二人は知っている、ウィグラフとドルフだ。
奥の髪の長い女性は誰だろうか。
「よお、また会ったな」
「久しぶりじゃの」
ウィグラフ達は一行にそう挨拶する。
「おっさんと爺さん! それに後ろの方は?」
その魔法使い風の女性はこちらにお辞儀した。
「何だ、もう忘れたのか、ソフィアちゃんだよ」
「えっ? ソフィっち僧侶辞めたの?」
「いえ、今は『賢者』なのです……」
「賢者!?」
「それで服装が変わってたのね」
「ああ、ソフィアちゃんの爆発は結局バグだったらしくてさ、図書館で調べ物してたら、賢者の資格が手に入ったらしい」
「それは凄いですね……」
「なんでも賢者になる条件はかなり厳しいんだけど、その条件をソフィアちゃんは満たしたようなんだ」
「はい、そうなのです。皆さんにはお世話になりました……」
そう言ってソフィアは再度お辞儀する。
「良かったではないか、これでソフィア殿も思う存分に回復魔法が使えるのだし」
「おっさん、このダンジョンでも魔物食べてるの?」
「いや、それ目的なんだけどさ、まだ人型しか見てなくて食べられてないんだよな」
「ダンジョンで魔物を食べてたら、別の漫画になりそうだわ……」
「おお、それだよ、俺もその漫画のファンでさ。その漫画見てから魔物の肉食べたくなったんだよな」
「パクリですね……」
「そう言うなよ、ホントにおいしい物もたまにあるんだって」
「たまに、か……」
「話変わるけど、二階のボス、強くなかったか? 十二匹同時に倒さないとダメって。お前らはどうやってやったんだ?」
「そうだったの? あたしらの時はグレイス達が倒しちゃったからね……」
「そっか~、やっぱりここのボスを倒すにはそれなりに戦力が必要みたいだな」
「そうなの?」
「どうもこのダンジョンは難易度が高いらしい。一階で上級悪魔アークデーモンが出るって話も聞くしな」
「それはウチらも見たというか、手なずけたというか……」
「お前ら……、どこのバケモンだよ……」
「彼は激辛せんべいが好物だったみたいです。それに子供のようでした」
「へぇ~、観察力も凄いな。さすが二回も勝利者になっただけはある」
「いやただの偶然……」
「ともかくだ、この階でボスを見たら、要注意だな」
「でもまだあたし達もこの階のボス見つけてないんだよね」
「まあな、戦うなら準備しっかり整えた方がいいって事よ」
ウィグラフはそう言って別れの挨拶をした。
「おお、そうじゃ。前回お主らに世話になったからの、儂からの贈り物じゃ、これを持って行け」
ドルフはそう言って、剣と小さな包みをクロウに渡した。
「爺さん、これは?」
「試しに作ってみた水属性の剣と、武器に火属性を付与する道具じゃ。どちらも微妙な物じゃが、お主らなら使えるかもしれん」
「それは助かるけど、爺さん、また変な物じゃないでしょうね? あの短剣、酷い目にあったんだけど?」
「武器は使い手次第じゃよ」
「そんなもっともらしい事言って……」
「まあな。とりあえず、お主らの健闘を祈る。じゃあの」
ドルフもそう言って、ソフィアと共に別れの挨拶をし、ウィグラフを追って行った。

「火属性を付与するのか、ヒナ、付けてみる?」
そう言ってクロウはヒナに小さい包みを渡した。
「ふむ、そうだな、試しに付けてみるか」
ヒナはそう言って、小さい包みを開けると、中には炎の形の飾りがあった。
それを自身の『小烏丸』に装着してみる。
「これは……、弱いが確かに火属性になったな……」
スクリーンを開き、武器の性能を確認したヒナはそう呟く。
「あら、あの爺さん、たまにはマシな物作るじゃないの」
「クロ、その剣はどう?」
「今見てみるよ」
クロウはそう言って、ドルフに貰った剣を鞘から抜いた。
その剣は鞘から抜くと、濡れた紙のようにグニャリと垂れてしまった。
「なんだこれ……、ん? メモが貼ってある」
〝この剣は水属性の剣を作ろうとして失敗したものじゃ。名前を『フニャチン』という。大切に使え。―ドルフ―〟
と書いてあった。
「あのジジイ……!」
クロウは怒りに手を震わせ、『フニャチン』を道に投げ捨て、先へ進む事にした。

 左の道を進み、角を曲がった先には扉があり、その扉は少し隙間が空いていた。
エリーが覗き込むと、弓を持った盗賊が六人、中にいるようだ。
「全員弓のやつみたいだけど、どうする?」
「ウチにアイディアがあるわよ」
「大丈夫かな……?」
「召喚! ミニゴーレム・チョースケ!」
唇の厚いミニゴーレムが現れた。〝オイッス!〟
「召喚! ミニゴーレム・コージ!」
黒縁メガネの体操選手のようなミニゴーレムが現れた。
「召喚! ミニゴーレム・ブー!」
太ったミニゴーレムがウクレレを弾いている。
「召喚! ミニゴーレム・チャ!」
ハゲヅラ丸メガネにチョビヒゲのミニゴーレムが酔っぱらっている。
「召喚! ミニゴーレム・チュウ!」
おっさんが何かの機材を持ちながら逆ギレしている。〝ナンダバカヤロウ!〟
「……フェイ、最後の人が違うんだけど?」
「元メンバーよ、友情出演だわ」
「あたしは知らないけどさ、それにこの機材は?」
「カラオケ機器よ、カラオケボックスの入り口に入らなかったらしいわ」
「ネタが古すぎて分からないよ~」
「大丈夫よ、さあ、扉を開けましょう」
そう言ってフェイさっとは扉を開けてしまう。
 中にいた六人の弓盗賊は、こちらに気づくと案の定弓を撃ってきた。
一行はその矢をカラオケ機器に隠れて凌ぐ。
「矢が次々飛んで来るって!」
「顔すら出せないよ!」
リノは隙を見て銃を撃つも、敵の攻撃が厳しく当たらないようだ。
「フェイ、魔法は使わないのか?」
「待ってて、今からカラオケ機材ごと移動するから」
フェイがそう言うと、五匹のミニゴーレムがカラオケ機材を押しながら敵に近づく。
もちろん彼らもそれに続き、距離が縮んでから飛び出し、一気に盗賊達を斬った。
「フフフ、どう? ウチの頭脳プレイは」
「ネタが古すぎてリアクションに困るんだよ!」
さすがのエリーも、知らないネタだとツッコミづらいようだ。
こうして弓の盗賊達を倒した彼らは、さらに先へと進む。

 一行がさらに進んで行くと、そこには地下二階と同じ青銅の扉があった。
エリーが罠の有無を調べた後、五人で一斉にその扉を押して、開く。
その扉の先にいたのは、三つの頭を持つ、大型の狼だった。
「こいつは……、強そうだな……」
「ボスみたいだね……」
「調べてみるわ。健康分析ヘルスアナライズ! 彼の名は『ケルベロス』ね。お腹が空いているらしいわ」
「頭が三つありますからね……」
「食べ物で手懐けられないかな?」
「やってみるか……」
五人はもしもの時に備えて、それぞれおやつを持っていたのである。
「それ!」「ほいっ!」「はい!」
クロウ、フェイ、リノが三人同時におやつを投げた。
「三人同時に投げなくても……」
「タイミングが被っちゃったわね」
するとケルベロスの三つの頭が、足元に投げられたおやつを食べ始めた。
「何やったの?」
「草餅」
「カステラ」
「チョコレートです」
「チョコはマズくない? あれ犬っぽいし」
「そうなのですか!?」
「うむ、犬にチョコを食べさせると、最悪死んでしまうな……」
「どうしましょう……」
「うん、まあ、敵だけどね……」
そう話しているうちに、ケルベロスはおやつを食べてしまった。
ケルベロスの右の頭、草餅を食べた頭は、餅が喉につかえたらしく苦しみだした。
「ああっ! ちぎってあげればよかった……」
「敵なんだよね……」
ケルベロスの左の頭、チョコを食べた頭は、口から泡を吹きぐったりしてしまう。
「ごめんなさい……」
「だから敵なんだってば……」
ケルベロスの中央の頭、カステラを食べた頭は、大喜びでもっと欲しそうに舌を出して目を輝かせていた。
「よし!」
フェイはガッツポーズを取った。
「いやもう……、なんか違う遊びになってるし……」
 だが三つの頭のうち、両脇の頭が深刻なダメージを受けたようだ。
そのことに気づいた中央の頭は、怒ってこちらに襲いかかって来た。
「やっぱりこうなるよね……」
「二つ頭を潰しただけでも上出来だ!」
こうして五人はケルベロスとの戦いになった。

 ケルベロスは三つの頭を持ち、それぞれの口から炎を吐く恐ろしい魔物だ。
だが、一行の手によって二つの頭が潰されてしまい、その強さは半減してしまった。
彼は中央の口から炎を吹きかけるも、
氷柱障壁アイスウォール!」
と、フェイの魔法によって防がれてしまう。
そして、クロウ、ヒナ、エリーの三連続攻撃で彼に傷を与える。
氷結飛槍アイスジャベリン!」
フェイの魔法で彼の足が止まってしまうと、再び三人の連続攻撃を受け、悲鳴を上げながらケルベロスは倒れた。
この時、五人の腕輪が光を放ち、この階層をクリアした事が証明される。
 彼らの手によって倒されたケルベロスは、その死体が消えると何かを残した。
「何だ、これ?」
クロウがそれを拾い上げると、それは鈍色に光る『金属製の右腕』だった。
「腕……」
「クロ、それ何?」
「金属の腕みたいだ」
「何かしら? 義手?」
「何でしょうね……?」
「見た事の無い金属だな……」
「後で使い道あるかもしれないし、持って帰って倉庫に置いておくよ」
クロウはそう言って、その腕を持ち帰る事にした。

 一行はその後、ゴンドラに乗り、街へ戻った。
冒険者ギルドでクエストを報告して報酬を受け取った後、拠点へ帰る。
クロウは拾った『金属製の右腕』を倉庫に入れ、カギをかけて保管した。
その後、五人はそれぞれ次の冒険に向けて準備をして、今日は休む事にしたのだ。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!=== ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。 でも別に最強なんて目指さない。 それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。 フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。 これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

処理中です...