この大きな空の下で [無知奮闘編]

K.A

文字の大きさ
上 下
42 / 51
明日に向かって

ポストカード 2

しおりを挟む
次の日の朝

私は妹に電話をした。

妹「おはよう、どうしたの?」

私「そういえばお前さぁ、SKって写真家の写真集持ってたよな?」

妹「うん、前から持ってるよ。それがどうしたの?」

私「その写真家って写真集以外に写真を出してる事ってあるのか?」

妹「あ、それならちょうど今日から来月末まで新宿で個展をやるよ。数は少ないからすぐになくなっちゃうけどグッズ販売もあるし」

私「今日から?行くのか?」

妹「行くに決まってるでしょ」

私「じゃあ、そこで.....」

ゴニョゴニョ.....

妹「うん、別にいいよ。じゃあこの前から欲しいって言ってたCD....」

私「わかった!無条件で買ってやる!」

妹「ほんと!やったぁ!」

私「じゃあ、頼んだぞ」

妹「かしこまりました、お兄様!CD忘れないでよ!じゃあね」

そう言うと電話は切れた。


.....へぇ、今日からかよ。タイミング良すぎだろ。


妻「妹元気だった?」

私「あぁ、元気すぎて元気すぎて」

妻「それならよかった、でもたまには顔見に行きたいな」

私「そうだな...正月にでも顔見に行くか」

熱いコーヒーを流し込む。




....その日の昼休憩。

妻「だから!たまにはラーメン以外も食べなさいって!」

私「いや、ここのラーメンはマジで美味いよ!」

妻「そうじゃなくて、栄養が偏っちゃうでしょ!」

私「....わかったよ。じゃあ明日から」

妻「明日から?」

私「ラーメンにサラダ付けるよ」

Y「ダメだこりゃ、奥さんも毎日大変だねぇ」

妻「.....定食屋じゃ唐揚げ定食ばっかりだし」

F「そうだよね」

私「でも[いつもの]だけで注文通じるのってかっこよくない?」

妻「よくない」

F「よくない」

Y「普通に頼んだら?」

M「何で定食屋でかっこよさを求めるんですか?」

J「同感だ、店の多彩なメニューが泣いてるぞ」

私に対して右から左からジャブの応酬だ。

私「何だよ何だよ、みんな酷いなぁ。あそこの唐揚げはいつ食べてもめっちゃ美味いんだぞ!」

妻「美味い不味いの話じゃないの!」

Y「はぁ....Kを納得させるにはまだまだ時間がかかりそうね」

J「だね」

F「最終的に納得させられればいいけどね」

私「だからサラダを.....」



.....誰も聞いてない。

M「そういえば、美奈ちゃんは誕生日はバイトなのかな?」

J「来週誕生日って言ってたね」

M「うん、それで再来週はJくんの誕生日....だよね?」

J「....そうだけど、なんで俺の誕生日知ってるの?」

M「Jくんが入院してる時に見たの」

私「あぁそうか!」

妻「え?」

私「最近の病院は患者の間違いを防ぐ為に名前と誕生日を確認してるんだよ、以外と同姓同名の人っているらしくてさ」

妻「そうなんだ」

私「俺もこの前病院行った時に確認されたよ」

Y「へぇ、病院も大変なんだね」

私「大変だろうな、ワンミスで訴えられちゃったりさ」

妻「たまにニュースで見る医療事故ね?」

私「うん、そうだよ」

Y「大変ねぇ、私だったらすぐに禿げちゃうわ」

F「命に直結してる仕事だからねぇ」

M「ところでJくん、誕生日はどうするの?」

J「どうする?って言われてもなぁ...ここ数年誕生日なんて気にしてなかったし」

ガバッと立ち上がるM、そして、

M「だめだよそんなの!一年に一日しか来ない大事な大事な日なんだから!」

私「どうしたの!そんなに大声出して?」

M「あ....ごめんなさい」
ストンと椅子に座るM。

J「大丈夫だよ、ちょっとびっくりしたけど」

M「ごめんなさい、大声出しちゃって」

妻「どうしたの?」

M「ごめんなさい...何でもないです。私先に行きますね...」


そう言ってMは食堂を出ていった。


私「シフト誰かに代わってもらって二人でどっか遊びにでも行ってこいよ?」

Y「あ!それいいね、そうしなよ」

妻「付き合いはじめて最初の誕生日だから特別な日にしたいんじゃない?」


J「うん...考えてみるよ」
しおりを挟む

処理中です...