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星座の使徒
【蟹座:アセラ】星の泉の試練と守護の目覚め
しおりを挟む星座宮殿は、13の星座の輝きに浴し、エテルニアの大地に希望と調和を届けていた時代。夜空には星々が燦然と輝き、宮殿の水晶庭園は星の光に照らされて幻想的に輝いていた。使徒たちは互いの役割を果たし、笑顔と絆で宮殿を満たしていた。水晶庭園の中心には、星の力がエテルニアに流れ込む「星の泉」が静かに輝き、使徒たちの使命の象徴として存在していた。
蟹座の使徒アセラは、星の泉のそばで佇んでいた。淡い水色の髪が星光に揺れ、青い瞳には守護の本能が宿っていた。彼女は水瓶座のアクアの妹であり、姉を慕いながらも、守護の使徒として仲間やエテルニアの民を守る役割に誇りを持っていた。泉の水面を見つめ、アセラは呟いた。「この泉が、エテルニアに星の力を届ける…。私が守らなきゃ。」
しかし、その夜、星の泉が突然輝きを失った。水面が濁り、星の力がエテルニアに届かなくなる異変が発生した。アセラは慌てて水晶の盾を構え、蟹座の守護の力を泉に注ぎ込んだ。淡い光が泉を包み込み、一時的に水面の濁りが落ち着いたが、異変は完全には収まらなかった。彼女の小さな体が緊張で震え、額には汗が滲んだ。「私が守る…! でも、どうして…?」
そこへ、魚座の使徒リーシャが現れた。紫色の髪が星光に揺れ、儚げな瞳には夢の残響が宿っていた。リーシャはアセラの焦った様子を見て、静かに近づき、穏やかな声で打ち明けた。「アセラ…私、予知夢を見たの。星の泉が涸れると、エテルニアに影が落ちる…。でも、夢の中で、泉の浄化にはエテルニアの民の純粋な心が必要だと…。」 アセラはリーシャの言葉に驚き、水晶の盾を握る手に力がこもった。「純粋な心…? なら、私がエテルニアの民からその力を借りてくる! 泉を守るために…!」
アセラは単身、エテルニアの大地に降り立った。彼女が訪れたのは、星の泉から力を得ていた小さな村、ルナリスだった。村は静かな森に囲まれ、木造の家々が点在していたが、異様な静けさが漂っていた。村の畑は枯れ果て、作物は一本も育っていない。村人たちは広場で集まり、疲れた顔で囁き合っていた。「また揺れた…」「星獣が怒ってるんだ…」「このままじゃ、村が滅びる…。」
アセラは広場に降り立ち、村人たちに声をかけた。「私は星座宮殿の使徒、アセラ。星の泉が輝きを失った原因を探しに来たの。村に何か異変は…?」 彼女の優しい声に、村人たちは一瞬驚いたが、すぐに不安げな表情を見せた。一人の老人が前に出て、震える声で答えた。「使徒様…この村は、星の泉から力を得てきた。だが、最近、森の奥に棲む星獣が暴れ、畑が枯れてしまった…。泉の異変も、星獣の怒りのせいかもしれん…。」
アセラは眉を寄せ、村人たちに詳しく話を聞いた。星獣は、森の奥深くにある洞窟に住む古の存在で、星の力の一部を宿していた。星獣は長年村の加護を与えてきたが、最近になって地響きを起こし、畑を荒らすようになったという。村人たちは恐れを抱き、洞窟に近づく者はいなかった。アセラは村人たちの疲弊した姿を見て、守護の使徒としての使命感が胸に湧き上がった。「私が守る…。星獣を鎮めて、泉を元に戻す!」
広場で、アセラは姉弟に出会った。姉のミラは14歳で、弟のテオは8歳だった。ミラの茶色の髪は乱れ、服はボロボロだったが、弟を守るために必死に働いている様子が伝わってきた。テオは病弱で、飢えから体が弱り、顔色が青白かった。アセラはテオの小さな手を握り、蟹座の守護の力を注ぎ込んだ。淡い光がテオを包み、彼の顔に少しだけ血色が戻った。テオは弱々しく微笑み、囁いた。「星のお姉さん…ありがとう…。」
ミラは涙を流しながらアセラに頭を下げた。「使徒様…ありがとう。テオが…少し元気になった。でも、村のみんなが飢えてる。星獣が暴れるせいで、畑が…。」 アセラはミラの純粋な心と、弟を守る強い意志に触れ、心が温かくなった。「ミラ、テオ、私が村を救う。泉を元に戻すために、力を貸してほしい。」 ミラは頷き、テオの手を握りながら言った。「私たちにできるなら…なんでもするよ。」
アセラが村人たちと星獣についてさらに話を聞いていると、ミラが突然顔を上げ、声を震わせて叫んだ。「テオが…弟がいません…!」 彼女の視線が広場の周囲を彷徨い、村人たちもざわめき始めた。老人は顔を青ざめ、呟いた。「まさかあの子、一人で、洞窟へ…?」 アセラの心臓が大きく跳ね、すぐにミラの手を握った。「テオが…星獣の洞窟に!? 私が守る…! すぐに行く!」
テオは、村人たちとアセラが星獣の話をしているのを聞き、子どもなりの正義感が胸に湧き上がっていた。「星獣は、村のみんなを守ってくれる優しい存在だったんだ! きっと、何か理由があって暴れてるだけだよ。僕、星獣に聞いてみる!」 彼は誰にも気づかれないように広場を抜け出し、森の奥へ向かっていた。
アセラは森の中を駆け、洞窟の入り口にたどり着いた。苔むした岩に囲まれた入り口からは、暗い気配が漂っていた。アセラは洞窟の入り口でテオの小さな足跡を見つけ、心臓が高鳴った。「テオ…無茶しないで…!」 彼女は水晶の盾を手に、勇気を振り絞って洞窟に入った。洞窟の中は湿った空気が満ち、星の力が乱れている感覚が肌に刺さった。
奥へ進むと、テオの小さな声が聞こえた。「星獣…僕、知ってるよ。君、優しいよね…?」 アセラが急いで駆けつけると、テオが巨大な星獣の前に立っていた。星獣は巨大な狼のような姿で、全身が星の光を帯びた鱗で覆われ、目は深い青色に輝いていた。しかし、その背中には一本の矢が深く刺さり、傷口から黒い瘴気が漏れ出していた。
星獣が咆哮を上げ、洞窟が揺れた。アセラは水晶の盾を構え、守護の力を放った。淡い光が星獣を包み、彼女とテオを守る結界を張った。「テオ、危ない! 私が守るから…!」 星獣の咆哮が一瞬止まり、アセラは気づいた。「背中の矢…あれが原因だ…! 暴れてるのは、痛みと怒りのせい…。」
テオが小さな声で呟いた。「やっぱり…星獣、痛かったんだ…。僕、星獣を助けたい…。」 アセラはテオの純粋な正義感に力を得て、星獣に近づいた。彼女は守護の力を最大限に引き出し、手が光に包まれた。矢に触れた瞬間、星獣が再び咆哮を上げ、洞窟が激しく揺れた。岩が崩れ落ちそうになり、テオが叫んだ。「星のお姉さん、危ない!」
アセラは目を閉じ、守護の本能に全てを委ねた。「私が守る…! あなたも、村も…!」 彼女の力が矢を包み込み、ゆっくりと引き抜いた。黒い瘴気が消え、星獣の傷が癒え始めた。星獣は静かにアセラを見つめ、深くうなずいた。星の力が星獣の体から溢れ出し、洞窟全体が淡い光に満たされた。星獣は低く唸り、アセラに小さな星の欠片を差し出した。それは、星の泉を浄化するための純粋な力の結晶だった。
アセラは星の欠片を受け取り、星獣に微笑んだ。「ありがとう…。これで、村も泉も救える。」 星獣は静かに洞窟の奥へ戻り、テオが星獣に手を振った。「星獣、元気になってよかった…!」 アセラはテオの手を握り、洞窟を後にした。村に平和が訪れ、畑に微かな緑が戻り始めた。
アセラはルナリスの村に戻り、村人たちに星獣が鎮まったことを伝えた。村人たちは歓声を上げ、ミラがテオを抱きしめてアセラに駆け寄った。テオは笑顔で言った。「星のお姉さん、すごい! 星獣、優しい子だったね!」 ミラは涙を流しながらアセラの手を握った。「使徒様…ありがとう。テオが無事で…村が救われて…。」 アセラは姉弟の笑顔を見て、守護の使徒としての自信が胸に芽生えた。「私が守れた…。ミラ、テオ、ありがとう…。」
アセラは星の欠片を手に星座宮殿に戻り、アクアに助けを求めた。アクアはアセラの成長した姿を見て微笑み、「アセラ、よくやった。星の欠片があれば、泉を浄化できるよ。」 アクアは革新の魔術で浄化装置を設計し、星の欠片を組み込んだ。アセラは守護の力で装置を支え、泉の深部に設置した。装置が輝きを放ち、泉が再び星の光を取り戻した。星の力がエテルニアに流れ込み、ルナリスの村に作物が実り始めた。
星座宮殿に戻ったアセラは、アクアに抱きついた。「姉さん、私、守れたよ! エテルニアの民を守れた!」 アクアはアセラの頭を撫で、優しく答えた。「アセラ、立派な守護の使徒だよ。君がいたから、泉も村も救われた。」 姉妹の絆が深まる中、リーシャは一人、泉の水面を見つめた。「まだ…影は消えていない…。」 彼女の呟きは、星の光に溶けた。
水晶庭園に笑顔が戻り、使徒たちは再び調和の中で星の意志を紡いだ。しかし、リーシャの予知夢が示す微かな影は、遠い未来の混沌を暗示していた。
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