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第四章 悪役令嬢は王女と共に戦場を駆ける
315.悪役令嬢は天帝への返事を書く
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本来、アリエルが書くべきではあると思っていたけれど、何故か私宛だったので私が返事を書かねばならないという何とも面倒臭い仕事が舞い込んできた。
と、いうか内容も結構「はぁ?」と、言いたくなることが書かれていた。満足気に帰って行ったビバル氏は帰り際に「ミストリアで待っているぞ」と、言い残して行く。全く、アレは絶対に教師には向いていないと私は思うのだけど、どうなのかしら。
「ねぇ、この時期に帝都まで行くのって、結構面倒じゃない?」
そう言ったのはマリーだ。まぁ、言いたいこともよく分かるけど、ビバル氏が案内役でクーベルト辺境伯である閣下が護衛という形になると思う――けど、それより前にお母様と女王キャロラインへ報告が必要よね。
「それはそうだけど、ご丁寧に天帝から名指しで私、マリー、アリエル、ウィンディ、リンリィが来るように書かれているんだから、どうしようも無いわよ。ただ、この話を女王陛下やお母様達が知っているかどうか――の、方が大事だわ」
「あー、それは確かに」
「とりあえず、手紙の返事を書かないといけないけど、先にお母様に伝えた方がいいわよね」
「ま、そうね」
と、そんなやり取りをしている間にエルーサ含めメイド達が通信の魔道具や防音の魔道具含め、準備を始めている。うん、仕事が出来る者達で感心感心。そんなことを思いながら私は通信の魔道具を使ってお母様へ連絡をする。
通信時は通信していることを示す簡単な音が流れ、相手側が受信をすると小さくカチリと音がするように設計されている。機械的な部分はほぼ無く、魔術的な回路で電子機械っぽく装っている仕組み――なのだけど、今後は機械的な進歩も見られるようになっていく予定。そして、カチリと小さな音が聞こえた後にお母様の声が聴こえる。
『――あら、何かあったのかしら?』
「お母様、昨晩連絡したところではありますが、色々と確認とご相談がありまして、お時間大丈夫ですか?」
『急ぎの案件かしら……』
「はい、実は――」
と、私は事のあらましを説明し、今件に関してお母様と女王キャロラインの方でも認識しているのか確認した。まぁ、当然のことではあるのだけど、ビバル氏が私に会うために向かったことは事前に知っていたし、どういった件なのかも分かっていた――が、天帝からの手紙が来たことに関しては知らなかったようだ。
基本的に聖イーフレイ帝国からの連絡等々に関しては親書で来ることは基本的には無い。使者が口頭で伝えるというのが慣例であり、故に天帝含め帝国の上層部との直接やり取りが出来る者は途轍もない価値を持っている。故に手紙が来たこと、そして、私達を指名して召集の指示があるのも異例ずくめという大変な事が起こっている。
『さすがにこのタイミングというのは問題が色々とあるわね』
お母様は少し困ったという風にそう言った。そう、現状問題はスーリアルだけじゃなくて、国内外含め色々と問題山積な状態だというのに絶対に対応しなければいけない案件ってところが困っちゃうのよね。
『――とりあえず、陛下には共有しました。返事はちょっと待って欲しいそうよ。当然ですが、様々な場面で検閲されることを前提に書くのですよ』
当たり前の話だけど、天帝に出す手紙となると確実に検閲が入る。女王キャロラインはモチロンの事、ミストリアの上層部に共有、聖イーフレイ帝国でも数度の検閲があって、天帝に上げられる。まぁ、面倒だけど、当然の話なのよね。
天帝からの手紙は誰も見られることはないけれど、こちらの書は多くの目に晒されるって思うと微妙な気持ちも無くは無いけれど、そんなものだ。
「ええ、分かっていますお母様。キャロライン陛下からの返事はいつくらいにあるでしょうか?」
『そうね、ちょっと待ってね――』
と、しばらくの沈黙、お母様と女王キャロラインの特殊な魔法でやり取りをしているのだろう。姉妹で念話出来るっていうのは凄く便利な魔法だけど、その術式を他に利用して念話の魔法を作ろうとお母様も考えた事があるらしいのだけど、残念ながら何故か発動しない魔法が出来上がった。因みに私もそれを教えて貰って試してみたけど、術式的には間違っていない――と、思うのだけど成功には至らなかった。まぁ、ここにもよく分からない世界の理があるのかもしれない。
『今晩には返事が返せるそうだから、陛下から貴女の方に通信をするということよ』
「分かりました」
『――それにしても、娘達に都に来るように指名してくるというのが分からないけど、こちらでは貴女達が通る場所と日程を調整しておくわ』
「お願いしますね」
そんなやり取りをし、今後の予定をある程度進めてお母様との通信を終了した。
「早くても今週、来週あたりかしらね。私もここから離れる為の準備をしないといけないわね」
通信が終わりマリーは面倒くさいと言わんばかりにそう言った。まぁ、それはそうね。私の場合は既にナハリトから離れても問題ない状況を作っておいたし、どちらかと言えばパーレンダムのこれからについての調整の方が大変なのは私もマリーに同意ではある。
「そうね。次の任官は決まっているけど、結局のところ天帝からお許しが無いとダメな問題が解決しない限り、動けないってところがネックだから。とりあえず、私達がスーリアルから離れてもなんとか動かせる状態を作らないと話にならないわね」
「私の方は商会の後身に関してはある程度なんとかって感じね。現場の人員が足りてないのは現状ではどうしようも無いけど……」
「そこに関しては規模を縮小して、とりあえずパーレンダムの治安維持関連に関しては我が家の騎士団がこのまましばらく駐留するから、まぁ、こっちに関してもディラン兄様が来た時にそのまま兄様につく人員がどれくらいいるか――って、ところがねぇ」
そう、思っているより我が兄達は皆から好かれている。ハーブスト領の騎士や臣下達の間で結構揉めているのだ。どちらの兄にも尽くしたい者達が溢れている。嫌がって意見が分かれているわけじゃないから、面倒なのよね。多くの臣下が我こそは我こそはって争っているのだけど、さすがに内戦ギリギリラインの争いは勘弁して頂きたい。
と、いうか内容も結構「はぁ?」と、言いたくなることが書かれていた。満足気に帰って行ったビバル氏は帰り際に「ミストリアで待っているぞ」と、言い残して行く。全く、アレは絶対に教師には向いていないと私は思うのだけど、どうなのかしら。
「ねぇ、この時期に帝都まで行くのって、結構面倒じゃない?」
そう言ったのはマリーだ。まぁ、言いたいこともよく分かるけど、ビバル氏が案内役でクーベルト辺境伯である閣下が護衛という形になると思う――けど、それより前にお母様と女王キャロラインへ報告が必要よね。
「それはそうだけど、ご丁寧に天帝から名指しで私、マリー、アリエル、ウィンディ、リンリィが来るように書かれているんだから、どうしようも無いわよ。ただ、この話を女王陛下やお母様達が知っているかどうか――の、方が大事だわ」
「あー、それは確かに」
「とりあえず、手紙の返事を書かないといけないけど、先にお母様に伝えた方がいいわよね」
「ま、そうね」
と、そんなやり取りをしている間にエルーサ含めメイド達が通信の魔道具や防音の魔道具含め、準備を始めている。うん、仕事が出来る者達で感心感心。そんなことを思いながら私は通信の魔道具を使ってお母様へ連絡をする。
通信時は通信していることを示す簡単な音が流れ、相手側が受信をすると小さくカチリと音がするように設計されている。機械的な部分はほぼ無く、魔術的な回路で電子機械っぽく装っている仕組み――なのだけど、今後は機械的な進歩も見られるようになっていく予定。そして、カチリと小さな音が聞こえた後にお母様の声が聴こえる。
『――あら、何かあったのかしら?』
「お母様、昨晩連絡したところではありますが、色々と確認とご相談がありまして、お時間大丈夫ですか?」
『急ぎの案件かしら……』
「はい、実は――」
と、私は事のあらましを説明し、今件に関してお母様と女王キャロラインの方でも認識しているのか確認した。まぁ、当然のことではあるのだけど、ビバル氏が私に会うために向かったことは事前に知っていたし、どういった件なのかも分かっていた――が、天帝からの手紙が来たことに関しては知らなかったようだ。
基本的に聖イーフレイ帝国からの連絡等々に関しては親書で来ることは基本的には無い。使者が口頭で伝えるというのが慣例であり、故に天帝含め帝国の上層部との直接やり取りが出来る者は途轍もない価値を持っている。故に手紙が来たこと、そして、私達を指名して召集の指示があるのも異例ずくめという大変な事が起こっている。
『さすがにこのタイミングというのは問題が色々とあるわね』
お母様は少し困ったという風にそう言った。そう、現状問題はスーリアルだけじゃなくて、国内外含め色々と問題山積な状態だというのに絶対に対応しなければいけない案件ってところが困っちゃうのよね。
『――とりあえず、陛下には共有しました。返事はちょっと待って欲しいそうよ。当然ですが、様々な場面で検閲されることを前提に書くのですよ』
当たり前の話だけど、天帝に出す手紙となると確実に検閲が入る。女王キャロラインはモチロンの事、ミストリアの上層部に共有、聖イーフレイ帝国でも数度の検閲があって、天帝に上げられる。まぁ、面倒だけど、当然の話なのよね。
天帝からの手紙は誰も見られることはないけれど、こちらの書は多くの目に晒されるって思うと微妙な気持ちも無くは無いけれど、そんなものだ。
「ええ、分かっていますお母様。キャロライン陛下からの返事はいつくらいにあるでしょうか?」
『そうね、ちょっと待ってね――』
と、しばらくの沈黙、お母様と女王キャロラインの特殊な魔法でやり取りをしているのだろう。姉妹で念話出来るっていうのは凄く便利な魔法だけど、その術式を他に利用して念話の魔法を作ろうとお母様も考えた事があるらしいのだけど、残念ながら何故か発動しない魔法が出来上がった。因みに私もそれを教えて貰って試してみたけど、術式的には間違っていない――と、思うのだけど成功には至らなかった。まぁ、ここにもよく分からない世界の理があるのかもしれない。
『今晩には返事が返せるそうだから、陛下から貴女の方に通信をするということよ』
「分かりました」
『――それにしても、娘達に都に来るように指名してくるというのが分からないけど、こちらでは貴女達が通る場所と日程を調整しておくわ』
「お願いしますね」
そんなやり取りをし、今後の予定をある程度進めてお母様との通信を終了した。
「早くても今週、来週あたりかしらね。私もここから離れる為の準備をしないといけないわね」
通信が終わりマリーは面倒くさいと言わんばかりにそう言った。まぁ、それはそうね。私の場合は既にナハリトから離れても問題ない状況を作っておいたし、どちらかと言えばパーレンダムのこれからについての調整の方が大変なのは私もマリーに同意ではある。
「そうね。次の任官は決まっているけど、結局のところ天帝からお許しが無いとダメな問題が解決しない限り、動けないってところがネックだから。とりあえず、私達がスーリアルから離れてもなんとか動かせる状態を作らないと話にならないわね」
「私の方は商会の後身に関してはある程度なんとかって感じね。現場の人員が足りてないのは現状ではどうしようも無いけど……」
「そこに関しては規模を縮小して、とりあえずパーレンダムの治安維持関連に関しては我が家の騎士団がこのまましばらく駐留するから、まぁ、こっちに関してもディラン兄様が来た時にそのまま兄様につく人員がどれくらいいるか――って、ところがねぇ」
そう、思っているより我が兄達は皆から好かれている。ハーブスト領の騎士や臣下達の間で結構揉めているのだ。どちらの兄にも尽くしたい者達が溢れている。嫌がって意見が分かれているわけじゃないから、面倒なのよね。多くの臣下が我こそは我こそはって争っているのだけど、さすがに内戦ギリギリラインの争いは勘弁して頂きたい。
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