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第一章 悪役令嬢は動き出す
52.悪役令嬢の母親達のお茶会
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「この場では皆、堅苦しいのは無しにしましょう」
絶賛、愛娘作『防音と認識阻害の魔道具超改良版』を使用したお茶会に集まったのは、女王であるキャロルとハーブスト公爵夫人である私、レシアス侯爵夫人であるターニア、アーマリア侯爵であるリオーラ様、リンガロイ伯爵夫人であるアマンディの5名です。
魔道具の術式が展開されて、即座に反応したのはアーマリア侯爵であるリオーラ様。学術・教育に関する部門の長で文官、魔術師としても非常に優秀な人物です。彼女は落ち着いた風を装いながら、周囲に視線を向けながら訊いてくる。
「ステファニー様、この結界のようなモノは一体?」
「フフッ、これはエステリアが考え出し、私がさらに改良を加えた魔道具で防音と認識阻害、魔法、物理の防御も行える物なのですよ」
何を言われたのか分からないという表情を浮かべるリオーラ様。貴族としてそこは頑張って冷静さを保たねばいけませんよ。
「ステフ、我々の常識から逸脱した状況では貴族であれども冷静ではいられないでしょ?」
「あら、そうかしら? これくらいで驚いて貰ってはこれから大変ですよ」
私の言葉にキャロル以外の三人の表情がサーッと青くなっていく。あら? ちょっと圧が強すぎたかしら?
「あ、あの……本来、魔道具に使用する魔石に込めれる魔法は一つですよね? 複数の魔法……いいえ、魔術を一つの魔道具で扱うというのはまるで――」
「そうです! そんな【失われた遺物】のようではないですか!?」
と、声を上げたのはリオーラ様とアマンディ。ターニアは多少事情に通じているので、そこまで酷い反応ではないようだけど、驚きは隠せていませんね。
「ちなみに、まだ世間には公表する気はありませんが、あなた達にはこの秘密を共有してもよいと思っています」
だから、裏切るようなマネはしないでね。と、いう意図を込めて言う。ま、全ての秘密を明かす気もありませんが、皆、魔術師としても優秀な方が多いので気になって仕方ないでしょう?
「お、教えて頂けるのですか? 殿下……ではなく、ハーブスト公爵夫人」
「アマンディ、ここではステファニーでいいのよ。私達以外は誰も聞こえていないし、私達がどういう表情でやり取りをしているのかさえ、分からないのですから」
「も、申し訳ありませんわ。でぇー、ンンッ、ステファニー様」
様子見をしているキャロルはジト目で私の事を見ているわね。完全に女王の仮面付けるのを忘れてるわ。と、妹の可愛らしい姿を見ながら私は微笑む。因みにアマンディは私の学園時代の取り巻きの一人で、とても忠誠心が高かったせいか、なぜか『殿下』呼びを直せないのよね。
「まずは……っと、キャロルから話して貰った方がいいわよね?」
「そうね。とりあえず、ステフが起動した魔道具の下では、外からの影響は一切ないし、私達がこれから守っていかなければならない対象の為に協力をしていく。と、いう部分が非常に大事よ」
まだ女王モードには入っていないキャロルだけど、その凛とした声は皆の視線を一気に集める。彼女の持つカリスマ性は私には無い物だから、やっぱり、あなたは生まれながらの女王なのよね。
「因みに、ステフ知っている? 私を天性の女王と呼ぶ者がいるが、ステフの事は闇の魔王だと噂する者がちょろちょろと存在していること」
知らないワケが無いけれど、何故か学園時代からそういう二つ名があったりするのよね。ホント、失礼しちゃうわ。
「知っています。ちなみに言い出した人物も把握してますからね?」
「あら? そうなの?」
と、意外そうという表情で私を見る。あまり知られていないけど、その二つ名を陰口が如く使いだしたのはパルプストのいけ好かないアイツなんだけど、大元の発信者は旦那様なのよねぇ。旦那様の思わずの呟きをあのクソヤローが拾ったのだ。いつかアイツの毛根を死滅させてやるわ。
「っと、話が逸れたわね。今、離宮の庭で私達と同じようにお茶会をしている娘達ですが、私達は娘達をどんな手を使ってでも守らねばなりません」
「陛下、それはどういった意味でしょうか? 上位の家の方でも特に優秀と噂される御方々は分かりますが、私の娘は(お馬鹿で)お転婆なだけでして……」
「5、6歳の頃よりダンジョンに潜っていたそうじゃない? 普通ではありえないわよね?」
「よ、よく……ご存じで」
旦那様がエステリアに調べて欲しいと頼んだ領内に住む子供達全てがなんらかの天才ってのは普通ありえないわよね。でも、エステリアを含め、今この場にいる私達、母親が腹を痛めて生んだ愛しい子供なのは間違い無い。私やキャロルは幼い時より神童と言われてきたわけですが、あの子含めて皆いろんな意味で変わっているのだ。
アリエルとウィンディは魔法や戦闘能力、アンネマリーの商才、リンリィは頭脳明晰で特に算術が秀でているそうね。そして、我が娘エステリアの魔術……いいえ、うちの子は商才もあるし、その知識は多岐に渡るわ。何よりも柔軟性と発想力は飛びぬけている。
確かにリンガロイ伯爵領では子供でも魔導洞窟で狩りをする者がいるのは過去に訪れた時に直に見ているので知っているけれど、さすがに小学にも入っていない子供が魔法や身体強化を使って魔物を狩るのはハッキリ言って異常としか言えない。
でも、エステリアとかも出来てしまうのでしょうね。アリエル殿下とかが言い出すんでしょうねぇ。あの子の戦闘能力も年齢から言えば、かなーりおかしいところにあるのよね。キャロル以上の素質よね。
「子供達が関係を持つ以上、親である我々も彼女達を上手く導いていかねばなりません。だからこそ、我々も協力し無理に押し込めず上手くやっていきたいと思っているわ」
キャロルはそう言った。それは間違いは無いと思うのだけど、一点だけ私は憂鬱な事を思い出す。エステリアのクリフト殿下との婚約の件だけは頑として曲げる気は無いということだった。
アリエルに何かあった時の保険――と、いうのは分かっているけれど、母親として望んでいない婚約というのは心が痛むわ。キャロルには申し訳ないけど、少しだけ愛娘に助言してあげましょう。
絶賛、愛娘作『防音と認識阻害の魔道具超改良版』を使用したお茶会に集まったのは、女王であるキャロルとハーブスト公爵夫人である私、レシアス侯爵夫人であるターニア、アーマリア侯爵であるリオーラ様、リンガロイ伯爵夫人であるアマンディの5名です。
魔道具の術式が展開されて、即座に反応したのはアーマリア侯爵であるリオーラ様。学術・教育に関する部門の長で文官、魔術師としても非常に優秀な人物です。彼女は落ち着いた風を装いながら、周囲に視線を向けながら訊いてくる。
「ステファニー様、この結界のようなモノは一体?」
「フフッ、これはエステリアが考え出し、私がさらに改良を加えた魔道具で防音と認識阻害、魔法、物理の防御も行える物なのですよ」
何を言われたのか分からないという表情を浮かべるリオーラ様。貴族としてそこは頑張って冷静さを保たねばいけませんよ。
「ステフ、我々の常識から逸脱した状況では貴族であれども冷静ではいられないでしょ?」
「あら、そうかしら? これくらいで驚いて貰ってはこれから大変ですよ」
私の言葉にキャロル以外の三人の表情がサーッと青くなっていく。あら? ちょっと圧が強すぎたかしら?
「あ、あの……本来、魔道具に使用する魔石に込めれる魔法は一つですよね? 複数の魔法……いいえ、魔術を一つの魔道具で扱うというのはまるで――」
「そうです! そんな【失われた遺物】のようではないですか!?」
と、声を上げたのはリオーラ様とアマンディ。ターニアは多少事情に通じているので、そこまで酷い反応ではないようだけど、驚きは隠せていませんね。
「ちなみに、まだ世間には公表する気はありませんが、あなた達にはこの秘密を共有してもよいと思っています」
だから、裏切るようなマネはしないでね。と、いう意図を込めて言う。ま、全ての秘密を明かす気もありませんが、皆、魔術師としても優秀な方が多いので気になって仕方ないでしょう?
「お、教えて頂けるのですか? 殿下……ではなく、ハーブスト公爵夫人」
「アマンディ、ここではステファニーでいいのよ。私達以外は誰も聞こえていないし、私達がどういう表情でやり取りをしているのかさえ、分からないのですから」
「も、申し訳ありませんわ。でぇー、ンンッ、ステファニー様」
様子見をしているキャロルはジト目で私の事を見ているわね。完全に女王の仮面付けるのを忘れてるわ。と、妹の可愛らしい姿を見ながら私は微笑む。因みにアマンディは私の学園時代の取り巻きの一人で、とても忠誠心が高かったせいか、なぜか『殿下』呼びを直せないのよね。
「まずは……っと、キャロルから話して貰った方がいいわよね?」
「そうね。とりあえず、ステフが起動した魔道具の下では、外からの影響は一切ないし、私達がこれから守っていかなければならない対象の為に協力をしていく。と、いう部分が非常に大事よ」
まだ女王モードには入っていないキャロルだけど、その凛とした声は皆の視線を一気に集める。彼女の持つカリスマ性は私には無い物だから、やっぱり、あなたは生まれながらの女王なのよね。
「因みに、ステフ知っている? 私を天性の女王と呼ぶ者がいるが、ステフの事は闇の魔王だと噂する者がちょろちょろと存在していること」
知らないワケが無いけれど、何故か学園時代からそういう二つ名があったりするのよね。ホント、失礼しちゃうわ。
「知っています。ちなみに言い出した人物も把握してますからね?」
「あら? そうなの?」
と、意外そうという表情で私を見る。あまり知られていないけど、その二つ名を陰口が如く使いだしたのはパルプストのいけ好かないアイツなんだけど、大元の発信者は旦那様なのよねぇ。旦那様の思わずの呟きをあのクソヤローが拾ったのだ。いつかアイツの毛根を死滅させてやるわ。
「っと、話が逸れたわね。今、離宮の庭で私達と同じようにお茶会をしている娘達ですが、私達は娘達をどんな手を使ってでも守らねばなりません」
「陛下、それはどういった意味でしょうか? 上位の家の方でも特に優秀と噂される御方々は分かりますが、私の娘は(お馬鹿で)お転婆なだけでして……」
「5、6歳の頃よりダンジョンに潜っていたそうじゃない? 普通ではありえないわよね?」
「よ、よく……ご存じで」
旦那様がエステリアに調べて欲しいと頼んだ領内に住む子供達全てがなんらかの天才ってのは普通ありえないわよね。でも、エステリアを含め、今この場にいる私達、母親が腹を痛めて生んだ愛しい子供なのは間違い無い。私やキャロルは幼い時より神童と言われてきたわけですが、あの子含めて皆いろんな意味で変わっているのだ。
アリエルとウィンディは魔法や戦闘能力、アンネマリーの商才、リンリィは頭脳明晰で特に算術が秀でているそうね。そして、我が娘エステリアの魔術……いいえ、うちの子は商才もあるし、その知識は多岐に渡るわ。何よりも柔軟性と発想力は飛びぬけている。
確かにリンガロイ伯爵領では子供でも魔導洞窟で狩りをする者がいるのは過去に訪れた時に直に見ているので知っているけれど、さすがに小学にも入っていない子供が魔法や身体強化を使って魔物を狩るのはハッキリ言って異常としか言えない。
でも、エステリアとかも出来てしまうのでしょうね。アリエル殿下とかが言い出すんでしょうねぇ。あの子の戦闘能力も年齢から言えば、かなーりおかしいところにあるのよね。キャロル以上の素質よね。
「子供達が関係を持つ以上、親である我々も彼女達を上手く導いていかねばなりません。だからこそ、我々も協力し無理に押し込めず上手くやっていきたいと思っているわ」
キャロルはそう言った。それは間違いは無いと思うのだけど、一点だけ私は憂鬱な事を思い出す。エステリアのクリフト殿下との婚約の件だけは頑として曲げる気は無いということだった。
アリエルに何かあった時の保険――と、いうのは分かっているけれど、母親として望んでいない婚約というのは心が痛むわ。キャロルには申し訳ないけど、少しだけ愛娘に助言してあげましょう。
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